この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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PS4でモンスターハンター出るらしいけどそれならvitaからも出してくれよ・・・
据え置きハードあるけどゲームキューブしか無いんだよ・・・


ティリアの正体

ディーのパーティとクエストに行って4日が経つ。

昨日もクエストに同行していてこの時点で俺はレベル66になっていた。

俺はもう大丈夫と言って後日、【スサノオ】の性能実験をしようとしたがグランとティリアの時のような上級者だけでの戦闘ぶりをもう1回見てみたくなり、ディーに頼むと「なら明日見てみるか?」と言われたので明日俺はギルドに向かう事を決めた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

朝早く来たつもりだが既にメンバーは揃っていた。

 

「遅れた?」

「大丈夫ですよ~?時間的には少し早い位です」

 

ティリアがピースサインで答え、ギルド内に入る。

ギルドにはディー達が既に集まっていてクエストを選んでいる途中だった。

漸く決まって依頼書を取り、こっちに来る。

 

「んじゃ今日はリュウヤは見学な」

 

俺は頷き、クエストに着いて行った。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「それで、今回は何を討伐するんだ?」

「飛竜数体だ」

 

飛竜か~・・・俺若干嫌な思い出あるからな~

荒れ果てた街に着く。

ここは以前、住宅街として多くの住人がいたが王都とは少しだけ離れていた為、不憫に思い、少しづつ住人は離れていき、今ではモンスターの住処となっていったのだとか。

そして今、俺達は物陰に隠れて離れた位置で休んでいる飛竜達を眺めている。

 

「んじゃ役割分担な、エニスとミーナで竜の足止め、俺は竜の首をやる。ティリアは俺達に魔法を掛けて援護。グランはリュウヤを守ってろ」

「え゛!?」

 

グランが異議を申し立てた。

 

「?どうした?」

「いや・・・何で俺が・・・?ミーナの方こいつといた時間なげぇだろ・・・」

「嫌ならいいぞ?でもうっかりとお前の姉にツケを俺に支払わせてた事をバラ「謹んでお受けします」よし分かった」

 

こうして役回りが決まり、飛竜討伐が始まった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

1体の飛竜を誘き寄せてそれぞれで行動を取る。

 

「エニス!」

「・・・了解」

 

ディーの声に反応し、エニスが2本の短剣を逆手に持って竜の腱を高速で斬る。

 

「ミーナ!」

「オッケィ!」

 

ミーナがガントレットで竜の頭部を叩き、脳震盪を起こさせる。

脳震盪を起こした飛竜は痙攣しながら横たわる。

 

「エニス、サポート!」

「・・・必要?」

「たりめーだろ!?」

「・・・了解」

 

エニスが「【風迅】」と言って地面に短剣を突き刺すとエニスを中心に竜巻が現れる。

 

「よっ!」

 

最後にディーが、その竜巻に入って高く飛び上がり、持っていた刀身の大きいバスターソードで竜の首を斬り落とした。

 

「スゲェ・・・」

「・・・」

 

横にいるグランはぼんやりとしてる。

 

「凄いでしょう・・・ディールさん達」

 

俺の右にいたティリアが話し掛ける。

 

「・・・そういえばなんで戦闘に参加しないんだ?ゴーレムや俺と組んだ土砂狼竜の時みたいにあの3人に加わればもっと立ち回りよく出来ると思うのに・・・」

「あ~その・・・私は参加したくても出来ないんですよぉ・・・」

 

ティリアが苦笑しながら俺の問いに答える。

参加したくても出来ない?

なんだそりゃ?

 

「おいイチジョウ」

 

突然グランに話し掛けられる。

 

「あまり詮索すんじゃねぇ・・・テメェだって知られたくない事の1つや2つあるんだろ?それと同じだ」

「・・・」

 

どうやら俺は知らない方がいい部分に踏み込もうとしてしまったようだ・・・

 

「理由を言えなくてすみません・・・」

「あぁ・・・いや・・・こっちこそ・・・」

 

まぁ向こうにも理由はあるだろ・・・

俺はそう思って聞くのを止め、彼等の戦闘を見る事にした。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

飛竜討伐から15分しか経ってないのに討伐数はもう5体を超えていた。

俺達でも1体討伐するのにかなりの時間掛かって俺は死にかけた(?)のに・・・

 

「そろそろ休憩か?」

「だね」

 

ディーが汗を拭いて休憩しようとした時だった。

ボコッ!ボコッ!と地面が割れて剣を持ったスケルトンが現れる。

 

「チッ・・・またか!エニス!ミーナ!一斉に行くぞ!」

「分かった!」

「・・・同意・・・!」

 

3人が骸骨に突撃する。

俺達の後ろの地面が割れ、短剣を持った骸骨が現れる。

骸骨は俺を斬ろうとしたが、先に頭部が斬られ、力なく倒れた。

グランが自前の剣で骸骨を斬ったのだ。

 

「チッ・・・面倒な事になってきやがった・・・」

 

グランが舌打ちをして辺りを見る。

完全に囲まれていた。

ディー達も俺達の元へ戻ってくる。

 

「ヤベェな・・・」

「誰かさんがフラグっぽいこと言うから・・・」

「・・・元凶」

「なんで俺のせいなんだよ!?」

 

ディーが面倒臭そうにガリガリと頭を掻く。

奥から飛竜が1体降り立った。

 

「・・・竜も気やがったか・・・仕方ねぇ・・・ティリア」

「はい?」

「【決殺】を使って一掃しろ。この際だ・・・本気で行け」

「・・・でも」

 

ディーが指示を出すがティリアは何故か不安そうにチラチラとこちらの様子を伺っている。

 

「ティリア」

 

ミーナがティリアに呼び掛けた。

 

「リュー君はもう見ちゃってるし、一緒に戦ったじゃん?なら大丈夫だって」

 

ミーナはそう言って優しく微笑む。

その言葉を聞いたティリアの雰囲気が変わる。

以前のゴーレム討伐と似た暖かな雰囲気が少し冷たくなる感覚・・・いや今回はそれ以上だ。

 

「・・・分かりました」

 

ティリアが黒い鞘に収められた刀の柄に手を掛け、糸目の目を少し開く。

その目は綺麗な水色で─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酷く凍てついていた─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行け!」

 

ディーの言葉と同時にスケルトンの群れに駆け、刀を振るう。

 

早い─────

 

5秒の内に、既に10体は葬っていた。

スケルトンは突然の事に混乱し、その隙をディー達が討伐していく。

飛竜がティリアに向かって炎のブレスを吐いてくる。

だが予測していたのか、ティリアは難なく躱し、飛竜の右足を斬り飛ばす。

 

嘘だろ・・・!?俺でも魔法を使ってでしか対応出来なかったのに・・・あんなに容易く斬れるのか・・・!?

 

「──────────!!!!!!!!」

 

飛竜が痛みに耐えかね、悲鳴じみた咆哮を上げる。

 

「──────────黙れ」

 

ティリアが冷たく言い放ち、飛竜の身体を駆け上がって喉を斬る。

飛竜から咆哮は消え、代わりに赤い液体が口から吐き出される。

 

「──────────眠れ」

 

ティリアは容易く首を斬り落とした。

首を無くした飛竜は首から血を吹き出しながらズゥン・・・と音を立てて倒れた。

その間もディー達は目の前のスケルトンを討伐し終わってモンスターは全滅した。

 

「お疲れさん」

 

ディーがティリアに近付いて肩をポンと叩く。

 

「はぁ・・・まさか動く事になるとは・・・」

 

既にティリアの冷たい感じは消え、暖かな雰囲気に戻り、普段の糸目笑顔になっていた。

 

「あの・・・リュウヤさん?」

「?」

「私・・・怖かったですか・・・?」

 

ティリアが少し怯えた声で聞いてくる。

いや・・・怖いというより・・・

 

「凄かった・・・」

「・・・え?」

「いや・・・どう説明すればいいか分からないんだけどさ・・・あんな刀捌き見せられたらそうとしか言いようが無いっていウプッ!?」

 

リーンに急に抱き締められる。

ちょっ!?待って!?柔らかい2つで呼吸が!!!!

 

「良かった・・・怖がられたら私・・・」

 

実際の所は少しだけ畏怖を感じた。

でもそれを打ち消すようにその動き・・・そしてその刀捌きは綺麗だった・・・

 

「イチャついてるところを悪いんだがそろそろ帰るぞ~」

 

ディーがからかってきてティリアがパッと離れる。

少しだけ顔が赤くなったのは言うまでもない。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

今日の報酬は80万エリス。

そのお金でギルドで俺達は食事をしていた。

 

「目的が達成出来たってことはリュウヤはもう元のパーティに戻るって訳か」

「まぁこっちの条件は揃ったからな」

「え~帰っちゃうの~?私もう少しこっちにいてくれてもいいんだけど~?」

「そうですよぉ~!いっそ正式に加わるとか~」

「上級者が初心者介入さすな・・・」

 

ディーは呆れているがミーナは抱き着いて「こっちに来なよぉ~」と催促してくる。

いや入らんて・・・

 

「リュウヤ、明日暇か?」

「え?まぁ・・・そうだけど・・・」

 

実際は【スサノオ】の性能実験をしようとは思ってたけどね。

 

「お前、王族の御用達の宿に泊まってるんだよな?」

 

・・・ミーナから聞いたな・・・?

そうだけど?と言うと明日行ってみていいか?と言われた。

・・・パーティと対面する気かな?

それから全然構わないと言って、今日はお開きになった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「ディール」

「ん?」

 

俺の家でティリアに呼ばれる。

普段ティリアを含め、パーティメンバーは俺を「ディー」と呼ぶが「ディール」と言った際はかなり真面目な話だ。

 

「明日・・・何をする気ですか?」

 

糸目笑顔だが少しだけ眉を顰める。

 

「・・・明日、お前とリュウヤの模擬戦をする」

「・・・!」

 

なぜそんな事を!?と言うような顔をする。

まぁそんな顔にもなるだろうな・・・

 

「リュウヤさんはまだ私よりずっと下ですよ?なのに自信を削ぐ様なま「いいから明日、模擬戦しとけ」・・・」

 

ティリアは俺が意見を曲げないと分かると「・・・どうなっても知りませんよ」と冷たく言って自室に戻った。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「ここか~!」

 

既にディー達は来ていた。

ミーナは軽い用事を済ませてから来るとのこと。

既にそれぞれが和真のパーティメンバーと挨拶し合ってる。

 

「おう!レイ嬢!久し振りだな!」

「ディーさん!?なんでここに!?」

「まぁちょっと理由が・・・ってアンタ・・・ダスティネス家の?」

「ん?あぁ、まぁその通りだ」

 

どうやらレイシャとディーは知り合いらしい。

ディーはダクネスを会って、お互いに握手をした。

 

「ティリアっていいます~」

「シノアです~」

 

・・・向こうではすっげぇゆるふわ空間が出来てるんですけど・・・?

 

「我が名はめぐみん!!!!紅魔族で爆裂魔法を操りし者!!!!」

「・・・エニス・・・」

 

・・・こっちは空気感が違い過ぎ・・・

 

「あ・・・あの~私ゆんゆんって言います・・・」

「ZZZ・・・」

「む・・・無視しないで下さい~」

 

ゆんゆんは涙目・・・

 

「カズマ」

「・・・何か?」

「・・・お互いに苦労してんだな・・・」

 

彼等の様子を見て、和真に同情の目をしたディーがポンと肩を叩く。

 

「んじゃ早速、本題に入らせてもらう。リュウヤ」

「ん?」

「ティリアと模擬戦してみねぇか?」

 

・・・なるほどねぇ・・・そういう事・・・

 

「上級者との模擬戦か・・・いいね・・・」

 

俺はやってみたいと言って両者が簡易的に作った開始線に立つ・・・って・・・

 

「ディー」

「ん?」

「何でお前、バスターソード持ってんの?」

 

何故か分からねぇけどディーはバスターソードを持っていた。

 

「・・・まぁティリアが終わった後に俺もやろうかな~ってな。あ、魔法の使用もありで、リュウヤは緊張感を高める為に木剣じゃなくて刃の付いた武器な・・・ティリアは【不殺】を使えよ?・・・殺すなよ?」

「しねぇよ!」

「そうですよぉ!」

 

俺とティリアの反応にディーは分かった分かったと軽く受け流し、模擬戦は始まった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

早い──────────

 

 

そして

 

 

強い──────────

 

 

飛竜討伐の時もそうだったがティリアの刀は早くて重い。

あの華奢な身体でどうやってこんな斬撃を生み出せるのだろう?と普通に考えてしまう程。

先程【霞み突き】や【霞み斬り】を放ったが身体を横にずらしたり、刀を弾かれたりしていとも簡単に反撃された。

俺の剣は簡単に見抜かれて対応させられてしまう・・・

この世界に来て、ここまで差を見せ付けられる事は初めてだ・・・

このままでは負ける・・・!

 

「【転移】!」

 

俺は初めて対人戦で自分から魔法を使い、闘いに挑む。

【転移】でティリアの背後に回った。

よし!いけ─────

 

ギィン!!!!

 

ティリアは後方も見ずに俺の攻撃を防いだ。

マジかよ・・・!!!!

反撃を喰らい、服が少し破ける。

少し息が上がり始めた。

それなのにティリアは少しも呼吸を荒らげていなかった・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

悪ぃなリュウヤ。

俺がバスターソードを持ってたのは模擬戦をする為じゃなく、ティリアを止める為だ。

お前は知らないだろうが・・・

ティリアは1人で過去に50人もの人間を殺した事のある─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元殺し屋だ──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出会ったのは7年前。

ティリア自身は孤児で、とある殺し屋の組織のメンバーにと引き取られ、殺し屋として育てられた。

上達していく中、その殺しの技術故、自分も殺されるという被害妄想をした組織の長がティリアを捨てた。

そしてティリアはさ迷い、路頭で蹲って死にかけてたのを俺が拾った。

その時も糸目笑顔だったがその笑顔には光は無かった。

ティリアは当時、全くと言っていいほど基本的な事が出来てなかった。

まずナイフやフォークを使って食事が出来なかった。

恐らくは皿に乗ったパンとかしか食べてなかったんだろう・・・

そして服もだ。

初めて会った時、ティリアの服はドロドロのボロボロだった。

警戒も激しい。

俺は少しづつティリアに生活の基本を覚えさせた。

少しだけティリアが心を開き始め、一緒に外出出来るようになったある日、俺が目を離した時にティリアは捕まった。

ティリアは懸賞首だったんだ。

そこで俺は釈放する為に、ある条件を提示した。

それこそが─────

 

・俺の指示以外で戦闘に参加しない。

 

・俺以外で指示を出す時、俺の目に入る範囲内で。

 

・戦闘許可があっても、許可のみの場合は刃の潰れた【不殺】のみ使用する。

 

・ティリアの持つ【決殺】の使用を許可された時のみ、刃の付いた【決殺】のみを使用可とする。

 

─────の4つ。

俺はその時には既に上級者の冒険者で、ギルドや護衛として雇われた当時の良心的な貴族からの信頼もあってかすぐにティリアは釈放された。

俺はティリアの職業をすぐに【アサシン】から【アークプリースト】に変えさせ、補助のみをさせることにした。

そして今に至る訳だ。

だがティリアの殺しの技術は今でも健在だ。

そしてその血もな─────

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「おまたせ~・・・・・・!」

 

ミーナが用事を終わらせて宿の裏庭に来た。

リュウヤとティリアを見て驚愕する。

 

「ディー・・・アンタ・・・何がしたいの?」

「見て分かんねぇか?模擬戦だよ」

「そんな事は分かってる!でもいきなりティリアと模擬戦って・・・そこまでして初心者を潰したいの?」

「・・・潰す気はねぇよ・・・」

「ならなん「済まねぇけどこの闘いが終わるまで黙っててくれ」・・・」

 

恐らくリュウヤならティリアの─────

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

「・・・」

 

チッ・・・ここまでして息が上がらねぇって・・・

ティリアの剣は早い為、少しでも気を抜くとやられる・・・反撃はしたいが容易く受け流され、防戦一方となる。

全てにおいてティリアの方が上だ。

どうするか・・・

そう思考を巡らせてる内にティリアが迫る。

 

「くっ・・・!」

 

仕方ねぇ!使うしかない!

 

「【一刀修羅】!!!!」

 

1分間のみ俺のステータスが一気に跳ね上がる【一刀修羅】を使って、俺は攻撃する。

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

 

物凄い速さで俺の刀とティリアの刀がぶつかり合い、火花を散らす。

だがティリアの蹴りが俺の腹部にクリーンヒットし、壁に激突した。

そしてティリアが迫り、刀を突き出す。

咄嗟の事に刀で防御の構えを取り、目を閉じてしまう。

そして刀は俺の喉に────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギィン────!!!!

 

当たる事は無かった。

目を開けるとディーがバスターソードでティリアの突きを受け止めていた。

 

「ふぅ~・・・ギリギリセーフ・・・」

 

ディーがティリアに模擬戦終了を告げる。

その瞬間、暖かな雰囲気に戻った。

・・・そうか・・・ディーがバスターソードを持ってたのは自分も模擬戦をするのではなくティリアを止める為・・・

見事に完敗したな・・・

 

「大丈夫ですか?リュウヤさん」

「大丈夫・・・」

 

俺はすぐに起き上がった。

 

「さすがは上級者と言うべきか?俺の剣術が全然適わないとはな・・・」

「いえ・・・」

 

にしてもティリアはめちゃくちゃ強かった・・・

俺もまだまだだな・・・

ある事を思い付いてティリアに相談を持ち掛ける。

 

「ティリア、たまにでいいからさ・・・剣術の相手・・・頼めるか?」

「・・・いいんですか?」

「まぁ・・・死なねぇ程度に頼むわ」

 

表情は糸目笑顔のままだったがティリアは嬉しそうにしていた。

その後、俺はティリアに模擬戦を受けてくれた礼を言ってディー達と別れた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「お前、ティリアに剣術の友人作る為に模擬戦組んだんだろ」

 

俺の家でグランがソファーに寝そべりながら俺に言った。

深夜の為、ティリアはもう寝ている。

 

「知らねぇよ」

「・・・ったく・・・イチジョウの奴があのままさようならしたらどうするつもりだったんだよ?」

「そん時は俺が頼んでた」

 

ハァ・・・とグランが頭を掻きながら溜息を付く。

 

「てか友人って・・・お前がそれじゃねぇのか?」

「ちょいと俺は無理だ」

「は?何で?」

 

俺はあまり使っていない棚の1番上の引き出しから小洒落た小さな箱を取り出し、テーブルの上に置いた。

グランは理由を察したのか、マジか!?と言いたげな顔をした。

 

「おま・・・だからイチジョウの奴に頼もうとしたのか!?」

「ま・・・そういう事だ。祝い金なら貰ってやってもいいぞ?」

「その前に精神的に粉砕されない事を祈っておいてやるよ」

「お前な・・・」

 

グランは軽口を叩いた後に立ち上がり、2本のグラスを持って俺の前と自分の前に置く。

その後に外に出た。

数分経って戻って来ると、右手には赤ワインが握られていた。

そのワインの側面には【ボルティアーノ】と銘柄が書かれている。

1本数十万エリスは下らない一品だ。

 

「お前・・・これ・・・お前の秘蔵してた・・・」

「気にすんな。それに・・・これはお前の親父が俺に渡したんだ」

「え?親父が?」

「お前、俺と成人になって村を出たのは覚えてるな?」

「あ・・・あぁ」

「その時にお前の親父に『もし、ディールが相手を決めたらこいつを一緒に飲んでくれ』ってな」

 

親父・・・俺に隠れてそんな事を・・・

 

「ま・・・お前はお前らしくやれや・・・」

 

グランはそう言い、軽く笑みを浮かべながら俺のグラスにワインを注いで、その後に自分のグラスにも注ぎ、お互いにグラスを持った。

 

「前祝いだ」

「・・・そうだな」

 

その言葉と同時にグラスをぶつけ合う。

 

チンッ────という音がリビングに響いた。




糸目キャラってさ、隠れ強キャラ感あるよね。
そして竜弥の始めて(?)の敗北。
そりゃあ50人も殺してんなら負けますわ。
てか大怪我せずに済んで良かったレベルですね。
和真達も竜弥と稽古していたので強くはなっていて、そろそろその描写も書きますのでお楽しみに。
さて、次回は遂に正規システム【スサノオ】を起動します。

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