この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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本当、スマホの動作が重いし、本体もすぐに熱くなる・・・
どうすりゃいいんでしょうね?


【スサノオ】への道程 後編

今日は少しレベルを上げて俺でもまぁ楽にこなせそうなクエストに同行させてもらった。

モンスターの情報を聞くと狼竜というモンスターを狩りに行くらしい。

しかもこのモンスター、様々な属性の狼竜もいるんだとか・・・

少し響き的に某狩りゲームの雷狼竜っぽい感じがした。

全員が準備を整え、出発した。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「おぅいるいる♪」

 

ディーが面白そうに水属性の狼竜を眺めている。

目の前にはゲームの「モンスターハンター」に出てくる雷狼竜の水色のバージョン。

通称【水狼竜】。

今日はこいつ以外にも他の属性を持ったモンスターを複数体狩るらしい。

モンスターを観察しているディーの後ろではディーのパーティメンバーが談笑していた。

 

「お前ら・・・少しは緊張感持てよ・・・」

「いや緊張感も何も水狼竜ならディーだけでやれるでしょ」

「・・・同感」

「ディー・・・行ってこい」

「私達はここでリュウヤ君とお話してますので~♪」

「お前ら俺に押し付ける為にクエスト受注させたな!?」

 

ディーは「後で恨むからな・・・」と軽口を叩いて水狼竜に立ち向かった。

・・・にしても・・・

 

「いいのか?」

「ディーの事?」

「まぁな」

「ディーなら心配ありませんよ~?この中で私の次に強いですから~」

 

ティリアの強さはゴーレムの件で知っている為、言葉には説得力があった。

エニスが俺を呼び、指をチョンチョンとディーの方に向ける。

 

「おらよっ!」

 

ディーがバスターソードで水狼竜の尻尾を斬り裂いた後、地面を手のひらでチョンと触り、下がる。

何をする気だ?

水狼竜が怒り狂い、ディーに駆ける。

 

「【エレクトリック・ジョー】」

 

突然ディーが触った部分から雷の大顎が現れる。その牙により水狼竜は挟まれ圧迫され、電撃による攻撃を受け、倒れた。

 

「出た~・・・ディーの十八番・・・」

「・・・生きた殺戮兵器」

「まぁディーさんですから」

「討伐に参加すらしてねぇお前らにとやかく言われたくねぇよ!?」

 

戦闘の最中でもディーはツッコミを入れる程余裕なのだろうか・・・

ミーナに聞いたが、【エレクトリック・ジョー】は設置系の魔法で地面に設置し、相手が範囲に入ったと同時に作動する魔力の罠なのだとか。

雷の大顎で対象を捕らえ、食いつかれる為、牙によって食い裂かれ、挟まれ圧迫され、しかも電撃のオマケ付きと、結構残酷で洒落にならないらしい・・・

ディー・・・エゲツねぇ・・・

1体目が狩り終わり、戻ってくる。

 

「んじゃ次は誰が行く?」

「え~?」

「・・・拒否」

「ディーさん。ガンバです」

「少しは働けや・・・」

 

ディーが呆れた顔で全員を立たせ、討伐に向かわせた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

草むらに隠れてモンスターを見る。

ここは普通の草原とは違い、少しだけ気温が低い。

そして視線の先には所々に氷を纏った狼竜・・・氷狼竜だ。

 

「リュウヤ」

「ん?」

「お前のレベル上げのクエストだ。誰と行きたいかメンバーを選んでいいぞ」

 

どうやら俺にメンバーを選ばせてみたいようだ。

 

「あ!じゃあ私でいい?」

 

先程は嫌がっていたミーナが率先して立候補した。

 

「さっき拒否ってた癖にな・・・」

「それはディーだからだよ。ディーはたまに猪突猛進過ぎるからね~・・・初心者でも引っ掛からない見え透いた罠にはま────」

「その話止めてくんねぇかな!?」

 

あ・・・また天然が出たわ・・・そして当の本人はキョトンとしてる。

 

「んじゃ私がサポートするからリュー君は突っ込んでいいよ?」

 

俺は頷いて【剣製】で刀を作り、走っていく。

氷狼竜がブレスを吐いてくるも【転移】を使って背後に回る。

 

「ほいっ!」

 

ミーナがガントレットを使って氷狼竜の横に周りながら足を殴ると氷狼竜はバランスを崩して倒れる。

ミーナはその後「【フォグヘイズ・フープ】」と言った。

途端に霧が現れる。

ならば・・・

 

「【ラーヴァクレイモア】!」

 

自作の中距離系魔法が霧の中心から現れ、氷狼竜を貫いた。

俺が今使ったのは溶岩の大槍を作り出し、小規模の地割れと共に下から出現させる魔法だ。

まぁ正確には、芯の入った溶岩塊の槍をぶつけているんだけどね。

飛び散った溶岩が火山弾となって降り注ぐ。

あ・・・やば・・・

だがティリアが防御魔法を使って防御したようで被害は無かった。

勿論こっちも防御魔法でミーナ共に身を守った。

 

「危ねぇよ・・・」

「・・・すんません・・・」

 

まぁ気を取り直して次行くぞとディーが言ってその後を追った。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

次は沼地に来た。

次は土砂狼竜という土属性の狼竜らしい。

ってか・・・

 

「色んな所回るんだな」

「まぁな。そっちの方がいいだろ」

 

まぁこっちは同行させてもらってる身だからいいけどさ・・・

っとそうだ。

 

「ディー。ちょっとティリアと行かせてもらえるか?」

「いいぞ?」

「ディー・・・いいんですか?」

「まぁ本人がコンビ組みたいみたいだし・・・【不殺】の使用、リュウヤの指示のみならいいぞ」

「・・・分かりました」

 

ティリアはそう言って白い鞘に収められた刀の柄を手で握る。

 

「んじゃティリア、俺が相手の動きを止めるから気絶させて?」

「分かりました」

 

俺はモンスターに意識を集中させて魔法を使った。

 

「【ウィンドシア・ディレイ】」

 

【ウィンドシア・ディレイ】

一定範囲内の気圧を急激に変化させ、相手のコンディションを極端に落とす魔法。

変化のふり幅を変えることで、気圧に慣れさせず、敵の体調を崩し続けることが出来る代物だ。

 

急な気圧変動に土砂狼竜の足元がふらつく。

 

「はっ!」

 

ティリアはそこを見逃さずに土砂狼竜の首を【不殺】で叩く。

土砂狼竜はドォン・・・いう鈍い音を立てて倒れた。

俺は「【アサシネイト】」と言いながら神機を振ると土砂狼竜の首は両断された。

 

「お見事」

「いえ、リュウヤさんの魔法も凄いですね」

 

そうでしょう?自作なんですから。

ちょいとレベルを見てみる。

62か・・・

 

「レベル溜まったか?」

 

物陰から出て来たディーが俺に聞いてくる。

 

「あと3だけ必要だな」

「やっぱりまだ足らねぇか・・・うし!んじゃあ次はアンデッドでも殺りに行くか!」

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「【剣製】を習得したい?」

「まぁな」

 

次の目的地に向かってる最中にディーに言われたことだった。

向こうが言うにはわざわざ重い武器を持って移動せずに済むから楽なんだとか・・・

 

「いや・・・これに関しては無理だな・・・」

「?何でよ?」

「この【剣製】は一族の秘伝なんだ・・・人前で使うのは全然構わないんだが教えるとなると・・・な」

「そっか~残念だな」

 

ディー・・・すみません!秘伝は嘘なんですわ!でも言えないでしょ!「自作魔法です」なんて!

着いたようで目の前には墓地があった。

俺が入ろうとした時にディーに止められる。

 

「リュウヤ、悪ぃが予定変更だ。ここはグランとティリアに行ってもらう」

「はぁ?俺に?」

「まぁな・・・頼むぞ、一応お前に指示権は渡しとくから」

「へいへい・・・」

 

グランは面倒臭そうにしながらも長い刀を鞘から出した。

 

「ティリア、お前は待機してろ。グランが下の雑魚を止めると思うから・・・多分」

「分かりました」

「おい、俺が命令違反する問題児とでも言いてぇのか?」

 

グランが青筋を額に立てるがディーはそっぽを向く。

この野郎・・・とグランが言いながら駆けていく。

って・・・ん?なんでティリアを待機させたんだ?

アンデッドが現れてグランに襲いかかる。

 

「【カースド・トーン・アトラトル】」

 

どこからか声がして棘が俺達の周りの地面に次々と刺さる。

 

「ちっ!やっぱりか!」

 

ディーはどうやらこの事をおおよそで推測していたらしい。

声がした方向を見てみると老婆のリッチーが立っていた。

 

「へっ!ヨボヨボのリッチー様のお出ましだ!」

 

ディーが安っぽい挑発じみた事を言うが現状が変わることはない。

 

「・・・ディー、援護」

「ん?お・・・おぉ・・・」

 

エニスがやっと口を開く。

 

「・・・【マニピュレイト・エアスプリット】」

 

真空の刃が現れて棘を斬り裂いていく。

それらは俺達には当たらず、棘のみを斬り裂く。

向こうも負けじと先程の棘を出し続け、エニスの魔法もそれらを斬り裂いていく。

痺れを切らしてリッチーがアンデッドを生み出した。

 

「・・・【ホーリィサーキュラー】」

 

俺達の真上に光の十字架が現れ、光のフィールドを生み出した。

ディー曰く、この中は回復が出来る他にアンデッドが立ち入れないらしい。

ってかエニスって口数は少ないのに万能だな・・・

リッチーは次にアイスドラゴンを召喚した。

 

「ティリア!殺れ!」

 

グランの指示にティリアは駆け出して一瞬でアイスドラゴンを葬る。

地面に落ちたアイスドラゴンにアンデッドの相手をしていたグランが手を触れる。

 

「【融合】」

 

グランの背中に氷の翼が現れる。

そしてグランがアンデッドを斬っていく度にアンデッドは凍り付いていく。

リーンも負けじとアンデッドを斬り伏せる。

かなり凄いコンビネーションだ。

追い詰められたリッチーは「【アクルージョン・ガンパウダー】」と言って両腕に黒煙を纏う。

グランの氷の翼に当たり、大爆発を起こした。

そして右翼が砕ける。

爆風のせいか、リッチーも少し吹き飛んだ。

 

「ちっ・・・!ティリア!スイッチ!」

 

グランがアンデッドを討伐していたティリアと代わりグランがアンデッドを、ティリアがリッチーに標的を絞る。

リッチーがティリアの背後に位置を取る。

だがティリアは身動き1つ取らない。

気付いてないのか!?

いや・・・違った。

ティリアが糸目を少しだけ開け、冷えた目でリッチーを見る。

そして・・・

 

「【スプーフ・キャット】」

 

光と音を発生して、リッチーに隙が生まれた。

ティリアは後ろから迫ってくることを予測してたのだ。

だからギリギリまで相手を近付けて今の騙し討ちで隙を作ったんだ・・・!

ティリアが突きを放つ。

リッチーも対応しようとして【モートプル・ベアリアー】と呼ばれるアメルダも使っていた多重防御障壁を展開した。

その障壁によってティリアの突きは防がれる。

 

「グラン・・・今です」

 

リッチーは咄嗟に嵌められた事に気付くが既に遅かった。

 

「【カースド・スラッシュ・スクラッチ】」

 

グランが刀に闇の魔力を纏わせ、リッチーを背後から突き刺す。

グランが刀を引き抜いても斬撃はその場に停滞してリッチーにダメージを与え続け、リッチーは息絶えた。

 

「さすがだな」

 

ディーがティリアの頭を撫でる。

 

「リュウヤさんがいる前で止めて下さいよぅ・・・」とリーンの顔が赤くなる。

 

「んじゃ次行くぞ~!」

 

とディーに言われ、この後も俺達はモンスターを討伐していった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「ふ~さっぱりした~!」

 

クエストを終えて公衆浴場でのんびりしていた。

 

「にしてもエニスって対アンデッドの魔法まで使えたんだな」

「まぁ万能さではエニスが一番だしな・・・後はもう少し口数を増やしてもらいてぇところだが・・・」

 

とチラッとディーがエニスを見るも口まで湯船に浸かっていたエニスが「・・・ぶび(無理)」と言って一脚した。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

風呂から上がり、ギルドでミーナとティリアを待っていた。

 

「お待たせ~!」

 

向こうから首にタオルを巻いた2人がこっちに来る。

今日はここまでとの事で夕食にするらしい。

俺は夕食は元のパーティメンバーと摂ると言ってここでお別れとなった。




さて今回は21:00に登場人物紹介を出します。
前回か前々回に書いたように部分的に情報を伏せてるので宜しくお願いします。
感想、誤字脱字報告お待ちしております。

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