この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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さぁ、竜弥が王都へ行きます。
それと【終わりのセラフ】の話で10%の描写部分が1%のままだったので修正しておきました。
1%って少な過ぎるわw


そうだ、王都へ行こう

俺がギルドで良さそうなクエストを探している時だった。

 

「あっ!リュウヤさん!丁度良かったです!今リュウヤさんを呼びに行こうと思ってたんですよ」

 

受付嬢が俺を見付けてそう言った。

って、え?俺を?

話を聞くと指名で護衛の任務依頼があったらしい。

護衛の任務って・・・まだそんなに有名になってないと思うけど・・・

誰からの依頼か聞こうとしたが「詳しくはギルド長から聞いて下さい。依頼主も来ておりますので」と言われたのでギルド長室に行く事にした。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

軽くノックしてギルド長室に入った。

するとそこには見覚えのある貴族とギルド長が座っていた。

 

「依頼主ってバルターだったのか」

「ええ、護衛としてリュウヤ殿を雇用したいと思いまして、宜しいですか?」

「まぁ構わねぇけど・・・俺なんかでいいのか?他に腕が立つ奴はわんさかいると思うけど・・・」

「・・・女騎士団長(シェイン)に勝った貴方が言います?」

 

・・・ごもっともな発言ありがとうございます・・・

 

「では、顔合わせも済ませましたのでギルド長殿、リュウヤ殿宜しくお願いします」

「承りました。それじゃあリュウヤ君、王都へは3日程掛かるがバルター殿を怪我一つ無く王都へ送ってくれ」

「分かった」

 

こうして明日、バルターの護衛任務を遂行することとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!言い忘れてましたが当日は父上も御一緒しますので宜しくお願いします」

 

・・・1番聞きたくなかった情報をありがとうございます・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

護衛任務当日。

和真達に王都への護衛任務の事を伝えると羨ましがられたがバルターとアルダープの護衛と説明すると掌返しで嫌がった。

・・・俺もアルダープの護衛は嫌だっての・・・

馬車で待機しているとバルターとアルダープが向こうからやって来た。

 

「フン、こんなヒョロい若造に護衛が務まるのかね?」

 

アルダープは侮蔑するように俺を見る。

「私に傷一つ付けたら貴様の人生はすぐに終わると思っておけよ?」とアルダープは俺に脅しながら馬車に乗り込んだ。

 

「すみません・・・リュウヤ殿・・・」

 

息子が父親の粗相を謝罪してる時点であの狸さんは父親失格だな・・・

 

「あれ?リュウヤじゃないか」

 

俺も馬車に乗り込んだ所でリルムに声を掛けられた。

その横には長い紫色の髪をしたシスターがいた。

 

「リルム・・・と・・・誰?」

「あぁ・・・君は初対面だったね。この人はサリアというシスターで私の従姉妹だ」

「サリア・レイネスと申します。お噂はリルムから聞いておりますよ」

 

サリアという女性は深々と一礼した後、俺に微笑んだ。

なんだろう・・・癒される、優しい目だ・・・髪が茶色だったら聖母マリアの生まれ変わりと言われても納得してしまいそうになる程・・・

 

「因みに私が決めた二つ名もあってね・・・【聖母サリア】だ」

「・・・」

 

あ・・・はい・・・もういいっすわ・・・

そのまんまの二つ名だったし・・・

サリアさんは「恥ずかしいので止めて下さい・・・」と頬を赤らめて顔を伏せる。

その横のリルムは面白そうにしていた・・・絶対サリアさんで遊んでるだろ・・・

「どこに行くんだい?」と聞かれ、俺が「王都」と言うとすぐに「お土産宜しく!」と言ったよ・・・まぁいいけどさ・・・

 

「ん?ほぉ中々いい女じゃないか」

 

サリアを見たアルダープがイヤラシイ目でサリアを見定める。

 

「おい、そこの奴、私の妾にならんか?いい暮らしをさせてやれるぞ?」

 

おい、今から王都に行くってのにナンパしやがったよこの人・・・

 

「お気持ちは嬉しいのですが私には既に夫がおりますので・・・」

 

サリアがそう言って一礼する。

やっぱ相手いるよな・・・

 

「いやよく考えた方がいい。夫とはいえ、収入はたかが知れてる。私のものになった方が────」

「お言葉ですが私の夫は少々短気でして、以前私を襲おうとした方を、何の躊躇もなく腕を斬り飛ばしてしまいました。あまりそのような光景は見たくはありませんので申し訳ありませんが妾の話は無かったことにして頂きたく思います」

 

サリアは優しくそう言って一礼するけど、これ、言外に“死にたくなかったら諦めろ“と言ってない・・・?

 

「ま・・・まぁ私が王都から帰ってくる時までに決めておくといい。どちらに付いた方が得かとな」

 

アルダープのナンパもソコソコに馬車は走り出した。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

馬車が動いてアクセルの街を出た。

暫くは草原が続く。

王都行きの馬車は5台。

一番前の馬車には冒険者達が、2番目の馬車には野営の荷物を乗せ、真ん中は俺とバルター、アルダープを乗せた馬車、4番目の馬車にはアルダープとバルターの付き人が、1番後ろの馬車には王都宛の荷物を乗せている。

何もする事の無い俺は景色を見てボンヤリとしていた。

アルダープが俺を見ていたが何かを思い出したかのように俺を見始めた。

 

「見覚えがあったと思ったら裁判の時に異議を申し出ていた愚か者だったか。フン!あのまま死刑になっておればよかったものを」

「・・・」

 

はぁ・・・うるせぇな・・・

 

「まぁ運良く魔王軍幹部を倒せたようだがまだ私は貴様を味方として認める気は────」

「ベラベラうるせぇよ、少しは静かに出来ねぇのか?」

 

少しドスを効かせた声で言うとビクッとして小声で「小僧如きが・・・覚えていろよ・・・」と言っていた。

知らんがな。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

暗くなって野営の準備が始まった。

バルターは積極的に準備に加わってるのにアルダープは偉そうに馬車の中でふんぞり返っている。

皆、慣れた手つきで準備をして夕飯を食べ、眠りについた。

因みにアルダープは「地べたなんかで寝られるか!!!!」と喚いて、1人だけ馬車の中で睡眠を取っている。

俺はいつも通り、星座鑑賞をしてる。

星座鑑賞が終わって寝ようとした時だった。

何者かの気配を感じる。

野営している人達は馬車で囲まれた中で寝ているがその気配は外。

つまり彼らではない。

アンデッド・・・?いや違う・・・今日はアクアはいない・・・(失礼)

俺は【千里眼】を発動して辺りを見回す。

1・・・6・・・10・・・15・・・囲まれてるな・・・

 

「ちょっと起きてくれ・・・」

 

起こすのは個人的に避けたかったがそうは言ってられないと思い、1番近くにいた冒険者を起こす。

 

「・・・?・・・・・・何だよ?」

「何かいる・・・俺が様子を見るからアンタは他の奴を起こしてくれ・・・」

「・・・!分かった気ィつけな」

 

さてと・・・俺は再び【千里眼】で様子を見る。

よく見るとそれぞれ手に何かを持っている。

アンデッドではないのは確かだな・・・

だとすると・・・

 

「何か分かったか?」

 

後ろから声を掛けられて振り向く。

ほぼ全員が起きていた。

俺は向こうにいる全員が武器を持ってる事を伝える。

 

「恐らくは・・・山賊だな・・・」

 

マジかよ・・・

向こうは20人弱・・・こちらは10人程・・・

以前運転手の人が言ってた様に、王都行きの馬車は少なく、高額の金品を積んでるとのことで狙われやすいのだとか・・・

うわ~面倒な事になったな・・・どうするか・・・いやここはちょいと大胆に動いて主人公さを演じてみるか・・・

そう思って【剣製】を使って刀を2本出した所でバルターが横に立った。

 

「・・・何する気?」

「丁度いい機会ですので手を組んでみたいと思いました」

 

いや、アンタ護衛対象だからな?

俺がそう言うとバルターは「細かい事は気にしない方がいいですよ?」と言う。

全然細かくねぇよ・・・

 

「それに自分で決めた事ですので今更撤回はしないつもりです」

「・・・はぁ、わーったよ・・・けど」

「前線には出ないで魔法で支援・・・ですよね?リュウヤ殿は対人戦ではあまり魔法は使わないとの事は聞いているので魔法に関しては任せて下さい」

「りょーかい」

 

さて・・・やりますかね・・・

早速行こうとしたがバルターが交戦する寸前で殺さずに生け捕りにして下さいとの事で一旦【剣製】で作った刀を消して再度【剣製】で木刀を2本生成する。

行くか・・・

俺が行こうとしたら身体が軽くなる。

バルターを見たら軽く頷いた。

支援魔法掛けたんだな。

他の冒険者もやる気になったのかそれぞれで山賊と戦っている。

俺も駆け出して2本の木刀を振っていく。

右手の木刀で攻撃、左手の木刀で防御のスタイルだ。

そしてその間、バルターも攻撃魔法で山賊を気絶させていく。

向こうが残り数人になった所で山賊の1人が札を出してモンスターを召喚した。

って札持ってんのかよ・・・!?

俺は距離を取って様子を伺う。

どんなモンスターが出てくる?

札から現れたのは全身が白く、翼が左右対象に4枚あるドラゴンだった・・・

遊〇王かっての・・・

突然のドラゴンの出現で冒険者達が慌て始め、ドラゴンはゴミを掃くかのように尻尾で冒険者達を吹き飛ばした。

うわ~・・・人がごm(ry

相変わらずデカい咆哮。

 

「な・・・なんだ!?」

 

咆哮でアルダープも起きたらしい。

 

「な・・・なんだあれは!?おい!そこの奴!私が貴族と知っての狼藉か!!!!」

 

山賊にお決まりの台詞を吐きましたよ・・・

ドラゴンは「知るかボケ!」と訴えるかのように再び咆哮する。

 

「ひいっ!?わ・・・分かった!私も鬼ではない!今回は見逃してやる!だから命だけは!」

 

・・・ねぇ・・・もう寝ていい?

あれ多分、いい餌を見つけて黙らせる為だけに咆哮してるだけだと思うからね?

言葉とか通用しないからね?

 

「あの・・・リュウヤ殿・・・」

「ん?」

「父上もかなりパニックになってるのでサクッと殺って下さいよ・・・?」

「・・・お前も他人事にみたいに言うなよ?」

「いえ・・・ですけど相手は人外。これならリュウヤ殿は魔法使っての本気を出せるのでは?」

 

・・・まぁ否定しない。

でもなぁ~ただ単に倒すってものなぁ~

あ!ならドラゴン同士で闘わせましょ!

バルター・・・というか全員に下がらせる。

さ~て龍と神、どちらが上か・・・試しましょう!

俺は持っていた刀の1本を天高く掲げる。

 

「来やがれ!!!!赤き龍帝【ルフス・カリギュラ】!!!!」

 

俺の目の前に落雷がして砂埃が舞う。

そして砂埃が落ち着くとそこには腕に収納自在なブレードを持ち、背中にジェットパック状の翼を持った赤き龍帝が佇んでいた。

 

「────────!!!!!!!!!!!!」

 

鼓膜を破りそうな程の巨大な咆哮。

巨大な咆哮に白いドラゴンもたじろいでいる。

 

【荒神召喚】

実際を言うとオラクル細胞ではないモンスター。

俺は召喚獣としてアラガミを召喚出来るようにした。

 

なんとなく後ろを見るとアルダープは口から泡を吹いていた。

偉そうにしてたのにこのザマかよ・・・

 

ギィン!!!!

 

と接触音が響く。

う~わ~白いドラゴンが一方的にやられてるよ・・・

・・・というかカリギュラ・・・遊んでない?

腕のブレード全く出して無いんだけど・・・

あ、白いドラゴンが光線吐いて赤き龍帝を掠めた・・・

ヤバ・・・てゆーかアイツキレる・・・

水色だった目が赤く染まり、赤き龍帝はとうとうキレた。

短気だね~・・・

あ、カリギュラが喉に噛み付いて押し倒した。

その後に左足で喉を踏み締め、右足でドラゴンの左腕を地面に固定する。

腕からブレードを出して白いドラゴンの親指(?)から斬り始めた。

 

「────────!?!?!?!?」

 

指1本斬られる度に白いドラゴンは悲鳴の咆哮を上げる。

・・・カリギュラ・・・えげつない・・・

多分白いドラゴンの今の咆哮を日本語訳するなら・・・

 

『痛い!!!!痛い!!!!ゴメンなさい!本当にゴメンなさい!もうしません!もうしませんから命だけは取らないで!本当に痛いから!』

 

と泣き喚いてんだろうな・・・

とうとう白いドラゴンは激痛に耐え切れずに気絶し、消滅した。

カリギュラは尚も召喚主に近付いている。

召喚主も俺が召喚したのは知ってるから必死に『貴方方の馬車を襲って悪かった!!!!罪なら償います!だからこの龍をどうにかして下さい!!!!』と命乞いしてる。

バルターにどうするか聞いたら「一応縛り付けて王都で身柄は引き渡しましょう」という事でカリギュラを消して山賊達はお縄に付いた。

山賊を馬車に積み終わり再び眠る事にした。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

朝になって野営の器具を片付け、馬車が再び動き出す。

 

「バルターよ。昨日のあのドラゴンはどうなったのだ?」

「はい。目の前にいるリュウヤ殿が召喚魔法を使って撃退しました」

 

この若造が?とでも言いたげに俺を見る。

 

「フン!まぁ少しは信用してやろう。だがその信用もミジンコからアリンコの大きさ位になった程度だという事は覚えておけよ?」

 

いや、アンタに信用を貰ってもコンマ1程も嬉しくないんですけど?と言いたいが要らぬ火種は作りたくないから黙っておいた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「リュウヤ殿、着きましたよ」

「ん・・・・・・・・・・・・ふぁ・・・・・・」

 

バルターに呼ばれ、目が覚める。

いつの間にか寝ちまったのか・・・

外に出て、伸びをする。

コキッ!コキッ!と骨が鳴った・・・痛ぇ・・・

改めて王都を眺め・・・・・・

 

「うわぁ・・・・・・!」

 

これが率直に出た感想だ。

町並みが凄い・・・

なんというか・・・中世ヨーロッパの様な町並みだ。

道は茶色や肌色のレンガで舗装され、建物の一つ一つが4階建ての物が大半で、そのどれもが華やかだ。

その中で最も目を引くのは王都の真ん中にある巨大な像と時計台。

像は全長的にアメリカにある自由の女神程の大きさだ。

背中には折り畳まれた大きな翼。

天に掲げている右片手には錫杖を持っている。

頭には王冠が乗った、ローブを着る女性像だ。

なんというか・・・エリスを連想させられる。

その向かい、噴水を挟んで50m程離れた所にロンドンの【ビッグベン】を少し細くしたような立派な時計塔が時を刻んでいた。

そして歩いている人。

シルクハットや杖を持ってる人。

くるみ割り人形みたいな服を着てる人や、邪魔になるんじゃないか?と思いそうになるほど派手で大きいドレスを着てる人、そして極めつけは・・・エルフやドワーフもそういった服を着ていたりもしていた。

 

初めてこの世界に来た当時を思い出してしまう。

 

ガラゴロと車輪が回る音がして隅に退く。

華やかな服を着た人が豪華に彩られた馬車に乗って奥へと消えていく。

 

「初めて見ますか?」

「まぁな」

 

バルターから聞いたんだがここはダンジョンの素材が豊富な事で有名で、各国からこの王都にダンジョン目的で来るようだ。

王都のダンジョンか・・・行ってみたいかも・・・

ここで別行動らしく、夕方まで自由行動でいいとの事。

集合場所はアルダープ直属の近衛兵から西の門の近くの馬車停留所と知らされた。

アルダープ直属の近衛兵って時点で不安しかねぇけど・・・まぁ公共の場では良心的な貴族として猫被るだろと思い、暇潰しにギルドでも行こうと思って道を聞いて、ギルドへ向かった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「ここが王都のギルド・・・」

 

アクセルのギルドも大きかったけどこっちのはその一回り程大きい・・・

そして横に立ってる3本の旗。

左のポールには旗が無かったけど右のポールにはドラゴンの顔に1本の剣、真ん中には盾とその前に交差させた剣が描かれた旗が靡いていた。

俺は少し緊張しながら中に入った。

中も広い・・・

 

「あの~・・・?」

「?」

 

声を掛けられて振り向く。

そこには俺と同じ身長程でショートヘアーの紫髪をした女性が立っていた。

腰にガントレットをしているから【戦士】なのだろう。

 

「何か?」

「ちょっと受付に行きたいから道を開けてほしいんだけど・・・」

 

苦笑気味に俺に言った。

げっ・・・!道塞いでた!?

俺はすぐに道を開けた。

 

「誰か待ってたの?」

「いや・・・王都のダンジョンに行こうと思って・・・」

「あっそうなんだ?でも今日はダンジョンには入れないよ?」

「へ?」

 

入れない!?どういう事だ!?

 

「君・・・王都に来るのは初めて?」

「えぇ・・・まぁ」

「やっぱり・・・って事は外の3本の旗の意味は分からなかったって事か」

 

え?旗が何か意味でもあるの?

説明してくれる様で、女性とカウンターに座る。

この女性が言うには、洞窟に剣の旗が下がってると【ダンジョン攻略禁止】でドラゴンに剣の旗が下がってると【クエスト受注禁止】。

ギ1つの盾に2本の剣が線対称に描かれた旗が下がってると【ギルド長不在】という意味らしい・・・

今日は左だけが無かったから・・・

 

「ダンジョン攻略は不可能って事か・・・」

 

俺は残念に思い、カウンターのテーブルに突っ伏す。

 

「あ~ドンマイって言っておくよ・・・軽食奢るから元気出して?」

 

俺は断ろうとしたが紫髪の女性は俺を静止を聞かずに料理を注文した。

 

「えっと・・・ありがとうございます・・・」

「ま、いいって!それで君、今日は暇?もう帰るの?」

「いえ、護衛で来てて今は自由行動というだけなんで、夕方には帰るかと」

 

正直言うとあいつらに軽い土産でも買って帰ろうとは思っているが・・・

 

「ならさ・・・ちょっと手伝ってもらいたいんだけど・・・」

 

え゛・・・?

 

「いやいやいやちょっと待って!?王都のクエストってかなりレベルが高い気が・・・!」

 

チラッとクエストボードを見る。

そのどれもが高レベル・・・無理無理無理無理!絶対無理!

 

「あぁそんなレベルの高いクエストじゃなくて・・・これ!」

 

女性がピラッ!と依頼書を見せてくる。

 

【瓦礫で塞がれた道の開通作業】

 

え・・・?何これ?

なんでも地震で物を運ぶ山道が塞がれてしまい、交通が不便になってるとのこと・・・

「いや・・・爆破系統の魔法使いがやりゃあ1発だろ・・・」と俺は言ったが問題はこの下なのだとか・・・

 

【報酬金:100000エリス】

 

・・・何となくだが・・・「安過ぎる」という理由ではなかろうな?

俺は拒否して帰ろうとしたが「ここの旗の事教えたからこの位はしてくれるよね?」と笑顔で言われて結局、半強制連行されました・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「ここがそれって事か・・・」

 

うん・・・見事に塞がってる・・・

瓦礫と言うより土砂崩れだな。

 

「ちょっと君、魔法で瓦礫壊してみてよ?」

「へ?俺!?何で!?」

「ちょっと君の実力を見てみたいからさ」

 

・・・はいはい・・・分かりましたよ・・・

もう・・・報告書持って行くだけに王都に来たのにクエストに参加させられるとは・・・

俺は女性を下がらせて魔法を唱える。

 

「【銃製:X(イクス)ガン】」

 

水色の魔法陣が現れてそこから持ち手が出てくる。

俺はその持ち手を持って引っ張るとスライド部分に赤いXが浮かんだ自動拳銃が姿を現す。

俺は銃口を瓦礫に向けて魔力を拳銃に込め始める。

少しずつ銃がオレンジ色に輝いてきた・・・そろそろいいか・・・

 

「【決別の一撃(コルボ・ダッティオ)】」

 

その言葉と同時に引き金を引く。

巨大なオレンジ色の魔弾が瓦礫に真っ直ぐ伸びて爆発し、砂埃が舞う。

砂埃が止むとそこにはもう瓦礫は跡形も無くなっていた。

 

「ふぅ・・・終わったぞ」

 

俺が振り向くと女性はポカンとしていた。

だがすぐにスッと目を細める。

 

「君・・・今のは?」

「今の?【銃製】だけど・・・」

「【銃製】?どこから来たの?」

「・・・アクセルの街」

 

すると女性は顎に手を当てて何か考え込む。

暫くしてフゥ・・・と息を吐き、俺を見た。

 

「色々聞きたいことはあるけど、まぁいいか・・・ありがとね」

 

女性は帰ろうかと言って俺達はギルドに帰った。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「はい、お疲れ様でした」

 

受付嬢から報酬金を受け取る。

女性と山分けしようかと考え、それを言ったら「いいよ。今回の報酬金は貴方にあげる。面白いのも見せてもらったしね」と言われ、全額を貰うこととなった。

 

「いや~まさか1発であの瓦礫を壊すとはねぇ~」

 

今、俺は一緒にクエストに行った女性と軽食を摂っている。

 

「そういえばお互いに自己紹介がまだだったね。私はミーナ。職業は【戦士】だよ」

「俺は一条竜弥。職業は【冒険者】だ」

「イチジョウリュウヤ・・・【冒険者】・・・」

 

ミーナはブツブツと何か考え始める。

 

「まさか・・・ねぇ・・・」

 

ミーナは面白いものを見つけたかのような目をして俺を見た。

 

「・・・何か?」

「ううん、何でもないよ・・・っと今日はありがと。そろそろ時間じゃない?」

 

俺は確認の為に外を見る。

ミーナが言った通りもう夕方だ。

なら集合場所に行くか。

俺はミーナに礼を言って西門の馬車停留所に向かった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

西門近くの馬車停留所に着くと大きな馬車が何台もあって中から荷物が卸されていく。

荷物の1つ1つはかなり大きい。

っとバルター達探さねぇと・・・

アクセルの街行きを探しているが見付からない。

ヤベェ・・・もう行っちまったか?

いや・・・恐らく向こうも探してるだろう・・・

さすがに置いていくなんて考えは無いはずだ・・・多分・・・

 

探し始めて1時間経ち、馬車は残り1台となった。

・・・あれか?

少ない可能性を持って運転手に聞いてみた。

 

「あの~」

「ん?どうしました?」

「この馬車ってアクセルの街行きですか?」

「え?違いますよ?ここは貨物馬車のみが集まる停留所なので人を乗せる馬車は集まりませんよ?というか基本は客を乗せる馬車は南門にしか集まりませんし、もうアクセルの街行きの馬車も含めて既に最終便は出ましたよ?」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのクソ狸ぃぃぃぃぃぃいいいい!!!!!!!!!!!!

 

息子が雇用した護衛人置いて行きやがった!?

何考えてんだあのバカは!!!!

ねぇ!本当に何がしたいの!?

え~っと皆さん、皆さんの許可を頂けるのでしたら帰った早々にアルダープを殴らせて頂きます。

結局俺はあの金髪狸に置いてかれてしまったのは変わらず、王都で一夜を過ごすハメになってしまった・・・




アルダープはもう出ないと思った?
思ったよね~?
そして竜弥がアルダープによって置いてかれたww
※たまに竜弥で遊んでみたい作者である。
これも愛があるが故なのかね~?(同性愛者ではない)

感想、誤字脱字報告お待ちしております。

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