この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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アメルダとの一騎打ちが始まります。
そしてアニメの方もこの回で終了。


衝突せし、黒と白

【スター・ライトブレイカー】を撃った所に煙が立ち込めている。

 

「・・・呆気なかったわね」

 

そろそろ帰ろうとするアメルダ。

だがその異変は突如起きた。

 

ドウッ───────!!!!!!!!

 

1本の火柱が上がった。

 

「・・・何・・・?」

 

突然の事に動揺を隠せない。

人影が現れた。

その者の片手には刀の様なシルエットが頭上に振り上げた状態で浮かび上がり、そのまま振り下げた。

煙の中から真っ黒な斬撃が飛んで来てアメルダを襲う。

 

「!!!!」

 

アメルダは避けるがその斬撃はアメルダの服の裾を掠めた。

 

「何・・・?何が起きてるの・・・!?」

 

急な展開に警戒する。

動揺しているアメルダに【終わりのセラフ】を起動して両肩から真っ黒い枝の様な翼が生えた俺は煙の中から飛び出して斬り掛かった。

【終わりのセラフ】で大幅に強化された身体は軽くて動きやすい。

アメルダ目掛けて刀を振り下ろす。

アメルダは【シャドウ・オブ・セイバー】で対応するが押されてしまう。

 

「くっ・・・!」

 

アメルダは押され、地面を足で抉りながら後退する。

 

「んのっ・・・!」

 

アメルダが無理矢理【シャドウ・オブ・セイバー】で俺を突こうとして俺は一旦距離を置く。

 

「アンタ・・・何よそれ・・・?」

「教える必要なんてあるか?」

 

それもそうね・・・とアメルダは言いながらフゥ・・・と溜息を付く。

 

「だったらそんな変身解除するまでよ!」

 

アメルダが白い魔力の爪を指先から出して俺に振り翳す。

俺の持つ刀と爪がぶつかり合い、火花を散らした。

爪を弾いてお互いに距離を取る。

まだこんなに力を余してたのか・・・

アメルダが浮上して上空から攻めようとする。

俺もアメルダと同様に浮上して空中戦が始まった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「嘘・・・・・・」

 

アクアの顔は青ざめている。

俺達の目の前では【終わりのセラフ】を発動した竜弥が魔王軍幹部のアメルダと交戦していた。

だが今回の【終わりのセラフ】は前回と違って竜弥の両肩から枝の翼が生えている。

 

「アクア・・・あれってまさか・・・」

「・・・完成・・・しちゃってる・・・」

 

マジかよ・・・

でも今の【終わりのセラフ】を使っている竜弥に違和感を感じていた。

 

「どうしよう・・・!早く止めないと・・・!」

「待てアクア!竜弥をよく見てみろ!」

 

「和真さんも気付きましたか?」とシノアも竜弥の今の状態に気が付いてるみたいだ。

 

「シノアも気付いたか」

「まぁ、何度も竜弥さんの剣は受けてますから、さすがに分かりますよ」

「あら、私も気付いたわよ」

「うむ、私も分かった」

 

レイシャとダクネスもか・・・

竜弥の剣術を受けてたから分かった。

あの時の・・・飛竜の時の乱暴な剣術とは違い、今の竜弥の剣術はいつもの竜弥の剣術だ。

だとすれば・・・竜弥は今・・・

 

「【終わりのセラフ】を制御出来てる・・・」

「そんな!?有り得ない!!!!和真に説明したでしょ!?【終わりのセラフ】はウェイルスが組み込んだシステム・・・人を破壊するだけの人形に変えちゃうのよ!?」

「けど・・・竜弥の剣を見てみろよ?」

 

竜弥は雄叫びすら上げずに冷静に空中でアメルダと戦闘をしている。

やっぱスゲェよ竜弥・・・マジで制御しやがった。

これならアメルダ相手でも勝てるかもしれない。

俺達は竜弥とアメルダの戦闘を見守っていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

ギィン!!!!

 

激しい音と共に俺とアメルダは再び空中で距離を取る。

だが俺はある異変に気付き始めた。

 

 

アメルダの攻撃の威力と速度が上がってきている。

 

 

おかしい・・・

魔王軍幹部とはいえこんなにも力は一気に上がるものか?

先程アメルダが使った【闇の魔法】と関係が・・・?

だがそれでも今の、【終わりのセラフ】を制御出来てる俺とほぼ同等。

・・・考え過ぎか・・・?

アメルダが斬り掛かる。

 

『さてと・・・悪いけどそろそろ始めましょうよ?使ってみたい力もあったし』

『やっぱり加減がしづらいわね・・・』

 

アメルダが言っていた言葉が頭の中で再生される。

加減がしづらいという事は外部から何かしらの力を借りてるという事になる。

確かアメルダは邪神であるウェイルスと共謀している。

だとしたらウェイルスが何かしらの力を貸した・・・・・・可能性が・・・・・・・・・あ・・・る・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・!!!!!!!!

 

邪神の力を取り込んでるのか!!!!!!!!

 

俺は刀でアメルダの【シャドウ・オブ・セイバー】を受ける。

 

「お前・・・ウェイルスに力を借りたのか!?」

「・・・アンタ、意外と観察力あるのね?その通り、私はウェイルスに力を借りてる」

 

なんで・・・!!!!

なんでそんな事を!!!!

 

「お前・・・どうして・・・!!!!」

「どうして?アンタには分からないでしょうね?少しづつ日陰者になった私の辛さなんて・・・」

 

日陰者になった私の辛さ・・・?

俺がどういう意味か問いただそうとしたがアメルダはそれを拒絶するかのように俺を弾き、少し位置を変えて(・・・・・・・・)魔法を放つ。

 

「【スター・ライトブレイカー】」

 

またか!

俺は難なく避けた。

学習しねぇのな・・・

だがアメルダは勝ち誇ったような顔を止めない。

なぜだ・・・?

というか・・・

 

 

なぜその場で魔法を撃たなかった?

 

 

嫌な予感がして振り向く。

魔法の光は和真達に伸びていった。

しまった!

奴の狙いはあいつらか!!!!

 

「くっ・・・!」

 

俺は【転移】を使って和真達の前に立ち、刀を上段に振り上げる。

【スター・ライトブレイカー】が近付いてきて俺は刀を振り下げた。

【スター・ライトブレイカー】は刀と正面からぶつかって左右に裂け、和真達への直撃は避けることが出来た。

 

「竜弥、大丈────」

「悪ぃ和真、時間が無ェから説教なら後にしてくれ」

 

俺はそれだけを言い残し、再び浮上してアメルダの前に立つ。

 

「まさか本当に仲間を狙うとはな」

「アンタだってそんな訳の分かんない魔法使ってんだからこのくらいはいいでしょ?」

「あいつらを狙わねぇと俺には勝てないと見たか?」

「どうかしらね?なんならもう1回狙ってもいいんだけど?」

 

お互いに挑発して探り合うも終わりが見えない。

そろそろ終わらせないとね・・・とアメルダは手のひらを開いた状態の右腕を伸ばして左手をその右腕に添える。

そこから黒く光る球体が収束され始め少しづつ大きくなっていく。

 

『リュウヤ、聞こえる?』

「!セラフか、何だ?時間が無いんだ。用件があるなら手早く────」

『だと思って朗報だ。君が【終わりのセラフ】を制御出来る時間が1分を切った』

 

マジかよ・・・!

てか朗報って・・・俺からしたら凶報だっての・・・

俺の焦りを他所にアメルダの右手には溢れんばかりの黒い球体が出来てきている。

俺はある事を思い付いてセラフに出来るかを聞いてみた。

 

『面白い事を考えるね・・・出来るよ・・・だがそれはボクにとっても初めての試みだから恐らくは持って数秒間しか持たないと思う。タイミングを間違えたら死ぬと思って』

「分かった・・・」

 

ならギリギリまで待つしかねぇな・・・

アメルダも魔力収束を終えたようで俺に魔法を放ってきた。

 

「【黒虚閃(セロ・オスキュラス)】」

 

真っ黒い極太のレーザーが俺に伸びてくる。

俺は刀を振り上げた状態で止め、【終わりのセラフ】を纏め、刀身は黒く、大きくなっていく。

 

「【終わりのセラフ:集中モード】!!!!」

 

俺は持てる力の全てをこの刀身に込め、黒いレーザーに迫り、両断する。

【黒虚閃】は容易く真っ二つに両断された。

まだいけると確信してアメルダに斬り掛かる。

アメルダは身の危険を感じて【モートプル・ベアリアー】と魔法を唱えるとアメルダと俺の間に何枚もの透明な壁が現れた。

俺はそれを斬ろうとするも火花がバチバチと散っていく。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

遂に【モートプル・ベアリアー】は砕け、アメルダの身体を斬るとアメルダは地面に落ちた。

俺はそれを見て地面に降りる。

それと同時に【終わりのセラフ】も解除された。

解除され、元のステータスに戻ったせいか、身体が重く感じた。

 

「こ・・・のっ・・・・・・!」

 

地面に落ちて立ち上がるアメルダも身体から出血している。

一応ダメージは与えたみてぇだな・・・

アメルダが再び魔法を使おうとした時だった。

第3者によってそれは阻まれる。

 

「ちょっと邪魔しな・・・ウェイルス・・・」

「時間ですよ。アメルダ」

 

ウェイルス・・・

アメルダは素直に魔法を使うのを止めた。

 

「これはこれは皆様、お揃いで観光ですか?」

「テメェには関係ねぇだろ」

「・・・それもそうですね」

 

肩を竦めて苦笑している。

 

「ウェイルス、リュウヤが使った黒い枝みたいな翼・・・アンタ知ってる?」

「黒い・・・枝・・・!!!!まさか!!!!素晴らしい!【終わりのセラフ】を制御させたのですか!」

 

両腕をバッ!と広げて喜びの表現をしている。

 

「これは終焉が楽しみですね・・・」

「終焉・・・?何の事だ!!!!」

「貴方は知らなくて良い事です。あぁ一応言っておきます。【終わりのセラフ】は使ってもいいですが使い過ぎにはお気を付けて」

 

ウェイルスはそう言い残してアメルダと共に姿を消した。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

あの後、俺達は一旦宿屋に帰って翌日に帰ったんだがアルカンレティアを出る際に「偽物を逃がすな!」や「降りてきてアクア様に懺悔しろ!」と石鹸やタライを投げられながらアルカンレティアを後にした。

ウィズと俺を除く皆は疲れていたのか、馬車に乗ってすぐに寝てしまった。

その時にウィズにアメルダの言ってた事を聞こうとしたんだが、アクセルの街に着いてからにしてほしいと頼まれて今は疲れた身体を休める事にした。

 

『終焉が楽しみですね』

 

ウェイルスは確かにそう言っていた。

でもウェイルスがこの世界で何をする気なのかはまだ不明だ。

だが恐らく取り返しのつかない事をしようとしているのは確実だ。

そしてセラフが言っていた【スサノオ】という謎に包まれた物体。

この世界で何が起きようとしている?

そしてもしもそれが起こった時、俺の力でどうにか出来るのだろうか・・・?

今回の湯治で身体を十分に休める事は出来なかったが俺の知らない所で様々な思惑が蠢いていることは十分に知ることが出来た。




前書きで書いた通り、この回でアニメの方は終了となります。
そして皆さんに残念なお知らせが・・・
実を言うと作者は原作(小説やコミック)を持っておりません・・・
その為、紅魔族編や原作の王都編は無しとなり、ここから先は全てオリジナルになってしまいます・・・
紅魔族編と王都編を楽しみにしていた読者方には申し訳ありません。
ですがオリジナル王都編でも皆さんが満足行くような小説を書こうと思っていますので今後もこの素晴らしい世界にイレギュラーを!をお楽しみ頂けたら幸いです。

☆~第4回この素晴らしい世界にイレギュラーを!誕生秘話~☆

実は個人的にボツにした話がある。

実はこの素晴らしいイレギュラーを!では、書いていたんですけど時系列的にこれは無理かな?と思ってボツにした話が4つ程あります。
1つ目は「動くスイーツ店」
2つ目は「ダンジョンに眠る秘宝(?)を追え!」
3つ目は「竜弥の怒り」
4つ目は「シノアの異変」
といったタイトルなのですがどこに挿入するかを迷ってしまいあえなくボツになりました。
因みに3つ目の「竜弥の怒り」は描写的にかなりえげつなくなってしまい、一旦書いて読者視点で読んだのですが「これはキツイな・・・」と思って掲載は止めました・・・
読者の皆さんからの要望では書き直して投稿するかもしれません・・・

感想、誤字脱字報告、お待ちしております。

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