この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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夏に始まるRWBYを地上波で早く見たい・・・


この素晴らしい世界に不穏な影を! 後編

ハンスは源泉の汚染を継続中だ。

そこにアクアが現れる。

 

「ちょっとアンタ!毒属性なんて流行んないわよ!暗いのよ!どうせそんなんだからモテなくて魔王軍に入ったんでしょ!悔い改めなさい!」

「・・・何だとこの野郎・・・!!!!」

 

ハンスが毒の弾を撃ってきた。

アクアは突然の攻撃に目を閉じて顔を腕で隠してしまう。

 

「【ヘドロン・リフレクト】!!!!」

 

カラフルな結晶で形作られた壁がアクアの前に現れ、ハンスの放った毒弾を反射する。

 

「ったく・・・見境なく相手を挑発すんなっての」

「リ・・・リュウヤ・・・?」

「皆も来てる・・・さっさと終わらせるぞ」

 

俺はそう言って刀を構える。

後ろからパーティメンバーが来てそれぞれ戦闘態勢になる。

・・・そういえば何か忘れてる気がする・・・

管理人がいればすぐに異変に気付いて護衛か誰かに伝え・・・そうだ!!!!

 

「お前・・・管理人はどうした?」

 

こいつがこんなにもオープンに毒を源泉へと流しているのなら・・・想像はしたくないが・・・

 

「喰った」

 

俺の想像は当たっていた・・・

関係ない人が巻き込まれ死んだ─────

 

分かってる。

 

俺がもう少し自分の勘違いに気付いていれば死なずに済んだのではないか?と─────

 

最初から源泉の湧き出ている岩山に行けば被害は少なくて済んだのではないか?と─────

 

でも頭で分かってても実際に『自分のミスで関係無い人が死んだ』と思うと胸を締め付けられる。

 

愚かだ─────

 

折角守れる命を守れなかった─────

 

そう思うと心が凍え、俺の足元が凍る・・・

 

・・・・・・・・・ん?凍る?

え?ちょっと待って?

何で凍ってるの?

後ろを見てみた。

ウィズを中心に冷気と風が吹き荒れていた。

えっ!?ウィズさんキレてます!?

 

「【カースド・クリスタルプリズン】!!!!」

 

ウィズの放った冷気がハンスの左腕を襲い、凍らせた。

 

「確か・・・私が中立でいる条件は『戦闘で携わる者以外の人間を殺さない方に限る』でしたね?」

「ウィズ!止めろ!魔法を解け!」

 

ハンスもヤバいと思ったのかウィズに魔法を解くように急かしている。

これが・・・リッチーとしての─────

 

 

ウィズの実力─────

 

 

初めてウィズに畏怖を感じた。

 

「冒険者が戦闘で命を落とすのは仕方の無いことです。彼等だってモンスターの命を奪い、それで生計を立てていますから・・・自らも逆に狩られる覚悟は持つべきです」

 

ウィズが1歩、また1歩と踏み出す度にウィズの足元は凍っていく。

 

「そして騎士も、彼等は税を取り、その代償として住民を守っている・・・対価を受けているのですから命のやり取りも仕方ありません」

 

ウィズの言葉一つ一つに重みを感じる。

 

「ですが─────」

 

ウィズが無関係で管理人を殺したハンスを睨み付けた。

 

「ですが管理人の方は何の罪も無いじゃないですか!!!!」

 

 

これがウィズの本気─────

 

 

普段からおっとりしてて俺達と仲が良く、ウィズの性格やアクアに対しての対応から魔王軍幹部ということはすっかりと忘れていた。

 

「【氷の魔女】と恐れられたお前を相手にするには─────止むを得ん!!!!」

 

ハンスが自らの腕を断ち切った。

だがその断面から紫色のグロテスクな色をした液体が溢れ出てくる。

 

「本能のままに喰らい尽くす─────」

 

その言葉を最後にハンスは人の原型が無くなっていき、巨大な牙の生えたスライムへと変貌した。

 

これがデッドリーポイズンスライム─────!!!!

 

そのスライムから紫色の液体が周りにバラ撒かれる。

その液体は源泉にも落ち、毒していく。

 

「!温泉が・・・!!!!」

 

アクアが急いで源泉に駆け寄り、【ピリュフィケーション】を何度も使って手から感じる熱さに耐えながら浄化をしている。

後から来たアクシズ教徒のプリースト達もアクアに回復魔法を掛けてアクアを支えていた。

1人の女の子が近付いてアクアを応援する。

その女の子にスライムの液体が襲い掛かっていた。

 

「危ない!!!!」

 

ダクネスが走って女の子の元に行き、女の子を抱えて回避した。

 

「皆下がれ!!!!ここは危険だ!!!!」

 

ダクネスがアクシズ教徒の住民を避難させようと呼び掛けるが向こうはエリス教徒に命令されるのが耐え難いのかダクネスに石鹸やタライを投げ付ける。

・・・そこはあっち(ハンス)に投げるべきでは?

 

「私の爆裂魔法で奴を木っ端微塵にして差し上げましょう!」

「止めて!この山自体が汚染されちゃう!」

 

アクアも必死に温泉を守っている。

それでも尚、デッドリーポイズンスライムの液体はバラ撒かれている。

くそっ!どうすれば!!!!

和真がウィズに先程の魔法を使えるか聞いたが今の魔力量ではあの巨体を凍らせるのは無理だと言う。

だが和真が何かを思い付いたようだ。

 

「竜弥、魔力はまだ残ってるか!?」

「あぁ、勿論だ!」

「ならめぐみん!向こうで爆裂魔法の準備を!!!!ダクネス、レイシャ、ゆんゆん、シノアはそれぞれ魔法を使って住民を守れ!フィーリィはアクアを回復してやれ!」

 

和真の指示に皆が頷く。

 

「竜弥!向こうの窪地にあいつを誘導してくれ!」

「分かった!!!!!!!!」

 

さすが和真!頭の回転はこのパーティの中では1番だ!!!!

【銃剣製】で神機を作り、スライムとなったハンスの身体に投げ付ける。

向こうも気付いたようだ。

 

「へっ・・・命懸けの鬼ごっこって訳か・・・やってやらぁ!!!!」

 

俺は【フライ】と【ソニック】で窪地を目指す。

向こうも負けじと液体を撒き散らしてくるがギリギリで避けまくる。

そして窪地へと辿り着いた。

俺は自由落下で落ちていく。

・・・少しやり返すか・・・追われてるだけってのも癪だしな!!!!

俺はデッドリーポイズンスライムの方を向き、右手を銃の形にして魔法を唱えた。

 

「【ショートカット:ミサイル】!!!!!!!!」

 

俺の撃ったミサイルがスライムに飲み込まれる。

瞬時に俺は【転移】を使い、スライムの落下の直線上から離れ、地面へと降り立つ。

 

「哀れな獣よ─────

 

 

紅き黒炎と同調し─────

 

 

血潮となりて償い給え─────!!!!!!!!

 

 

穿て─────!!!!!!!!

 

 

【エクスプロージョン】!!!!!!!!」

 

めぐみんの放った【エクスプロージョン】と同時に俺の撃ち込んだミサイルが爆発した。

スライムは魔法の威力に耐え切れず、骨格のみが丸見えとなる。

・・・って待ておい、スライムに骨格とかあんのかよ?

横にウィズが降り立って【カースド・クリスタルプリズン】を使う。

スライムの下に魔法陣とその周りに氷塊が何個も現れ、砕け散る。

 

「ハアアアアァァァァアアアアッッッッ!!!!!!!!!!!!」

 

ウィズが右手を思い切り握り締めると、砕けた氷塊達は中心に集まっていき、デッドリーポイズンスライムは氷塊の中に封じ込められた。

その氷塊にも罅が入り、砕け、地面に転がった。

横ではウィズが魔力切れで崩れるように倒れた。

ウィズでもさすがにこの魔法を続けて撃ったらそうなるわな・・・

 

「ギリギリだったな・・・」

 

漸く終わったか・・・

一安心して夜空を見上げる。

 

「ここまで俺を追い詰めるとはな・・・」

「・・・!」

 

今・・・間違いなくハンスの声が・・・!!!!

崩れた氷塊の中から小さな紫色のスライムが現れる。

 

「なん・・・だと・・・!?」

 

まだ生きてんのかよ・・・!!!!

 

「だがまだだ・・・すぐにお前達を喰らってやる・・・!!!!」

 

スライムとなったハンスが再び襲いかかろうとした時だった。

 

ズバアアァァァアアアン!!!!!!!!!!!!

 

空からの1本の太い雷撃がハンスを襲った。

悲鳴が聞こえたが雷撃による砂埃のせいでハンスの姿が見えなくなる。

っておいおい・・・魔力切れとか言いながらあのキツそうな雷撃を放てるとか・・・

 

「ウィズ・・・お前、容赦無さ過ぎだろ・・・」

 

さすがに引くぞ?

俺がジト目でウィズを非難する。

 

「ち・・・違いますよ!!!!あれは私の撃った魔法じゃありません!!!!」

「・・・は?」

 

え?じゃあ誰が?

フィーリィはまず非戦闘員だから違うだろ?

めぐみんも爆裂魔法は撃ったから違う・・・

アクアは・・・あいつがこんな魔法を持ってるとは思えない・・・

ダクネス・・・も攻撃系統の魔法は持ってないから違うよな・・・

シノア・・・は【死鎌童子】で雷撃って撃てたっけ?

レイシャも・・・弓矢だし・・・

和真も・・・魔法は使えるけど初級魔法でこんな威力の魔法は持ってないはずだ。

じゃあゆんゆんか?

 

「ウィズさん!ダクネスさん!リュウヤさん!大丈夫ですか!?」

 

俺達の事を心配していたゆんゆんが崖の上から呼び掛けてくる。

 

「ゆんゆん!さっきの魔法ってお前が撃ったの?」

「え?違いますけど・・・?」

 

パーティメンバーじゃない?

え?本当に誰?

まぁ倒してくれたから助かったのは事実だし・・・ここは素直に礼でも─────

 

「はぁ、まさかここにいるとはね・・・」

 

・・・え?

今の声・・・何処かで聞き覚えが・・・

砂埃が晴れていく。

そこにいたのは残骸となったスライム化したハンスと─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王軍幹部のアメルダがいた─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久し振りね・・・イチジョウリュウヤ」

「アメルダ・・・!」

 

なんでこいつが・・・!!!!

 

「ネイ・・・フィア・・・・・・?」

「・・・・・・え?」

 

ウィズがアメルダを見てボソッと呟く。

今・・・ネイフィアって言った・・・?

アメルダもウィズを見て顔を顰めている。

 

「・・・何でアンタがここにいるのよ?」

「ウィズ・・・お前・・・こいつの事知ってるのか・・・!?」

 

ウィズはアメルダから顔を逸らしたが諦めたのかアメルダを見ながら俺に言う。

 

「私が冒険者を始めた頃に知り合ったアークウィザードで─────」

 

ウィズがアメルダを睨みがら言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が嫌いなった人です─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウィズに嫌いなった人・・・?」

「まさかまだ覚えてるとはね・・・」

 

アメルダもウィズを見てイライラしているようだ。

 

「なぜ貴女がここに・・・!?」

「なぜ?そんなの私の勝手でしょ?」

 

まぁでも・・・とアメルダが俺を見る。

 

「ちょっと・・・ひと暴れしたくなってね!!!!」

 

アメルダが無詠唱で【スター・ライト・ブレイカー】を撃つ。

だが俺も【転移】で躱した。

【スター・ライト・ブレイカー】を受けた地面は深く抉れている。

待て・・・!?

こんなに威力あったか・・・!?

 

「3人とも無事ですか!?」

 

パーティメンバー全員がこっちへ来た。

 

「お前ら!!!!近付くな!!!!」

 

俺の静止で全員が止まる。

 

「心配しないで?私はアンタを殺したいだけであいつらには手は出さないから」

「魔王軍幹部の奴の言うことなんか信用できるかよ?」

 

それもそうね、とアメルダが呆れ顔で頭を掻く。

それにウィズはこいつをネイフィアと言った。

 

「お前・・・ネイ─────」

 

フィアって言うのか?と言おうとしたら俺の頬を掠めて攻撃魔法が横切った。

頬が裂けて血が滲み出る。

 

「その名で呼ばないでくれない?」

 

アメルダから感じる名前に対しての嫌悪感。

 

「ウィズと何が・・・?」

「別に何でもいいでしょ?アンタには関係ない」

 

・・・まぁ間違っちゃいない。

だがウィズは言った。

 

 

私が嫌いなった人─────と

 

 

「さてと・・・悪いけどそろそろ始めましょうよ?使ってみたい力もあったし」

 

使ってみたい力・・・?

 

「【シャドウ・オブ・セイバー】」

 

アメルダが真っ黒な光の剣を出し、俺に斬り掛かる。

俺も腰にした【昴雀】で相手をした。

だがアメルダの魔法の剣の方が強いのか、俺の【昴雀】は真っ二つに両断された。

 

「なっ・・・!」

「そんな武器で勝てると思ってるの!?」

 

アメルダに腹を殴られて吹き飛ぶ。

体制を立て直したが痛みが引くことは無い。

 

「やっぱり加減がしづらいわね・・・」

 

アメルダが手を閉じたり開いたりして何かを確認している。

こいつ・・・さっきから何を言ってんだ?

まぁでもここでアメルダを倒せば後はウェイルスを倒すだけだ!!!!

俺は【銃製】で二丁拳銃を作り、【フライ】で飛行しながらアメルダの真上に移動してアメルダ目掛けて魔弾を撃つ。

魔弾が迫っているがアメルダは避けようとしない・・・寧ろ・・・その顔に笑みが浮かんでいる。

 

「【クリーピィスクリーム】」

 

化け物のような甲高い悲鳴がして思わず耳を塞ぐ。

音はすぐに止んだが俺の撃った魔弾は消えていた。

 

「魔法を・・・消した・・・!?」

「聞かないっての!!!!」

 

アメルダが飛んできて再び【シャドウ・オブ・セイバー】を2本作って俺に斬り掛かる。

なら・・・!!!!

 

「【リバウンド・ガム】!!!!」

 

ピンクと紫の怪しげなオーラが現れる。

オーラに【シャドウ・オブ・セイバー】が当たってアメルダごと打ち返した。

この【リバウンド・ガム】は1回の使用で2、3回が限定だ・・・

この隙に対策を練らないと・・・!!!!

 

「へぇ・・・中々やるじゃない?」

「言ってろ。すぐにその余裕も無くなるんだからな」

 

アメルダが再び【シャドウ・オブ・セイバー】を作り出す。

どうする!?

俺の魔法で勝てるのか・・・!?

いや!勝たなきゃ駄目だ!!!!

そう意気込んで戦おうとした時だった。

 

「【ラヴァーズランバー】!!!!」

 

突然急成長した木々がアメルダを拘束する。

 

「何っ・・・これっ!?」

 

声のした方を見てみるとフィーリィが魔法を使ったようだ。

フィーリィの目が「今の内に!」と語っている。

あんがとな!!!!

俺はこの隙を見てアメルダにお手製の【爆裂魔法】を撃つ。

だがアメルダがニヤッとした。

 

「【闇の魔法(マギア・エレベア)】」

 

ドン!!!!とアメルダを白い魔力が包み込み、フィーリィの拘束魔法と俺の【爆裂魔法】は吸収された。

そしてアメルダが人差し指を俺に向ける。

あれはスター・ライト・ブレイカーの構え!!!!

俺は咄嗟にその指先の直線上から離れた。

 

「【ロックマス・タンブル】」

 

俺の足元が球状の大岩に変わり、回転した。

バランスを崩して倒れてしまう。

しまった・・・!これが目的だったのか!!!!

 

「【スター・ライト・ブレイカー】」

 

俺はアメルダの魔法を諸に喰らい、壁に打ち付けられ、砂埃が舞った。

 

「く・・・そっ・・・!!!!」

 

動こうとすると身体中がズキズキと痛む。

 

ヤベェ・・・動けねぇ・・・

 

ハハッ・・・ダッセェ・・・

 

あんな初歩的な誘導に引っ掛かるなんてな・・・

もし・・・【終わりのセラフ】が俺の制御で使えたら使いたかった・・・

そう思った俺に誰かが頭の中で呼び掛ける。

 

 

 

仲間を助けたいか──────────

 

 

当然だ──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相手を凌げる程の力が欲しいか─────

 

 

あぁ、欲しい──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ならば聞こう─────お前は─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪物(バケモノ)になる覚悟はあるか─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その声を聞いた途端に俺の意識は遠のいていった。




ハンスは同胞によって○されました。
次の話であの子が出てくるかも?
・・・まぁ
主人公
→百夜優一郎

非正規隠しシステム
→終わりのセラフ

と来たら誰でも分かるか・・・

感想、誤字脱字報告、お待ちしております。

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