まぁそれ以外はどうなんだ?と聞かれても答えられないのが悔しいところ・・・
「そんな竜弥さんが─────私は好きです」
昨日、シノアにそう言われ、キスされた・・・
いや、うん・・・夢でないのは確かだ。
というよりも唐突過ぎる・・・
俺、フラグ立てるような事した?
冗談とは思えない。
というか冗談なら・・・キスとかしないし・・・
まぁ、仲間だから守ったのは事実だけどさ?
あ~でも・・・
ゴッ!!!!
頭に衝撃が入って現実に引き戻される。
「つ~~~~!!!!!!!!」
痛みに耐えかねてしゃがんで頭を抱えた。
「よっしゃあ勝ったー!」
・・・ってそうだ・・・俺、和真と模擬戦してたんだ・・・
「いってぇ・・・加減しろや・・・」
「お前がボーッとしてんのが悪いっての」
ですよねぇ・・・
一旦休憩なと和真は家に戻る。
俺は木陰に座った。
「リュウヤ?」
視線を上げるとアクアがいた。
アクアが横に座る。
「何してんの?こんな所に1人で座って・・・」
「休んでた・・・」
ふーんと言ってアクアが横に座る。
「どうしたの?何か思い悩む事でもあった?あるなら言ってご覧なさいな!このアクシズ教の御神体。女神アクア様がなんでも解決してあげるわ!」
ありました・・・でも言えません・・・
てか言ったら絶対他のパーティメンバーにも伝わるだろ・・・
「なら1つ」
「なになに!?」
「お前の少ない頭脳をどうやってふや「うあああああぁぁぁぁああ!!!!」ちょっ・・・止めっ!!!!」
アクアが首を掴んでガクガクと揺らしてくる。
死んじゃうから!窒息死するから!
冗談冗談と言ってアクアを止めさせる。
「まぁ・・・今の所は1人で解決出来ると思う・・・」
絶対とは言ってないけど。
「ま、本当に解決出来なかったら誰かにでも打ち明けなさいな」
アクアが俺の頭をポンと軽く撫でて家に戻る。
言えませんよ・・・「シノアから好きって言われた。どうすればいい?」なんて・・・
絶対こいつバラすだろ・・・
「どうすりゃいいんだ~?」
午後は調子が悪いと言って和真の模擬戦の相手は休みにさせてもらい、部屋に戻ろうとした。
「「あ」」
廊下でバッタリとシノアに会ってしまった。
昨日の夜を思い出してお互いに顔が赤くなる。
「え・・・えーっと・・・」
「・・・」
き・・・気まずい・・・!!!!
「あ・・・あの~・・・?」
「な・・・何だ?」
お互いに目を逸らしたままだ。
いや、普通に目を合わせらんない・・・
「き・・・今日はもう模擬戦は・・・お終い・・・ですか?」
「ま・・・まぁな・・・?」
「・・・」
「・・・」
会話が続かねぇぇぇぇえええ!!!!!!!!
でも続けたらぎこちないのが皆に伝わるから早く終わらせないと!!!!
「ア・・・アー・・・オレ、シラベモノガアッタカラ、ヘヤニモドッテホンヲサガサナイトー・・・」
「ワ・・・ワタシモヘヤニワスレモノシタンダッタァー」
お互いにカタコトになりながら部屋に戻った。
◇◆◇◆◇◆
パタンとドアを閉める。
「あ゛~~~~~!!!!!!!!」
足が笑ってそこで座り込んでしまう。
つ・・・疲れた・・・まさか昨日のあれだけでこんなにも顔を合わせづらくなるとは・・・
「・・・本でも読んで気を落ち着かせよう・・・」
俺は立ち上がり、適当に本を取って読んだ。
パラパラと適当に捲って、ある一節が目に入る。
〈1組の男女が夜の公園でお互いを見つめ合っていた。
そして彼女は告げた。
「貴方を失いたくない!ずっと一緒にいてよ!」〉
恋愛小説だったあああぁぁぁあああ!!!!
俺はバタン!と本を閉じてベッドの上に放り投げる。
「*▼’/♪ヾ‘?■~ヾ&’ヾ〒◆!!!!!!!!」
俺は枕に顔を埋め、叫んでしまう。
この光景をパーティメンバーが見たら「こいつ・・・どうした?」って思うんだろうな・・・
『リュウヤ~?』
アクアが部屋の外からノックをしながら俺を呼ぶ。
「な・・・何だ!?」
『いや・・・貴方の部屋からあ゛~って変な声が聞こえたからどうしたのかな~って・・・』
聞こえちゃってたよ!
「いや・・・魔法が上手く作れなくてな!」
『あ~そういう事・・・言っとくけど家の中でぶっぱなさいでね?どうせ直すの貴方なんだから』
そう言ってアクアの足音は遠くなっていった。
俺・・・こんなん続けてたら精神持たねぇぞ・・・?
折り合いをつけないとと思ったがどうやって?と考えながら夜になった。
◇◆◇◆◇◆
日課の星座鑑賞をしてる。
「リュウ」
「ん?あ、メグか」
めぐみんが俺の横に立つ。
「本当にリュウは星が好きですよね」
「まぁ・・・落ち着くしな・・・」
その甲斐あって少しはドキドキも収まりました・・・
「シノアさんと何かありました?」
「え゛?」
なんで気付いた!?
シノアが何か話したのか!?
メグが呆れ顔になってベランダの手すりに背中を預ける。
「気付かないとでも思いました?すれ違う度に2人とも挙動不審になってましたからね?」
「・・・」
ウワ~モロバレじゃねぇか・・・
「多分、パーティメンバー全員気付いてますよ」
モロバレどころでは無かったんですね!?
ハァ・・・と溜息を付きながらベランダに座り込む。
俺は隠し切れないと思ってめぐみんに話してみた。
◇◆◇◆◇◆
「・・・そうでしたか・・・シノアさんが・・・」
やっぱり・・・というような顔をしてる。
・・・そういえば・・・
「メグ」
「はい?」
「お前も確か・・・デストロイヤーの時に「言いましたね。好きって」・・・」
「別に恥ずかしいとは思ってませんよ?あれは私の本音なんで」
「そうか・・・」
「・・・」
「・・・」
俺達を沈黙が包み込む。
「リュウはシノアさんをどう思ってるんですか?」
「え?」
「シノアさんはリュウを好きって言ったんですよね?ならリュウはシノアさんをどう思ってるんですか?」
「・・・俺は・・・」
シノアと共に行動してて俺は・・・
「シノアは俺にとって・・・大事な仲間だ・・・それと・・・」
「それと?」
「俺は・・・俺はあいつを失いたくない・・・」
シノアが他の奴と仲良くしてるのを想像すると・・・イラってくる・・・
「答え・・・出るじゃないですか」
「・・・」
案外・・・答えは出せたんだな・・・
俺は立ち上がって夜空を見る。
「なぁメグ」
「どうしました?」
「お前にとって俺は何なんだ?」
「・・・リュウ?」
「お前はデストロイヤーの時に俺に好きって言った・・・あれは「1人の男性」・・・え?」
俺の言葉を遮っためぐみんの言葉に俺はめぐみんを見た。
めぐみんは俺を事をジッ・・・と見つめていた。
「リュウの事はパーティメンバーとしても好きです・・・ですが・・・私は1人の男性としてもイチジョウリュウヤの事が好きです」
何も言い返せなかった。
めぐみんは俺を真正面から見て俺を好きと言ってくれたんだからな・・・
「リュウは私が嫌いですか?」
「いや・・・俺は好き・・・・・・あ゛!」
反射で言ってしまった。
言質は取りましたよ?とメグがイタズラが成功した子のように笑う。
「・・・いいのか?」
「え?」
「いや・・・お前とシノア・・・どっちか選べって展開になっちまうんかなって思って・・・」
「選べって・・・そんな修羅場に遭いたいのならやってみま「スミマセンお辞め下さい」・・・冗談ですよ・・・」
なんだろう・・・こういった点ではめぐみんの方が大人っぽいな・・・レイシャには敵わねぇけど・・・
「別に気にしませんよ・・・シノアさんと同じ位、私を好きでいてくれるなら・・・リュウはそのままでいて下さい・・・私はそのままのリュウを好きになったんですから・・・」
「そっか・・・」
なら・・・シノアにも伝えねぇとな・・・
「ねぇリュウ」
「ん?」
俺がめぐみんの方を見た瞬間だった。
めぐみんは俺の肩に手を乗せ、俺の口を自分の口で塞いだ。
「隙ありです♪」
至近距離で顔を赤くしてめぐみんが笑う。
俺もめぐみんにされた事を理解して顔が赤くなる。
「言ってあげて下さい。貴方の気持ちを・・・」
「・・・そうだな」
俺は明日の夜、シノアに俺の気持ちを伝える事にした。
◇◆◇◆◇◆
翌日の夜。
皆は既に寝てる。
めぐみんに「リュウヤがシノアを呼んでる」と伝えてくれと頼み、俺はベランダにいた。
「竜弥さん・・・」
「シノア・・・」
シノアが横に立つ。
ここからは1発勝負だ。
「な・・・なぁシノ「忘れて下さい」・・・え?」
今・・・忘れて下さいって言わなかった?
「あ~あ・・・やっぱり戦いも恋も先手必勝ですよね~・・・」
「えっ・・・ちょっ・・・シノア・・・!?」
シノアの目に涙が浮かんでいた。
「おま・・・」
「知らないとでも思ってるんですか?見てたんですよ・・・めぐみんさんと竜弥さんが・・・キスしてたの・・・」
見てたのか・・・!あの状況を・・・!
「私・・・・・・バカですよね・・・・・・好きなってたのに・・・・・・結局・・・・・・取られちゃって・・・・・・でも・・・・・・」
シノアの目から涙が溢れ出してポロポロと零れる。
「竜弥さんの事・・・諦めたくなかった────」
シノアが顔を隠して泣き声を押し殺そうとしても漏れ出てくる。
俺は思わず抱き締めた。
「り・・・竜「俺は・・・!!!!」」
今から言うのは最低な言い訳・・・
それでも俺はシノアを失いたくない・・・例え「最低」と言われようが構わない。
「俺は・・・俺はシノアを失いたくない!!!!確かに俺は昨日めぐみんとキスをした!!!!それは俺がめぐみんの事が好きだったからだ!!!!でもそれと同じ位、シノアの事も好きになってる!!!!」
「でも・・・それは浮k「どうとでも言え!!!!」」
「ここは異世界だ!!!!日本の制度なんか関係ない!!!!あるんなら俺がぶっ壊してやる!!!!俺はめぐみんもシノアも2人とも好きなんだよ!!!!何を言われようがこれだけは俺を殺しても変わらねぇ!!!!変えられるもんならやってみろ!!!!」
自分でも言ってる事が支離滅裂してる事は分かってる。
でも・・・それでも言ってやる・・・!!!!
「俺はめぐみんもシノアもどっちも好きだ!!!!!!!!」
言い切った・・・
多分軽蔑されるんだろうな・・・
どっちも諦めきれなくて・・・
結局どっちも受け入れる形になったんだからな・・・
「・・・い」
「・・・?」
「離して・・・下さい・・・痛い・・・です」
「あっ・・・ごめっ・・・!」
パッ!とシノアを離す。
「2人とも選ぶですか・・・日本なら死にますね・・・」
「・・・」
「でも・・・」
「・・・?」
俺はシノアを見た。
涙が頬を伝ってる。
でも────
その顔は笑っていた────
「諦めないで・・・いいんですね・・・?」
「・・・たりめーだ・・・」
俺は再びシノアを抱き締める。
「好きです・・・竜弥さん・・・」
「あぁ・・・俺m「つまり竜弥はシノアとめぐみんをヒロインにしたと」・・・」
ピタッ・・・と動きが止まり、家の中を見る。
そこにはパーティメンバー全員がニヤニヤして立っていた。
隅ではめぐみんがあ~あ・・・と言わんばかりの呆れ顔をしてる。
あ・・・あれれぇ~・・・?
皆寝た筈では・・・?
「お前ら・・・寝た筈じゃ・・・?」
「いや・・・急に大声聞こえたらさすがに目ぇ覚めるっての・・・」
あ~・・・防音機能付けた【フィルターフィールド】しときゃよかった・・・
俺の視線を察してめぐみんがこっちにくる。
俺は無言で【剣製】をして刀を作る。
シノアも死鎌童子を戦闘状態にした。
「2人とも・・・いいな?」
「はい」
「準備オーケーです」
「えっ・・・ちょっ・・・お前ら?」
さぁ・・・記憶を消す為に・・・
「「「死に晒せええぇぇぇぇぇえええ!!!!!!!!」」」
「「「「「ぎゃぁぁぁぁああああ!?!?!?!?」」」」」
俺達は逃げ惑うパーティメンバーを追い掛けた。
「待てお前ら!盗み聞いたのは謝るから!とにかく武器をしま・・・ってあぶねえぇぇえええ!?!?!?」
「いやああぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!私の酒瓶壊さないでええぇぇええ!!!!!!!!」
「めぐみん落ち着いて!?私達友達でしょぉぉぉぉおお!?!?!?」
「小鳥さん逃げてくださあああぁぁぁぁああああい!!!!!!!!」
「ちょっリュウヤ!いくら聞かれたからってレディーに暴力はひゃぁぁぁあああ!?!?!?」
「ああっ!なんで私はスルーするんだ!」
その後俺達の会話(?)を盗み聞いたのを謝罪させ、俺達は晴れて恋人同士となった。
「竜弥さん♪」
「ん?うおっ!?」
シノアが俺の腕に抱き着いて、頬にキスをした。
そして真正面から頬を赤く染めながら告げられた。
「竜弥さん大好きです!!!!」
もう4月も終わりかぁ~・・・
さぁて卒研も本格的に始めるか・・・