一次面接は通りたい・・・
そしてこの話は文字数にして1万超・・・
分けた方が良かったかなぁ~?
「サトウカズマはいるかあああぁぁぁぁああ!!!!」
セナがお見合い所に乗り込んで来ちゃったよ・・・
話を聞くと以前、俺達が行ったキールダンジョンから正体不明のモンスターが溢れているという・・・
「何でもかんでも俺達のせいにされたら困るっての・・・念の為聞くけどお前らは知らないよな?」
「爆裂魔法絡みでなければ知りませんよ」
だよな・・・ってめぐみん、お前が抱き抱えてるその猫どうした?
「私もだな・・・日頃からあまり問題は起こしていない筈だ」
・・・それお前が言う?
まぁでもダクネスとめぐみんはダンジョンに行ってないから問題ないだろ。
「・・・というかダンジョンに行ったのってアクア、俺、和真の3人だよな?和真だって心当たり無いだろ?」
「まぁな、アクアも無いと思うぞ?」
「勿論よ、いくらなんでも私を疑いすぎだって。むしろあのダンジョンは私のお陰でモンスターは寄り付かないはずよ?」
アクアもちが・・・・・・ん?
私のお陰で寄り付かない?
和真もアクアの言葉に引っ掛かったようで俺達2人でアクアを部屋の隅に連れて行き、アクアに話の続きをさせた。
アクアが言うにはリッチーの部屋に作った魔法陣は本気も本気、今でもしっかりと残っていて邪悪な存在が立ち寄れないようになってるはずよ?との事・・・
・・・・・・・・・ん?
立ち寄れないって事はその魔法陣が魔物とかを追っ払ってるって事だから・・・
行き場を失った魔物達が外に出てるって事か!!!!
「こんの馬鹿があああぁぁぁぁぁああ!!!!」
和真の悲鳴が屋敷中に木霊した・・・
◇◆◇◆◇◆
「ひっぐ・・・私のせいじゃないのに・・・」
俺達パーティメンバー全員は今、キールダンジョンに向かっている。
そしてアクアの頭にはデカイコブが出来ていた。
一応和真がセナを言いくるめてくれたけど・・・毎度毎度アクアは面倒を起こさないと済まないのかよ・・・
「早く行って魔法陣消さねぇとな・・・」
「だな・・・」
和真の愚痴に同意した俺であった・・・
◇◆◇◆◇◆
ダンジョンの入口に着くとダンジョンから右が黒、左が白で顔上半分を覆う仮面をした、ちっちゃな人のようなのが1列になって行進していた。
なんか・・・仮面的に東京喰種の月山さんを思い出すな・・・
「何だありゃ・・・?」
「どうも中にいる何かが魔物を召喚しているようです」
この量をか?
ざっと見て20体は超えてるぞ?
セナに術者を倒し、この札を召喚の魔法陣に貼って下さいと和真に札を手渡した。
アクアに1体その魔物が近付いてきて足に抱き着いた。
「あの魔物・・・かなり全長は小さいけど今の所被害は出てるのか?」
「あの魔物・・・人に取り付いて爆発をするんですよ・・・」
うわ~厄介だな・・・
・・・え?てことはまさか!?
ドオオォォォォオオオン・・・!!!!!!!!
煙が晴れるとアクアは倒れていた。
アクア、戦闘不能・・・てか戦線離脱はえぇよ・・・
ダクネスが前に歩き出した。
そのダクネスに魔物が飛び付き、爆発した。
馬鹿か!?いくらなんでもおかしいだろ!?
煙が晴れていく。
無傷のダクネスがそこにいた・・・
え~・・・それ喰らって無傷って・・・
ダクネスが自ら露払いとして買って出ることになり、和真と俺はその後ろを着いて行くことになった。
◇◆◇◆◇◆
中は以前とは違い明るくなっている。
魔物の影響なのだろうか・・・?
「フフフッ・・・フハハハハ!!!!当たる当たるぞぉ!!!!」
俺達の先を行くダクネスの剣が当たると言ってダクネスははしゃいでいる。
後ろには数名程、別のパーティの人がいるからアクアの魔法陣消すにはちょい邪魔だな・・・
そんな奴らにも魔物は張り付こうとしてる。
「竜弥!今しかない!奴らを撒くぞ!」
「だろうなぁ!!!!」
ダクネスにこのまま進め!と和真が命じてダクネスは走った。
◇◆◇◆◇◆
あいつらは撒いてキールのいた部屋の近くにいた。
その前には小さい魔物と同じ仮面を付けた男性が黙々と作業中だ。
十中八九あいつだろ・・・
ダクネスが物陰から身体を出す。
和真が止めようとしたが既に遅かった。
「貴様が元凶か」
「ん?ほぉ・・・よもやここまで辿り着くとは・・・」
仮面の男が立ち上がる。
「我がダンジョンへようこそ冒険者よ。吾輩が諸悪の根源にして元凶・・・魔王軍の幹部にして魔物を率いる地獄の公爵・・・この世の全てを見通す悪魔・・・バニルである」
魔王軍・・・幹部!?
アメルダの同胞か!
「どうする竜弥・・・!」
「どうも何も・・・ここで潰さなきゃ駄目だろ・・・!」
俺は【銃剣製】で第二世代型神機を出す。
その横ではダクネスが長剣を構えていた。
見通す悪魔か・・・厄介だな・・・
「まぁ落ち着け、魔王軍の幹部とは言っても城の結界を維持している・・・言わばなんちゃって幹部でな、魔王の奴にベルディアの件で調査を頼まれたんだ」
ベルディア・・・?
・・・あの時のデュラハンか・・・!
「ついでに街に住んでいる・・・働けば働く程貧乏になる不思議な特技を持つポンコツ店主に用があってきたのだ」
ポンコツ店主と聞いて俺達は顔を見合わせた。
ポンコツ店主・・・あ~・・・ウィズの事ね・・・
和真がバニルに「これらが外に出て迷惑してる」と苦情を言うとバニルは「ふむ・・・そうだったか」と自然な形で魔物を崩した。
「ならば・・・次の計画に行こう・・・」
「何をする気だ・・・?」
「失敬な・・・鎧娘が数日帰って来なかっただけで自室を熊のようにウロウロしていた男よ」
「ちょっと待て!?何で見てきたみたいに言うんだ!?」
「いや・・・見通す悪魔っつったろ・・・あいつ」
その横ではダクネスがモジモジしていた。
「吾輩にはな・・・飛び切りの破滅願望があるのだ・・・まずダンジョンを手に入れる」
既にそれはクリア済みって訳ね。
「各部屋に悪魔達を配置させ、罠を仕掛ける」
冒険者達を疲弊させる為だな・・・
「挑むは歴戦の凄腕冒険者達・・・やがて彼等は数々の難関をくぐり抜けて最奥の場所へ辿り着く!そしてそこに待ち受けるのは勿論吾輩!」
ここまでテンプレだな・・・破滅願望か・・・圧倒的な力で冒険者達を絶望させ、戦意を失わせるのか・・・?
「激戦の末・・・倒れた吾輩の背後にある宝箱の中には・・・!」
トラップか・・・それとも・・・なんだ?
「【スカ】と書かれた紙切れが置いてあるだけだ」
・・・・・・
禄でもねぇ事考えるんだなこの悪魔は!
なんだよスカって!
そこはトラップでもいいだろうが!!!!
「そこの黒髪の冒険者よ!そのシナリオは甘すぎる!」
「考えてる事読むの止めてくれませんかね!?」
「・・・そもそも竜弥、お前何考えてた?」
・・・はい黙秘権を行使します。
そんな冒険者を見ながらこいつは滅びたいらしい・・・
・・・・・・この人・・・いや・・・この悪魔・・・相当面倒な奴だ・・・
「その計画の為、友人の店で金を貯め、巨大ダンジョンを作ってもらう予定だったのだが・・・偶然ここを通り掛かり、主がいないようだったのでこのダンジョンでいいかなと・・・だがこの先にけしからん魔法陣があってな・・・中に入るのがかなわんのだ」
魔法陣・・・アクアのだな・・・
「ほう?貴様の仲間が魔法陣を張ったのだな」
・・・しまった!バレた!
どれどれ?とバニルが両手で四角を作り、そこを覗く。
「フッ・・・フハハハハ!!!!なんという事だ!貴様の仲間のプリーストがこの迷惑な魔法陣を作ってくれおったのか!」
バッ!とバニルがオーバーリアクションで両手を広げそんな事を言った。
なんだろう・・・トレッビアアアァァァァァアアアアン!!!!が凄い似合う・・・
その後も覗き見てアクアが紅茶を飲んで寛いでいる事を俺達に教えた・・・
っておい・・・アクア何してんだ。
「ではそこを通してもらおうか・・・何心配するな・・・人間は殺さぬが鉄則の吾輩だ・・・あぁ・・・人間は殺さぬぞ・・・人間はな・・・?こんな迷惑な魔法陣を張った奴め・・・1発痛いのを喰らわしてくれるわ!!!!」
こいつ・・・人間はって言った!?
アクアの正体を知ってるのか!?
「アクアに危害を加えるというのなら退く訳にはいかない!」
ダクネスが剣を構え、斬り掛かる。
だがその剣は当たらない。
「ダクネス!援護する!」
俺は後方からバニルに迫り、神機を振り下ろす。
だが神機は空を斬った。
「フッ!2人でも吾輩に傷一つ入れられぬとはな」
くそっ!攻撃が読まれてる・・・!
なら!
俺は正面から神機を振り下ろす。
そう・・・狙いは【霞み突き】・・・これなら!
俺は神機を突き出した。
「くっ!」
バニルはギリギリで躱すも、服が少し破れる。
よし・・・神統志丞流なら当たる!
「ほぅ・・・この世の全てを見通す悪魔に一撃を入れるとはな・・・」
「へっ・・・見通すっつっても何かしら抜け穴があるかもしれないからな・・・そこを探させてもらうぜ!」
俺は神機を振っていく。
バニルが躱して後方に回った!
なら!
「【盲突】」
神機を右逆手に持ち、バックステップでバニルに突きを繰り出す。
「甘い!」
バニルは寸前で避けたようだ。
・・・ん?待て?和真はどこだ?
バニルも和真がいなくなった事に疑問をもったようだが今はそれどころじゃない!
とにかくここで倒さねぇと!
バニルを挟んでダクネスと俺は武器を構える。
「フッ・・・なかなかやるな・・・だが!」
バニルが回し蹴りをしてきた!
神機の装甲を展開して防御するが壁に激突してしまう。
そこに和真がバニルの後ろから走ってきた。
和真・・・奇襲をする気だな!
和真が斬り掛かろうとした時だった。
地面に転がっていた石の玉を和真は踏んでしまい、バランスを崩す・・・って何やってんだあのバカ!
だが和真は背中からバニルに激突した。
「リュウヤ!行くぞ!」
「分かってる!」
ダクネスは横に、俺は縦に武器を振ってバニルを斬った。
バニルは悲鳴を上げながら土くれと仮面になって活動を停止した。
「フゥ・・・」
何とか勝てたな・・・
俺達は安堵した。
「・・・と期待した所で!」
どこからか声がした。
今のは間違いなくバニルの声!
土くれにあった仮面がダクネスに貼り付く。
しまった!あれが本体だったのか!
「もしや討ち取ったとでも思ったのか?残念。なんのダメージもありませんでした!」
ダクネスが剥がそうとするも全く剥がれる気配がない。
ダクネスは抵抗していたが少しづつそれは薄れていく。
「ダク・・・ネス・・・?」
「フッ・・・フハハハハ!!!!小僧共聞くがいい!我が力により『どうしようカズマ!身体が乗っ取られてしまった!』どうだ小僧!この者に攻撃出来るものなら『一向に構わん。遠慮なく攻撃してくれ!さぁ早く!これは絶好のシチュエーションだ!』喧しいわ!」
・・・なんか・・・はたから見ると1人漫才してるバカにしか見えないんだが・・・
「なんだこの『麗しき』娘は・・・1体どんな頑強な精神を・・・まるで『クルセイダーの鏡のような奴だな』喧しいわ!!!!」
さっきから俺と和真の目の前では仮面の着いたダクネスが1人でボケとツッコミをしてる・・・いやバニルと言い合っているんだろうがそのようにしか見えない。
そこを和真が通り過ぎる。
「どこ行くん?」
「魔法陣消す」
あっ・・・はい・・・
俺も着いて行く事にした。
和真がせっせと魔法陣を消している。
「なぁ」
「ん?」
「あれ・・・どうにかなんない?」
さっきから1人で喋ってんだけど・・・
こうして見ると本当にバカっぽい・・・
「一応時間は稼いでくれてるからいいよ」
「お前な・・・」
和真が拭き終わって立ち上がり、部屋を出た。
「さてとダクネス・・・アクアと合流してとっとと逃げるぞ」
そう言った和真に剣をダクネスが突き付けた。
「それ以上近付くな小僧『カズマ、リュウヤ、私を置いて先に行け』そうそう貴様の思い通りには『ああっ!これを1度言ってみたかったのだ!』貴様が憎からず思っているこの娘を傷付けたくはあるまい?このまま娘が耐え続ければ『カ・・・カズマ!今、この自称見通す悪魔が気になる事を言ったのだが!』喧しいわ!!!!!!!!」
だから何してんすか・・・
「和真・・・頭痛くなってきた・・・」
「奇遇だな・・・俺もだ・・・」
「くっ・・・この身体は失敗だったみたいだ!『おい!身体を乗っ取っておいて失敗とは失礼な!』だから喧しいわ!!!!吾輩はもう出ていく!」
「それは困るな」
和真がすかさず封印の札を仮面に貼り付けた。
ってあれ・・・セナから貰った封印の札か。
和真はこのまま地上に上がり、アクアに浄化させるらしい。
うん、そっちの方が手早いか。
◇◆◇◆◇◆
俺達は今、地上に向かって走っている。
「小僧。吾輩が支配しているこの娘の身体には常に激痛が走っているのだ。このままでは娘の心が壊れてしまうぞ?『だそうだリュウヤ!カズマ!こんな強烈なのは初めてだ!さすがは魔王軍の幹部!堕ちてしまいそうだ!』」
「バカ!堕ちたら一瞬でアウトだぞ!」
こんなんで仲間失ってたまるかよ!
「頑張れダクネス!地上に着いたらすぐに楽にしてやるからな!」
和真もダクネスが心配らしく、焦っていた。
「『お構いなく』」
「「「・・・今なんて言った?」」」
というか初めて魔王軍と意見合っちまったよ・・・
◇◆◇◆◇◆
もう地上は近くなっている。
「ダクネスよく耐えたな!」
だがダクネスからの反応はない。
「・・・ダクネス・・・?」
そのダクネスに笑みが浮かぶ。
「フッ・・・フハハハハ・・・!支配完了!」
「まさか・・・!」
「テメェ・・・!!!!」
ダクネスの速度が上がっていく。
「フハハハハ!無警戒に出迎える貴様らのプリーストに1発キツイのを食らわせてやるわ!」
「ダクネス!!!!待て!!!!」
俺は咄嗟に自作の加速魔法【ソニック】で近付こうとするも、その判断が遅かったのか、かなり距離は離れてしまっていた。
なら!
「【転移】!」
俺は先回りしてダクネスを気絶させる作戦に出た。
俺とダクネスが地上に出たのはほぼ同時だ。
「【セイクリッド・エキソシズム】!!!!」
「ピャァァァァァアアアア!?!?!?!?」
俺の横ではアクアの魔法をダクネスが諸に喰らっていた・・・
危ねー・・・もう少し転移先がズレてたら喰らってたよ・・・・・・ってそうじゃなくて!
「お前なんで相手を確認しないで魔法撃ってんだよ!?」
「だって奥から邪悪な気配が近付いてきたから撃ち込んでみたのよ」
「ダクネスは今、魔王軍幹部に身体を支配されてんだぞ!?」
俺の言葉にそこにいた人達がざわめく。
ダクネスがムクッ・・・と起き上がる。
それを見てアクアは「臭っ!何この匂い!?間違いなく悪魔ね!」と言ってる。
臭いで分かるんだね・・・
どんな嗅覚をしてるんやら・・・
「フッ・・・フハハハハ・・・まずは初めましてだ。悪名高い水の女神と同じ名のプリーストよ。我が名は『ア・・・アクア、私自身は臭わないと思うんだが!?』我が名はバn『カズマも嗅いでみてくれ!臭くは無いはずだ!』喧しいわ!!!!!!!!」
ゼェゼェと息を切らしながら自分の名を言って「出会い頭に対魔魔法とは・・・これだから悪名高いアクシズ教徒は忌み嫌われるのだ。礼儀というものを知らんのか」とアクアに文句を言ってる・・・てかアクシズ教徒ってそんなに悪名高いんだ?
アクアに至っては「悪魔の癖に礼儀とかww人の悪感情が無いと生きられない寄生虫の癖にプークスクスw」と煽ってやがる・・・
「【セイクリッド・ハイレゾエキソシズム】!!!!」
アクアが額に指を当て、そこから虹色の光線を放つ。
って待って?あれ・・・形からして太〇拳に似てません・・・?
だがその光線をダクネスは躱した。
「ダクネスなんで避けるの!?ジッとしててよ!」
「そんな事言われても!」
あいつ・・・ダクネスが支配されてる事忘れてんな・・・
「狡いですよ!」
え?何でめぐみんが羨ましそうにしてんの?
「あのカッコイイ仮面、紅魔族の感性に響きます!」
欲しいの?あれを?
俺は近付いて、あれが本体で付けたら激痛が走るけどいいの?って言ったら「スミマセン・・・さっきの発言は無かった事にして下さい・・・」と素直に言った。
セナも思い出したようで冒険者各位に確保を頼んだ。
数人がダクネスを襲うがダクネスを操作してるのは悪魔のバニル。
見事に斬撃を受け流し、冒険者を蹴り飛ばし、切り伏せる。
冒険者が
「カズマ・・・リュウヤ、何とかして下さい!」
「サトウさん!参戦しないのですか!?」
その間にも冒険者達はバニルに倒されていった。
座り込んだアクアにバニルが迫る。
ヤバい・・・!!!!
「和真」
「なんだ?」
「時間を稼ぐ。お前はダクネスをどうにかする方法を考えてくれ!」
「・・・頼む!」
「竜弥さん行きましょう!」
俺はシノアの言葉に頷き、アクアとバニルの間に立った。
「ダクネス・・・殺すまではいかねぇと思うけど・・・ちょっとばかりいてぇぞ?」
「お構いなく」
・・・手加減した方がいいのだろうか?
いや・・・手加減は無しだ!
「【剣製:斬月】」
俺は【剣製】で出刃包丁のような刀【斬月】を作り出す。
そしてあの有名な解放を告げた─────
「卍解──────────」
俺は魔力の渦に包まれる。
そしてその渦が止んだ時には漆黒の服を着て、その右手にはこれもまた黒い日本刀が握られていた。
「──────────天鎖斬月」
ダクネスは耐久が凄まじく高い・・・ならスピードで勝負だ。
一応、刃は潰してる。
「貴様のその魔法・・・よく見るとこの世界の理から外れているな・・・?・・・そうか・・・オリジナル・・・創作魔法か」
「ご名答・・・だが魔法の正体が分かっても─────」
俺は一瞬でバニルの裏を取り、首を狙う。
「勝てなきゃ意味ねぇぞ?」
俺の刀がダクネスの首を捉える。
刃は当てない。
峰で討って気絶を狙う!
よし!やっ─────
「そうだな」
ガッ─────!
ダクネス・・・いやバニルは俺の刀を見ずに手で掴んで受け止めた。
「なっ・・・!」
「ふん!」
ダクネスの回し蹴りが俺の横腹を直撃し俺は壁に吹き飛んだ。
「がっ・・・はあっ・・・!」
「ほぅ・・・あれで気絶しないとは・・・さすがはベルディアを倒しただけの事はあるな・・・それに・・・貴様の過去を見るにどんなに傷を負ってでも仲間を護ろうとした過去が見える・・・なら・・・」
バニルは後ろから強襲するシノアの鎌を寸での所で躱し、首を掴むと少しずつ締め始めた。
「かっ・・・はっ・・・!!!!」
「この光景は見るに耐えんだろ?」
「テメェ!」
俺は斬り掛かろうと走ったがバニルはそれを見通していたのかシノアを俺に投げ付ける。
ギリギリだけど受け止める事が出来た。
「大丈夫か」
「えぇ・・・なんとか・・・」
シノアが若干フラつきながら立ち上がり、俺と一緒に武器を構え、バニルに立ち向かった。
攻撃は当たってる。
でもダクネスの防御力が高い故か、決定打にならず、全て受け流される。
3人同時に距離を取った。
「ほぅ・・・面白いものを見れたな」
「何がだ?」
「まぁ・・・言うなれば貴様の過去・・・だな」
「あ?」
「貴様の母親は蒸発か・・・」
「・・・関係ねぇだろ」
何で今更そんな事・・・
「父親も酒に溺れる・・・そして貴様の兄も引き篭もり・・・見るに耐えんものだな」
「うるせぇ・・・関係ねぇっつってんだろ・・・」
そう言っているにも関わらず天鎖斬月を握る手は強くなり、血が滲む。
何で今更そんな事を言いやがる・・・
「その息子が貴様か・・・なら同じ運命を辿るのだろうな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・黙れ」
反射的に俺はそう言っていた。
「貴様のその禄でもない血を継いでいるのだ・・・ならそのような運命も受け入れられずにはいられ─────」
「黙れぇぇぇぇえええ!!!!!!!!!!!!」
俺は感情に身を任せてしまい、何の考えも無しに突っ込んだ。
「甘いな」
キィン──────────
俺の手から刀が離れ─────
ザシャッ──────────!!!!
俺の身体はダクネスの剣によって斬られた。
斬られた俺はそのまま蹴り飛ばされ、壁に再び激突した。
そのまま俺はその場に座り込んでしまう。
それと同時に卍解は解けて、斬月も消えてしまった。
「あの程度の挑発に乗るとはな・・・」
「テ・・・メェ・・・」
動こうとすると身体中に激痛が走る。
バニルが俺を見ている隙にシノアとレイシャがバニルの後ろから迫り、レイシャは矢で、シノアは鎌でバニルに攻撃するも、バニルは全て躱してしまう。
「リュウヤ!大丈夫!?」
レイシャが駆け寄り、俺を抱き上げる。
「くそっ・・・・・・身体が・・・」
出血が酷いな・・・このままじゃ【終わりのセラフ】が発動しちまう・・・!
シノアも粘っていたがバニルの剣に翻弄され、倒れた。
バニルがアクアに近付こうとした時だった。
和真がアクアとバニルの間に立った。
「ダクネス!何簡単に悪魔に躾られてんだ!お前はそんなにチョロいお手頃女だったか!?」
「無駄だ。この娘に小僧の声は届k『誰がチョロいお手頃女だ!躾られているのではないぞ!』」
まだ意識は残ってんのか・・・
バニルのこれには驚いている。
「俺が今から仮面に貼られた封印を解く!そしたら一瞬でいい!バニルから支配権を取り戻して仮面を剥がして投げ捨てろ!」
和真がダクネスに指示を出すがバニルは完全に力を引き出してる・・・
やるとしたら【スティール】しか無い。
そして和真は構えて魔法を使った。
「【ティンダー】!!!!」
和真が放ったのは【スティール】ではなく【ティンダー】。
燃え盛る炎は仮面の封印に直撃し、焼き尽くした。
「今だ!ダクネス!根性見せろ!」
和真に触発され、ダクネスが仮面に手を掛けるが一向に外れない。
アクアが魔法を撃とうと構えるが恐らく耐性で意味が無くなる・・・
そしたら後は・・・アレしか無い・・・
「─────撃て」
ダクネスは諦めたかのように告げた。
「アクアの魔法が効かないのなら・・・構わん・・・私諸共爆裂魔法を喰らわせてやれ」
無理です!とめぐみんが拒む。
めぐみんの爆裂魔法は経験を増して以前より威力が上がっていていくらダクネスでも耐えられるか分からないらしい・・・
「・・・・・・・・・ふざけんな・・・」
俺は軋む身体を無理矢理起こして立ち上がろうとする。
「こんな奴に・・・・・・負けてもいいのかよ!!!!!!!!」
俺は【剣製】で刀を作り出し、杖替わりにしてダクネスに少しづつ近付こうとするもズキッ・・・!ズキッ・・・!と身体全身が痛み、再び座ってしまう。
こんな所で・・・仲間を失う・・・・・・?
ふざけんな・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!
だったら俺が無理矢理にでも・・・!
再び立ち上がろうとした俺の手に甲冑の着いた手が乗っかる。
ダクネスだ。
「もういい・・・もう充分だ」
その目は仮面によって見えていなかったが、口元は優しく微笑んでいた・・・
なんで・・・なんで・・・
なんでそんな顔出来るんだよ・・・!!!!
ダクネスが立ち上がり、俺達から離れていく。
待て・・・頼む・・・待ってくれ・・・!!!!
悔しさで心が締め付けられ、ガッ!と地面に拳を叩き付けてしまう。
せめて・・・和真みたいに見通す能力を欺けられれば・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
そういえば・・・・・・なんで和真の背面タックルといい、【ティンダー】といい、和真の攻撃だけは当たったんだ・・・?
・・・・・・・・・見通す悪魔・・・そういえばダンジョン内でアクアの事を見た時に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさか・・・!!!!!!!!
俺はジェスチャーで和真、フィーリィ、ゆんゆん、セナを呼ぶ。
「どうした・・・?」
「和真・・・分かったかもしれない・・・あいつの・・・見通せる条件が」
「・・・!時間がない・・・すぐに実行できるか!?」
「あぁ・・・恐らく、今は
「・・・分かりました」
俺はフィーリィに回復魔法を掛けてもらい、ある魔法を即効で作り上げた─────
◇◆◇◆◇◆
ダクネスが歩いて離れていく。
「バニル・・・僅かな一時だったが共にいた時間は悪くなかった。だからせめて、選べ─────私から離れて浄化されるか、共に爆裂魔法を喰らうか─────『フハハッ・・・破滅主義者にとって、至高の選択である・・・吾輩の破滅願望がこのような形になって実を結ぶとは・・・吾輩とて、汝への憑依は中々に楽しかったぞ』」
そこでダクネスは立ち止まり、振り向いた。
だがそこに後ろから何者かが肩に触れる。
ダクネスが振り向くとそこには竜弥がいた。
「なっ・・・!リュウ「─────展開」」
俺とダクネスを【フィルターフィールド】のようなものが囲む。
「フハハハハ!!!!まさかこの場に及んでまだ戦う意思があるとはな!さて・・・次はなんの攻撃を仕掛けるつもりだ?」
バニルが俺を見通そうとする。
──────────
「なっ・・・!バカな!?見通せないだと!?」
「驚いたろ?お前は対象、若しくはその方向に意識を向け、その上イレギュラーがない時にしか見通せないんだからな」
そう・・・なぜ和真の背面タックルと【ティンダー】が当たったのか。
背面タックルは和真に意識を向けていなかったから。
そして【ティンダー】が当たったのはダクネスが【スティール】を使うと言って、和真が別の魔法を使ったからだ。
アクアの様子を見ようとした時もバニルは指で四角を作り、そこを覗き込んでいた。
つまり、先ほど歩いている時には回復したり、魔法を作っていた俺達の事は意識を外していた為、見えていない。
それこそがチャンスだった。
俺は【剣製】でクの字に曲がった刀を作り、斬り掛かる。
「何かと思えば斬れそうにないヘンテコな剣ではないか」
向こうが何かを言ってるが気にせずにダクネスの剣に当てていく。
合計で4回当てた。
「フッ・・・貴様も学習しないな。この娘の力は既に我が「目的はその剣だよ」・・・何?」
「お前、よくそんな重い剣を持てるな?」
「何を言って・・・ぬおっ!?」
ダクネスの剣がドシャッ!と地面にめり込む。
「バカな!?剣が重くなっている!?」
「この刀は侘助って言ってな・・・触れた物質を倍にするんだよ」
長剣は1本、約1300g前後。
4回当てたからその重量は20800g・・・つまりあの剣は今、約20kg近くの重さがある。
当然一般人は持てる重さではない。
「【ヴァリス・シーヴァ】」
ダクネスの周りからチェーンが現れ、巻き付いていき、その上、そのチェーンの端は槍で地面に固定される。
俺が前に作った拘束魔法で、チェーンと槍で相手の動きを封じる魔法だ。
そして─────
「ゆんゆん!止めだ!」
「なっ!?」
後ろからアクアの強化魔法で強化されたゆんゆんが走ってきて拳を握り締める。
「【グロウ・オブ・ストライカー】!!!!!!!!」
ゆんゆんの握り締めた右手が煌々と輝く。
【グロウ・オブ・ストライカー】
ゆんゆん曰く、拳に朝焼けのような極光を宿し、相手を殴りつける。
【ライト・オブ・セイバー】の拳版なんだとか。
ゆんゆんの拳は仮面に直撃し、ピシッピシッ・・・!と砕けていく。
「やあああぁぁぁぁぁああああ!!!!」
ゆんゆんが尚も拳をめり込ませる。
バキャァッ!!!!!!!!
仮面が壊れたと同時に透明な壁を消した。
ダクネスはゆんゆんの拳に吹き飛ばされ、壁に激突し、気を失った。
そして俺はその場に座り込む。
「へっ・・・ざまぁ・・・みやがれ・・・」
俺は寝転がって綺麗な星空を眺めていた。
◇◆◇◆◇◆
「冒険者!イチジョウリュウヤ殿、並びにアークウィザードのゆんゆん殿!貴殿らを表彰し、この街から感謝状を与えます!それと同時に冒険者サトウカズマ殿!嫌疑を掛けたことに対し、深く謝罪をさせて頂きたい」
翌朝のギルドで俺達はセナに感謝状を渡された。
なんでもバニルとの戦いで「魔王軍の関係者があれほど身を犠牲にしてまで幹部を倒す筈がない」との事で和真の魔王軍幹部のスパイ疑惑は晴れた。
「そしてサトウカズマ一行。機動要塞デストロイヤーにおける多大な貢献に続き、今回の魔王軍幹部、バニル討伐は貴方達の活躍が無ければ成しえませんでした。よってここに貴方方の抱えていた借金、及び、領主の屋敷弁償代を報奨金から差し引き、借金を完済した残りの分、金4000万エリスを贈呈し、ここにその功績を讃えます!!!!」
その言葉と同時にギルド内を拍手と歓声が包み込む。
パーティメンバーもそれぞれ喜び合っている。
俺は和真の後を追い、外に出た。
空は俺達の苦労を称えるかのように眩しい。
「終わったな・・・」
「あぁ・・・」
俺と和真は何も言わずにハイタッチし─────
「「よっしゃぁぁぁああああ!!!!!!!!」」
自由という名の翼を手に入れた─────
◇◆◇◆◇◆
家に帰ると皆で沢山の霜降り赤蟹を頬張る。
この霜降り赤蟹、セナが疑った埋め合わせにと俺達に送ったものだ。
そして酒も届いた為、飲んでいた。
ん?未成年だろって?
異世界という理由で解決ダヨ!
少し夜風に当たろうと外に出た。
「リュウヤ」
振り向くとダクネスがいた。
何も言わずに横に来る。
「バニルが言ってた事・・・本当なのか?」
「・・・まぁな・・・」
「そうか・・・辛かったんだな・・・」
「言うなよ、ぶり返すのも気が引ける」
「そうだな・・・」
2人で黙って夜空を見る。
「バニルの時の事、感謝する」
「まぁ、死ななかっただけ良かったよ」
「それと聞きたいんだが・・・」
「ん?」
「なぜ、バニルは急に見通す事が出来なくなったのだ?」
「あぁ、それは・・・対バニル専用魔法を作ったんだよ」
「対バニル専用魔法?」
俺は【魔法生成機】を出して、入力した条件を見せる。
【魔法名:バニル封じ
発動条件:バニルが憑依した者に触れる
発動内容:縦横高さ5mの立方体の中にいる間、バニルの持つ見通す力を強制的に封印する】
「なるほど・・・これで・・・」
「そう・・・まぁ上手くいって良かったよ」
俺がこれを作った理由はあの侘助の能力を隠すのとゆんゆんが後ろに回ったのを気付かせないようにする為。
レイシャが家から俺を呼んでいる。
「わーった!今行く!んじゃ戻るか」
「そうだな」
俺達は再び、余韻に浸ろうと家へ戻った。
バニルの全てを見通す力の発現方法の穴はこうなんじゃないかと思って理論を書いてみました。
多分間違ってる・・・
その辺に関しては「こうなんじゃないか?」等のご指摘をお願いします。
感想、誤字脱字、魔法応募等、お待ちしております!