この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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小説家になろうでも異世界転生ものを何件か見てる中、特典に【魔法生成機】があるならそれを持って、どう行動するかを真面目に考察してしまってる俺がいる・・・毒され過ぎかな?


この素晴らしい世界に良縁を!

ダクネスを除くパーティメンバーで借金について話し合ってた時だった。

突然バン!と扉が開き、「皆!大変だ!」と叫びながら綺麗な衣装を着た、謎の金髪美女が入ってくる。

 

「「「「「「「「・・・誰?」」」」」」」」

 

おおぅ・・・声が揃っちゃったよ・・・

 

「んんっ・・・・・・!?くぅっ・・・!皆!今はふざけている場合ではないんだ!そういったプレイは後にしてくれ!」

 

いやプレイでも何でもねぇよ・・・

って待て・・・この禄でもない発言・・・まさか!?

 

「お前ダクネスか!?そんな格好して何やってんだ!?」

 

俺の言葉を機に皆がダクネスに駆け寄る。

皆、一応は心配してたみたいだ。(失礼)

アクアがダクネスの服を触る。

 

「間違いないわ・・・高級品よ・・・」

 

アクアのこの一言で全てを理解した・・・

 

「何を勘違いしてる!?私が領主に弄ばれているとでも思ったか!?」

「ダクネス・・・・・・お前、余程良い仕事をしてきたんだな・・・・・・俺を助ける為にここまで身体を削る程に・・・苦労掛けたなぁ・・・」

 

和真がダクネスの苦労を労る様にポンと肩を叩き、皆も同情の目をする。

 

「違うわ!!!!領主も私相手にそこまで要求する度胸はない!皆に心配掛けたのは悪かったけど、とりあえずこれを見てくれ!」

 

そう言って、ダクネスは1枚の写真を見せた。

 

「何だこれ、うわ、すっごいイケメンでムカツクんだが?」

 

和真はそう言って何の抵抗もなくビリッ!と写真を破いた。

容赦ねぇな・・・

 

「ああっ!?見合い写真になんて事を!そんな事をしたら見合いを断る事が出来なくなるだろうが!」

 

やっぱり見合い写真かぁ~・・・

・・・・・・・・・ってええっ!?マジでお見合い写真だったの!?

ダクネスの話によると、今回のダクネスの要件の飲むという内容でアルダープが自分の息子と結婚させようと考えていたらしい・・・

 

「その見合い写真に写っているのはアルダープの息子だ。アルダープの奴・・・自らが私との結婚を申し入れても蹴られるという事は分かっていたのだろう。だが、私の父はアルダープの息子の事だけは高く評価していてな・・・一番乗り気なのが父なのだ・・・・・・」

 

ってかこの写真の人って本当にあの真ん丸領主の息子なのか?

見た感じこの人の方が良心的で正直言うと養子なんじゃないか?と思える程容姿も整ってる。

・・・本当に養子じゃ無いよな・・・?

今日、ダクネスが来たのはその縁談を取り止める為にメンバー数名に着いて来てもらいたいのだとか・・・

ってことは・・・

 

「今の話を要約すると

 

・ダクネスの親父は、危険な冒険者稼業を辞めさせたくて、以前から、隙あらば勝手にお見合いをセッティングしていた。

 

・ダクネスとしてはまだまだ結婚はしたくないから、今までは全て話を蹴っていた。

 

・今回の裁判の件で結婚させられそうだからメンバーに着いて来て縁談を無かったことにしてほしい。

 

・・・これでいいか?」

「あぁ、それでほぼ合ってる。正直言って、私は今の暮らしに満足している。この稼業を続け冒険者として名が売れれば、やがて邪悪な魔道士や、魔王軍では立場が低い様な野蛮なオークらが私を襲い、抵抗むなしくやがて捕まり、とんでもない目に遭わされてしまうかもしれない。それはもうきっと激しく、凄い物で、手枷足枷を付けられあられもない姿で・・・・・・んっ!・・・くぅっ!や、やめろぉ!」

 

・・・こいつは引退して結婚した方が正解なんじゃないか?

横を見るとアクアが米粒で直した写真を持ったまま、和真がプルプルと震え・・・・・・ん?震え?

 

「これだああぁぁぁあああ!!!!!!!!」

「「「「「「「「えええぇぇぇええ!?!?!?!?」」」」」」」」

 

和真は写真を再び破りながら叫んだ・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「見合いを受けろとはどういう事だ!?」

「このままダクネスが冒険者を辞めてもいいんですか!?」

 

ダクネス本人とめぐみんが家の前ですごい剣幕で詰め寄ってる。

 

「見合いを断った所であの領主が無理難題を吹っかけるに決まってる」

「た・・・確かに・・・」

「だったら見合いを受けてそれをぶち壊せばいい・・・ダクネスの家が傷つかない程度にさ」

 

・・・は?ぶち壊すって言った!?

 

「ちょっと待て、ぶち壊すっつっても方法は考えてんのか?」

 

俺が聞いてみたけど視線を逸らした・・・

おいこっち向け。

 

「それだ・・・!それで行こう!上手くいけば見合いの話が持ち上がる度に一々父を張り倒しに行かなくて済む!」

 

張り倒すって・・・親父さん・・・ご愁傷様です・・・

というかダクネスが凄い乗り気だな。

まぁ自分の将来が決まるんだし・・・仕方ないか。

 

「サトウカズマ!サトウカズマはいるかあああぁぁぁぁあああ!?」

 

向こうから国王検察官のセナが後ろに2人の騎士を連れてやって来た。

 

「・・・今日は何の用だ?」

「街の周囲に謎のモンスターが溢れている。心当たりがあるのでは?」

「は?」

「すぐに出頭してもらおう」

 

また濡れ衣か・・・ったく・・・

めぐみんが和真の前に出る。

 

「お断りします。今、私達の仲間が危機に瀕しているのです。それを放っておくわけには行きません」

「落ち着け、言っておくが和真と俺達は一緒に行動していた。もしもそんな行動が見られたら俺は止めるが?」

 

俺の発言に検察官は顔を顰めてしまう。

てかこの人、発言だけで動揺するって、突き詰める点、ザル過ぎだろ・・・

その時、和真がめぐみんを呼んだ。

 

「お前が行ってくれ。大量のモンスターが相手なら爆裂魔法の出番じゃないか・・・大丈夫・・・ダクネスの事なら俺とアクアに任せてくれ・・・」

「で・・・ですが・・・!」

 

和真がめぐみんの言葉を遮る。

 

「お前にしか・・・出来ない事なんだ・・・」

 

・・・なんかイラつくイケボで言ったんだが?

結局和真の言葉に踊らされてめぐみんは行ってしまった。

その後、やっぱりめぐみんだけじゃ心配だということでシノアとフィーリィも同行した。

だとすると俺とレイシャ、ゆんゆんは留守番か・・・

そう思ってた矢先にアクアに呼ばれる。

 

「何だ?」

「アンタも来て」

 

・・・はい?

何でも和真だけじゃ何やらかすか分からないから来て欲しいとのこと・・・

・・・まぁ・・・分からなくはない・・・

ということでダクネスにはアクアと和真、そして俺が同行することとなった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

ダクネスの実家に着いた。

 

「ほ・・・本当にいいのか・・・?」

「本当ですお父様。ララティーナは此度のお見合いを受けようかと思いますわ」

 

ダクネスは今、見合いを受けることを父親に伝えていた。

ララティーナの名前を聞いた途端にアクアと和真が必死に笑いを堪えてる・・・

お前らな・・・

 

「後ろの3人は?」

「私の冒険仲間です。今回のお見合いに臨時の執事とメイドとして同伴させようかと・・・」

 

うん・・・・・・と俺達を眺める・・・

断られるのか・・・?

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「サイズは如何(いかが)ですか?」

「・・・ちょいキツい・・・」

 

俺達は今、執事の服を着ている。

サイズが合ってなかった為、他のを持って来てもらう事にした。

和真はピッタリらしい。

姿見の前ではアクアが自分のメイド姿をみてクルクルと回りながら見ていた。

 

「似合ってるじゃないか。ちゃんと一流の使いパシリに見えるぞ」

「カズマこそ・・・背伸びしてる執事見習いって感じでいいと思うわ」

「おっと面白い事言ってくれるなぁ?ここが貴族の屋敷じゃなかったら偉い目に合わせていたところだぞ?なぁ?ララティーナお嬢様?」

「ら・・・ララティーナお嬢様は止めろォ!」

「お前ら・・・ここまで来ていつものノリかよ・・・」

 

俺がハァ・・・と溜息をしてる所にメイドが来て、新しい執事服を持ってきた。

 

「どうですか?」

 

・・・うん・・・問題無いな・・・

俺が問題無い事を伝え、和真達を見ると俺を見てポカーンとしていた。

 

「なんだよ・・・?」

「結構合うわね・・・」

「うむ・・・私もそう思う」

「・・・爆ぜろ」

「お前ら急にどうした!?」

 

もうすぐお見合いが始まる。

その際に頼まれたのだが・・・『娘が粗相をしないように注意をしてくれ』とダクネスの親父さんに頼まれた・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

俺達は今、お見合い相手がいる広間に向かっていた。

横で和真が変な笑みを浮かべてる・・・禄でもない事を考えてなきゃいいが・・・

 

「手はずは分かっているな?頼んだぞ」

 

・・・フラグとしか思えないのは気のせいか・・・?

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

大広間に集まり、お見合い相手の到着を待つ。

 

「お見合いを受けてくれて、本当に嬉しいよ。幸せになるんだぞ?ララティーナ」

「いやですわお父様。ララティーナは見合いを前向きに考えると言っただけです」

「・・・何!?」

 

ちょっ・・・待て!?ぶち壊そうとすんの早過ぎだろ!?

 

「そして考えた結果、まだ嫁入りには早いとの結論に達しました・・・もう今更遅い!見合いはするが結婚する等とは言っていない!ぶち壊してやる・・・見合いなんてぶち壊してやるぞおぉぉぉぉおお!!!!」

「ラ・・・ララティーナ・・・?」

 

ヒャハハハハハハ!!!!とか高笑いしてアンタ・・・世紀末の覇者か何かですか?

それにダクネスの親父さん・・・かなりドン引きしてるし・・・

さすがに俺でもこれは引くわ・・・

 

「はしたない言葉遣いはお止め下さい。先方に嫌われてしまいますよ」

 

誰だ?

と思ったら和真でした。

 

「・・・!?貴様裏切る気か!?」

「今の自分はダスティネス家の臨時執事。お嬢様の幸せが自分の望みです」

 

・・・なんかキラキラしてんのが逆にイラって来るんですけど・・・

てかこいつ、狙いはこれでした?

いや違うよな・・・

ダクネスが「カズマ貴様!」と掴み掛る。

その時、玄関の両開きのドアが開いた。

相手のお出ましか・・・

ダクネスがズンズンと歩み寄る。

 

「よく来たな!貴様が私の見合い相手か!我が名はダスティネス・フォード・ララティーナ!私のこフゲッ!?「お嬢様!お足元にお気を付けて!!!!」・・・」

 

和真がドレスの裾を踏んでダクネスが盛大にコケました・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「協力してくれるんじゃ無かったのか!?」

 

廊下でダクネスが和真に抗議していた。

 

「お前・・・家の名前に傷を付けないってのを忘れてるだろ・・・?」

「悪評が立って嫁の行き先が無くなれば心置き無く冒険者家業が続けられる!勘当されるのも覚悟の上だ。それでも必死に生きようと無茶なクエストを受けた私は力及ばず魔王軍の手先に捕えられ組み伏せられて・・・私はそんな人生を送りたい!」

 

とうとう言い切って後半メチャクチャだよ!

冒険者なら闘って抵抗しろや!

なに捕えられる事前提に話してんの!?

和真もダクネスのMさに呆れてる。

 

「さっきの奴、結構人も良さそうだったけど?何が嫌なんだよ?」

「あんな男は私のタイプでは無い」

 

俺の質問にダクネスがスッパリと相手を両断したよ・・・

まぁでもダクネスの好きなタイプで結婚したいかそうでないかは分からない訳は無いな・・・

 

「まず人柄が物凄く良いらしい」

 

全然いいじゃん?

 

「誰に対しても怒らず、努力家で」

 

うん、原因を究明させて、もう同じ事を繰り返さないようにするんでしょ?(実際はどうか分からないけど・・・)

 

「最年少で騎士に叙勲された腕も持つ」

 

最年少でか、そりゃ凄い。

てか今の時点で悪い点は一切無いな・・・それどころか引く手あまただ・・・

 

「いい相手だと思うんだけど・・・?」

「そうだな」

「何処がだ!?」

 

アクアと俺に詰め寄ってくる。

 

「貴族なら貴族らしく常に下卑た笑みを浮かべていろ!!!!あの曇り無き視線は何だ!?もっとこう・・・よくカズマが向けてくる舐め回すような嫌らしい視線で見られないのか!?」

「そ・・・そそそそそんな視線で見てねぇし!?」

 

・・・見てんな・・・こいつ・・・明らかに動揺してる・・・

 

「誰に対しても怒れない!?バカが!失敗したメイドにアレコレ称してお仕置きするのは貴族の嗜みだろうが・・・!」

「いや、それお前の趣好入ってるだろ・・・てかお前の好みってまさかさっきの真反対じゃないよな?」

 

俺の言葉にピタッとダクネスが止まる。

 

「リュウヤ・・・分かるのか?」

「・・・あんまり想像したくないけど・・・お前のタイプって・・・

 

・人柄が物凄く悪い

 

・誰に対しても怒鳴り散らして、放漫者

 

・大人になっても無職

 

・・・な訳無いよな?」

 

俺が真反対の条件を言うと頬を赤らめる。

・・・え?マジで?

 

「リュウヤ・・・惜しい・・・それもいいが外見はパッとせず、体型はヒョロくても太っててもいい、私が一途に思っているのに他の女に言い寄られれば鼻の下を伸ばす意思の弱い者がいいな・・・年中発情してスケベそうなのは必須条件だ。出来るだけ人生を楽に行きたいと人生舐めてる奴がいい。借金があれば申し分無いな・・・そして酒ばかり飲んで働きもせず、俺がダメなのは世間が悪いと文句を言い、空の瓶を投げてこう言うのだ!」

 

ダクネスが振り向いて指を差す。

 

「おいダクネス、そのイヤラシイ身体を使ってちょっと金を稼いでこい」

 

全て言い切った所で頬を赤く染め、悶えてる・・・

・・・・・・・・・って・・・・・・その条件・・・・・・

 

ドン底まっしぐらじゃねぇかあああああぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!

この子もうダメだ!!!!

俺達はダクネスをドン引きした目で見ていた・・・

俺はふと和真を見る。

え~っと・・・パッとしないで・・・体型普通・・・より少しヒョロい・・・鼻の下を伸ばす程、意思が弱く・・・借金をしてる・・・・・・あっ・・・

気が付くと俺は和真の右肩に手を置いていた。

 

「おい何だこの手は」

「和真」

「?」

「お前が最適物件だな」

「ぶっ殺されてぇかお前はああぁぁぁぁあああ!!!!!!!!」

 

冗談ですよ・・・多分・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

場所は変わって応接室。

ダクネスとバルターが対面して座り、その真ん中にダクネスの親父が座ってる。

俺達は右からアクア、和真、俺の順でダクネスの後ろに立っていた。

 

「では自己紹介を、アレクセイ・バーネス・バルターです」

「私はダスティネス・フォード・ララティーナ。当家の細かい紹介は省きますわね。成り上がりの領主の息子でも知っていて当じぇぇぇええ!?!?」

「ど・・・どうされました!?」

「い・・・いえ・・・バルター様のお顔を見ていたら気分が悪きゅぅぅぅうう!!!!」

 

横を見ると和真がバレないように【フリーズ】をしていた・・・何してんだ・・・

バルターがチラッと俺を見た。

なんすか?

 

「お嬢様はバルター様とお会い出来て少々舞い上がって居られるのです」

「・・・そういえば顔が赤いですね。いやぁお恥ずかしい」

 

和真がボソボソとなんか言ったらしく、少しだけダクネスが興奮した・・・

当家のお嬢様はいつでもブレておりません・・・

ダクネスの親父さんが笑って庭の散歩でもと勧めてきた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

アクアが池の近くに立ってピィッ!と口笛をした後にパンパン!と手を鳴らす。

無数の鯉が集まってきた。

地味にスゲェ・・・

横ではバルターとダクネスが話している。

 

「ご趣味は?」

「ゴブリン狩りを少ゔっ!?」

 

和真が横腹を小突いた。

 

「・・・随分と仲が宜しいんですね」

 

和真・・・やり過ぎだ・・・

ダクネスが何か思い付いたらしく和真に妙な笑みを向けた。

 

「えぇ、この執事とは常に一緒におりますの」

「なっ!?」

「食事もお風呂も一緒・・・も・・・勿論夜寝る時も・・・」

 

ダクネスは恥ずかしがって顔を俯かせる。

今もだけどこいつの恥ずかしい、恥ずかしくないの境界線がよく分かってない・・・

 

「ええい!こんな事、いつまでもやっていられるか!」

 

ダクネスはもう我慢の限界らしく、ドレスをビリビリに破いた。

 

「おい、バルターと言ったな?修練場に付き合ってもらおう!そこでお前の素質を見定めてやる!」

「おい!ダクネスぅ・・・」

「お前は鼻の下を伸ばしてどこ見てんだ?」

「・・・見てない・・・」

 

ダクネスもカズマのイヤラシイ目を見習えと支離滅裂な事言ってる・・・

 

「ララティーナ様、僕は騎士です。女性に剣を向けるなど・・・」

 

うわぁ~すっげぇ紳士的対応・・・

ダクネスがバルターの対応に呆れ、和真の「自称男女平等主義者」と「女相手でもドロップキックを食らわせる」事を暴露した。

・・・もうこれどっちをカバーしていいのか分からなくなってきたんだけど・・・?

 

「実は・・・ここには見合いを断る為にここに来たんです」

 

・・・・・・・・・・・・・・・は?

見合いを断る?

 

「でも・・・貴女を見て、気が変わった・・・合法にして、可愛い1面もある・・・物事をはっきり言える清々しさに執事に対しても同じ目線で接するそこ態度・・・僕は貴女に興味が湧いた」

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「で・・・なんでこうなんの?」

「俺に聞くな」

 

俺達の目の前ではバルターとダクネスが戦っていた。

 

「も・・・もういいでしょう!?なぜ諦めないんですか貴女は!?」

 

さっきから戦ってるけどダクネスの剣は当たってない・・・完全にバルターが優勢・・・

バルターが剣を捨てる。

 

「参りました・・・技量が勝っていても心の強さで負けました」

 

物は言いようだな・・・当たんない事察した?

 

「これ以上貴女を打つ事は出来ません・・・貴女はとても強い人だ」

 

違います・・・剣が当たらないんです・・・

チラッとバルターが俺を見た。

 

「間違っていたら申し訳ないのですが・・・イチジョウリュウヤ殿では?」

「え?」

 

なんで知っとるん?

俺が聞くとこっちの新聞でデュラハンの記事が書いてあり、そこに俺の名前と顔が載っているのだとか・・・

・・・って待て!?

新聞!?

新聞なんてあるの!?

 

「なんでも強い魔法でデュラハンを討伐したと聞いてます」

 

・・・この展開・・・まさか・・・・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「なんでこうなった・・・」

「諦めろ。んじゃ始めるぞ?ルールは剣のみ、魔法は禁止な?」

 

俺は今、バルターと対面してお互いに木剣を持っている。

ダクネスが「リュウヤに勝ったら見合いを話を進める」との条件を付けてきた・・・和真に至っては「わざと負けろ」と言い出す・・・テメェら・・・

 

「ではお願いします」

「まぁ・・・受けた手前、やってやるか・・・」

 

騎士対武士か・・・負けたら恥だな・・・

お互いに距離を取る。

 

「始め!!!!」

 

和真の開始の声と共に、バルターが迫る。

ガッ!と音がしてお互いの木剣がぶつかり合う。

 

「いきなり飛び出してくるとは・・・度胸はあるんだな」

「ありがとうございます・・・ですが!」

 

バルターが縦横無尽に振ってくる。

早い・・・!

再び鍔迫り合いとなった。

 

「この程度で貴方が負けるとは思えません」

「言うじゃねぇか」

 

お互いに距離を取った。

そして再び剣を交える。

交える度にカァン!カァン!と木と木がぶつかり、音が響く。

 

「何をしてるリュウヤ!もっと攻めろ!」

「無茶言うんじゃねぇよ。まだ向こう隠し玉持ってるかも知れねぇだろうが」

 

・・・ったく・・・観戦側になったら言いたい放題かよ・・・

けど・・・そろそろ剣筋が分からねぇとな・・・

さすがに長期戦になるとキツイ・・・

 

「そろそろ本気を出してもいかがですか?」

「本気出せ?そっちも出してねぇのによく言えるな?」

 

やはりバレてましたか・・・と苦笑する。

でも・・・そろそろ決着着けねぇと・・・

あいつらもうるせぇし・・・

俺はトンボの構えをして走り出す。

狙うは【霞み突き】。

 

「おらっ!」

「ふっ!」

 

右横に躱された・・・でも・・・

それは想定内。

相手の位置は俺の右斜め後ろ・・・なら・・・

俺は剣を右逆手に持ち、バックステップを取りながら後ろへ剣を突き出す。

 

「【盲突】」

 

俺の持つ神統志丞流の1つ。

右に躱され相手が後方に行ったら、剣を右逆手に持って後方に突きを放ち、左に躱されたら左逆手に持って突きを放つという変則技。

これが若干難しい。

 

「ぐっ・・・!」

 

どうやら脇腹にヒットしたらしい。

俺は木剣を持ち直して鍔迫り合いをした。

 

「さすがです・・・リュウヤ殿」

「これで終わるとでも思ってんのか?」

 

そう言ったがお互いに鍔迫り合いで止まってしまう。

様子見だ。

 

「あぁもう!リュウヤ!早く決めないか!」

 

あ~も~!るっせぇなぁ!

俺はガッ!と強めに自分の木剣を引き寄せるとバルターの手から木剣がすっぽ抜けた。

ゴッ!と音が鳴る。

そちらを見てみるとダクネスの額に木剣が当たり、ダクネスは気絶していた。

 

「「あ」」

 

修練場の扉が開く。

 

「皆さん、飲み物を持って・・・」

 

タイミング悪過ぎだろ・・・

ダクネスの親父さんが倒れてるダクネスを見てワイングラスを落とした。

 

「「あの2人です」」

 

和真とアクアが何の躊躇もなく俺らを指差す。

 

「よし処刑しよう」

「「誤解だから(です)!!!!」」

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

ダクネスの親父さんに誤解を解いた後、俺達は応接室に戻ってきていた。

ダクネスはソファーで寝ている。

 

「娘は元々人付き合いが苦手でクルセイダーになっても1人きりでなぁ・・・エリス様の協会でいつも『冒険仲間が出来ますように』と祈っていたらある日『仲間が出来た』『盗賊の子と友達になった』と喜んで帰ってきたよ・・・家は家内を早くに亡くして男手で甘やかしながらも兎に角自由に育ててきた・・・それが悪かったんだろうなぁ・・・」

 

ダクネスの親父さんは語りながら懐かしむようにダクネスを見ていた。

 

「ララティーナ様は素敵な女性だと思いますよ。彼等がいなければ僕は本当に妻に欲しいと思ってます」

「すみません・・・言ってる事がよく分かりません」

「君達の方がララティーナ様を幸せに出来ると思ってます」

「お前ちょっと表に出ろ。領主の息子だろうが関係あるかぁ!」

 

俺とアクアで和真を止めた・・・

落ち付け・・・和真・・・

ダクネスの親父さんが笑い出し、「娘をよろしく頼むよ・・・これが馬鹿な事を仕出かさないように見張っててくれ」と言って頭を深く下げた。

まぁ親は親で娘を心配してたんだろうな・・・

だとするとダクネスは幸せもんだな・・・

 

「ん・・・・・・・・・っ?」

 

ダクネスが目を覚ましたようだ。

 

「ん?この状態は事後なのか?ハッ!カズマが私が気を失ってる間に如何わしい事を!?」

「してねぇよ!?まだ何もしてねぇよ!てかなんで俺なんだよ!?」

 

・・・まだ?

 

「お前が寝てる間に微妙な空気になってんだよ!」

 

ダクネスがまた何か思いつき、和真に妙な笑みを向け、立ち上がる。

 

「お父様、バルター様、どうかこの見合いは無かった事にして下さい」

 

ダクネスがそう言って頭を下げる。

 

「今迄隠してきましたが私のお腹にはカズマとの子が」

 

・・・・・・・・・・・・・・・へ!?

 

「おおい!童貞の俺に何言ってんだゴラアアアァァァアア!!!!」

 

バルターも「そうですか・・・お腹にカズマさんの子が・・・」と納得してる・・・

 

「父には僕からお断りをしたと言っておきます。その方が都合がいいでしょうから」

 

そう言ってバルターは立ち上がり、俺に近付いてくる。

・・・近付いてくる?

 

「リュウヤ殿、よろしければ僕の所属してる騎士団の稽古に来てみませんか?」

「え?なんで?」

「中断になってしまった模擬戦の再戦をしたいのも理由ですが彼等にも貴方の実力を見せたいと思いまして・・・」

「・・・そっか・・・んじゃ空いてる日にでも行ってみるか」

 

バルターは礼を言って応接室を出て行った。

本当、いい奴だな。

 

「こ・・・・・・ここ・・・子ども・・・初孫・・・このワシに可愛い孫が・・・」

 

あっ・・・この人に変なスイッチ入っちゃった・・・

俺は無言で和真の肩に手を置く。

 

「おいなんだこの手は?」

「和真・・・」

「あ?」

「祝金・・・用意しとく」

「オラァッ!!!!」

「ゴホゥッ!!!!」

 

和真に見事なアッパーを食らった。

いってぇ・・・

そこで扉が乱暴に開きセナが現れる。

 

「サトウカズマ・・・サトウカズマはいるかああぁぁぁあああ!!!!!!!!」

 

どうやらまた別の面倒事らしい・・・




付近の貴族に竜弥の事を知られる為に新聞を使ったというね。
竜弥の使っている流派の名前は後々小説内で公開します。
分かっているとは思いますがオリジナルの流派です。
感想、誤字脱字、魔法応募等、お待ちしております。

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