この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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この話で40話か・・・
最近新しい小説のネタが思い付いて、この小説が完結して大学卒業したら書こうと思ってる。
・・・まぁこっちもかなり俺にとっては長編になってるけどね。
ともあれこの素晴らしい世界にイレギュラーを!はエタらずに処女作・初投稿作品として絶対に完結という名の成功を収めたいところ・・・


この素晴らしい世界にダンジョンを!

「キールダンジョンに新しい道が?」

「まぁね」

 

俺と和真は今、ギルド長室にいる。

事の発端は数分前、ギルドの役員に「ギルド長がカズマさんとリュウヤさんを呼んでいます」と言われたからだ。

俺達は何事かと思い、ギルド長室に来ていた。

そこで「キールダンジョンに新しい道が現れた」ということで俺らに探索を依頼したいらしい。

 

「別にいいんスけど・・・何で俺らみたいな初心者パーティを?」

 

和真が疑問に思うのも分かる。

確かにダンジョンって言うくらいだからとんでもない罠やモンスターがいる筈だ。

そんな場所に俺達が行くなんて自殺行為過ぎる。

 

「まぁ理由としては今日の成果を君達の屋敷弁償に()てる方がいいと思ってね」

 

レイモンドギルド長が言うにはダンジョンとはいってもキールダンジョンはあまり危険の無い為、初心者には持ってこいのダンジョンなんだとか。

レイモンドギルド長・・・マジ感謝です。

俺達は引き受ける事をレイモンドギルド長に伝え、ギルド長室を後にした。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「キールダンジョンねぇ・・・」

「?不安か?」

「まぁ・・・少しは・・・」

 

俺と和真は今、ギルドにある長テーブルで軽食を摂っていた。

 

「ダンジョンつったらトラップだよな・・・和真、お前確か敵感知とか潜伏とかのスキル持ってたよな?入る前にそれ習得させてもらいたいんだけど・・・」

「おう分かった」

 

和真にスキルを教わる約束をさせてもらい今後の予定を決めることにした。

 

「んじゃ帰りつつダンジョンのメンバーでも決め「ん?ダンジョンが何だって~?」・・・」

 

向こうから顔を赤くしてフラフラした足取りでダストが歩いてくる。

あいつ・・・こんな昼間から呑んでるのかよ・・・

和真がダストに近付いて何か交渉をしてる・・・

ん?10%OFFの横にキスマークのある長方形の紙が一瞬見えたけど・・・あっ・・・うん・・・気にしたら負けだ・・・

ダストは股間を隠して戻っていった・・・

 

「お前・・・何渡した?」

「ん?ちょっと大人な交渉だ」

 

和真が黒い笑みを浮かべてるけど・・・まぁいいか・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

キールダンジョンの入口前に来ている。

メンバーは少数精鋭がいいと和真が言った為、和真、俺の2人で入る。

女性陣も来ていたが、もし荷物が持てなくなったら少しずつ持ってもらうとの事で、和真が連れて来た。

因みにめぐみんはヤダと駄々を捏ねていたが俺がお願いすると渋々了承してくれた。

 

「ここがキールダンジョンか・・・」

「お~い竜弥、アイテムの整理しとけ~?」

「おう」

 

俺は、風呂敷にアイテムを広げていた和真に近付いて必要な物を選定していく。

・・・今思ったけど俺の自作魔法の【異次元空間】に入れておけばいいのでは?と思ったが皆を連れて来た理由がなくなってしまうので黙っておくことにした・・・

和真にスキルの【敵探知】と【潜伏】、後暗い所や遠くを見るのに役に立つ【千里眼】。

この3つを教わってダンジョンに入った。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

下り階段が続いている。

俺と和真は【千里眼】を発動して足場を確認しながら降りていく。

 

「結構深くないか?」

「・・・そうだな・・・」

 

俺は【銃製】でハンドガンを作り、階段の下の方に撃つ。

魔弾が眩しく光って階段の終わった所で消えた。

 

「一応【ライト】の魔弾使ったけど敵はいないみたいだな」

「助かった」

 

俺達は階段を降り切る。

上を見ると小さな光が瞬いている。

結構深いな・・・

奥から犬型のモンスターが俺達に迫ってくる。

 

「竜弥、基本は剣で、魔法は・・・・・・最小限で頼む!」

「そりゃ・・・そうだろう・・・なっ!」

 

俺は剣を抜きながら軽く躱し、モンスターに剣を突き刺して討伐した。

軽く剣を振って血を落とす。

 

「まだその道は無いみたいだな・・・」

「そうだな・・・トラップもあるから気を付け「へぇ~結構深いのね」・・・」

 

俺達はまさか・・・?と思いながら後ろを見る。

そこには水色の髪をした女性(アクア)が立っていた。

 

「お前も待機だって言った筈だが?」

「フフン!私を誰だと思ってるの?ダンジョンだろうが何だろうが私にかかれば1日で攻略出来るわ!」

 

いや・・・逆に面倒になりかねないと思うのですが・・・?

俺は仕方なく和真に「この際だから連れて行こう・・・」と言って和真も渋々受け入れてくれた・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

和真の持つ地図を3人で見る。

一応姿勢を低くして下っていく時に気づいた。

 

何かいる。

 

和真と俺は目配せして、和真がアクアに『下がれ』のジェスチャーをする。

まぁアクアでもこの位は伝わる─────

 

「何?何?指芸披露してんの?もぅカズマ・・・もっと明るくしなさいよ!犬とかそんなみみっちい指芸じゃなくて機動要塞デストロイヤーとかの大物を見せてやるわ!」

「馬鹿か!?敵が来てるから下がってろっていう合図だ!」

 

─────訳が無かったよ!

和真の大声に何かが駆け上がってくる!

 

「っち!おらよっ!!!!」

 

俺は剣を抜いて討伐した。

 

「危ねぇ・・・ってか何だ?これ?」

「グ・・・グレムリンっていう下級悪魔ね。ダンジョンには弱い悪魔がたまに湧くのよ」

 

あ~そういう事・・・

その横で和真が何かを思い出したようだ・・・

 

「な・・・なぁアクア?お前ってどこまで暗闇でも見えてるんだ?」

「え?昼間とほぼ変わらないわよ?」

 

え?マジで!?凄いなそれは・・・

 

「・・・あの・・・前に俺が夜中にゴソゴソしてるの知ってた?」

 

・・・え?和真・・・お前・・・アクアでナニをしていた?

 

「あぁ、それならゴソゴソし出したら反対に向いて寝るようにしてたけど?」

「・・・・・・・・・ありがとうございますアクア様」

「和真・・・お前まさかアク「竜弥・・・頼むからそれ以上は止めてくれ」アッ・・・ハイ・・・」

 

まぁ・・・うん・・・数少ない和真の尊厳は厳重に守っておこう・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

小さな部屋に辿り着く。

 

「一旦物色だな」

「そうだな」

 

3人で色んな所を探っていく。

 

「竜弥~そっちはなんかあったか~?」

「いや・・・ハズレだ。そっちは?」

「こっちもだ・・・チッ・・・ロクなのがねぇな・・・」

「ねぇカズマ、そういう言い方されると私達こそドロみたいに聞こえるんですけど・・・?」

 

3人でボヤきながら捜索するも宝は見つからない。

ハズレの部屋・・・若しくは既に他の冒険者に持ってかれたな・・・

 

「あ!見て見て!あそこに宝箱がある!」

 

アクアが喜んで近付こうとしている。

咄嗟に和真がアクアの襟を掴んで止めた。

まぁ止めた和真が正解だな。

 

「やっぱ和真も気付いたか?」

「まぁな【敵感知】がすっげぇ反応してる」

 

そう・・・アクアが近付こうとしたのは宝箱ではなくモンスター。

和真が近くにあった石を投げると大きな口が現れて石を喰らった・・・

もしもアクアが近付いてたらと思うとゾッとする。

 

「アクア・・・もう少し警戒して動いた方がいい・・・じゃないと死ぬぞ?」

 

俺の忠告にブンブン!とアクアが首を縦に振った。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「この先だな・・・ん?」

 

何かを見つけ近付く。

人の骸骨のようだ。

 

「まさか骸骨があるとはな・・・ってどうした?和真」

「いや・・・うん・・・何でもない・・・」

 

和真は骸骨に目を背けている。

 

「竜弥、ちょっといい?」

 

アクアが骸骨に近付いて手を翳した。

 

「【セイクリッド・ターンアンデット】」

 

骸骨が光出して消滅した。

そうか、浄化をやったのか。

 

「まだアンデットが出でくるのであればアクアがメインになりそうだな・・・」

「・・・そうだな・・・」

 

何かの気配がして振り向く。

そこには大量のアンデットが迫って来ていた。

 

「アクア、浄化を頼む【セウシル】!」

 

俺はアクアに浄化魔法を頼み、和真と自分を作った半球状の防御魔法の【セウシル】で覆う。

 

「【ターンアンデット】!【ターンアンデット】!【ターンアンデット】!【ターンアンデット】!【ターンアンデット】!【花鳥風月】!【ゴッドブロー】!!!!」

 

何だろう・・・アクアがすっげぇストレス発散してるように見える・・・

まぁ、フィーリィもアークプリーストだけどこんな状況下になったら怖がって浄化どころじゃないからアクアが来て正解だったかな?

 

「ふぃ~♪」

 

清々しい笑顔で「さっ!行きましょ!」って言ってる・・・

余程ストレスが溜まってたんだな・・・

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

地図に沿って道を歩きつつ、アンデットの魂を還しながら行き止まりに着いた。

 

「ここか?」

「多分な」

 

目の前にはレンガが積まれた壁。

所々のレンガが若干ながらはみ出ている。

 

「こういうのってお決まりでどれかのレンガを押し込めば開くか即死の罠なんだよな・・・」

「やっぱり?てか竜弥って前世がアレなのによくそんなの知ってんのな?」

 

いや・・・澄玲が転生ファンタジー小説好きで助かったよ・・・

前なんかそういった小説の話、目をキラキラさせながら延々と説明されたしな・・・

その大半の被害者が彩香だったけど・・・

和真に「妹の知り合いにそういう小説が好きな奴がいた」と説明して目の前のレンガを押し込む。

青白い光が現れ、レンガ同士の淵を通って消えていく。

ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・とレンガの壁が真ん中を境に両サイドへと開いていく。

やはり隠し扉だったか・・・

 

「そこにプリーストがいるのか?」

 

奥から声がする。

声からして男だ。

俺は【剣製】で刀を、和真は装備していたショートソードを構える。

警戒しながら中に入る。

 

「和真、気ぃ抜くなよ?」

「たりめーだ」

 

お互いに軽口をいいながら入っていく。

部屋があった。

そしてその部屋の奥に魔王が座りそうな椅子に腰掛けた男性を見つけた。

だがその男性はフードを被っていて、顔はよく見えてないけど、どう見ても人間の顔では無かった。

 

「私はこのダンジョンを造った者・・・キール。貴族の令嬢を攫った悪い魔法使いさ・・・」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

遠い昔、民から尊敬されていた1人の魔法使いがいた。

 

その名はキール。

 

国王はキールにどんな願いでも一つだけ叶えようと言った。

そしてキールは国王に言った─────

 

『自分の愛する人がもう虐げられないようにして欲しい』

 

─────と

 

彼女はご機嫌取りの為に嫁がされていた女性だった。

だが国王はその女性を気に入ってはおらず、日々、虐げられていたという。

 

キールはその女性を愛していた。

 

 

要らないのなら・・・自分が欲しい─────

 

 

自分にくれ─────と国王に言った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「そう言って私はその令嬢を攫ったのだよ~!」

 

とかなり軽いテンションでアンデットは言った。

ってかおいキール・・・お前のその態度でシリアス感、見事に粉砕されてるぞ・・・?

 

「・・・というか話を聞く限り悪い魔法使いってよりかは良い魔法使いって感じだな・・・」

 

まぁ和真の言う通りだな・・・

 

「まぁそういう事かな~?で、その攫ったお嬢様にプロポーズしたらすぐOK貰っちゃった!その後そのお嬢様と愛の逃避行とかしちゃってねぇ~!王国とドンパチやっちゃった訳だ!いや~あれは楽しかった!あ!因みにその攫ったお嬢様がそこに眠ってる人だよ?どう!?鎖骨のラインとか美しいだろ?」

 

ベッドに横になってるお嬢様は既に白骨化していた。

鎖骨のラインて・・・マニアックだなぁおい・・・

先程からアクアは浄化しようとしてるけど俺が止めてる。

 

「どう?って言われても・・・なぁ?」

「まぁ・・・困るとしか言いようがねぇな・・・」

「ん~この方なら安らかに浄化されてるわね」

 

そしてキールはすんなりと落ち着いた。

 

「でだ。君達にお願いがあってね・・・私を浄化してもらえないだろうか?その水色の髪した貴女はそれを出来る程の力を持ったプリーストなのだろう?」

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

アクアは今、浄化魔法に使う魔法陣を書いている。

書いてる最中に聞いたんだが、キールはそのお嬢様を守る為に人間である事を止め、リッチーになったらしい。

お嬢様を守る為に自分の身すら投げたのか・・・

なんというか・・・スゲェな・・・

 

「さ!準備OKよ!」

「いや~助かるよ。アンデットの身で自殺なんてシュールな事、出来なくてね・・・ここで朽ち果てるのを待ってたらとてつもない神聖な力を感じてね・・・思わず永い眠りから覚めてしまったよ」

 

キールが魔法陣に歩いていく。

 

「神の理を捨て、自らリッチーと成ったアークウィザード、キール。水の女神アクアの名において貴方の罪を赦します。目が覚めると、目の前に不自然に胸が膨らんだ女神が居るでしょう。例え年が離れていても、それが男女の仲でなく、どんな形でも良いと言うのなら・・・彼女に頼みなさい。再びお嬢様に会いたいと。彼女はきっと、その望みを叶えてくれるわ」

 

その言葉にキールは深々と頭を下げる。

 

「【セイクリッド・ターンアンデッド】!」

 

眩い光が部屋全体を包み込み、光が収まり、キールとお嬢様の骨は消えていた。

 

「・・・・・・んじゃ、帰るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上へ戻る最中、俺達はずっと無言だった。

 

「あのリッチー、またお嬢様に会えるのかな?」

「・・・・・・どうかしらね・・・まぁ、エリスなら何とかしてくれるでしょう」

 

返事は素っ気ないが和真はそうか・・・と言う。

 

「なんというか・・・竜弥に似てたな」

「は?俺に?」

「竜弥だって彩香ちゃんの事ずっと守ってたんだろ?あのキールって奴も人間を止めてまでお嬢様守ってたからさ・・・」

 

・・・そう・・・なのかな・・・?

 

「そう言えば、あのリッチー良い人だったな。自分にはもう必要ないって、タンスに仕舞ってた財宝全部くれたぞ。どのぐらいの価値があるか知らないけど、帰ったら山分けな」

「・・・そうね。彼等の分まで大事に使ってあげましょう」

「・・・なぁ、アクア。今思ったんだけどあの人、とてつもない神聖な力を感じで目覚めたって言ってただろ?このダンジョンでやたらとアンデッドに会うのってお前と一緒に居るからじゃないよな?」

 

和真のその言葉に、アクアさんはビクッとして立ち止まる。

 

「そ・・・そそそそ、そんな・・・そんなことはない・・・と、思うわ・・・・・・?」

「そういえば確かに・・・アンデット達、【セウシル】張ってる俺達は無視してアクアの元に行ってた気が・・・」

 

俺の言葉に更にビクッ!と震えるアクア。

俺と和真は全てを理解し、アクアから一歩距離を取る。

 

「ね・・・ねぇ、カズマ、リュウヤ?なんでそんなに距離を取るの?いつモンスターが襲って来ても言い様に、私達もうちょっと近くにいるべきじゃない?そ、それに!私がチョークでつけてきた印は、果たして2人の貧弱な暗視で確認できるのかしら!?」

 

その言葉に、俺達は距離を取る足を止める。

 

「そうよ!私だけこんな所に置いて行こうとしたって、そうは行かないわよ!この状況ならお互いの立場は五分と五分!いいえ、帰り道を知り、アンデッドも倒せる私がいなかったら、2人だけじゃ帰れないわ!」

 

その時、遠くからモンスターの遠吠えが聞こえた。

すると、カズマは無言で【潜伏】を使い、暗闇に隠れる。

俺もそれに伴い【フィルターフィールド】を張る。

 

「ちょ、ちょっとカズマ、待って!?何潜伏してるの!?それにリュウヤ!なんで【フィルターフィールド】張ってるの!?ごめん、ごめんなさい!私が悪かったわ!悪かったから、私にも潜伏スキル使ってよ!リュウヤもフィルターの中に入れてよ!?ごめんなさい、カズマ、リュウヤ!ねぇ、カズマ様ァ!リュウヤ様ァ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で・・・この状況は何なんですか?」

 

めぐみん達の目の前には涙で顔をぐちゃぐちゃにしたアクアと息を切らしてる俺と和真がいた。

結局の所、俺はアクアを抱え、和真と走って逃げてきた。

自分達は【フィルターフィールド】に入りながら逃げてきたから良かったものの・・・無かったら絶望的だったな・・・

外で待ってた女性陣と宝を分け持ち、俺達はギルドへと帰っていった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「なぁ竜弥」

「ん?」

 

和真が帰っている途中で話し掛けてくる。

 

「確かお前の【フィルターフィールド】とか【セウシル】って自作魔法だから後々修正入れたりとか、入れられる対象に条件とか、色々付けたり出来るよな?」

「・・・まぁそうだけど・・・?何?ダンジョンに入ってる間、ずっと張ってろと?でもそれだけだから暗いままだぞ?」

「いやアクアがいた分【ドレインタッチ】があるから魔力は大丈夫だ。俺が言いたいのは暗視モードとかを付けて同時発動するように設定すれば悪魔や魔物は入って来れないから、俺達、もっと安全に行けたんじゃないかと思ってな・・・」

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その手があったかあああぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!

 

「遅せぇよ!?何で今言うんだよ!?」

「逆ギレか!?お前の事だから既にやってると思ってたんだけど!?」

 

そうですよ!!!!確かにそうですよね!!!!

俺は帰った後、【魔法生成機】にある魔法を全体的に見直そうと決意しました。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

ギルドに着いてレイモンドギルド長に終わった事を伝え、広間に戻った。

テーブルには宝の山があった。

 

「結構な額いくんじゃねぇか?これ」

「だな・・・んじゃちょっとだけ使ってお祝いでもするか、今日は気分がいいから奢ってやるぜ?」

「和真からそんな言葉が聞けるとはな、明日は大雪か?」

「ほっとけ・・・まぁ奢りだから好きな「え!?カズマが奢ってくれるって!?」え・・・?」

 

声の主はダストだった・・・

 

「お~い皆~!カズマが奢ってくれるってよ~!」

 

ギルド全体から拍手、歓声が響き渡る。

いやお前らのは払わねぇからな!?

俺がそう言おうとした時だった。

 

「・・・・・・・・・る」

「?どうし」

「皆纏めて奢ってやらあああぁぁぁぁああ!!!!!!!!」

 

はああああぁぁぁぁあああ!?!?

俺は和真を止めようとしたがこんなに盛り上がってるんだ・・・うん止められない・・・

結局ギルドにいる人達の分まで奢ることとなりました・・・

 

「カズマカズマ!あれやってくれよぉ!」

 

ダストが1枚の布切れを持って和真を呼んでる。

あ・・・【スティール】ですか・・・

 

「え~?しょうがねぇなぁ~!」

 

和真が人混みを分けて出ていく。

その手は・・・うん・・・変態だ・・・

 

「【スティール】!」

 

和真の手が光ると同時にガチャ!とギルドの出入口のドアが開く。

クリスが入ってきた。

 

「何何!?カズマが奢ってくれるって!?キャッ!?」

 

光が止む頃には和真の右手には白い三角の布が・・・またか・・・

 

「「「「「イエエエェェェェエエイ!!!!」」」」」

「イヤアアァァァアア!!!!パンツ返してぇぇぇええ!!!!!!!!」

 

そこにはいつも通りの騒がしい光景が広がっていた。

 

「全く・・・」

 

めぐみんがやれやれとした顔で和真達を見ていた。

 

「いいんじゃないか?」

 

俺の声にパーティメンバーが俺を見る。

 

「最近は裁判や借金とかで息が詰まってたからな・・・少し位はハメを外させてやろうや・・・」

 

そういう俺も頬杖をしながら遠目で皆とはしゃいでいる和真を見ていた。

やっぱり、このパーティメンバーにはこんな光景の方が合ってるな・・・

パンツを奪い取ったクリスが俺の横に座る。

 

「聞いたよ~?ダンジョンの新しい道、クリアしたんだってね!」

「まぁな・・・その報酬は今の宴会に殆ど消えると思うけどな」

 

俺はクリスに苦笑しながら答える。

 

「そういえばさ、黒い板を持ってるって聞いたんだけど・・・見てもいい?」

 

クリスがお願い!と両手を合わせ、上目遣いで頼み込んでくる。

まぁ見せるだけならと思ってクリスに【魔法生成機】を渡した。

ってあれ?俺、クリスにこれ(魔法生成機)持ってる事言ってたっけ・・・?まぁいいか・・・

クリスが何かを取り出しながら【魔法生成機】を触ってる。

 

「これってさ・・・なんか出来るの?」

「さぁ?ここに来る時に渡されたから俺も分からん」

 

クリスには悪いけどこれで魔法が作れるのは黙っておこう・・・

そう思って飲み物を飲もうとした時だった。

 

パァン!!!!

 

横で何かが弾けた音がした。

その方を見てみるとクリスが驚いた表情で固まっていた。

音は歓声によってかき消され、他の奴らの視線も和真達に集まってるから気付いたのは俺だけだった。

 

「・・・何やったお前・・・?」

 

クリスは汗をダラダラとかいている。

 

「えっ・・・!?いや~あの・・・触ってたら急にこうなっちゃって・・・アハハハ・・・」

 

本当かよ?

そう思いながらもクリスは俺に【魔法生成機】を返した。

そしてクリスは立ち上がって「明日も早いからじゃあね!」と言ってギルドを後にした。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「やっぱりダメだったか・・・」

 

ギルドの裏、人通りが少ない裏道で女神エリスが自分の手の平に乗る、破れた札を見る。

この札は神器に入っている不確定要素を取り除く代物で、基本は神界・・・和真や竜弥等、転生する者が来る所で使うものだ。

この札、成功すると不確定要素のある神器に触れている面とは反対、つまり外気に晒されている部分から黒い煙が出てくる。

それが不確定要素が抜けた証拠となっている。

クリス・・・いやエリスは少ない可能性に賭けて現世で使おうとしたが結果はご覧の通り、無残にも破れてしまった。

 

「やっぱりダメだった?」

 

声を掛けられて振り向いた。

アクアだ。

 

「はい・・・やはり現世ではダメですね・・・」

「そりゃあそうでしょ・・・それだって元は神界で使う代物よ?考えは悪くないとは思ったけど・・・」

「さすがに現世では無理ですね・・・アクアさんの方はどうですか?」

「こっちもダメ・・・現世に来てから力が制限されててリュウヤの目を盗んで【終わりのセラフ】だけを壊そうとしても弾かれる・・・だから・・・」

 

「「現世でも使えて、【終わりのセラフ】と対抗出来るレベルの何かが必要」」

 

アクアとエリスの考えは一致していた。

だがその「何か」がどんな代物かお互いに分からない。

 

そしてそんなやり取りが竜弥の知らない所で行われていることも竜弥本人は知らないのは言うまでもない────




ちょっと聞きたいんですけど1つ1つ長いですかね?
一応この話は大体8700文字ちょいなんだよね。
まぁご指摘が無ければこのまま突き進みますけど。
というかお気に入り登録しか気にしてなかったけど全話PVが10万を超えていた件について。
こっちも驚いたわ。
次は番外編!
お楽しみに!
感想、誤字脱字、魔法応募等、お待ちしております!

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