この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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今日は3本お送りします!


この素晴らしい世界へ転生を!

気が付くと俺は一つの椅子に座っていた

向かいに真っ白な椅子、モノトーンの床そして上は宇宙の様な空間になっていた。

 

「ここは・・・?」

「一条竜弥さんですね?」

 

後ろから声がする。

振り向くと青いローブに身を包んだ長い銀髪の女性がこちらに近付いてくる

そして俺の横を通り過ぎ、そのまま白い椅子に座った。

 

「私は女神エリス、貴方は先程お亡くなりになりました」

「・・・まぁそうだよな・・・あの後兄は?」

「貴方のお兄さん、一条秀さんは翔さんが通報した警察により逮捕されました」

「そうか・・・」

 

女神エリスが話を続ける。

 

「先程も言いましたが貴方はお亡くなりになりました。そんな貴方に選択肢があります。

一つ目は記憶を消して元の世界に戻る事

二つ目は何も無い天国に行き、何もせずに暮らす事

この2つがあります」

「・・・」

 

俺は黙ったまま考える。

一つ目は記憶が消えるが元の世界に帰れる

それは彩香や翔、澄怜等の友人や家族の事も忘れてしまう

それは流石に避けたかった。

二つ目は何も無い所で何もせずに暮らす。

ある意味楽ではあるがこれが何年も続くとなるとこちらも避けたかった。

 

「どちらも選べない場合、もう一つの選択肢があります」

「それは?」

「はい、知識や記憶はそのままで異世界に行くことです」

 

なるほど・・・記憶や知識がないのならそれを選びたい・・・でも・・・

 

「そこって多分モンスターとかダンジョンとかあるんだよな・・・?」

「はい、いますね」

「なら戦闘経験の無い奴が異世界に行っても直ぐに死ぬんじゃ・・・?」

「はい、ですので転生者に一つ優れた武器や能力を持っていけるようにしているのです」

 

成程・・・そうなれば生存率も上がる

ならばと考え、俺は三つ目を選んだ。

 

「承りました、ではお選び下さい。」

 

エリスは複数の紙を床に散りばめる

その中から気になる物を見つけた。

 

【魔法生成】

魔法名・発動条件・発動内容を打ち込むことでその内容にあった魔法を使用する事ができる

 

俺はよく漫画を借りて読んでいる

ならその漫画の魔法やも出来るのではないか?

いや魔法だけじゃない、能力・・・異能といった類も魔法として使えるのでは?

そう考えその紙を拾い上げた。

 

「それでいいですね?では「ちょっと待ってくれ」・・・何か?」

 

エリスがキョトンとした顔でこちらを見る。

 

「別件で一つだけ頼めないか?」

 

「・・・内容は・・・?」

「それは──」

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

「それが何を意味するのか・・・分かった上でそれを言ってるのですか・・・?」

 

エリスの声と顔に少しだけ悲しみが見える。

まぁ無理もないだろうな

 

「分かってる・・・だから頼んだ・・・」

「・・・理由をお聞かせて頂いても宜しいですか・・・?」

 

理由か・・・簡単だ

 

「あいつらに責任を感じてほしくない・・・ただそれだけだ・・・」

 

エリスは何を言っても聞く耳は持たないと感じたのか軽く溜息を付く。

 

「分かりました・・・ですが完全には出来ません、靄が掛かったその位の方でしか出来ませんが宜しいですか?」

「・・・それでいい」

 

承諾すると俺の足元に魔法陣が現れる

 

「では一条竜弥よ、願わくば、数多の勇者候補の中から、貴方が魔王を打ち滅ぼすことを祈っています。さすれば、神々の贈り物として、どんな願いも一つ、叶えて差し上げましょう」

 

勇者候補か・・・縁は・・・無いな。

 

「あぁそれと向こうの世界に転生者と一緒に飛ばされた私の先輩が居ますのでよければ手助けなどして頂けると助かります」

 

女神持って行くって・・・頭大丈夫かよ・・・

 

こうして俺は転生していった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

竜弥が転生してこの空間にエリスだけが残る。

 

「まさかあんな頼みをされるとは・・・」

 

エリスが竜弥の言ったことを思い出す。

 

『俺と関わった奴等から俺と居た記憶の全てを消してくれ』

 

(確かに前世での方達には死なせてしまったという罪悪感は消えるでしょうね・・・)

 

竜弥が死んだ事を彼の友人や家族は忘れ、普段の日常を暮らす。

自分の友人、自分の家族として死なせてしまったという罪悪感は消える、たがそれと同時に彼らの中で〈一条竜弥という人間はいなかった〉という残酷な選択としか思えなかった。

 

バラ撒いた紙を集める時に思い出す。

確かアクアさんに一つの神器に不具合があるから説明して他の神器を選ばせるように言われたような気がする・・・どれだっけ?

確かアクアさんが書いたメモを貰って本に挟まってたような・・・

ペラペラと本を捲る。

あ・・・あった・・・なになに?

 

《神器の一つ、【魔法生成】の隠しシステム[パンドラ]に不具合がある為、選んだ人には説明して他の神器を選ばせる事、もし選んで転生させた際は罰として神器回収を行ってもらいます》

 

私は【魔法生成】という単語を見て真っ青になる。

・・・やっちゃったあああぁぁぁぁあ!!!!

どうしよう!?本当にどうしよう!?

でもアクアさんの事だからこの位の罰、見逃してくれる────

 

《神器回収すっぽかした際は胸パッドの事、全神にバラします♡》

 

────筈がなかったああぁぁああ!!!!

ガクッと項垂れる。

 

「仕方ありませんが両方共やるしかないですよね・・・」

 

エリスは呟くと記憶を操作する作業と神器を回収する準備に入った。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

~最初の街アクセル~

 

 

「マジか・・・」

 

竜弥の目の前にはレンガで造られた家が並ぶ。

マジで異世界かよ・・・そう思いながら歩き出す。

何歩か歩いてズボンのポケットに違和感を感じる。

手を突っ込み、取り出した。

小さな袋だ。

中には手紙とお金らしきもの、そして長さ6cm、幅3cm、厚さ5mm程の黒い物体が入っていた。

翔が持ってたスマホと似たような物か?と思って色々弄ったが反応しない

黒い物体は後回しにして、次に手紙を開いてみた。

 

【貴方がこれを読んでるということは転生が成功したというわけですね、そこに入ってるお金はギルド登録手数料と雑費として5000エリス入れておきました。それと黒い板の様な物は魔法を作る装置【魔法生成機】です。起動と念じるか言う事で動きます。では、そちらでの生活をお楽しみください】

 

ジャラッとお金を取り出す

金貨10枚・・・金貨1枚500エリスって訳ね・・・

んでこれで魔法を作れるって訳か

俺は試しに言ってみることにした。

 

「起動」

 

言った瞬間に1辺10センチの透き通った緑色の画面が空中に現れる。

画面は上半分に魔法名・発動条件・発動内容と書かれている、下半分にはキーボードがあった。

ここに打ち込むんだな・・・

 

「おぉ!」

 

感心して声が出てしまった。

ヤバい・・・通行人に変な目で見られてる・・・。

気を取り直して・・・と言ってもどうするか・・・取り敢えずステータスが気になるな・・・よし・・・

早速打ち込むことにした。

 

【魔法名:ステータス

発動条件:対象に手を翳す

発動内容:手を翳した対象のステータスを見る】

 

ENTERを押して魔法生成終わりと同時に若干身体がムズ痒くなる。

魔法が俺の中に適応された証拠か・・・?

まぁ取り敢えず魔法生成で作った魔法で俺のステータス見てみるか・・・

右手を胸元に寄せて・・・

 

「【ステータス】」

 

・・・うおぅ!?

様々な情報が流れて来る

・・・だから変な目で見ないで・・・

 

【名前:一条竜弥

性別:男

攻撃力:20

防御力:34

魔法力:22

魔法防御力:22

俊敏性:10

知力:30

幸運:18】

 

・・・これ・・・凄いんだろうか・・・?

いや多分平均かそれよりやや下なんだろう・・・あれ・・・自分の実力を突きつけられたからか目から汗が・・・

まぁ底上げするしかないよな・・・

また俺はキーボードで魔法を生成する。

 

【魔法名:エターナルバースト

発動条件:魔法を唱える

発動内容:大気から魔力を取り込み自分の上げたいステータスを底上げする

その際、一時的か永続かも選択可能】

 

ここに来て前世の工業高校に通いプログラミングを勉強した介があったと思う。条件や内容が簡単に打ち込めた。

ENTERを押して・・・っと

また身体がムズ痒くなる。

試しに人気のない所の木を魔法を唱えていない状態で殴ってみる。

ゴッ・・・と鈍い音が鳴るが折れない・・・てか痛い・・・

次に魔法を唱えてみた。

 

「【エターナルバースト:永続

攻撃力、防御力、魔法力、魔法防御力、俊敏性のみ】」

 

唱えた瞬間、俺の身体が数秒間薄く光る

心無しか身体も軽く感じる。

・・・行けるか・・・?

もう1度殴ってみる。

木はバキバキと音を立て殴った部分を境に折れた。

 

「マジかよ・・・」

 

騒ぎになるので離れよう

そう思って俺は走り出した

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

数百m走った所で息を整え再度【ステータス】を唱えた。

 

【名前:一条竜弥

性別:男

攻撃力:200

防御力:340

魔法力:220

魔法防御力:220

俊敏性:100

知力:30

幸運:18】

 

幸運と知力を除く全ステータスが10倍になっておりました!

 

「こんだけ上がれば問題ねぇだろ・・・」

 

俺は改めてギルドへ向かった

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

「これがギルド・・・」

 

俺は今ギルドの建物の目の前に立っている。

そして真っ先に言えること・・・

デカい・・・流石冒険者の集まる場所と言うべきか圧巻だ・・・

俺は気を引き締めギルドのドアを開けた。

ギルドの中も凄かった。

支柱の上の方には長い竜の様な骨、中国の龍・・・シェンロンと言ったか、それっぽい1体の竜が複数の支柱と紐によって吊されている。

そして、テーブルやカウンターにはローブを着た者や鎧を装備している者など、様々な人がいた。

 

「おい」

 

声のした方を向く

そこには厳つい体格をした冒険者がいた。

 

「見ない面だな・・・それに何だその妙なナリは?」

 

新顔に気付くとはな・・・

 

「冒険者登録をしたいんだが・・・」

「ほぉ・・・自ら危険な橋を渡るとはな・・・面白ぇ・・・受付ならこの奥だ」

「助かった」

 

俺はそれだけを言い、受付に向かった。

 

「あの・・・冒険者登録をしたいんすけど・・・」

 

金髪の女性がにこやかに対応する。

 

「はい、ではまず手数料として1000エリスを頂きます」

 

俺は直ぐに金貨2枚を置く。

 

「丁度ですね、ではこちらのカードに名前と性別を書いた後にこの魔法具に手を翳して下さい」

 

俺は名前、性別を書き水色の水晶の付いた魔法具に手を翳した。

 

「イチジョウリュウヤさんですね・・・ってハアアァァァァァアア!?!?幸運と知力を除く全ステータスが平均値を大幅に超えてますよ!?貴方何者なんですか!?」

 

でしょうね・・・魔法生成した魔法で強化したんですから・・・

スタッフの驚いた声に周りの冒険者が俺を見始める。

この視線慣れません・・・

 

「えっと・・・イチジョウリュウヤさん、職業の方はどうされますか?これだけのステータスならどの職業でもやって行けるかと・・・」

「う~ん・・・汎用性の高いのでいいかな・・・」

「汎用性の高いものだと最弱職の冒険者しかありませんよ?」

「ならそれで」

「いいんですか!?」

 

いいんです。

正直言ってパーティを組めるほど信頼出来た奴はまだいない、なら汎用性の高い冒険者なら回復魔法も使える筈だ・・・ん?魔法生成出来るから関係なしなのか?まぁいいや・・・

 

「ではイチジョウリュウヤさん、貴方のこれからの活躍に期待してます」

 

こうして一条竜弥の新たな人生が始まった。




さぁて・・・どれほどチート野郎になれっかなぁ~?(ニヤニヤ

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