この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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試しにゆんゆんキレさせてみた。


Collision

めぐみんが出て行って2日が経つ。

俺を含め、全員が落ち込んで会話も無かった。

レイシャは今、ギルドでレイモンドの親父さんに今回の騒動を伝えに行ってる。

 

「おい、竜弥」

 

和真が座ってる俺に近付き、横に座る。

 

「・・・なんだよ・・・」

「このままでいいのか・・・?」

 

恐らく和真の言ってる事はめぐみんの手紙の事で間違いない・・・

和真は「このまま、めぐみんがこのパーティメンバーから外れてもいいのか」と言ってるようなものだ。

 

「・・・リーダーはお前だろ・・・ならお前が・・・」

 

和真がいきなり立って、俺の襟を掴み上げる。

 

「お前・・・本気で言ってるのか・・・?」

「・・・」

 

和真は苛立ってる・・・

はっきり言うと俺は今、めぐみんと合わせる顔が無い・・・

だから俺は強がって言ってしまった。

 

「そうだよ・・・」

「・・・!てめぇ!いい加減に!」

 

パァン!

和真が俺を殴ろうとした直前、ゆんゆんが俺の右頬を平手打ちした。

 

「お前・・・何し・・・」

「・・・目は覚めましたか?」

 

ゆんゆんが俺を睨み付ける。

 

「今回、めぐみんがこの家を出ていった理由はリュウヤさんにあります・・・ならその本人が行かないでどうするんですか?」

 

・・・分かってるよ・・・めぐみんとはよく魔法を撃ちに行ったり、話したりもした。

けど・・・

 

「今行っても・・・どうにも出来ねぇよ・・・」

「・・・」

 

ゆんゆんは諦めたのか、俺に背を向ける。

 

「目の前の問題から逃げるんですか・・・リュウヤさんはそういう最低な男性だったのですね」

 

ゆんゆんの言葉に何かがキレた感じがした。

 

「・・・おいテメェ・・・今何て言った・・・?」

「何度でも言います・・・リュウヤさん・・・貴方は自分がした失態に目を背ける・・・そんな最低な方です」

 

俺はなりふり構わずゆんゆんに殴り掛かる。

だがダクネスによって制され、床に身体が横たわる。

 

「離せよ!ダクネス!おいゆんゆん!テメェ言っていい事と悪い事が!」

「もう止めろリュウヤ!!!!」

 

ダクネスのでかい声がリビングに響く。

 

「何でめぐみんが出て行ったのか・・・リュウヤ・・・お前だって分かっている筈だ・・・一先ず頭を冷やせ・・・」

 

・・・何で出て行ったか・・・そんなのは分かる・・・

 

「んな事・・・分かってる・・・俺が無茶をしてる事だろ・・・」

「それもある・・・だけど他にもあるのは知ってるな・・・?」

 

・・・他の事・・・?思い当たるのは・・・

 

「めぐみんは・・・リュウヤさんと共に闘いたかったんです・・・」

 

ゆんゆんが振り返るも、俺はゆんゆんの顔が見れないように俯いてしまう。

 

「前にめぐみんが私に相談に来たんです・・・『どうすればリュウヤは私を頼ってくれると思いますか?』・・・って」

 

・・・めぐみんのやつ・・・そんな事を・・・

 

「私は『爆裂魔法以外にも何か魔法を覚えたらどうかな?』と言ったんです・・・だがめぐみんは首を横に振りました。『確にそれならすぐに解決します・・・けど私は・・・爆裂魔法で彼に頼られたいんです。』そう言ってめぐみんは譲りませんでした・・・確かにめぐみんの爆裂魔法は強力ですが一発しか撃てません・・・リュウヤさん・・・貴方は魔法も剣の腕も強い・・・でも、少しだけ・・・少しだけでいいですからめぐみんや私達を頼ってみてはどうなんですか?」

「・・・」

 

俺は何も答えられなかった。

 

「リュウヤさん・・・リュウヤさんが何故、身体に傷を負ってでも私達を守ろうとするのかは問いません・・・ですがそんな事を続けて飛竜の時の様に、本当に命を落としたらと思うと気が気では無いんです・・・」

「んな事は分かってる・・・」

「本当に分かっているのですか・・・?」

 

俺がふと顔を上げる。

ゆんゆんは涙を流していた。

 

「ゆんゆん・・・お前・・・」

「何故なんです!?・・・何でリュウヤさんは無理ばかりをするんですか!?何で自分1人で解決しようとするんですか!?

リュウヤさんが強い事は分かってます・・・それでも・・・それでも私達はパーティメンバーですよね!?なら少しでも・・・少しでいいですから私達!めぐみんや私だけではありません・・・パーティメンバー全員を頼ってください・・・!」

 

ゆんゆんが顔を隠して嗚咽する。

 

「私はこのパーティに加わって毎日が楽しかったんです・・・アクアさんやカズマさん・・・リュウヤさんにめぐみん、レイシャさんやダクネスさん、シノアさんやフィーリィさんといる日々を・・・私は大事にしたいんです・・・!欠けてほしくないんです・・・!!!!

1人でも欠けたらと思うと私は怖くなってしまいます・・・

飛竜戦の時、リュウヤさんは瀕死の重症を負いました・・・その時思ったのです・・・

私がすぐに異変に気付き、対処していたらリュウヤさんは瀕死にならずにすんだのでは・・・?と・・・

私はグリフォン戦の時、リュウヤさんが私のフォローを褒めてくれた時、嬉しかったんです・・・

他の人に私の実力が認められた気がして・・・嬉しかったんです・・・

リュウヤさんが冬将軍と対立した時、私は気が気ではありませんでした・・・

危険です・・・皆で逃げましょう・・・そう思ってました・・・

でもリュウヤさんは勝った・・・

リュウヤさん・・・1人で抱えないで下さい・・・1人で背負わないで下さい・・・

私達はパーティメンバーなんです・・・

少しでもいいんです・・・1回だけでもいいんです・・・頼って下さい・・・私達と一緒に闘ってください・・・お願いします・・・リュウヤさん・・・」

 

ゆんゆんは俺を抱き締め、涙を流しながら自分の本音を吐き出した。

 

レイシャと・・・ゆんゆんの言う通りだ・・・独り善がり過ぎた・・・ここには彩香はいない・・・俺はこいつらを彩香みたいな弱い人と思っていた・・・

過去に囚われ過ぎた・・・

なんだよ・・・レイシャの言ったまんまじゃねぇか・・・

ワイバーンの時だって結局心配掛けたじゃねぇか・・・

俺・・・馬鹿みたいだな・・・

1人で突っ走って・・・・・・心配させて・・・・・・こんなんじゃ日本での俺と変わんねぇじゃねぇか・・・

 

 

俺の中で決意が固まった気がした。

 

「リュウヤ・・・さん?」

 

俺は立ち上がり、深呼吸する。

・・・やるしか・・・ないよな・・・

 

「行ってくる・・・」

「え・・・?」

「えって・・・めぐみんの所にだよ・・・」

「竜弥・・・お前」

 

俺は玄関に歩く。

 

「お前ら・・・ありがとな・・・んじゃ行ってくるわ!」

 

だがその時だった────

 

《デストロイヤー警報!デストロイヤー警報!冒険者各位は至急、ギルドまで集合して下さい!繰り返します!冒険者各位は至急ギルドまで集合して下さい!》

 

俺はめぐみんと和解できるのだろうか・・・




実際にゆんゆんキレたらどうなるんだろう・・・
さて次はデストロイヤー戦・・・どうなるのでしょうかねぇ・・・?

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