この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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この回で全てのイレギュラーの真実が明るみに!?


The truth 前編

めぐみんが出ていった今日、パーティメンバー全員にあの紙を見せたらかなり落ち込んだ。

ダクネスやアクアからも「なんで止めなかった!」と叱責もされた。

俺はその後フィーリィを呼び、今日は外は危険だと思うから鳥は外には出すなと言っておいた・・・これであの【トゥモロー・ヒストリー】で見た最悪の事態にはならないだろう・・・

 

「竜弥ちょっといい?」

 

夕飯を終え、リビングのソファーでどうめぐみんと和解するか考えてた際のレイシャからの一言目だ。

 

「どした?」

「ちょっとね・・・」

 

・・・?どうしたんだろう・・・レイシャにしては歯切れが悪い・・・

 

「この本、オススメだから読んでみて?」

「お、おう・・・え?そんだけ?」

「それだけよ?・・・まさか何か期待してた?」

 

レイシャがニヤニヤと迫ってくる。

 

「・・・酒に酔ってるならすぐに寝な」

「んもぅ・・・つれないのね・・・」

 

レイシャは不貞腐れたがまたねと言ってフィーリィの自室に向かった。

 

「ふぅ・・・あいつの相手は疲れる・・・ん?」

 

俺は本に挟まってある紙に気付き、引っ張り出す。

 

「・・・嘘だろ・・・!?でも何であんな映像が・・・!?」

 

そこに書いてある事が本当なら【トゥモロー・ヒストリー】で見たあの映像の女の子はなぜ攻撃されていたのか分からない・・・

俺はそこに書かれている内容に俺は衝撃を受けていた。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

部屋に戻り、椅子に座って封筒を開ける。

はぁ・・・また訳の分からない手紙だ・・・

宛先は私とアージェストという方に・・・

差出人はアメルダという方から。

というか中身が白紙なんですけど・・・?

肩に乗っている小鳥が私と一緒に手紙を見てる。

小鳥に文字なんか分かるわけないのにと苦笑してしまう。

コンコンとドアがノックされる。

 

『フィーリィ?私、レイシャだけど』

 

パーティメンバーのレイシャだ・・・

キィ・・・と音を立てながらドアを開ける。

 

「こんばんは」

「どうしたんですか?レイシャさん」

「貴女の小鳥に聞きたいことがあってね・・・」

「この子に?」

「そう・・・時間が無いから単刀直入に聞くけど・・・君────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────魔王軍関係者でしょ?」

「・・・へ?」

 

どうしたのだろうか・・・?

小鳥が・・・魔王軍関係者?

 

「えっと・・・言ってる意味がよく分からないんですけど・・・」

「ちょっと貴女の事、ギルドの方で調べさせてもらったの・・・貴女、数週間前から行方不明だったのよ。

多分その間に記憶を消されて勇者候補に近付く道具にさせられたと思うの」

 

そんな・・・

 

「そろそろ本来の姿に戻ってもいいんじゃないの?」

 

・・・え?

 

「・・・いつ気付いたの?」

 

誰・・・?

というか・・・

 

────誰がレイシャさんと話してるの?

 

「2匹のグリフォンを討伐してフィーリィがグリフォンの足から【再生回復のリング】を見付けた時とウィズがフィーリィを見ている時からね・・・おかしいと思ったのは・・・」

 

レイシャさんは誰と話してるの・・・?

 

「へぇ・・・まさかあそこで気付くとはね・・・」

 

声のした方を見るとそこには私の友人の黒い小鳥がいた。

・・・この子・・・喋れたっけ・・・?

 

「リュウヤの事を狙っていたようだけどあっさりとグリフォンに勝ったから回復させようとしてたんでしょう?でも運悪くゆんゆんが回収がしたからね・・・」

「あの・・・レイシャさん?」

「あらごめんなさいね・・・フィーリィ、残念だけど貴女・・・利用されてるのよ・・・その小鳥に勇者候補と接触させる為のね・・・」

 

そんな・・・違う!

 

「レイシャさん!ふざけるのは「もういいわ私の負けよ」・・・!」

 

黒い小鳥は床に降り立ち、光出した。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

私の目の前にいる小鳥の姿が変わっていく・・・

5cm程度だった身長は1.5mまで伸びてシルエットも鳥から人になっていく・・・

長い銀髪に赤い瞳。

逆十字の柄が入ったアシンメトリーのオーバースカートの付いた奇抜な編み上げのモノトーンのドレス。

薄紫色のバラの飾りがついた黒のロングブーツを履き、黒い翼の生えた女性が立っていた。

 

「ふぅ・・・まさかこうもバレるのが早いとはね・・・」

「言っておくけど、リュウヤは「勇者候補じゃないとでも言いたいの?そんな誤魔化しは効かない・・・だってイチジョウリュウヤの使う魔法は魔法書には載ってないもの」・・・」

 

リュウヤの魔法がバレてる・・・どうすれば・・・

 

「あの・・・貴女は?」

「あらフィーリィ、ご苦労様。貴女のお蔭で色々と調べる事が出来たわ。それじゃお休み」

 

魔王軍関係者がフィーリィに手を翳す。

フィーリィの目から光が消え、倒れてしまった。

どうやら眠っているようだ。

 

「ふぅ・・・邪魔者は消えたわね・・・それと先に言っておくけど救援は期待しない方がいいわよ?」

 

目の前の魔王軍関係者は勝ち誇ったような顔で私を見る。

 

「自己紹介が遅れたわね・・・私の本当の名前はアージェスト・・・貴女の言う通り魔王軍関係者・・・そして・・・」

 

アージェストの後ろが鈍く光る丸いゲートが開き、中からは────瞳に光の無い竜弥が出てきた。

 

「精神支配を使える魔王軍の手下なの」

「そんな・・・!」

「フフッ・・・さすがに手出しできないようね?なら極めつけは・・・」

 

アージェストが目配せするとリュウヤが【剣製】でただの長剣を取り出す。

 

「これならどう?」

 

その言葉に反応しリュウヤは首に剣を当て、少しずつ刀身を引いていく。

その度に血が浸たり落ちる・・・

いや・・・止めて・・・

 

「止めて!要求があるなら従うから!!!!」

 

私でもこんなに動揺するのは初めてだ・・・今はアージェストを刺激しないようにしないと・・・リュウヤが・・・

 

「へぇ・・・貴女・・・この男にご執心みたいね?でも言葉遣いがなってないのね・・・?」

 

アージェストがこれ見よがしにまたリュウヤに目配せする。

リュウヤは剣を消して、短剣をまた【剣製】で創り出す。

その短剣をリュウヤは自分の左肩に突き刺した。

そこから再び血が浸たり落ちる。

 

「お願い!もう止めて!従う!・・・いえ従います・・・だから・・・リュウヤは・・・」

 

気付けば私は跪いていた。

 

「フフッ・・・アハハハ!無様ね!そんなにこの男が傷付けられるのが嫌みたいね!」

 

アージェストは満足したのかリュウヤに短剣を消させた。

 

「なら要求を言うわ──このパーティメンバー全員を消しなさい」

「・・・っ!」

「あら?出来ないの?・・・なら・・・」

 

アージェストはリュウヤに【銃製】で作った拳銃を出させ、本人のこめかみにあてがわせる。

 

「待って・・・!分かりました・・・」

「そう・・・従うのね・・・?あぁでも他にいいシナリオを思い付いたわ・・・貴女を殺して、この勇者候補でこのパーティを全滅させるの・・・そしたら彼は自分を責めて責めて・・・壊れるまで責め続けて最後には自害するの・・・うん♪いいわね!最高のシチュエーションだわ♪喜びなさい?貴女はその1人目よ?」

 

アージェストが私に向かってを麻痺の魔弾を撃ってくる・・・

・・・身体が痺れる・・・

 

「あの世で見てなさい、貴女のご執心の彼がパーティメンバーを殺し、精神を壊して自滅する所を・・・」

 

お願い・・・止めて・・・要求に従うから・・・だから・・・リュウヤを壊さないで・・・

声を出したくても出せない・・・

目の前ではリュウヤがまた私に拳銃を向けて引き金を────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラアアアアァァァァアア!!!!!!!!」

 

ドアが蹴飛ばされリュウヤが現れる。

そのドアは私の頭上を通り越してアージェストに迫る。

だがアージェストはシールドを展開してドアを当たる寸前で砕いた。

・・・え?リュウヤが2人・・・?

 

「ちっ!上手くいくと思ったのに・・・!」

 

アージェストはリュウヤを消して窓を破壊し、背中の翼を使って空に浮遊する。

リュウヤは私に【アムリタ】を掛けて麻痺を消した。

多分今の爆音で他のパーティメンバーも起きただろう・・・

 

「ふぅ・・・まさかフィーリィの小鳥が魔王軍関係者とはな・・・お前観察力いいな?」

「リュウヤ・・・無事だったの・・・!?」

「まぁ・・・タイミングちょい逃したけど・・・ってどした?」

「・・・か」

「は?」

「この馬鹿リュウヤァ!!!!いるならさっさと出てきなさいよ!!!!洗脳されたって思って本当に心配したじゃないの!!!!」

「いや~・・・すまんすまん」

 

本当に・・・今度覚えてなさいよ・・・!!!!

 

「んでどうすんだ?俺とお前以外は寝てるからバレずに倒すんなら今しかねぇぞ?」

「言われなくっても分かってるわよ・・・!!!!」

 

起き上がる際によろけたふりをして鳩尾に肘を入れ、足を踏んでやった・・・2箇所を抑えながら、もう少しゆっくり起き上がれ・・・って言ってたけど心配掛けさせたんだからこの位は許しなさいよ?

 

「まさか御本人登場とはね・・・面白くなってきたじゃない・・・そうね・・・なら・・・」

 

あいつの後ろにまた丸いゲートが出現し、中からは────めぐみんを除く、拘束されたパーティメンバー全員が出てきた。

 

「なっ・・・!?」

「アハハハ!悪いけど先手は打っていたのよ?さてと・・・誰から赤い線を入れましょうかねぇ・・・?」

 

アージェストは懐からナイフを取り出し、一人づつ刃先をあてがう。

 

「さすが魔王軍・・・やる事が汚ぇな?」

「あら?そんな事言える立場なの?距離的にも貴方が私を攻撃するより私がこの子達に刃を入れる方が早くてよ?」

 

ちっ・・・まずいな・・・恐らく・・・いや確実に奴の狙いは俺だ・・・もうこいつには俺の魔法がこの世界には無いことは知られてる・・・どうしたものか・・・

考えろ・・・思い出せ・・・あいつの一語一句を・・・一つ一つの行動を・・・あいつの得意なものは精神支配・・・所謂洗脳・・・なんであいつはメンバーを拘束できた・・・?

そんな暇はあったか・・・?

俺とフィーリィ、小鳥を除く全員は普通に夕飯を食べ、そのまま自室に向かった。

俺は食事をしていたリビングでめぐみんとの和解策を考えていた・・・

そのリビングは家の中心にある・・・つまりは2階を含めるほぼ全ての部屋のドアが見える状態だ・・・

その時フィーリィの鳥・・・いや、今はアージェストか・・・こいつは手紙を持ったフィーリィと一緒に自室に入った・・・洗脳するのなら一人一人の部屋に行かないと出来ない・・・ましてや鳥なんかでドアは開けられない。

もし開けられたとしても洗脳の瞬間を見られ、取り押さえられたらそこで終わり・・・全員を洗脳するなんて時間が掛かり過ぎる。

 

部屋から出られない・・・・・・一人一人の部屋に行く必要・・・・・・時間が掛かり過ぎる・・・・・・見つかって取り押さえられたら終わり・・・・・・・・・・・・そうか・・・!!!!

 

「偽物だな・・・?そいつら」

「・・・何を根拠に?」

「俺は夕飯を終えた後そのままソファーで座っていた。そこからは階段とそれぞれの部屋の入口が見える。

もし洗脳をしにそれぞれの部屋を回ってたらいやでも俺の視界に入る。

他の人の部屋に入って洗脳してすぐに出る・・・それを繰り返せば誰でも怪しむはずだ・・・その時点で俺に見つかって終わり・・・そんな中洗脳なんて出来やしないからな・・・それにドアを開けるならその姿になる必要がある・・・その上知らない奴が家にいるとしたら普通に俺なら怪しむぞ?」

「・・・」

 

アージェストが黙り込む・・・当たったか・・・?

 

「フフッ・・・アハハハ!!!!まさか人間如きに見抜かれるとはね・・・面白いじゃない・・・イチジョウリュウヤ・・・」

 

アージェストは指をパチン!と鳴らすと拘束されているパーティメンバーが消滅する。

 

「そう・・・さっきまで使ったのは洗脳ではなく幻影・・・レイシャを追い詰めようとした時もそう・・・あぁ麻痺は本物よ?

まぁ貴方に今迄のを見抜かれるのは想定外だったけどね・・・褒めてあげてもよくってよ?」

「なら誉めるかわりにさっさと魔王城に帰ってもらいたいけどなぁ?」

「そうも言ってられないの・・・今日こそ貴方を殺さないと私が危ないんだから・・・」

「今日こそ・・・か・・・その言葉から察するにグリフォンやワイバーンもお前の仕業だな・・・?手口は・・・

グリフォンの時は・・・・・・魔力弾を俺の奥の物陰に向けて撃った時だ・・・恐らく前日に全員が寝ている隙を見てお前は下級のモンスターを洗脳して待機させたんだろう・・・そいつに魔法陣の書かれた羊皮紙を持たせ、お前はそれをフィーリィを利用して狙わせたんだ・・・魔法陣へ魔力弾を飛ばし、供給する・・・その魔法陣からグリフォンを召喚し、俺達を襲わせた・・・だとしたら【再生回復のリング】をグリフォンに付けて再び襲わせようとしたのもお前か・・・闘ってる際はグリフォンの足にあんなリング付いてなかったからな。

まぁゆんゆんによって回収されたから失敗だったけどな。

ワイバーンは・・・・・・フィーリィが岩山に立っていた時だ。

お前はフィーリィをコントロールして岩山に歩かせ、予め用意しておいた召喚符に魔力を供給し、ワイバーンを召喚させた。

当然、意識を取り戻したフィーリィは『ドラゴンが来ている』と言う筈だ・・・あのワイバーンは飛んでいた・・・でも、もし飛来してきたのなら羽ばたく音が聞こえている筈だ・・・俺はそいつとの闘いで一時的に瀕死に陥った・・・

恐らく回復魔法を弾いたのもお前だ。

ある本にはワイバーンの尾に回復魔法は効かないなんて書いてなかったからな・・・だが自動で発動したこの【魔法生成機】の隠しシステム、[パンドラ]の【終わりのセラフ】でワイバーンは討伐され、失敗に終わった。

ウィズの『知り合いの方に雰囲気が似ている感覚』はフィーリィから出ていたお前の雰囲気だ。

ウィズはフィーリィを見ていたんじゃない・・・お前を見て言っていたんだ。

それはお前も感じてそれがフィーリィの表情に現れた。

その理由を『別れた彼氏とすれ違った』に変えてな・・・

・・・まぁ全体的にはそんな感じか?」

 

全体的にはこうだと思う・・・でも・・・まだ分からない事がある・・・

 

「やけに達観してるのね・・・全て正解よ・・・全ての作戦が水の泡・・・」

 

アージェストの目にだんだんと怒りが込み上げる・・・

 

「屈辱よ・・・人間如きにここまでされるなんて・・・黙って殺されればよかったのに!!!!」

 

そんな時だった・・・

 

「どうした!?」

 

さっきの爆音で皆が集まってきた。

和真がアージェストを見る。

 

「誰だ・・・?」

「あいつは・・・フィーリィの小鳥だった奴で今は魔王軍関係者だ・・・」

「ちょっ・・・ちょっと待って!?まさか魔王軍幹部だっていうの!?でも・・・!」

 

そう・・・俺が分からないのはそれ・・・

何故女神のアクアでも魔物と判断出来なかったのか・・・

 

「前から思ってたけど・・・貴女・・・女神だったのね?ならあの方から渡された物は有効に使えた訳ね」

 

アージェストはそう言って直径3cm程の黒い円盤を取り出した。

黒い・・・硬貨・・・?

 

「これはある対象に近くにいる魔物の感覚を鈍らせる物なの・・・」

 

対象って・・・まさか・・・!?

 

「その対象は女神って訳か・・・」

「そうよ・・・まさか本当に女神を連れてくる人がいるなんてね・・・」

 

・・・待て?こいつさっき、『あの方』って言わなかったか・・・?

って事はこいつ以外にも女神が降りてきた事を知ってる奴がいるのか・・・?

 

「あえて言っておくけど私以外にも女神が降りて来てる事を知ってるのはいるわ・・・でもそのま「まだ始末してなかったのね」・・・!」

 

何処からか声がする。

 

アージェストの後ろに丸く、黒いゲートが現れ、中から白いワンピースを着た、長い白髪の女性が現れる。

 

「皆さんこんばんは・・・私は魔王軍幹部の1人、アメルダ・・・安心して?出来損ないの道具を壊しに来ただけだから」

 

青い目を見た瞬間、俺は確信してしまった。

 

 

────こいつと今、本気で闘ってはいけない。

 

 

本能がそう俺に伝える。

 

「アメルダ様!?何故ここに・・・!?」

「あら?言ったわよね?出来損ないの道具を壊しに・・・って」

 

アメルダがアージェストを見て薄く笑みを浮かべる。

アージェストは心底怯えていた。

 

「待って下さい!今回は必ず勇者候補を倒します!ですか「【レガーレ】」がっ・・・!」

 

アージェストは一瞬でアメルダに拘束され、引き寄せられる。

 

「アメルダ・・・様・・・なに・・・を・・・」

「何度も言わせないで?使えない道具には何の価値も無いの・・・だから・・・」

 

アメルダは黒く光る槍を出現させ、アージェストの右肩に突き刺す。

 

「いぎゃぁぁぁぁああああ!!!!!!!!」

 

アージェストは痛みに耐えかね、悲鳴を上げ・・・って・・・まさか・・・・・・!!!!

これか・・・!

【トゥモロー・ヒストリー】で見た映像はこれだったんだ!!!!

 

「貴女はもう消すわね?」

 

その言葉には慈悲の文字は無かった。

 

「お願いします!もう1度・・・もう1度だけチャンスを!必ず成功させます!ですから!」

「煩いわね・・・黙りなさい」

 

アメルダは再び黒く光る槍を3本出すと、アージェストの左肩、両足を突き刺す。

 

「イダイ!!!!イダイ!!!!お願いでず・・・!!!!お願いじまず・・・・・・もういぢど・・・もういぢど・・・・・・」

 

アージェストは痛みに苦しみ、涙を流しながら許しを乞う。

 

「・・・【フライ】」

 

俺はいたたまれなくなり、自分の作った浮遊魔法で近付いた。

 

「【銃剣製:第二世代型神機】」

 

俺は神機を銃モードに切り替えてアージェストに刺さる槍を狙撃して破壊した。

地面に落ちたアージェストは気を失ったのか、ピクリともしない。

アージェストは光だし、元の小鳥に戻った。

 

「貴方・・・何のつもり?」

 

アメルダは気分を害したのか、眉を顰めて俺を睨む。

 

「アメルダだっけか?もう十分だろ・・・そいつはもう戦意はない・・・・・・」

「戦意がないのは知ってるわ?でも貴方とこれは敵同士なのよ?それなのにこれを庇うって・・・それに人間が空を飛ぶって貴方ね・・・」

 

アメルダは俺の顔をジーッと見る。

そして合点がいったような顔をした。

 

「貴方・・・まさかベルディアを倒した『イチジョウリュウヤ』っていう人間?」

「・・・まぁそうだけど・・・」

 

そう言った途端、アメルダは嬉しそうに俺を見る。

 

「えっ!?本当に!?本当にあのベルディアを倒したの!?やったぁ♪大物見っけ!」

「・・・?」

 

なんかいい玩具を見つけたような言い方された・・・解せぬ・・・

 

「・・・ねぇ、もう一つ聞きたいんだけど・・・貴方・・・職業は?」

「・・・冒険者・・・」

 

俺が職業を言った途端にアメルダがピタッと止まる。

そして笑みを浮かべ・・・

 

「プッ・・・アハハハハハハ!!!!ただの人間に・・・しかも最弱職の冒険者に負けるとかアハハハ!!!!傑作過ぎてお腹痛いわ!!!!アハハハ!!!!」

 

腹を抱えて笑われた・・・

・・・ねぇ止めてくんない?

最弱職って言って笑うの・・・一応気にしてんだから・・・

俺意外とメンタル弱いんよ?

豆腐メンタルで既にズタズタよ?

 

「はぁ~・・・久々に笑った~・・・でも冒険者と言う割には力量が分不相応ね?・・・・・・って事は・・・貴方・・・勇者候補?そうやって変形する武器、見たことないし・・・」

 

やっぱり気付くよね・・・

 

「お前がそう思うんならそうなのかもな?」

 

またアメルダが薄ら笑いを浮かべる。

 

「へぇ・・・なら強いんだ・・・?」

 

・・・やべ・・・言葉のチョイス間違えたか・・・?

気のせいか、アメルダが軽く戦闘状態だ・・・

 

「止めておきなさい」

 

家の屋根の方で声がした。

屋根には眼鏡をして、ワイシャツにベスト・・・バーテンダーの様な服を着た男性が月をバックにして立っていた。

絶対登場のタイミング狙ったろこいつ・・・




明日で本編は集結を迎えますが明後日に出したかった番外編も出しますのでお楽しみに!
感想、誤字脱字報告お待ちしております!
今日はもう1本、21:00にこの続きを出します。

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