この素晴らしい世界にイレギュラーを!   作:JAIL

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今回のはめぐみんファンにとってはちょいと辛いかも・・・


Thought to pass each other

ゴーレム討伐とイレギュラーのワイバーンとの戦闘が終え、傷の癒えた3日後の夜。

夕飯を食べ終えた俺は2階のベランダで柵に両腕を置いて星を眺めていた。

夜空には綺麗な星が空いっぱいに輝く。

 

「こっちの世界の方が見えやすいな・・・」

 

日本は街灯とかで街全体が明るいのであんまり見えていないからな・・・100万ドルの景色を見ているようだ・・・

 

背後から足音がする。

振り向くとそこにはめぐみんがいた。

・・・なんだろう・・・少し表情が曇ってる・・・

 

「星・・・一緒に見るか?」

 

めぐみんは黙って頷き、俺の横に立った。

 

「・・・」

「・・・」

 

沈黙がなぜかキツい・・・

おかしいな・・・めぐみんと無言でいても普段は苦じゃないのに・・・

ふと横を見て俺は言葉が詰まる。

 

───泣いていた。

涙が頬を伝ってポロポロとベランダの柵に落ちる。

 

「おま・・・どうした・・・!?」

「・・・なんで・・・泣いているのか・・・ですか・・・?」

 

めぐみんが怒っているように見える・・・てかマジで怒ってる・・・!?

 

「リュウヤ・・・貴方にとって私は何ですか・・・?」

「何って・・・仲間・・・だけど・・・」

「仲間ですか・・・ならなぜ・・・一昨日あったイレギュラーのワイバーン討伐、私に爆裂魔法を撃たせてくれなかったんですか・・・?」

「いや・・・だって・・・お前・・・爆裂魔法撃ったじゃ「リュウヤは以前【ドレインタッチ】を習得した筈です。ならそれを使えばよかったんじゃないんですか?」・・・」

 

めぐみんの言うことも最もだ・・・俺は【ドレインタッチ】を会得した。

それは確かだ・・・

 

「貴方にとって私は・・・────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────私はお荷物ですか・・・?」

「待てめぐみん・・・それはちが」

「ならなんで頼ってくれなかったんですか!!!!」

 

突然の大声に戸惑ってしまう。

 

「いや頼ろうとはし」

「デュラハンの時も冬将軍の時も飛竜の時だってそうでした!!!!なんで貴方は自分で全てを解決しようとするんですか!?私は信頼出来ませんか!?私の爆裂魔法は信頼出来ないんですか!?」

「いや信頼はして」

「ならなんで一緒に闘わせてくれないんですか!!!!私はずっとリュウヤの事を見てきました!!!!デュラハンが来たあの時も皆で協力すればあんな怪我しなかったとも思います!!!!なのに貴方は下がっていろと言いました!!!!飛竜戦でも同じ事を言って重症を負ってました!!!!てことは皆や私と、私の使う爆裂魔法を貴方は信頼してないんですよね!?」

「めぐみん違う!俺は危険だと思って・・・」

「貴方しかその危険な目に会ってません!!!!貴方はいつもそうでした!!!!危険と思ったら庇って、次に出る言葉は『下がってろ』・・・貴方が強いことは知ってます!!!!それでもなんで仲間を頼ってくれないんですか!!!!」

 

・・・ダメだ・・・ヒートアップして聞く耳を持ってくれない・・・

今でもめぐみんは涙を流しながら怒っている。

 

「リュウヤなんか・・・リュウヤなんか・・・」

 

プルプルと拳が震えてる。

 

そして言われてしまった────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リュウヤなんか大っ嫌いです!!!!!!!!」

 

めぐみんは泣きながら走って家に入ってしまった。

・・・はぁ・・・やっちまった・・・どうしよう・・・

星を見ようにも今はそんな気分にはなれない・・・仕方ない・・・部屋に戻って寝よう・・・

俺は仕方なく家に入る。

 

「女の子を泣かせるとは・・・仲間とはいえ最低ですね~」

 

壁に寄り掛かってシノアが立っていた。

・・・今度はシノアか・・・

 

「盗み聞きか・・・趣味悪いな・・・」

「まぁ確かにめぐみんさんの言うことも一理ありますしね・・・」

 

シノアが俺に向き合う。

 

「助けられた身で偉そうなことは言えないのは分かってます・・・ですが言わせて貰いますね・・・?」

 

シノアがふぅ・・・と息を吐き俺を睨み付け────

 

「自分の命を軽く見るな」

 

そう言った。

いつものおちゃらけた言葉使いではなく低くドスの篭った声に動揺を隠せない。

 

「余り心配させないで下さい。

このパーティは1人でも欠けたらもうそこで終わりだと思ってます。」

 

それを言ってシノアは俺に背を向けドアのハンドルに手を掛ける。

 

「次は本気で殴って怒るんで」

 

シノアが部屋を出る際に殺気の籠る声を出しながら俺を睨み付け、出ていった。

俺はソファーに座り、項垂れる。

 

「ヤベェ・・・結構堪える・・・」

 

俺の頭が勝手に先程の言葉を再生する。

 

『リュウヤなんか大っ嫌いです!!!!!!!!』

『自分の命を軽く見るな』

『次は本気で殴って怒るんで』

 

この言葉が俺の胸に突き刺さる。

ハァ・・・とこの世界に来てからの初めての溜息。

めぐみんの爆裂魔法は確かに強力だ。

だけど1日1発が限度・・・まぁアクアの魔力を【ドレインタッチ】すれば問題ないんだけどさ・・・

シノアの【死鎌童子】も近接は良くなって来てる・・・でも人型が不安定だからなぁ・・・

けど・・・なんというか・・・あいつらが怪我をしてしまうと思うと守らなきゃと思ってしまう・・・あ~多分前世の暮らしの影響だなこりゃ・・・

 

「どうしよう・・・」

 

その言葉は薄暗い部屋に吸収されてしまった。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

パタンとドアを閉めて後悔する。

言ってしまった・・・思っても無いことを・・・

 

『リュウヤなんか大っ嫌いです!!!!!!!!』

 

自分で言った事が脳内で繰り返される。

大嫌い・・・?

リュウヤに対してそんな事思った事は1度も無い・・・

本当は・・・本当はリュウヤの事が───

ジワ・・・とまた、涙が溢れてくる。

堪らずにベッドに身を投げ、枕に顔を埋める。

 

「ひっぐ・・・ぐすっ・・・」

 

声が枕から漏れてしまう。

初めてだ・・・こんな感情を持ったのは・・・

 

私は幼い頃、邪神の封印で遊んでいたら誤って封印を解除してしまい、大きくて黒い獣に追いかけられていた事があった。

だがその時フードを被った魔法使いに助けられた事があって爆裂魔法はその時に私を魅了して教わった。

学校に入り、ゆんゆんに会った。

私は成績が良く、主席で卒業した。

でもそこで分かった・・・爆裂魔法は撃てるけど1発が限界───

冒険者になって初めてのパーティを組み、ジャイアントトードの討伐に行った。

爆裂魔法を撃ったことで賞賛されたがその後魔力切れで倒れた。

パーティメンバーからは「メンバーから外れてくれ」と言われ、再びパーティ探し・・・けどどのパーティも門前払い───

そんな時だ・・・あの依頼書を見付けたのは───

 

《パーティメンバー募集中

採用条件:上級職に限る》

 

私は僅かな可能性を信じて2人の元へ行く。

再びジャイアントトードの討伐

アクアは自分を女神と言っていたがそういう設定らしい・・・

私はジャイアントトードを討伐したが案の定倒れてしまう。

あぁ・・・また1人になるんだな・・・そう思ってしまう。

リュウヤはその時出会った。

彼は2匹のジャイアントトードを一瞬で討伐した。

帰り道彼は言った。

 

『なら問題ない。これで魔力を回復する魔法を作る』

 

───と

私は希望の光が見えた気がした。

彼と2人で爆裂魔法を撃ちに行ったある時、デートってこんな感じなのかな・・・と不意に思ってしまい顔が赤くなってしまった。

その時は心配されて手を額に付けられそうになって心臓がバクバクとしたから何でもないと彼の手を払ってしまった。

その数日後だ・・・デュラハンのベルディアが現れたのは・・・

リュウヤは私達を庇うように前に出る。

彼の魔法には驚かされた。

ベルディアの【死の宣告】を相殺したんだ。

同時に何も出来ない私は自分に憤りを感じた。

彼はベルディアを撃退したがボロボロになって気を失ってしまった。

私のせいだ・・・私が彼の見付けた廃城に彼と一緒に魔法を撃ったからだ・・・

その責任を私は彼1人に背負わせてしまった。

謝って許してくれるだろうか・・・突き放されたら・・・と思うと涙が出てしまう。

彼が意識を取り戻し、私は何度も謝罪した。

彼は笑って、頭を撫でて許してくれた。

 

多分その時には思っていたんだと思う・・・彼と居たい・・・彼の横に立っていたい・・・

・・・あの勇敢で優しい彼と・・・と

 

雪精討伐の時、私は動揺してしまった。

彼は攻撃を受け、左腕が動かなくなった。

彼は言った・・・『下がってろ』と・・・

彼は危険だからと思って言ったのだが私の心が何故かチクッと痛んだ・・・

逃げて!そう言いたかったが彼はまた全員に背を向けて守ろうと魔法を使う。

その魔法で冬将軍は討伐された。

私は危険な事は避けて下さいと言いたかったが涙が出そうになったので言えなかった。

彼はそんな私の頭を撫でてくれた。

頭に乗る掌が暖かい・・・不思議と涙も無くなっていた。

新たな3人を連れてのクエスト、私は彼とは一緒になれなかったが爆裂魔法で纏めて倒して自慢しよう!そう思った・・・だけどイレギュラーが起きた。

アイスグリフォンとサンダーグリフォンの襲来だ。

私は爆裂魔法を撃ちたかったが場所は森。

撃ちたくても被害が広がるから撃てなかった。

私以外のメンバーが両方を討伐した。

2体が討伐され、彼はレイシャを抱えていた。

私の心にまたチクッと何かが刺さる。

不意に彼の脛を蹴ってしまった。

その時レイシャに耳元で言われた。

 

『妬いてるのね』

 

───と

私は赤くなりながら否定した。

 

そしてデュラハン討伐

彼は無数の剣で無数の死霊を相手にして勝利した。

その後日の看病───

私はレイシャに『2人とも・・・リュウヤの事好きでしょ?』と言われ思わずシノアさんと共に紅茶を吹き出した。

・・・って2人とも?と思う。

シノアさんも真っ赤になっていた。

・・・ライバルの登場ですかと思った・・・

彼が帰ってきて私とシノアの額に手を付ける。

恥ずかしくなって咄嗟に2人で彼を殴ってしまった。

リュウヤが帰る間際、レイシャが聞こえるか聞こえないかの声で『ライバルは多そうね』と言っていた・・・

私はえっ・・・?と思った。

まさか・・・レイシャさんも・・・?

 

そして飛竜戦、私の目の前でリュウヤの腹部に飛竜の尾が突き刺さり、リュウヤの手が血だまりに落ちた時、私の心にポッカリと穴が空いた気がした。

自分が慕ってる人が目の前で死んだ・・・その事を自分の頭が受け入れるのに時間が掛かった。

でも彼は理由は分からないが復活し、飛竜を討伐した。

 

彼が・・・リュウヤが強いことは知ってる。

私より様々な魔法で私達を守ってくれる・・・でも・・・それでも・・・私は頼って欲しかった・・・

 

「バカァ・・・リュウヤのバカァ・・・!!!!」

 

叫びたい───

私を・・・皆を頼って────と

貴方と一緒に闘いたい・・・背中を任せて欲しい────と

めぐみんの想いはリュウヤに届くのか・・・それは誰にも分からなかった───

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

彼は御剣響夜と違ってカッコつけではなく自分の意思で私達を守ってくれていた。

 

「はぁ・・・」

 

不意に溜息が出る。

 

『自分の命を軽く見るな』

 

───か・・・守られた立場なのに何を偉そうに・・・自分でも思ってしまう。

彼があんなになってまで私達を守るのは前世での影響なのは分かる・・・けど・・・

 

「あまり・・・そういうのはしてほしくないんですけどね・・・」

 

彼はなんというか・・・自己犠牲が過ぎている・・・妹か弟が家庭内暴力でもあって代わりにそれを受けていたのだろうか・・・

でもそんな人程自殺してしまう・・・ストレスで心や身体が持たないから・・・

なのに彼はどんなに傷を負っても平気だと言わんばかりに私達に接する。

私は気付けてしまう・・・

彼は無茶をしている───と

だってモンスター討伐とか、日本じゃ100%ありえない。

 

「どうしましょうかねぇ・・・」

 

普段の口調に戻るも俯いたままだ。

どうすれば彼の無茶な行為を制することが出来る・・・?

分からない・・・当たり前か・・・私は彼の事をよく知らない。

 

私は普通の家に生まれ、不自由なく暮らしていた。

そんな時だ、トラックが突っ込んで来たのは・・・余りにも死因がベタ過ぎて笑えてしまう。

御剣さんと転生してあの【死鎌童子】をアクアさんから授かった。

でも結局あのナルシスト騎士が毎回前に出て討伐、ウンザリしてパーティを変えたいと思った時に彼に一条竜弥に会った。

彼はどうも魔法を生成する装置を受け取ったらしい。

それを抜いても数々の強敵を超えようとするあの強さ・・・

前世では何かしてたんだろうか・・・?

彼は仲間には無理をさせないようにしていた。

冬将軍の時、彼は私を庇った。

負傷しているのにも関わらず・・・

そして彼は冬将軍を討伐した。

多分御剣さんなら斬撃を撃ってそれでお終い・・・でも彼にはそれがない。

なのに勝った。

自分の持ってる知識をフル活用して・・・軋む自分の身体にムチを打って・・・

体を張って私を・・・皆を守ってくれた。

多分その時だと思う・・・彼を意識し出したのは・・・

自分の意思で私を守ってくれた・・・

デュラハン再来の時、殺される寸前で彼はまた私を助けてくれた。

2度も彼に守られた。

・・・彼に助けられて安心した私がいた・・・

彼の腕の中は暖かかった───

でもこの感情が何なのかは分からない・・・

ずっとモヤモヤしてる・・・

デュラハンを討伐して私は医務室に運ばれた。

その時にレイシャさんが『私が1番重傷だから手厚く看病してね』と言った。

当然冗談だと分かってた・・・でも竜弥さんに看病されてるレイシャさんを見てまたモヤモヤした。

その時にレイシャさんに聞かれた。

 

『2人とも・・・リュウヤの事好きでしょ?』

 

思わず紅茶を吹き出してしまった。

私が竜弥の事が好き!?

頭が混乱して顔が赤くなる。

私と一緒に聞かれためぐみんさんも同じだ。

・・・めぐみんさん・・・竜弥さんの事・・・

そしてゴーレム討伐とイレギュラーでの飛竜討伐。

彼は血を沢山流し、瀕死の状態になった。

そんな時だ・・・私の中の色んな感情が溢れたのは・・・

その全てが怒りとなって目の前の元凶にぶつけた。

でも彼は暴走しながらも復活し、飛竜を討伐。

私はアクアさんから解除ワードを聞いて暴走した竜弥さんを止めることに成功したが胸の奥がズキッ・・・と痛んだ。

なんとか討伐出来たが思ってしまう・・・

 

『これ以上傷ついて欲しくない』

 

私は彼に2回も守られた・・・守られた身でこんな事言える訳が無い・・・

【死鎌童子】でも攻撃は出来る。

けど私の方法がおかしいのか、人型はあまり役立たない・・・役立つといえば刀身に魔力を纏わせて切れ味を良くするのみ・・・

 

「八方塞がり・・・ですかね」

 

私はベッドに身体をうつ伏せにして預け、顔を枕に埋める。

 

「あーーーーーー!!!!!!!!」

 

なんとなく叫びたくなって叫んだ。

どうすればいいんだろう・・・どうすれば彼は自己犠牲をせずに皆を頼ってくれる・・・?

・・・・・・・・・・・・駄目だ・・・考えようにも頭が働かない・・・

私は考えるのを止め、眠りについた。

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

めぐみんとシノアに叱責された後、俺は自室に戻った。

 

「お邪魔してるわ」

 

目の前にはベッドに座るレイシャ

・・・次はレイシャに叱責されるのかよ・・・

 

「心配しないで?私は何も言わないから」

 

・・・心を読むのも止めてくれません?

 

「あの2人に絞られたみたいね?」

「・・・まぁな・・・」

 

ドカッとソファーに座る。

 

「少しは反省した?」

「・・・よく分からん・・・」

「貴方ねぇ・・・」

 

レイシャが呆れたように俺を見る。

 

「貴方・・・ここに来る前はどんな生活をしてたの?」

「・・・なんだよ急に?」

「いいから答える」

 

レイシャが真剣な目で俺を見る・・・地味に怖いんだよな・・・

俺は処々伏せてレイシャに話す。

 

「家庭内暴力に母親蒸発・・・兄は引き篭もって父親は飲んだくれと・・・貴方と妹さんが荒れたら壊滅的だったわね・・・」

「ほっとけ・・・俺はそうならないように妹を守ってたんだ・・・今だってそうだ・・・そうならないようにあいつらを守ってる」

 

俺の部屋が沈黙する・・・

 

「貴方・・・」

 

破ったのはレイシャだ

 

「あの子達を妹さんみたいに投影してるんじゃないの?」

「え?」

 

レイシャが立ち上がって窓際に寄りかかる。

 

「どうも貴方・・・元いた家の妹みたいにあの子達を投影しちゃってるのよ・・・言い方は悪いと思うけど、あの子達は貴方の妹さんとは違って非力なんかじゃない・・・けど貴方は非力だった妹さんを投影して、女の子であるあの子達を妹さんと同様に非力だと決めつけてるんじゃないの?」

「・・・なんでそんな事言えるんだ・・・?」

「もしもその人の力量を知ってるなら人はその人を信じて背中を預ける筈よ?貴方・・・私とフィーリィ、ゆんゆんが加入した時と同じ様にシノアの力量も図ったんでしょ?」

「そりゃぁ・・・まぁ測ったな・・・」

「その時、シノアはどうだったの?」

「強かったさ・・・けどその時はレベルの低いモンスターだったからな・・・」

「・・・だから守る必要があると・・・?」

 

俺は黙って頷く。

レイシャはフゥ・・・と息を吐いて俺の部屋のドアノブに手を掛ける。

 

「少し位は頼ってみなさい・・・貴方だって出来ない事がある・・・もしかしたらあの子達はそれが出来るかもしれないわ・・・それを無下にしたら解決出来ることも出来なくなるだろうしね・・・」

 

そう言ってレイシャは出ていった。

俺は空いたベッドにボフッと音を立てて仰向けになる。

 

「頼ってみなさい・・・か・・・」

 

俺はふと【魔法生成機】で作っていた、ある魔法の存在を思い出し試すことにした。

目を閉じて魔法を唱える。

 

「【トゥモロー・ヒストリー】」

 

魔法【トゥモロー・ヒストリー】

現在から明日の期間で未来予知が出来る魔法だ。

 

これを使えばあいつらを頼って出来る打開策があるかもしれないと思い、使うことにした。

 

頭の中にある映像が出る。

 

ここは・・・家の庭・・・・・・?

空には2人の女の子が浮いている。

両方とも知らない顔だ。

いや違う・・・1人は浮いて、もう1人は拘束されている・・・

拘束されている女の子の肩に槍が突き刺さり、痛みに悶えてる・・・

拘束している女の子はもう3本槍を出して残りの肩と両足を突き刺した。

俺がその槍を神機の銃モードで砕き女の子が落ちる。

気を失ったようだ・・・

女の子は光だし、小鳥にもど・・・・・・ってこの小鳥・・・フィーリィの小鳥だ!!!!

男性が屋根に現れる・・・誰だ・・・?

俺と拘束をしていた女の子が闘って、俺は女の子の魔法を跳ね返した。

男性と女の子が帰って・・・・・・最後に槍を1本出して小鳥の胴体に───

 

俺はそこで【トゥモロー・ヒストリー】を中断した。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

突然の事に汗が止まらない・・・

何だ・・・何が起きてるんだ・・・!?

俺は知りたくてもそれを今知ることは出来なかった────

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

翌日

俺は今、めぐみんの部屋の前にいる。

ノックをしようにもなかなか出来ない。

 

「・・・どうすっかなぁ・・・・・・まぁ真正面から謝るしかなしよな・・・」

 

俺は部屋のドアをノックする。

 

「な・・・なぁめぐみん・・・話があるんだけど・・・」

 

・・・返事が無い・・・

 

「・・・入るぞ?」

 

キィ・・・という音を立てながらドアを開ける。

だがそこにはめぐみんはいなかった。

それも、私物全部が綺麗に無くなって・・・

 

「・・・あれ?」

 

机に1枚の紙が置いてある。

俺は嫌な予感がしつつもその紙を見た。

 

《少しの間、実家に戻ります。迎えに来ないで下さい。3日経っても帰って来なかったらパーティメンバーから外れたと思って下さい。》

 

その日を境にめぐみんは俺達の前から姿を現すことは無くなった────




めぐみんファンの皆さん・・・本当にすみません・・・!!!!
こうしないと個人的に納得のいく終わり方が出来ないんです・・・
明日でほぼ全てのイレギュラーの原因が判明します!
それと明日、2つ出すのですがその時に活動報告でお知らせを出すのでご覧になって頂きたいと思います。

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