かなり文章的におかしくなりそう・・・
レイシャ、フィーリィ、ゆんゆんの基本性能を見た翌日、俺達は屋敷で寛いでいた。
俺は暖炉の前で暖まりながらモンスターに関する書籍を。
めぐみんとダクネスはチェス。
レイシャはここのパーティに入った事を両親に伝えるべく実家に日帰りで戻り、夕飯はこっちで食べるとのこと。
ゆんゆんは俺の向かいで編み物をしながら俺の問いに答えてくれていた。
和真は出掛けてる。
シノアはフィーリィと共に生活用品を揃える為に買い物。
アクアは・・・多分何かしらしてるんだろ
「なぁゆんゆん、昨日遭遇したサンダーグリフォンとアイスグリフォンってあの森に頻繁に来るのか?」
「いえ・・・モンスターは基本、自分に合っている場所に縄張りを張っているんです。
昨日のサンダーグリフォンは気温変動が多い所・・・簡単に言えば嵐や雷等が多い所、アイスグリフォンは気温が低い所・・・つまり寒冷地方ですね。
そういった所に縄張りを張ります。
そこから外に出ると、気温や体質等で弱ってしまうので滅多な事が無い限り縄張りからは出ませんね。」
ゆんゆんは勤勉なのか、モンスターの生態に詳しい。
さっきから質問しているが、その質問に的確に答えてくれる。
この際だから[ゆんペディア]でも名付けようか・・・今だって手を顎に当て、思い出すように俺に説明してくれる。
「ってことは昨日の2匹はレアケースって訳だ?」
「そうなりますね・・・まぁこんなレアケース、そんなに遭遇はしたくはありませんけどね・・・」
「そうだな・・・」
俺はそうして会話を切り、また読書に集中する。
ゆんゆんも編み物に集中したようだ。
「・・・一つだけ・・・そういったモンスターが来る方法がありました・・・」
そんなゆんゆんの発言に、俺は読書を止め、再び顔を上げる。
ゆんゆんも編み物を止めていた。
「何か知ってるのか?」
「【召喚獣】・・・この言葉に聞き覚えは?」
「確か・・・呪文を言ったり、札を使って味方のモンスターを呼び出すんだっけ?」
「そうです。
基本的に召喚獣はスキル所持者のレベルと魔力量によって、低クラスから中クラスのモンスターを出すことが可能です。
召喚の際には魔法陣が出て来るのですが、黒い魔法陣が低レベル、白い魔法陣が中レベル、赤い魔法陣が高レベルとなっています。
召喚の方法も二種類あって、自らの魔力で魔法陣を作る方法、もう一つはこのように専用の紙に召喚獣の条件と魔法陣を書く方法です。」
ゆんゆんは説明しながら長方形の掌サイズの黄土色の紙・・・羊皮紙って名前だったか?それに魔法陣を書いて俺に見せた。
ふむ・・・魔法陣は大きな丸に三角形を2つ重ねて星型した感じか・・・んでその中に召喚獣の条件を書くんだな。
「ですが稀に冒険者になってスキルを習得したばかりなのに高クラスの召喚獣を呼ぶ冒険者も存在すると聞いています。ちょっとそう言った人には憧れますけどね」
うん。転生者ですねそれ・・・
・・・ってちょっと待て・・・呼び出すってことは・・・
「ってことは何だ?誰かがあいつらを呼んで俺達を襲撃させたってことか!?けど・・・」
「はい・・・魔法陣は見ていません・・・これは推測なのですが、犯人は遠くから私達を観察、頃合と思った時にその場で魔力で魔法陣を、若しくは魔法陣の紙で召喚、そして襲撃させたのだと思います。
魔法陣を書いた札であれば魔力弾で魔力供給は出来るので・・・
それに野生のグリフォンならあんな【再生回復のリング】なんて、高価な魔道具持ってる筈がありません・・・」
確かに・・・あれは自然に出来たリングじゃない・・・誰かに造られている。
「ってことは誰かに命を狙われてるって事だよな・・・あ~めんどくさい・・・」
「ま、まぁでも相手も無駄足だと分かったら諦めますでしょうし・・・」
その諦める日・・・いつ来るの・・・?
駄目だ・・・本を読む気が薄れてきた・・・しょうがない・・・散歩にでも行こう・・・
俺はパタンと本を閉じ、立ち上がる。
「何処か出掛けるんですか?」
「ちょっと気晴らしに散歩にな」
俺は玄関で靴を履く。
欠伸をしながらアクアが自室から出てきた。
「ふぁ~あ・・・ってリュウヤ?何処か行くの?」
「あぁ、すぐ帰る」
・・・てかずっと寝てたのかよ・・・あの駄目神・・・
◇◆◇◆◇◆
商店街を歩いている。
にしても自宅での会話が気になる・・・もし狙ってるとしたら・・・?
誰かに怨みでも買ったか・・・?
駄目だ、考える度に分からなくなる・・・それに目の前で和真を含める3人がコソコソしてるのを見ると尚更だ。
「・・・何してんだ?」
「「「うおおぉぉぉお!?!?!?」」」
3人で悪戯がバレたように驚く。
ちょっウケるw
「なんだ竜弥かよ・・・びっくりしたぜ・・・」
「そっちが勝手に驚いたんだろ・・・ってそっちの2人は初めましてだな?」
「ん?おぉ・・・俺はキースで《アーチャー》やってる。・・・ってアンタ・・・デュラハンを撃退したイチジョウリュウヤか!?え!?カズマ!こいつと知り合いなの!?」
あぁ・・・この反応いつぶりだろう・・・
どうも黒髪でストレートヘアー、青い服を着た青年がキースで《アーチャー》、金髪で赤い服のがダストで職業は《戦士》とのこと。
「知ってるなら話が早い・・・知っての通り、俺は一条竜弥。和真のパーティメンバーの1人で職業は冒険者だ」
「和真のパーティメンバーなの!?それにデュラハン撃退したのに冒険者!?」
「まぁその話はまた今度と言うことで・・・んでお前らこんな所で何してんだ?」
和真は目配せして2人を集め、ヒソヒソと何かを相談し出した。
そして相談を終えると話声が漏れないように俺を3人の輪に引っ張った。
「リュウヤ、ここでの話は余り広めて欲しくない・・・特に女性には、だ。」
・・・なんだろう・・・めんどくさい事に巻き込まれる気がしてならない、が俺は仕方なくこの3人に内密にすることを約束し内容を聞き出す。
「リュウヤ・・・この街には、サキュバス達がこっそり経営してる、良い夢を見させてくれる店があるって知ってるか?」
「はぁ・・・?」
・・・ほらやっぱり・・・
約束した手前、聴いておこう・・・
「この街・・・いや、この路地裏の店には、サキュバス達が住んでるって噂があって、今その前に来てるんだ・・・って言うのも、連中は人間の持つ、ムラムラする欲望の感情、つまり男の精気を吸って生きる悪魔っていうのは知ってるよな?
となると当然、彼女達には人間の男って存在が必要不可欠になってくる。」
「ま・・・まぁそうだな・・・」
「で、だ。当然彼女達は俺達から精気を吸う訳だが・・・。
ここの男性冒険者達とこの街に住むサキュバス達は、共存共栄の関係を築いている。
・・・まぁ・・・俺達は基本馬小屋暮らしだろ?するとだ。
その、な?色々溜まってくるじゃないか。
でも、周りには他の冒険者寝てるんだ。解消したくてもする事も普段はできないだろ?」
「・・・」
なんだろう・・・帰っていいかな・・・
というのも俺の暮らし・・・知ってるだろ?
そういった事が普通はあるらしいんだが俺はちょいと違ってあの家でどうにか生活するのがやっとって位だ・・・そんなのは薄れてきてた。
これを翔に話したら────
「枯れてんなぁ~。てかしたくても出来ないんだろ?w彼女いない歴=年齢だしなw」とか言いやがった。
あの野郎・・・自分だって彼女いないくせに・・・
あの時の翔の笑顔はうざくって、その日課題を見せてくれって言われたけど、見せてやんなかった。
その後どうしたかって?当然担当の教師に叱られてたよ?
ザマァw
・・・っと話が逸れた。
「かといって、その辺に寝てる女冒険者に悪戯でもしてみな?
そんなもん即座に他の女冒険者に気づかれて袋叩きにされるか、もしくは悪戯しようとした相手が隠し持っていたダガーで、逆にアレを切り落とされそうになったっておかしくない」
たまにあるんだよな・・・俺が思い出浸ってる間にも話進んでる事・・・当然か・・・
まぁ俺は仕方なく頷いてるけど・・・
「・・・でだ、そこでこのサキュバス達の登場だ。
こいつらが、俺達が寝てる間に凄いのを見せさてくれる訳だ。
俺達はスッキリできて、彼女達は生きていける。
彼女達も、俺達が干乾びたり冒険に支障をきたさない程度に手加減してくれる。精気を吸い過ぎて冒険者がヤバい事になった例は無い・・・と思う。
・・・どうだ?誰も困らない話だろ?」
確かに問題ないと思うけど少子化社会まっしぐらですよね!?
その後帰ろうとしたが3人に捕まって、目が笑ってない笑顔で連行された・・・
ア~レ~~・・・
◇◆◇◆◇◆
店の中に入る。
「いらっしゃいませー!」
露出の高い女性・・・いやサキュバスか・・・に挨拶された。
うん!見事に男性しかいねぇ!
そしてその男性達も一心不乱に何か書いてる・・・バラしたら命を頂きますとか、ヤバい誓約書じゃないよね?
店員の1人が俺達を空いているテーブルに案内しメニューを手に笑みを浮かべる。
「お客様は、こちらのお店は初めてですか?」
和真達3人は物凄い速度で頷く。早っ!
俺も1歩遅れて頷いた。
「では、ここがどういうお店で、私達が何者かもご存知でしょうか?」
まぁ・・・理解は出来たよ・・・
和真達3人がすぐさま頷く。
・・・和真よ・・・欲求不満なのはどっちだ・・・。
それに満足したのか店員がテーブルにメニューを置く。
「ご注文はお好きにどうぞ。
勿論、何も注文されなくても結構です。そして、こちらのアンケート用紙に必要事項を記入して、会計の際に渡してくださいね?」
俺は渡されたアンケート用紙に目を落とす。
なんかすげぇ書く欄あるな・・・ん?
「あの、夢の中での状態は何となく分かる・・・けど性別や外見、ってのがよく分かんねぇんだけど?」
そう・・・そんな良くわからない事までも書いてあった。
状態はまぁ分かる・・・自分の性別や外見?
「状態とは、夢の中では王様とか英雄とかになってみたい、等ですね。
性別や外見は、たまに、自分が女性側になってみたい、というお客様もいらっしゃいますので。
年端もいかない少年になって、強気の女性冒険者に押し倒されたいとのお客様もいらっしゃいました」
・・・その方のパーティメンバーさん・・・
その方には精神科、若しくは脳外科に行かせる事をお勧めします・・・。
黒髪がおずおずと、店員の女性・・・じゃなくて店員のサキュバスに見える様に片手を挙げる。
ん?名前?キースがダストのどっちかだったよね!黒髪って言えば分かる!・・・分かる・・・?
「・・・あの、この相手の設定ってのは、どんな所まで指定ができるんですかね?」
「どんな所までもです。
性格や口癖、外見やあなたへの好感度まで、何でも、誰でもです。
実在しない相手だろうが、何でもです」
「マジですか・・・?」
「マジです」
まぁ夢だからな・・・アニメのキャラもOK大袈裟に言えば物理法則も無視される。だとしたら肖像権等の全ての権利も関係ない訳だ。さすが夢。
その後3人は無言で紙に何かを書き続けた。
その時に店員のサキュバスが何故か俺に近づく。
「あの・・・お客様・・・?」
「?」
「項目が埋まってないようなのですが・・・」
「あまりいい状況とか浮かばないんでそちらで面白そうな展開が浮かびましたらその内容で頼みます」
「は・・・はぁ・・・」
皆が書き終わり、財布を出す。
「では、皆さま三時間コースをご希望ですので、お会計、それぞれ5000エリスを頂戴致します」
5000エリス・・・安いのか・・・?
「私達にとって、お金はこの街で人として生活していけるだけの分があればそれで十分なんです。
後はほんのちょっと、お客様の精気を頂くだけですから」
いや・・・5000エリスつってもこんなに客多いなら結構な収入入るのでは?と言いたかったが止めとこう・・・
最後に、泊りの住所と今日の就寝予定時刻を書いた。
その時間帯に、この店のサキュバスが就寝中の俺達の傍へ行き、希望の夢を見せるらしい・・・そしてお酒等は控えめにすることを言われた。
何でも泥酔されて、完全に熟睡されていると夢を見させる事が出来なくなるらしい。
それぞれ料金を出し、帰路に着いた。
「いや~楽しみだなぁ~・・・サキュバスの淫夢サービスかぁ~・・・って浮かない顔してるな?」
「ん?まぁな・・・前世が前世だったから・・・」
「?何かあったのか?」
俺はその帰り、和真に転生する前の事を話した。
その時、和真が何も言わず、真剣に聞いて、頷いてくれていた事に感謝したい。
「そっか・・・お前、死ぬまでその彩香ちゃんの事守ってたんだな・・・いい兄じゃねぇか!」
「ならいいけど・・・そういえば和真、お前は何で死んだんだ?」
「・・・」
「?おい?どうした?」
「頼む・・・それに関しては触れないでくれ・・・」
「お・・・おぅ・・・すまん・・・」
ヤベ・・・不味い事しちまった・・・多分殺しに会ったんだろうな・・・気の毒に・・・
そうこうしてる内に家に着いた。
「「ただいま~」」
何かを煮ているのか、グツグツと音が聞こえる。
よく見ると鍋だ。
鍋キタ━(゚∀゚)━!
「カズマ、リュウヤ、お帰りなさい!喜びなさい!今日の晩御飯は凄いわよ!蟹よ!蟹!さっきダクネスの実家の人から、そちらでダクネスがお世話になってるからって、引っ越し祝いに超上物の霜降り赤蟹が送られて来たのよ!
しかも、凄い高級酒までついて!パーティメンバーの皆様に、普段娘がお世話になってる御礼です、ですって!」
蟹!?蟹だと・・・!?
俺の中学生時代の好物の1つじゃないか!!
俺は直ぐに席に着く。
おぉ!!蟹は1人3杯って所か!
鍋に続き・・・
蟹キタ━(゚∀゚)━!
今更だけどこの世界にも蟹ってあるんだな・・・
いや・・・待てよ・・・この世界の空気や水は汚れていない・・・ということは完全に自然のままの、汚れた餌を食べてない、最高品質の蟹が今目の前にあるって事か!
8人が席に着き、パキッといういい音を立てて食べ始める。
・・・よし・・・俺も・・・!
俺も蟹を取り、殻を剥いて食べる。
醤油は2口目から・・・これが俺が1番好きな食べ方。
異論は認めん。
ピンクと白の身を口に含む。
「──!!!!」
レベルが違う・・・美味い・・・美味過ぎる・・・!!正直醤油なんて必要ない!それ程の美味さ!
皆も談笑しながら蟹を食べている。
うん!これはいい!最高!
「カズマ、ちょっとここにティンダーちょうだい。私が今からこの高級酒の美味しい飲み方を教えてあげるわ!」
アクアの頼みに和真が反応し、ティンダーをアクアの前にある、炭が乗った七輪に当て、火を灯す。
そしてアクアは自分の前に置いてある七輪の上に、カニ味噌が残った甲羅を置き、その中に高級酒を注いでいく。
アクアは上機嫌で軽く焦げ目がつく程度に甲羅を炙って、熱燗にしたそれを一口すすった。
「ほぅ・・・っ」
実に美味そうに息を吐いた。
あ~親父もやってた好きなやつ・・・
和真がやろうとしたが途中で手を止める。
ん?どうした・・・って、あ・・・思い出した・・・例の店で泥酔すんなって言われてたっけ・・・てかお前、絶対未成年だろ?
腕組んで我慢してる・・・
「これはいけるな、確かに美味い!」
和真はダクネスの誘惑に耐えている。
効果は抜群だ!
「ダクネス、私にもください!いいじゃないですか今日ぐらいは!」
「だ・・・駄目だ!子供の内から飲むとおかしくなると聞くぞ!?」
めぐみんはぷぅと頬を膨らませ、恨めしそうにダクネスを見る。
ちょ・・・可愛い・・・
「どうした?カズマ、リュウヤ。・・・まさか、家のカニが口に合わなかったか?」
だんまりしている和真と無表情で食べてる俺にダクネスが不安そうな表情を浮かべる。
「いや、カニは凄く美味い。
ただ、今日は昼間に、竜弥と一緒にキース達と飲んできちまったんだ。
だから、今日の所は酒はいいかな。
・・・明日!明日貰うよ!」
「そうか。なら、せめてたくさん食べてくれ。日頃の礼だ」
こういう時って相手の良心傷つけてる気がして自分責めちゃうんだよねぇ~・・・まぁ俺達の場合理由は邪だけど・・・
和真が席を立った。
「それじゃ皆、ちょっと早いけど俺はもう寝るとするよ。
ダクネス、ご馳走さん!お前ら、お休み!」
和真はそう言って自室に戻った。
さてと、俺も残った蟹を食べるとしますか・・・
数十分経ち、蟹の乗ってるザルも鍋の中も綺麗に無くなった。
途中で酔ったゆんゆんやフィーリィに絡まれて柔らかいのが俺に当たったが気の所為だよな・・・?うん、気の所為・・・。
その後ダクネスが2人を寝かしつけに行き、レイシャとシノアが片付けとなり、食休めに俺はソファーに寝転がった。
ふぅ~まさかこっちでこんなに蟹が食べられるとは・・・不謹慎ながら、転生、有難うございます・・・
・・・あ・・・やべ・・・眠い・・・
俺は眠気に抗えずそのまま眠ってしまった。
◇◆◇◆◇◆
「ん・・・?え・・・?」
気が付くと俺の身体の上に毛布が掛かっていた。
誰かが掛けたのだろうか・・・って確か寝てる時にサキュバスが夢を見せてくれるんだよな・・・?
俺は試しに頬を抓る。痛い・・・
痛いってことは現実ってことか・・・
ハァ・・・時間と金を無駄にした・・・
部屋に戻って寝よう・・・
俺は2階に上がり、扉を開けた。
「すぅ・・・すぅ・・・」
・・・誰かいません?
俺はアンケートを殆ど書いてない。
だとするとここにはランダムで女の子がいるって訳か?
えっ!?・・・待って!?何か急にドキドキして来たんだが!?
えっ!?頬痛かったよ!?あれも夢の一部なの!?淫夢サービスって五感も支配されるんすか!?クオリティ無駄に高くない!?
俺は深呼吸をして俺のベッドに近付く。
あ・・・本散らばってる・・・あれ?閉まったような・・・まぁいいか・・・
机では黒い小鳥が寝てる。
ベッドに視線を移すと、そこには寝息を立てた女の子がいた。
うわぁ~すっげぇリアル・・・長い黒髪に年下だろうか・・・身長が低い・・・・・・・・・ってェ・・・
「彩香ぁぁぁぁぁあああ!?!?!?!?!?!?」
「ひゃうっ!?なななな何事ですか!?ってリュウヤさん!?」
いや彩香がいないのは分かる・・・!分かってる・・・!
いやでもここにいるのは彩香・・・じゃなくてフィーリィだ!
そして夢だとしたら目の前のフィーリィもサキュバスな筈!
だってそうでしょ!?・・・待てよ・・・ってことは俺・・・ここで初めてするとしたら相手が彩香だから近親相か・・・いやいやいや、彩香じゃなくてフィーリィだって!
いや違う!サキュバスだ!そしてこれは夢!絶対夢!でないと俺犯罪者になっちゃうから!
そんな俺の脳内葛藤を知らないフィーリィはかなり眠たそうだ・・・
「わ・・・悪ぃ・・・起こしちまったか?」
「い・・・いえ大丈夫ですぅ・・・ふわぁ・・・」
大きな欠伸・・・余程眠いんだろう・・・夕飯も目を輝かせて食べてたしな・・・
「あ・・・」
「ん?どうした?」
「リュウヤさん・・・」
フィーリィが上目遣いの四つん這いになって近付き、手を伸ばす。
・・・待って・・・・・・まさか・・・・・・?
「一緒に寝ましょぉ~♪」
「ちょっと待てぇぇぇえええ!!!!手ェ引っ張るなぁぁぁぁぁあああ!!!!」
抵抗すら許されず俺はフィーリィに抱き着かれる!
慌てて引き剥がそうにもフィーリィは離れない。
待って!?腕力強くない!?
「ふわぁ~・・・あったか~い♪」
引き剥がそうとしてる俺を差し置いてフィーリィは嬉しそうにギューッと抱き着いてくる!
嫌ぁぁぁぁぁああ!!!!!!!!待ってぇぇぇえええ!!!!!!!!柔らかいのが当たってるぅぅぅぅううう!!!!押し付けられてるんですけどぉぉぉおお!?!?!?!?!?!?出られないよぉぉぉぉおお!!!!!!!!理性保ってぇぇええええ!!!!!!!!
起きて!!!!起きて下さいフィーリィさぁぁぁぁああん!!!!!!!!
「曲者じゃぁぁああ!!!!皆の者!出会え出会え!!!!」
グッドタイミングでアクアが騒いでいる!
夢なのは知ってる!・・・けど助かった!
「フィーリィ!何か来たみたいだ!援護に向かおう!」
「ふぇ・・・?ふみぃ・・・」
あ・・・駄目だこりゃ・・・完全に夢の世界・・・ん?違うか・・・俺が見てる夢でフィーリィが夢見てんのか・・・ややこしい・・・
フィーリィの拘束(?)を解いて勢いよく廊下に出る。
するとそこにはフィーリィを除く女性軍と、腰にタオルを巻いた和真が対立するように立っていた。
そしてその後ろには2人のサキュバスがいる・・・ん?いる・・・ってことは・・・?
「実はこの屋敷には強力な結界を張っておいたの!結界に反応があったから来てみれば、このサキュバス二人が屋敷に入ろうとしてたみたいで、結界に引っかかって動けなくなっていたって訳よ!サキュバスは男を襲うから、きっとカズマ達を狙ってやってきたのね!でももう安心よ。今からサクッっと悪魔祓いしてあげるから!」
・・・・・・・・・orz。
てことはなんですか?あれ・・・フィーリィはマジで現実世界で俺の部屋で寝てたって訳っすか・・・
てか何で・・・?
「・・・どうしましたぁ?・・・って・・・」
フィーリィがキョトンとした顔で2人のサキュバスを見る。
肩に乗ってる鳥は威嚇する様に翼を広げてる。
「・・・寝てていいですか?」
「いいよ、後はこっちでやっとく・・・」
俺は寝るようにフィーリィに言い、サキュバスに近付く。
「待って!危ないわ!ここは私が「【転移】」」
俺は2人のサキュバスの腕を掴み、家の屋根へ転移する。
「あ・・・あの・・・有難うございます・・・助けて頂いて・・・」
「まぁ・・・いいよ・・・今日は帰んな。
サービスの方はまた今度受けるから、後和真にも言っとく」
2人はお辞儀をして帰って行った。
再び【転移】を使い、廊下に着くと皆にあのサキュバスはどうしたのか聞かれて、速攻で倒した・・・けど方法が方法だからあまり見せる訳にもいかなかったと説明すると女性軍は安心して自室に戻った。
・・・レイシャはニヤニヤしてたが・・・
まぁ大事にはならなくてよかった・・・
その後レイシャが俺に近寄り、俺にしか聞こえないトーンで「フィーリィを襲わなかったのは偉いわね・・・けどもし本人も気付いたら貴方の大事なモノが切り取られてたかもしれないわね・・・」と耳元で囁かれ、真っ青になりました。
◇◆◇◆◇◆
翌日
俺宛てに手紙が来ていたので開けてみた・・・うん・・・例の店から無料券10枚だったよ・・・9枚ほど和真に渡したらメチャクチャ喜んでた。
1枚は記念として俺が持った・・・使わないよ?うん絶対・・・絶対・・・?
その後俺は素振りをしていた。
するとそこにフィーリィが暗い顔でやってくる。
「あの・・・リュウヤさん」
「ん?どうした?」
「昨日はその・・・ごめんなさい!」
謝られました。
へ?と素っ頓狂な声が出てしまう。
「アクアさんから・・・聞きました。サキュバスに・・・途中まで操られていたんですよね・・・?なのに・・・私気付かなくて・・・」
手や声が震えてる。
どうやらアクアが足りない頭を使って今回の俺や和真の事を勘違いして操られていたが途中で俺がそれを無理矢理解き、倒したと思っているようだ・・・うんその案採用させていただきます。
「私・・・怖くなって・・・このままリュウヤさんが魔王軍の配下になるのかと思ったら自分の注意力の無さのせいになってしまうと思って・・・怖くて・・・私自身どうにかなってしまいそうで・・・ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・」
涙をポロポロと落として自分を責めている・・・あまりやってほしくない・・・
「フィーリィ・・・」
「・・・はい・・・?」
「お前は悪くない・・・現に起きて来たじゃないか・・・ならそれでなしだ・・・あまり自分を責めるな・・・」
「だって・・・だって・・・」
俺は埒が開かないと思い、フィーリィの肩に手を乗せる。
「なら・・・次で挽回すりゃいい・・・そうすれば俺だってお前を信じられる・・・」
「リュウヤさん・・・」
フィーリィは涙を拭き、俺に笑顔を見せた・・・あぁ彩香にそっくりだ・・・そして俺はその笑顔にドキッとしてしまったのは黙っておこう。
「有難う・・・ございます」
フィーリィは最高の笑顔でそう言い、頭を下げた。
俺は頭をポンポンとして素振りに戻る。
そんな俺を他所に俺の周りで黒い笑みをしていた者に気付くことが出来なかった・・・
皆・・・すまん!こういうの苦手なんだ!
今日は後2本、
登場人物紹介と年末年始特別編
をお送りします!