一色先輩が用意していたのは、創真に対する惜別のためのプレゼントであった。監査委員の新戸が事務局と協議を行い。創真と一色先輩の食戟が正式に認定された。創真にとっては帰国後最初の食戟だ。いつものルーティーンのごとく寮の部屋で包丁を研ぐ。
そこにそっと扉の音を立てないように部屋に入る者がいた。
創真「えりな、入る時くらいノックぐらいしろよ」
えりな「気づいてたのね」
創真「向こうにいる間もしょっちゅうだっただろ。部屋をわざわざ別にした時も」
えりな「あら、じゃあ創真は私と一緒にいるの嫌だったの?」
えりなは、創真の背中に抱き着いた。創真は、そっと首回りにくるまった彼女の手にそっと手を当てる。
創真「いいのか? 秘書子に怒られんじゃねえの」
えりな「大丈夫よ」
創真「お前は、俺のことが好きなのか嫌いなのかわかんねえよ」
部屋で二人は仲よさげにしているのを極星のメンバーは羨ましそうに見てる。
佐藤「くそー幸平の奴、いちゃいちゃしやがって」
青木「羨ましすぎだろおい」
伊武崎「お前ら趣味悪いだろ」
吉野「おめーら何やってんだー」
青木・佐藤「げっ、よ、吉野・・・いや、これはその・・・」
吉野「私にも覗かせろ」
ドアの前でどんどん野次馬ができるのを和希があきれて見ている。
和希「何やってんだか?」
榊「みんなうれしいのよ。創真くんが戻ってきて」
しかし、そんな中でも田所の様子だけはおかしかったのを和希は見逃さなかった。
和希「言いたいことがあるなら本人に聞いてみれば?」
田所「え、いや一之瀬君、私は・・・」
榊「そうよ恵。確かに創真くんとえりなちゃんは特別な関係なのかもしれないけど、自分からあきらめたら奇跡は起こらないんじゃないかな?」
田所「涼子ちゃん」
和希「とりあえず、あの面子を引っ張り出すか」
榊「そうね」
和希と伊武崎、榊が寮の面々を追放していった。しかし、田所はしばらくその場にポツンと立ちすくんだ。
新戸「そこで何をしているのだ?」
田所「あ、新戸さん! こんな時間にどうしたんですか?」
新戸「幸平に書類を届けるついでにえりな様を迎えに来た。おそらく、幸平の所だとは思っていたが」
田所「そ、そうなんだ」
えりな「あら、緋沙子。 わざわざ迎えに来たの?」
新戸「忙しくてもえりな様のお付ですから」
えりな「たくましくなったわね」
創真「新戸久しぶりだな」
新戸「達者なようだな幸平創真」
創真「お蔭さまでな。で、何で田所と一緒なんだ?」
新戸「偶然会って案内してもらった。お前にも用があったからな」
創真「俺に?」
新戸「一色先輩との食戟のことだ。少しいいか?」
創真「なるほど、じゃあ入れよ」
新戸「すいませんがえりな様と田所さんは外してくれますか。一応これでも監査委員会の仕事なので」
えりな「分かったわ」
すると新戸は、田所にそっと耳打ちした。
新戸「えりな様の気持ちを聞いてみると自分の決心がつくかもしれないぞ」
田所「新戸さん」
更新が遅れました。大学のレポートや試験で忙しくしばらく出せませんでした。