食戟のソーマ 創作伝   作:幸村 聖臥

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遠月は、薙切薊追放により元の平穏が戻った。しかし、十傑が解体となり学校としての体制の整理が即急に片づけなければならない。果たして創真たちの今後は?


旅立ち編
転機と変化


食戟から数週間がたった。遠月では、授業は、一部の科目を除き再開されていた。というのも薙切薊による人員で揃えられていた体制のまま授業を行うわけにもいかなったからだ。

 

【薙切家の車】

 

創真「まだ、つかないのかよ?」

 

えりな「何度もしつこいわね」

 

和希「まあまあ、これも仕事なんだし、我慢してくれよ創真」

 

創真「にしても俺たちじゃなくてもいいだろ。それに薙切んとこの爺ちゃんがいれば十分だろ」

 

仙左衛門「わしの一存ですべてを決めては、薊と同じことの繰り返しだ。裁きを行うのは勝負に勝ったものの権限。かつての十傑は、そのためにわしが作り上げた制度じゃ」

 

和希「ついたみたいですよ」

 

みんなが車から降りる。目の前にはデーンとそびえる立派なビルがあった。

 

創真「相変わらずこういう雰囲気苦手だわ」

 

すると、正面から誰かが出てきた。和希の妹の遥だ。

 

遥「皆さま、遠いところお疲れ様です」

 

創真「おう、和希の妹じゃん」

 

和希「すまないな遅くなった」

 

遥「いえ、さあ中へどうぞみなさん上の階でお待ちです」

 

遥に案内され、4人はビルの10階まで上がり会議室と書かれた部屋に通された。

 

遥「遠月学園の皆さまがご到着しました。皆さんは、あちらのプレートの席にお座りください」

 

男「久しぶりですね仙左衛門殿」

 

仙左衛門「懐かしい顔じゃな・・・神宮寺鋼いや一ノ瀬鋼殿」

 

鋼「まさか、あなたほどの指導者が薙切薊に出し抜かれるとは驚きでした」

 

仙左衛門「それだけわしも老いたということじゃ」

 

鋼「時代が代わったということですね。それでは、始めましょうか兄上?」

 

湊「お初にお目にかかります。鋼の兄で料理協会会長・神宮寺湊です。これより、査問会議を始めます」

 

鋼「大まかな内容は、和希・遥を通じて私の耳に入っております。しかし、調査が遅れたこともありすべてをこちらでも把握し切れてはいません。なので今回は、直接的な関わりのある3名に事情聴取という形で起こしいただきました。

 

会議は、2時間に渡って行われた。主な議題は、生徒の強制退学や授業による教師による妨害行為、総帥による横暴な人事、十傑による権力の乱用であった。

 

湊「長い時間ご苦労様でした。今回の件はことの重大さを考慮し、関与した者の処分は協会の合議を以て行うことなりますのでご了承ください」

 

仙左衛門「異論はない。こちらが招いたこと手を煩わせ申訳ない」

 

しかし創真は、どうしても一つの疑問が拭い去れなかった。

 

創真「あの一ついいっすか?」

 

湊「なんだね?」

 

えりな「ちょっと幸平君、ここは神聖な場所よ。少しは・・・」

 

鋼「構わないさ。ここは事情聴取の場、何か重要なことかもしれないからね」

 

創真「ありがとうっす。処分って十傑やセントラルの生徒も対象になるんすよね」

 

湊「まあ、そうなるだろうな。しかし、仮にも学生相手にそこまで非常な処分はしない方針だが、彼らのやったことには許しがたいこともあるゆえ相応な処罰は下されるだろう」

 

創真「俺たちが、処分を望まなくても無駄ってことっすね」

 

鋼「創真くん、処分ということは切り捨てることばかりではない。もう一度やり直す機会を与えることでもあるんだよ。彼らは一度すべてを失うかもしれないが、それは、0になるだけでずっと変わらないわけではない」

 

和希「本人の心がけ次第ってことだ創真」

 

創真「分かりました。どうかよろしくお願いします」

 

そんな熱い創真を仙左衛門は関心して見ていた。そして、会議は終わり一同は帰宅の準備をした。

 

遥「仙左衛門様、ちょっとよろしいでしょうか?」

 

和希「どうした遥?」

 

遥「お父様が仙左衛門様と二人でお話がしたいので皆様を神宮寺家の車で送るようにと湊伯父様に言われました」

 

仙左衛門「分かった。えりな、創真くんたちは先に帰ってなさい」

 

えりな「分かりましたお爺様」

 

【遠月・極星寮】

 

極星寮の仲間と薙切アリスや黒木場たちが創真とえりなたちの帰りを待っていた。

 

創真「ただいま」

 

吉野「幸平、協会に呼び出されたって本当! この学園潰されちゃうの?」

 

えりな「どこでそんなこと聞いたのよ」

 

榊「授業は、再開したけどセントラルに属した人は謹慎中でいないし、休講の授業もあって」

 

伊武崎「学園中が重苦しい雰囲気でそういう噂も立つんだろう」

 

葉山「で、どうなんだ幸平」

 

和希「特に学校の存続には触れてないよ。なんせ理事は僕の身内が大半だからね信じていいよ。ただ、論点になったのは今後の学校運営を誰かの監察の下でやるのか、新体制敷くのかは分からないし、造反者の処分も決定していない」

 

新戸「つまりは、まだ初期段階ってことか」

 

一色「でも、そんなに大事には協会もしたくないはず。きっとなるようになるよ」

 

その頃・・・

 

【とある料亭】

 

仙左衛門と和希の父・鋼はとある料亭に入っていた。

 

鋼「こちらです。仙左衛門様」

 

城一朗「遅いじゃねえか。鋼先輩に爺さん」

 

鋼「城一朗、いい加減に総帥を爺さんって呼ぶのやめろよ」

 

仙左衛門「構わんさ。こやつには今回は借りがある」

 

3人は酒を酌み交わしながら思い出話をしながら食事をした。だが、本題が別にあることを城一朗も仙左衛門も気づいていた。

 

城一朗「先輩、食事をご馳走するためだけに個室まで用意した訳じゃないんだろ?」

 

鋼「相変わらず喰えない男だな」

 

仙左衛門「前置きは、いらん。 遠月のことで遠慮しているのなら構うことはない申してみよ」

 

鋼「そうですね。では、三つほどに分けて説明しましょう。まずは、学校運営の件ですが、今回の件で遠月には監察官を配備し、運営の監視を行うことがほぼ確実となっています。同時に、二つ目として人事も薊政権の配下の教師は解雇および業界からの永久追放は免れない様子です。さらに、深刻なことを言うと十傑の処分は、特に厳しいものを突き付けられるでしょう。制度の問題も含め権力の乱用にもつながることなり、特に生徒を退学に追いやる狩り行為は、どうしても見逃せない案件となっているようです」

 

仙左衛門「そうか」

 

城一朗「爺さん落ち込むことはねえよ。どうせアンタのことだ、手は回しているんだろ?」

 

鋼「はい、今日は3つ目の案件に関してが最も重要なことです」

 

鋼は、書類とパンフレット開き二人に事細かく説明した。

 

仙左衛門「なるほど、お主は遠月を・・・」

 

鋼「今までのままというのは、難しいかもしれませんが全力を尽くします」

 

城一朗「でもいいのか爺さん? これを実行すれば・・・」

 

仙左衛門「心配はしておらん。それにあの子たちのためになるのなら協力は惜しまぬ」

 

【遠月・極星寮】

 

新戸「仙左衛門さま、なかなかお戻りになりませんね」

 

えりな「何かあったのかしら?」

 

和希「大丈夫だよ。親父は、話し出すと長ったらしいから遅くなってるだけだよ」

 

キーン・コーン・・・と極星寮の呼び鈴がなる。

 

田所「はーい・・・創真くんのお父さんに総帥」

 

城一朗「恵ちゃん、遅くにすまないな」

 

田所「いえ、どうぞ。創真くんもえりなちゃんも中で待ってます」

 

城一朗「爺さん、今日のところはえりなちゃんを連れて帰ってくれないか? 創真と二人で話がしたい」

 

仙左衛門「分かった」

 

田所は、えりなを呼びにリビングに向かった。

 

田所「えりなちゃん、総帥が向かいに来たよ。今日は、一緒に帰るって」

 

えりな「そう、分かったわ。行くわよ緋沙子」

 

新戸「あ、はい」

 

しかし、新戸はすれ違いざまに田所に耳元に質問した。

 

新戸「田所恵、総帥は何か言っていたか?」

 

田所「総帥は何も、ただ、創真君のお父さんも一緒にいて、創真君と話したいから連れて帰ってくれって」

 

新戸「何?」

 

えりな「緋沙子、どうしたの?」

 

新戸「い、今行きす。ありがとう田所恵」

 

田所「・・・あれ、そういえば創真くんは?」

 

丸井「そうえば、さっきから姿が見えないな」

 

和希「たぶん、部屋にいるよ」

 

葉山「まあ、何にしろ今日はもう遅い俺は失敬する」

 

アリス「私たちも引き上げましょうか。リョウ君」

 

黒木場「うす」

 

タクミ「では、僕たちも失礼するよ」

 

榊「うん、何かあったら伝えるわ。多分、決定事項は和希君に聞いて方が早いしね」

 

そうして、極星寮以外のメンツは帰って行った。

 

【創真の部屋】

 

創真は、何やら暗い部屋で胡坐をかき腕組みしながら何かを考えていた」

 

すると、突然部屋の電気がついた。

 

城一朗「おいおい、この部屋は誰かの葬儀会場か?」

 

創真「親父! 薙切のところにいたんじゃ?」

 

城一朗「ちょっとおめえに話があってな」

 

創真「なんだよ話って?」

 

城一朗「いや、お前にとっては悪い話ではない」

 

城一朗は、ある封筒を創真の前に出した。中にはパンフレット書類が入っており、そこには、国際料理留学と書かれている」

 

創真「留学?」

 

城一朗「そうだ。世界各国を飛び回り様々な文化や環境にふれあい料理を学ぶプログラムだ。和希君の親父がお前にって進めてくれたんだ」

 

創真「へえー面白そうじゃん」

 

城一朗「ただし・・・」

 

次の瞬間、城一朗の眼が真剣になる。

 

城一朗「留学すれば、ほぼ100パーセント第1席にはなれなくなる」

 

その言葉に創真は衝撃を受けた。

 

創真「それってどういうことだよ親父?」

 

城一朗「この留学は長期にわたる物だ。プログラムを終えるのに早くても2年はかかる。細かいことを追求すればもっとかかるだろう。お前が、遠月の1席に執着するっていうなら俺は止めない。だが、今回の司君のように固執し過ぎて周りが見えなくなればお前も同じになる。かつての俺のようにな。だが、決めるのはお前だゆっくり考えて結論を出せ」

 

急なことで創真の頭の中は混乱した。しかし、一点だけ城一朗に確認をした。

 

創真「親父、これは俺だけなのか?」

 

城一朗「いや、それはまだわからん。だが、えりなちゃんは行けないぞ。薙切のお嬢様である。彼女が長期に渡り日本去ることは料理界にもリスクがある。これは、俺の考えだが、えりなちゃんは遠月にいることが今の最善な道だ」

 

その頃・・・

 

【薙切の屋敷】

 

えりな「お爺様、今なんと!」

 

アリス「えりな・・・」

 

仙左衛門「幸平創真は、恐らく留学することになるだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 




突如告げられ、困惑する二人果たして二人の胸中は? 次回は二人の心境も明らかに

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