ISなんかどうでも良いから女の子とキャッキャウフフしたい。 作:大塚ガキ男
過去最高に投稿期間が空いてしまったこと、お詫び申し上げます。
「嗚呼、光也殿!好きです大好きです愛してます!愛らしく無防備なその寝顔・・・!だらしなくベッドからはみ出した片足・・・!足元においやられている掛け布団・・・!これぞ光也殿の為せる
「・・・・・・」
休日の朝。何者かの可愛らしい声によって目が覚めた。両腕は何故だが動かせなかったので、目を強く瞑ったりモヨモヨと動かしたりして目を起こし、ゆっくりと目を開く。ボヤける視界。対象に少しずつピントを合わせると——
ラウラちゃんだった。
ラウラちゃんが、オレの両手の平を両膝で踏んで動きを封じ(両膝で踏んでいるのでラウラちゃんがオレの胴体に跨るような体勢になっている)、オレの胸板に両手を触れさせ、首元の匂いをくんかくんかと嗅いでいた。
オレの匂いの何がラウラちゃんをここまで突き動かしたのか。鍵はシャルちゃんが昨日の晩にしっかりと締めていたはずなのだが、もしかしたら何かの間違いで締め忘れていたのかもしれない。このぅ、シャルちゃんのうっかりさんめ。
オレとしてはこのままラウラちゃんの香りや体重や柔らかさを楽しんでも全然OKなのだが、いつの間にか起きていたうっかりシャルちゃんが冷たい瞳でラウラちゃんの背後に立っていたので、そうも言っていられなくなりそうだ。あ、シャルちゃんと目が合った。
「ラウラちゃん・・・!」
「光也殿、お早うございます!良い朝ですね!」
「おう、とっても良い朝だ。ところでラウラちゃん。そろそろオレも顔洗ったりしたいなァとか考えているんだけど」
「御心配には及びません。光也殿が眠っている間に、温タオルで顔を拭いておきました」
「歯を磨いたりとかもしたいなって」
「御安心ください。光也殿が眠っている間に、唾液消毒をしておきました」
褒めて褒めてとニコニコ笑顔のラウラちゃん。両膝は依然、オレの両手の平を踏み続けている。
「だから、まだ起きなくて大丈夫です」
目がマジだった。
「むしろ、寝ていてくださるとこちらとしてはとても捗rげふんげふん、助かるのですが」
「ね、寝てた方が良い?」
「はい」
「——寝るのはラウラの方だよ」
シャルちゃんの今日の第一声が聞こえてきた直後、糸が切れたように(この場合は、マリオネット的なそれだ)、ラウラちゃんが
「お早う、光也。良い朝だね」
床に転がった(仰向けの状態故に直接確認することは出来ない)ラウラちゃんには目もくれず、オレに微笑みかけるシャルちゃん。先程の冷ややかな瞳が嘘のようだった。
「光也殿!」
校内を散歩していると、前方にオレの名前を呼びながら手をブンブンと振りながらこちらに駆けてくるラウラちゃんの姿が。
「よう、ラウラちゃん」
「今朝はお見苦しい所を見せてしまい、申し訳ありませんでした!」
「いや、気にしてないぜ。そりゃァ少しは驚いたけれども」
「・・・・・・次は誰にもバレないように事を済ませてみせます」
「何だって?」
「いえ、何でもありません。光也殿と二人きりでお話するのは久し振りでしたので、少し興奮しておりました」
「あー・・・、そうだよな。いつもだったら誰かしらは近くにいるモンだけど」
言いながら周囲を見渡してみるが、現在話しているこの場所は寮内の廊下。寮内ならば一人くらいすれ違っても良さそうだが、見渡す限り、歩いている女の子は誰一人としていなかった。ラウラちゃんと二人きりになっているこの現状は、あの『シュヴァルツェア・レーゲン』暴走事件の時の静止した世界の事を思い出してしまう。思い出して、背筋が震えた。
「立ち話もなんだし、あそこのベンチに行こう。今日はいい天気だから、きっと気持ち良いぜ」
オレが提案したのは、寮の近くにあるベンチのこと。あそこの周りには花壇あり大樹あり葉のカーテンありの自然に満ち溢れたスポットなので、IS学園に所属する生徒の間ではちょっとした有名になっている。普段はテクノロジーが進化している様をまざまざと見せ付けられているので、あの場所の緑は目に効き、とても癒されるのだ。
オレの提案にラウラちゃんも「良いですね!どうせでしたら購買で間食を買いましょう!」と同調。
到着。
「良かったです。誰もいません」
どうやらここでもオレとラウラちゃんの二人きりのようだ。この場合、良かったと喜んで良いのかは分からないが、ラウラちゃんが笑顔なら、これは良かったのだろう。
二人してベンチに座る。ベンチは四人掛けなのだが、ラウラちゃんはオレとの間に距離を空けようとはせず、それが在るべき姿だと言わんばかりに腕を絡めてきた。
「・・・幸せです」
「・・・そうだなァ」
花壇の近くには蝶が舞い、大樹の枝に芽生えた葉を初夏の風が優しく揺らす。気温は決して低くはないが、暑過ぎるという訳でもない。過ごし易い日だった。
買ってきたおやつには手を付けず、ボーっとする時間。ハイスピードで過ぎ去る青春の日々に逆らうかのような、ゆったりとした時間。
「・・・あの
「ドイツでのアレか。確かに、あの時もこんな感じだったな。まぁ、あの時のラウラちゃんはもう少しツンツンしてたけど」
「そ、それはあまり言わないでください。今でもふと思い出して、あの時の自分は何故光也殿に対して、あんなにも冷たい態度をとってしまったのかと、自責の念に駆られてしまっているのですから」
「まぁまぁ、今に比べれば、あの時はお互い幼かったんだし」
頭を抱えるラウラちゃんにフォローを入れていると、
「まさか、お前達とこんな所で会うとはな」
「千冬ちゃん!」
「教官!」
仕事の休憩にでもと訪れたのか、左手に書類を挟んだバインダー、右手には缶ビールを持った千冬ちゃんが葉のカーテンの向こうから歩いてきていた。
どれ、私も失礼するぞ。と千冬ちゃんも座りたいらしく、ベンチの左端に座っていたオレを眼力で制し、右へと移動させる。
IS学園の教師というのは、時には日曜日を返上して仕事に費やすくらいには忙しいらしく、ベンチに腰を下ろすと、すぐさま缶ビールのプルタブを起こした。プシュッと小気味良い音が聞こえたかと思うと、飲み口に口を付けた千冬ちゃんが一息に飲み干した。その間僅か10数秒。飲み終わった後の「ぷはぁ〜・・・!」というお約束も忘れない。
「大丈夫?千冬ちゃん。オレが言っても腹立つだけかもだけどさ、あんまし無理しない方が良いと思うぜ?」
「何、心配には及ばん。お前達ひよっ子が安全にISを学べる場を作ることこそ、私達教師の使命なのだからな。だから、そんな顔をするな」
「でも」
オレ等には想像もできないくらい疲れているはずなのに、微笑んでみせる千冬ちゃん。千冬ちゃんの笑顔という珍しさよりも、千冬ちゃんの身を案じる心配の方が勝ってしまう。
尚も食い下がるオレをどう思ったのか、千冬ちゃんは「よし、分かった」とオレの言葉を打ち切った。
「なら、今度肩でも揉んでもらうとしよう」
「え、揉んで良いの?」
「肩だぞ」
「揉みしだいて良いんだな?」
「肩だぞ」
スーツを着ているにも関わらず、激しい主張を見せる千冬ちゃんの胸部に目を奪われていると、千冬ちゃんがもう中身の無い缶ビールの角でオレの頭をスコーンと叩いた。
「地味に痛い!」
あと、ラウラちゃんがオレの袖を引っ張りながら「私じゃ光也殿を満足させられませんか!まだ伸び代はあります!見捨てないでください!」と泣いていた。馬鹿言え、オレはどんな胸でもこよなく愛する男だぜ。ラウラちゃんのお胸だって大好きさ。
ウィンクをしながらそう伝えると、「光也殿・・・!」とラウラちゃんに笑顔が戻った。
「ラウラ、お前はそれで良いのか」
千冬ちゃん(今ここにいるのは3人だけなので、ファーストネームで呼ぶらしい)がラウラちゃんに同情の目を向ける。
「私は、光也殿が喜んでくださるのなら良いのです!」
「・・・そうか」
ラウラちゃんの弾けるような笑顔を受けてか、千冬ちゃんは老人が子供を見るような優しい目で話を流した。
ラウラちゃんとの二人きりの空間に加えられた、千冬ちゃんという存在。ラウラちゃんと話していた内容が内容なので、ドイツでの日々が尚更、そして鮮明にフラッシュバックされる。
ドイツでの、短い期間。
そこで過ごした、ラウラちゃん達との日々。
笑顔で語れる思い出。
オレはまず、数年前の、ドイツへ出発する前日の夜の事を思い返してみた。
「お願い千冬ちゃん!オレもドイツに連れていって!」
唐澤家。
居間。
唐澤光也と織斑千冬の二人きり。
事の発端は、千冬の元に、以前ドイツで千冬が指導していた部隊から連絡が入った所から始まる。近況報告から始まった手紙は遠回しの来独要求で終わっていた。夏休みという事もあり(そして十日間の休暇を取っていたという事もあり)、千冬は仕方無くそれに了承したのだ。
要するに、暇だったのだ。十日間の休みに入る直前に、職場から仕事を持ち帰ろうとしたら上司にあたる人物にブチ切れられたので、マジでやる事が無いのだ。千冬が世間の流行や娯楽に疎いのも、暇であることを助長させている。
金ならある。というか、交通費やドイツでの滞在費はドイツが負担してくれるので金銭面での問題は皆無。
あとは、行くか行かないかという自身の意思だけ。
だから、仕方無く了承した。
キャリーケースに衣服やパスポートなどの必要最低限の物を詰め込み、あとは自分を慕って何かあってもなくても周りをチョロついてくる光也に知られずに空港に到着できれば、千冬の勝ち——
だったのだが。
バレた。
「お願い千冬ちゃん!オレもドイツに連れていって!」
目の前には、正座の姿勢で両手を合わせて頭を下げる、愛すr親愛なる人物。姓を唐澤、名を光也。
千冬は溜め息を一つ吐いてから、光也に言った。
「拒否する」
「なんでさ!」
ガビーン!と効果音の付きそうなイイリアクションを取る光也。千冬は「頭を上げろ」と言ってから、理由を述べた。
「お前が中学生だからだ」
「愛に年の差なんて関係無い!良いじゃないこの時期に新婚旅行をしても!」
「(本当に新婚旅行にしてやろうかコイツ)」
聞こえないのを良いことに、心の中で呟いた。
不意に見ることができた光也の男らしさによって、千冬の頭に『年の差婚』『逆玉の輿』などの魅惑的なキーワードが過ぎるが、頭を振って煩悩を追い出す。駄目だ。この想いは隠さなければならないのだと自分に言い聞かせる。
「良いか?一週間だぞ。一週間もドイツに滞在して、お前は耐えられるのか?見る物全て異国の言葉で書いてあり、周りの人間は皆ドイツ語で笑い合う——そんな環境で、お前は耐えられるのか?」
「大丈夫だって、オレには千冬ちゃんがいるもん」
「フッ。行くからには楽しめよ、男の子」
“光也のあどけなさの残る笑顔にやられた”。
という訳で、翌日の朝。日本の空の玄関口と呼ばれる、とある空港に到着した千冬と光也。そこで、改めて千冬からの注意が伝えられていた。
「いいか、ドイツの空港に到着すると、ドイツの軍のお偉い方が出迎えてくれる。そこでする事としちゃいけない事がある。言ってみろ」
「はい!礼儀正しく、ヘラヘラしない」
「そうだ。お前が同行することは向こうには伝えてある。私に合わせて頭を下げれば問題無い」
「了解!」
「・・・あまりルールで縛り過ぎても逆効果だろう。続きは、ひとまず飛行機の中だ」
以前こそ一夏を引き合いに出されて交換条件として指導を
「凄ェ!オレ、飛行機なんて初めて乗るぜ!」
「そうか、修学旅行は来年か」
「しかも、飛行機じゃなくて新幹線だからなァ。高校生になったら、飛行機で沖縄とか行きてェな!そン時は千冬ちゃんも一緒に行こうぜ!」
「私が行ってどうする」
(恐らく)本心で言っている光也に呆れる千冬。やがて、自分達が搭乗する番になった。飛行機は土足厳禁だぞ、という千冬の冗談を真に受けて靴下で搭乗して見せた光也に笑ったりしながら、飛行機の中へ。
「喉の渇きを覚えたり、空腹になったなら、搭乗員の誰かに言えば持ってきてもらえる。約半日の間、飛行機内で過ごすことになる。暇になったら映画でも観ろ。他に質問はあるか」
「質問というか、ちょっとした自慢なんだけど」
「何だ?」
「オレ、少しだけどドイツ語覚えたんだぜ!」
「・・・ほう。それは良い事だ。向こうの国に合わせて、少しでも学ぼうとする意思は大した物だ。偉いぞ」
へへーん、と誇らしげに胸を張ってみせた光也。
「まずは、向こうの人に会った時にする挨拶!『Bonjour』」
「・・・それはフランス語だ」
話の都合上、ラウラちゃんと千冬ちゃんを同時にイチャコラ出来たらなと思っています。
流石に全ヒロインを順番にやって行くと時間掛かり過ぎちゃうので、たまに本編の方も投稿すると思います。
どのキャラが好き?
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一夏ちゃん
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箒ちゃん
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セシリアちゃん
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鈴ちゃん
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シャルちゃん
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ラウラちゃん
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千冬ちゃん
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束ちゃん
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蘭ちゃん
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弾ちゃん
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光也