ISなんかどうでも良いから女の子とキャッキャウフフしたい。   作:大塚ガキ男

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どうも、大塚ガキ男です。手探り&執筆時間が基本的に夜なので、おかしな所が多々あると思います。ちなみに、ISで好きなキャラは千冬姉さんと束姉さんです。素敵なおっぱい。


一章
1話


「なぁ、一夏ちゃんよォ」

「何だよ光也」

「なんだってオレ達はこんな場所に居るんだ?」

「俺の方が聞きてぇよ」

 

 この教室に居るのは、織斑一夏と唐澤光也を除いて女子のみ。目の保養という考え方も出来ない事は無いが、ここまで比率に差があると怖気や気不味さの方が先立つ。女の子大好きな光也も思わず苦笑い。見渡せど見渡せど女子ーーしかも全員可愛い。光也は何となく申し訳無い気持ちになった。

  IS学園。光也と一夏が入学した学校の名前。ISを上手い事操縦出来るようにする訓練施設だっけか?と説明を殆ど聞いていなかった光也は適当に考える。

 

(入学が決まった時は、ハーレム出来るぜキャッホウ!って考えてたが案外難しそう・・・・・・とか、弱気になっちゃ駄目だ。オレは可愛い女の子とキャッキャウフフな学園生活を満喫してやるんだ)

 

 一夏から視線を外し、目が合った女子に笑って手を振りながら光也はそう決意した。これから一年間過ごすクラスメイト。光也としては、必要以上に親しくなりたい所だ。

 

(男と女が交わらないと子供は生まれねぇ。オレが女の子大好きなのは、人間として当たり前の事。男はガツンとアピールしてなんぼだろ。まぁ?イケメンな一夏様には?分からないかも知れませんが?)

 

 一夏とは長い付き合いである光也は、隣で見てきたからこそ一夏がモテる事を理解している。顔だけじゃない。中身もイケメンだという事を嫌と言う程理解している。だから、一夏には人知れず対抗心を燃やしていた。

 

「ーーぉぃ」

 

 モテる為に勉強し、モテる為に運動し、モテる為に身体を鍛え、モテる為にトーク力を上げ、更にそれ等を意識せずとも実践出来るよう努力した。

  まぁ、結果は言わずとも分かるだろう。光也が幾ら気張れども、全て隣の一夏に流れていった。黄色い声援は光也から少しズレた場所に注がれ、ラブレターが入っているのは光也の下駄箱ではない。そんな今迄の人生。

 

(しかぁあし!これからは違うんだぜ!?何せ、学園に男子生徒はオレと一夏ちゃんの二人だけ!男女比率は【2:いっぱい】!モテてみせる。モテて魅せるぜ!)

 

「ーーおい」

 

 心の中でガッツポーズを決めた瞬間。頭に衝撃。意識を戻すと、隣に座る一夏が額を押さえながら「あちゃあ・・・」と呟いていた。

 

「?」

「SHR中に何を呆けているのだ。お前の番だ」

「あれ、もしかして千冬ちゃん?久し振りじゃんよ、元気してた?」

「立て」

「顔が怖いんだけど、ご機嫌斜めだったりする?あっ、もしかして今までオレと会えなかったのが寂しかったとかーーぐほぁ!!」

 

 光也がそう呼んだスーツ姿の女性ーー織斑千冬が下から上へと腕を一振りすると、光也が呻き声を上げながら仰け反った。光也が体勢を整えると、千冬の手には出席簿。まだマゾヒストの扉を開け切っていない光也には、顎の痛みは快感と痛みの半々。しかし、痛い痛いと口では言いつつも、美人に睨まれた上にぶん殴られて内心少し興奮しているのは光也だけの秘密だ。・・・扉は観音式ではなく押すだけなので、割と簡単に開く。

 

「私は千冬ちゃんではなく、織斑先生だ」

「またまたぁ、恥ずかしがーー」

 

 再度出席簿と接触する光也。仰け反った際に、一瞬後ろの席の女子と目が合ったので笑い掛けてみる。引かれていた。

 

「オレの美しい顎が割れちゃったらどうしてくれんのよ」

「敬語を使え、敬語を」

「オレ様のお美しいお顎が割れてしまわれたらどうしてくれんのよ」

「自分に敬語を使ってどうする阿呆が」

「・・・そろそろ真面目にやりますかね。あっ、そんなに真っ赤な顔で出席簿を振りかぶらないで下さいよ、織斑先生。可愛いじゃないですか」

「ハァ・・・・・・、自己紹介出来るか?」

「得意分野でございます」

「やれ。簡潔に」

「イェッサー」

 

 丁度、光也の席は真ん中の列。しかも最前列だ。いつの間にかSHRが始まっていた事に驚きつつも、後ろを向いて笑顔で口を開いた。

 

「えー、唐澤光也です。山羊座のAB型で、ご存知世界で二番目の男性のIS操縦者です。一夏ちゃんとは幼馴染で、よく女子の着替えやお風呂を覗く仲でした」

「さらっと嘘言うなよ!みんな、違うからね!俺そんな事してないからね!」

「女の子大好きです。イケメンは大嫌いです」

「俺を見ながら言うなよ!」

「気軽に光也君って呼んでね☆」

 

 途中に一夏からツッコミを入れられつつも、光也はスラスラと自己紹介を終えて着席した。女の子と仲良くなる機会を見逃さない光也は、自己紹介がいつでも出来るように練習しているのだ。

  そんな事より、光也は自分より前の出席番号の女の子の自己紹介を聞き逃した事を死ぬほど後悔していた。仲良くなる上で相手を知るのは大前提なのに。と頭を抱えていると、光也の考えている内容を察した一夏が背中を撫でて慰めてくれた。

  女の子からの反応は悪くなかったようで、カクテルパーティ効果によって所々から光也の名前が微かに聞こえる。これを機にイチャイチャハーレム学園生活を手に入れてやる、と光也は意気込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 早速始まった座学。山田真耶が教鞭を振るう様は、何故か光也の父性本能を刺激した。それと同時に、目に入るのは大きくて立派な二つの膨らみ(母性の象徴)。成人済みとは思えない可愛らしい声は光也の男の子な部分を少しばかり元気にさせ、早くもIS学園に入学して良かったと光也は笑顔で頷いた。

  その頷きを、自分の授業内容を理解してくれたと勘違いした真耶が、喜びを隠し切れない笑顔で光也にありがとうと感謝。

  授業半ば。気を利かせた真耶が男子二人に問い掛けた。それは、一般入学者と違い、突然IS学園への入学が決まった二人への配慮だった。入学準備ーー事前に蓄えておくべきISへの知識が不足していないかの確認。最初から躓いていると、後から遅れを取り戻すのが難しいからだ。

 

「唐澤君は、どこか分からない所ありますか?」

「あー・・・特にありません」

「よ、良かったです。・・・織斑君は、どこか分からない所ありますか?」

「えーっと、全部です」

「・・・はい?」

「ほとんど分かりません」

「おいおい一夏ちゃんよォ、入学迄の勉強期間が少なかったとは言え、少しくらい予習する時間はあっただろ?」

「教科書も無いのにどうやって予習しろって言うんだよ」

「ハァ?これ、渡されたじゃねぇか」

 

 机の上に出していた教科書を一夏に見せる。よく見ると、一夏の机には教科書が見当たらない。

 

「・・・・・・・・・・・・」

「まさか、お前」

「電話帳かと思ってたわ」

「ブフッwww」

「え、ちょっと待てよ。それ本当に教科書か?」

「んで、一夏ちゃんは電話帳をどうしちゃったんだ?www」

「・・・捨てた」

「馬鹿者が」

 

 一夏の頭に出席簿が落とされる。それを見て、光也が腹を抱えて笑った。クラスメイトもつられてクスクスと。場を包む温かい空気。それを冷たい声が搔き消した。

 

「代わりを用意してやる。一週間以内に頭に叩き込め」

「ちょっと待ってくれよ千冬姉!痛ッ」

「学校では織斑先生と呼べ」

「家ではどうするんすか?」

「千冬姉で構わんーーって、唐澤!お前は話に入ってくるな!」

 

 打楽器のような感覚で光也と一夏の頭を順番に出席簿で叩く千冬。将来禿げたら千冬ちゃんの所為にしよう、と光也はちょっとした動きで揺れる真耶の胸を見ながら堅く決心した。

 勿論、堅くなったのは決心だけだ。他はどこも堅くなっていない。硬くなってなんかない。

 

「兎に角、分かったな?」

「一週間は流石に無茶じゃ・・・」

「黙れ。捨てる方が悪いだろう」

「うぐっ」

「そうだそうだ〜」

「・・・唐澤はコイツの勉強をサポートしろ」

「えぇぇぇええぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇ?」

 

 安心し切っていた光也への、まさかの飛び火。何とかしてその役から逃れようと頭の中で反論の言葉を考えようとするが、隣から「友達、だろ?」と若干涙目の一夏が助けを求めて来た。

 

(おいおい、一夏ちゃん。何か勘違いしてねぇか?オレはお前の友達であっても、勉強を手伝ってやるようなアツい奴じゃねぇんだ。イケメンはいけ好かねぇし、そもそもこれで一夏ちゃんに対する周りからの評価が下がるなら、オレとしては手伝わない方が断然良いんだよ!バーカ!)

 

 心の中で小悪党のように一夏を罵る光也。光也の制服の端を涙目で摘む一夏を指差して、光也は千冬に向かって言い放った。

 

「織斑先生、オレはコイツと友達なんかじゃありません!」

「え・・・・・・」

「ほう?」

「大親友です!」

「愛してるぜ光也!」

 

 千冬がニヤリと笑い、一夏が光也に抱き付き、クラスの女子がそれを見て喜びの悲鳴を上げる。

 

(見捨てるなんて、出来る訳ねぇんだよなぁ)

 

 心の中でそう呟く光也。ただ『親友だから』という一言では終わらないナニカが、その心中には秘められていた。それが何なのかは光也以外は誰も知らない。しかし一つだけ言えるのは、それは決して恋心ではないという事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 休み時間。光也と一夏がこれからの事(休日の過ごし方や部屋割り等)について話していると、横から声をかけられた。それが女子から発せられた声なのは当たり前として、光也は声のトーンが気になった。他の女子とは違う、落ち着いた声。そして、どこか聞き覚えがあったようななかったような・・・。二人して声のした方へ向く。

 

「・・・・・・もしかして、箒か?」

「 そ、そうだ。久し振りだな」

「久し振りだな!うわぁ、何年振りだ?もう六年くらいか?」

「そうだな、それくらい経つ」

「あ、覚えてるか?ほら、光也だよ。俺と箒と三人でよく遊んだんだけど・・・」

「うむ、覚えている。話し方が変わっていたのは驚いたがな」

「事情があんだよ、事情が」

「何の事情があったらそんな軟派な口調になるんだ」

「あ、そうそう。この前新聞読んでて驚いーー」

「まだ時間があるし、屋上へ行かないか?」

「屋上?別に良いけど・・・光也はどうする?」

「オレはやめとくわ。まぁ、その・・・アレだ。お前等が戻ってくる間に彼女作っとくから楽しみにしとけ」

 

 一夏が光也を誘う。しかし、光也の一言でこれから光也が何をするのかを悟った二人は、何やら微妙な顔を浮かべながら屋上へ向かった。

 

(行ける訳ねぇだろうが。箒ちゃんの目、見たか?あの目には一夏ちゃんの事しか映してなかったぜ。オレが行ったら邪魔になるっつうの)

 

 教室から出る直前にこちらを振り向いた箒と視線が合った。ウインクをすると、箒は声には出さずに『すまない。感謝する』と口を動かして姿を消した。アレで上手くいけば、美男美女カップルの誕生だ。光也はニヤリとほくそ笑み、それから気付く。

 

(・・・・・・てか、こういう事するからオレはモテねぇんじゃねぇか!?確かに、小中学校とオレは一夏に想いを寄せる女の子達にアドバイスとかしてたが・・・よく考えたら駄目じゃん!そりゃ一夏ちゃんもモテますよ!)

 

 気付いたのが遅過ぎた。また一人、女子と一夏を近付けてしまった。あーあ、と光也は溜め息を吐く。

 

(やさぐれたこの心は山田先生のおっぱいでしか癒されねぇなー。あー、チクショー。もうこんなの絶対やんねぇー)

 

「もしもし?」

「はいはい、そうですよ。この間抜けこそが唐澤光也その人ですよぉ・・・・・・ッ!!」

 

 後ろから声をかけられ、今日はやたら声をかけられる日だなーチクショーとか考えながら振り向いた光也は、相手を見て言葉を失った。目を見開き、緊張からか、じんわりと背中に汗をかいた。乱れる動悸。パクパクとゆっくり開閉する口。

 

「どうかなさいましたか?」

 

 

 美少女が立っていた。

 

 

 




キャラの口調が難しいですぜ。御指摘、御感想、お待ちしています。

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  • 弾ちゃん
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