蒼空の魔女と懦弱な少年   作:sin-sin

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9話 回帰祭

「一体いつになったらあいつらは戻ってくるんだ?」

 

リベリオン合衆国はワシントンD.C.マサチューセッツ通りに位置す駐米扶桑皇国大使館のゲストルームの中でマーカス・ライトは唸っていた。ペンタゴンでの騒ぎから早1週間弱。あの時、突然部屋に現れマロニーに5日後にとメッセージを送ったあの女性はあれ以降姿を見せず、横でコーヒーを飲みながらじっと新聞を読んでいるマロニーはそれを気にとめる様子は無い。

 

「なあ、あんたやっぱりだまされたんじゃ無いのか?」

 

優雅にコーヒーブレイクを楽しんでいるマロニーにマーカスがそう語りかけた。あの日、ペンタゴンから出た後、扶桑大使館の位置がわからずに地元の住民や警察官に場所や道筋を聞きながら何とか扶桑大使館にたどり着いた2人は大使館職員に事情を説明した所、何も言われず大使館にある応接間に入れられる事となった。朝、昼、夜ときちんと食事が出され、望めばシャワーなども浴びれる日々、最初は警戒して出された食事を口にしようとはしなかったマーカスもマロニーに促されゆっくりとその生活に適応する事となった。外に出られない事を別とすれば大使館での生活はそれほど苦ではなかった。しかしながら自分たちをここに入れた張本人達は一向に現れない。マーカスの忍耐はここでの生活に対する慣れとは反比例してゆっくりと限界に近づきつつあった。

 

「得体の知れない、身元不詳の人物にだまされて扶桑大使館のこんな場所にいられると思うかね?」

 

「それは・・・」

 

マロニーの発言にマーカスは言葉を詰まらせる。そう、もしマーカスの言った通り身元不詳の人物にだまされていたとしたら自分達はこんな場所にいられる筈が無い。即座に不審者扱いで警察に引き渡されるだろう。

 

「まあ待つことだ。君も焦ってばかりいるといいジャーナリストにはなれんぞ」

 

「・・・ジャーナリストか。今の俺はそんな崇高なもんじゃない」

 

「そうかね?」

 

マーカスの沈んだ声にマロニーが大げさに反応する。

 

「ジャーナリストってのは誰かの為に情報とか、言葉を届けるのが真のジャーナリストってやつだ。今の俺は・・・」

 

「今の俺は?」

 

「『恐竜時代の化石から人類の足跡が見つかった』だの『北極に古代遺跡が云々』とかそういう事ばっかり追いかけてる。俺にジャーナリストを名乗る資格なんて無い。せいぜい怪しいオカルティストが関の山だ」

 

「ふむ・・・」

 

マーカスの言葉を聞いたマロニーが自分の腕で口ひげを撫でる。

 

「まあジャーナリズムの筋の通し方という物も一つでは無いと思うがね」

 

「あんたからジャーナリズムの講釈を受ける謂われは無いがね」

 

「それもそうだ」

 

そう言うとマロニーは大口を開けて笑い出す。それを見たマーカスがため息まじりにマロニーが読んでいた新聞に手を伸ばそうとした瞬間、ゲストルームの扉が開いた。

 

「何だ?食事にはまだ・・・」

 

マーカスが扉の方を見た瞬間、思わず動きが固まった。

 

「お久しぶりです。長い間待たせてしまい申し訳ありませんでした」

 

「やっとか・・・随分遅かったじゃないか」

 

フリーズしているマーカスの後ろからマロニーが扉の前に立っている人物達に向かって話しかける。

 

「どうも、ここでの生活は如何ですか?」

 

部屋の前に立っていた人物、ジェシー・マーシャルは旧友に会うかの様な口ぶりでマロニー達に言葉を投げかけた。

 

「まあまあかな。扶桑の食事は実に美味い」

 

「それは結構。実は是非お2人にご紹介したい方がいるんです」

 

そうジェシーが言った時、マロニーとジェシーの横でフリーズしていたマーカスがようやく言葉を発した。

 

「あ、あんた今まで何を・・・5日間はとっくに過ぎてる・・・」

 

「申し訳ありません。ですが敵を騙すにはまず味方からというではありませんか」

 

ジェシーはそういうと再びマロニーの方を向いた。

 

「で、その紹介したい人とは誰かな?」

 

マロニーがジェシーに向かって肩をすくめながら言った。すると扉の方からまた1人、女性の声が聞こえた。

 

「私の事かな」

 

マロニーとマーカスが声がした方を向く。

 

「ご紹介します。US ADCから今回ペンタゴンのJCS Jー2に配属される事になったジーナ・プレディ中佐です」

 

「よろしく」

 

ジーナと紹介された女性はそのまま部屋に入ってくると、さっきまでマロニー達が座っていたソファに腰を下ろした。そのジーナに続いてもう1人、女性が部屋に入ってきた。マーカス達はその女性に見覚えがあった。マーカス達がペンタゴンの警備室で拘束されていた時、ジェシーと共に警備室に入室してきた女性。

 

「シャーロット大尉」

 

ジェシーがそう言うとシャーリーは観念した様に手を上げながら

 

「わかったよ」

 

と言うと、ジーナが座っているソファの横に置かれている1人用の椅子に腰掛けた。それを見届けたジェシーは部屋の扉を閉める。続いてジェシーはポケットから小型の機械の様な物を取り出した。

 

「おそらく無用だとは思いますが・・・」

 

ジェシ-はその機械を部屋のあちこちに向けていく。

 

「何をしてるんだ?」

 

「盗聴器の有無を確かめています」

 

マーカスの問いに応えたジェシーはこの部屋に盗聴器の類いが接地されていない事を確かめると、その機械を再びポケットの中に直す。

 

「さて・・・どこまで話したのかな?」

 

一連のジェシーの行動を見届けたジーナがマロニーに対してそう切り出した。

 

「さあ、詳しい話は何も?」

 

「ではここでお教えしよう。・・・その前に。貴方の名前は?」

 

ジーナがマーカスの方を向いてそう言った。

 

「俺・・・マーカスだ。マーカス・ライト」

 

「マーカスさん・・・今ならまだ間に合う。この大使館から出て行く気は・・・」

 

「くどい」

 

「ん・・・?」

 

「俺はもうこの穴に落っこちる覚悟決めてんだ。ここで引き返すなんて野暮な事はしない。いいから全て教えてくれ。友人が1人いなくなってる。あんた達が知ってる事全てだ」

 

部屋に沈黙が流れた。

 

「・・・わかった。では話そう」

 

マーカスの口上を聞き終えたジーナはゆっくりと口を開き始めた。その頃、大使館付近ではさっきまで快晴だった空模様が急激に悪化し、雨模様となっていた。それは、まるでジーナの話す内容を隠喩している様にも思われた。

 

 

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同時刻、扶桑大使館から500m先にあるアパートの一室では2人の少女が会話していた。

 

「あいつら何してんだろう?さっき「シャーロット」とかいう人が大使館の中に入っていったけど」

 

「さあね・・・」

 

「まだ何も言われないの?」

 

「ああ。もう少し待機だ」

 

「ふーん・・・まあいつでもやれるしね。焦る事は無いよね」

 

「ああそうだ。焦る事は何もない・・・」

 

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休日の昼下がりのヴェネツィアは数多くの人で賑わっていた。ヴェネツィア中心部に位置する広場に設置されたオープンカフェで注文したエスプレッソを啜る伊吹の耳にも様々な人の声が聞こえてくる。

 

「人、多いですね」

 

テーブルの向かい側に座りながらコーヒーを片手に静夏が喋りかけてきた。

 

「欧州の復興の中心部だからな。ここにネウロイが来なくなってどれだけ経つ?」

 

「501がここを解放して以来ですから・・・もう2年でしょうか」

 

「それだけ経てば人も疎開してた人も戻ってくるって事だろ」

 

「そう言えばペトラチェンコ先生。大丈夫でしょうか?」

 

「何が?」

 

「昨日、あまり眠っていられない様でした」

 

心配そうに伊吹に向かって静夏は言う。それを聞いて伊吹も確かに今日、ホテルのレストランで全員揃って朝食を取った時に、ペトラチェンコが少し眠そうにしていたのを思い出した。

 

「・・・大丈夫だろ。あの人も医者なんだ。医者の不養生なんて事にはそうそうならねえよ」

 

そう言いながら伊吹は脇から大きな紙を取り出す。

 

「何ですかそれ」

 

「新聞。さっき買っておいた」

 

静夏の疑問に答えながら伊吹は新聞のページを捲る。新聞の広告欄には様々な企業の広告などが並ぶ中、軍の兵員募集の記事も掲載されている。白黒だがスタイルのいい女性がこちらを指指している絵柄がはっきりと見てとれた。その下には『I WANT YOU』の文字。1年ほど前から新聞にちょくちょく掲載されている広告だった。それらをざっと見ながら、経済や時事問題のページに目を通していく。

 

「何かニュースでも載ってますか?」

 

「新聞なんだから載ってるにきまってんだろ」

 

「そうじゃなくて、何か戦線の変化とか」

 

そう静夏に言われて今まで読んでいたページとは違うページにも目を通してみる。だが、

 

「・・・駄目だ。あんまり何も載ってねえな。前線は今まで通り停滞って感じだろ」

 

「そうですか・・・」

 

少し落胆した様な静夏をよそに伊吹はどんどん新聞のページを繰る。

 

「経済も戦線も冷え切ってるってとこだな。見ろよ。今週のウォール街の有様。戦争が長く続けば続く程、資源の乏しい貿易大国の為替問題はアキレス腱だ。飢餓輸出を続けて赤字地獄になり始めてるのが目に見えてきた。投資家達は世界的な低金利で行き場を失った資金を更に財政基盤のしっかりしている大国ばかりに投資して更に小国の立場は悪化する・・・ネウロイを倒すのが先か経済が倒れるのが先かってとこだな」

 

「・・・あんまりそういう事には興味が無いんだと思ってました」

 

「え?」

 

静夏が溢した一言に新聞のページを追っていた伊吹の顔が上がる。

 

「いえ、あまりそういう『外』の事には興味が無さそうだと・・・」

 

「・・・興味が無くてもこんな職業についてる以上は少しでも知っとかなきゃいけないんじゃないのか?」

 

「・・・そうですか、いえ、そうですよね。すみません。変な事言ってしまって」

 

「別に。言われそうな事だし。・・・しかし美味いエスプレッソだな」

 

「おかわり、いりますか?」

 

エスプレッソの味に感嘆する伊吹に静夏が問いかける。

 

「ん?・・・ああ、頼む」

 

「はい」

 

そう言うと静夏は今まで座っていた椅子から立ち上がると、広場に設置されている移動式のカフェの元に向かっていった。それを見届けながら伊吹は再び新聞のページを繰り出す。

 

「ん?」

 

ページを繰る伊吹の手が止まった。伊吹のページを繰る手を止めたのは新聞の中に掲載されている1つの見出しだった。

 

 

 

『マイケル・フリュー氏、リベリオン合衆国大統領ルーズベルトと会談。ネウロイ大戦への更なる協力を確約』

 

 

 

マイケル・フリューという名は伊吹にも聞き覚えがあった。ブリタニア出身のリベリオン人。あの『世界の半分の富を持つ男』ハワード・ヒューズにも劣らない資産を持つ大富豪だ。『ハワードが持たない富は全てマイケルの物』というジョークがあるくらいなのだからその資産額は相当な物なのだろう。見出しの下にはその大富豪がリベリオン大統領と笑顔で握手している写真が掲載されていた。何故こんな記事に手を止めてしまったのだろう。しかし、何か脳裏に浮かぶ物がある。このマイケル・フリューとかいう男、以前何処かで見たことがある様な・・・何処で見た?頭の中に次々と浮かぶ既視感。『気のせい』で済まされない何かがそこにあった。だが、どうしても思い出せない。手を自分の額に当てる。何か・・・何か引っかかる様な・・・何が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大統領は?』

 

 

 

 

 

『NEACPでシャイアンマウンテンに・・・』

 

 

 

 

 

『空軍は10時間以内にバークスデールのB-52がここを空爆すると・・・』

 

 

 

 

 

『非常線を超えた。駄目だ。もう感染拡大は止められない。フィラデルフィアとニューアークは放棄する』

 

 

 

 

 

『市民の皆様は落ち着いて行動を・・・』

 

 

 

 

 

 

『今回の事態に対して連邦緊急事態管理庁は・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・何だ。今のは。頭の中にはっきりと聞こえた。焦っているような、半ば悲鳴に近い様な声。1人2人ではない、もっと多くの人の声。幻聴なんかではない、それは確かに『生きた人間』の声だった。何だ?何だ?何・・・

 

 

 

 

「伊吹君」

 

 

 

 

自分の名前を呼ぶ声。脳内に埋めていた意識を現実の世界へと戻す。

 

「大丈夫かね?」

 

ペトラチェンコだった。側には静夏もいる。2人共心配そうな表情で伊吹を見つめている。

 

「何かうなされている様だったが。寝ていたのか?」

 

「いや・・・大丈夫。大丈夫」

 

そう言うと伊吹は今まで座っていた椅子から立ち上がろうとする。

 

「ん?」

 

ペトラチェンコの側にいる静夏と目があった。静夏の手には買ったばかりであろう、湯気が立ち上っている紙コップ。

 

「さっき言ってたやつ?」

 

「え・・・?」

 

「俺のおかわりがどうこう・・・」

 

「あ・・・はい。これ、新しく買ってきました」

 

一瞬きょとんとしていた静夏が紙コップを伊吹に差し出す。

 

「ありがとう」

 

差し出された静夏の手から紙コップを取るとそのまま自分の口元まで運んだ。ぼうっとしていた脳内が霧が晴れる様に鮮明になっていく。

 

「本当に大丈夫かね?」

 

「ええ、大丈夫です。それよりペトラチェンコ先生は何か見つけたんですか?」

 

「あ、ああ・・・やはりここは水の都だね。街路の居たる所に水路が行き渡っていてまるで一種の芸術品の様だ」

 

「ならその芸術品巡り、付き合いますよ。行きましょう」

 

心配そうに声をかけてくるペトラチェンコをよそに伊吹は自分が飲んでいるエスプレッソを一気に飲み干すと、手近にあるゴミ箱に投げ入れる。

 

「行きましょう」

 

伊吹のその言葉で一行はカフェから再びヴェネツィア市街へと足を踏み入れた。

 

 

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「しっかし・・・いくら休日だからとはいえ人、多過ぎないか?」

 

「え?」

 

伊吹の一言にペトラチェンコが反応する。あの後、カフェを離れた一行はヴェネツィア中心部を散策していた。

 

「ほら、いくら休日って言ってもこんなに人多い物なんですかね。ただ賑わってるって言うか祭りみたいだ」

 

「それはきっとあのせいじゃないかね」

 

 

そう言うと、ペトラチェンコは街角にある掲示板を指さした。

 

「ヴェネツィア解放記念パレード?」

 

「ちょうど今日らしい。さっき街を散策している時に色々話を聞いたよ。何でも街の復興事業の一つらしい。去年から始めている様だ」

 

「へえ・・・だからこんなに人が」

 

ペトラチェンコの言葉に納得した様に伊吹が言う。

 

「そういえば彼女・・・服部さんはどこに行ったのかな?」

 

「服部?・・・あれ、そういえばさっきまでここに・・・あ、」

 

「ん?」

 

「あそこですね・・・」

 

伊吹が指さした先には、洋服屋と思われる店舗のショーウィンドウに飾られている豪華絢爛なドレスをまじまじと見つめる静夏の姿があった。

 

「何やってんだあいつ・・・」

 

そう言いながら伊吹は静夏に近づいていく。

 

「おい、何やってんの?」

 

静夏まで残り2m程の距離に近づいた時、伊吹が静夏にそう話しかけた。

 

「え・・・うわっ!ひ、柊さん・・・」

 

「欲しいのか?」

 

「え?」

 

「それ」

 

伊吹が顎でショーウィンドウの中のドレスを指す。

 

「い、いえ・・・そんな事は」

 

「すっげえ欲しそうにしてたけど」

 

「わ、私はこれでも扶桑海軍の軍人です!そんな事が・・・」

 

「その扶桑海軍の軍人サマが随行対象置いてけぼりでドレスに囓りつくか?」

 

「うっ・・・」

 

その時、横で2人の会話を聞いていたペトラチェンコが話の間に入ってきた。顔には笑みを浮かべている。

 

「まあまあ、いいじゃないか。いくら軍人だと言っても服部さんだって年頃の女の子なんだ。こういう物に興味も持ちたくなるさ。そんな格好では特にな」

 

そう言ってペトラチェンコは静夏が今来ている服を顎で示す。なるほど。今彼女が来ている服は扶桑海軍の海軍下士官一種軍衣。ここヴェネツィアの街に相応しいとはお世辞にも言えない服装だった。

 

「・・・まあなんとなくわかるっちゃわかるがな」

 

伊吹もペトラチェンコに同意の言葉を示す。

 

「すみません・・・」

 

「謝る必要は無い。だが、今度から見に行く時は私達に一言掛けてくれたまえ」

 

その時、ヴェネツィアの各地に設置されている情報伝達用のスピーカーから陽気な男性の声が流れてきた。

 

 

 

『ヴェネツィア市民の皆様、そしてここヴェネツィアに訪れていただいた皆様にお伝え致します。ただいまよりここ、ヴェネツィア、そしてアルプス南方の防空任務に当たっている連合軍第504統合戦闘航空団、アルダーウィッチーズ所属のウィッチによる観閲飛行を開始致します。観閲飛行に当たるのは、ロマーニャ公国空軍 第4飛行団 第10航空群 第90飛行隊よりあのガリア、そしてここヴェネツィア解放を成し遂げた第501統合戦闘航空団着任を経て第504統合戦闘航空団へと着任したフランチェスカ・ルッキー二大尉。華麗な空中機動をとくとお楽しみください』

 

 

 

「ウィッチの観閲飛行だと?」

 

「どうやらこのイベントのプログラムに組まれている様だな」

 

伊吹の呟いた一言にペトラチェンコが応える。

 

「フランチェスカ大尉が演じられるんですね」

 

「知ってるのか?」

 

「はい。以前501でお世話になりましたから」

 

「なるほど。そういう事か。腕前はいいのか?」

 

「こと射撃に関しては右に出る人はいませんでした。少々癖のある方でしたが・・・」

 

静夏が伊吹に説明する。その時、ヴェネツィアの上空に聞き慣れないエンジン音のストライカーが飛来した。

 

「あのストライカーユニットは?」

 

「ファロットG55Sチェンタウロスペチアーレですね。フランチェスカ大尉の愛機です」

 

「ほう・・・」

 

そんな伊吹と静夏の会話をよそに、ヴェネツィア上空に飛来したストライカーはいきなり急減速した。そのまま機体を一気に反転させる。登場早々の派手な演技に地上の観客のボルテージも上がっていく。周りでは早くも拍手や歓声が巻き起こっていた。ルッキー二が操るストライカーは、体勢を整え空域に再アプローチする為、一旦先ほどまで演技を行っていた空域を離れた。

 

「ハイGバレルロールからのインメルマンターン・・・やっぱり凄い・・・」

 

それを見た静夏が感嘆の声を上げた。

 

「そんなに凄いのか?」

 

「少なくとも私にはあんな組み合わせはまだ・・・」

 

「お二人さん、ここで談義もいいがもっと見やすい場所に移動しないかね?」

 

ペトラチェンコの一言にお互い顔を見合わせる。

 

「そうですね。ここじゃ見にくい。時間もまだありますしね」

 

伊吹の言葉にペトラチェンコは頷きながら言葉を続ける。

 

「そういう事だ。もしかしたら彼女も下に降りてくるかもしれない。そうなったらまた話を聞くことだって出来るかもしれないぞ?」

 

そう言うと、伊吹と静夏を引き連れてペトラチェンコは歩き出した。それを見て再び伊吹と静夏は顔を見合わせる。

 

「・・・」

 

先に苦笑の表情を浮かべたのは静夏だった。

 

「・・・行きましょうか」

 

「・・・そうだな」

 

2人は人波をかき分け、パレードの中心部へ向かって移動している大柄なオラーシャ人を追う事にした。

 

 

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「どうだ?異常は無いか?」

                                                                             

北海沿岸を航行中のリベリオン海軍空母『レンジャー』に乗艦している、リベリオン合衆国海軍第8任務部隊司令官(TF8)のウィリアム・ハルゼー少将が通信室に詰めている通信参謀にそう聞いた。

 

「今の所は異常無しです。カールスラントにいるバグ共は大人しいですね」

 

「以前他の艦から『ネウロイが街らしき物を作っている』という妙な報告も上がっていたがな。他にも各地から『鳥の様な形をした翼の長い奇妙な物体』なんかの報告も上がっている。全く、話を聞くだけでも忌々しい」

 

「新手のフーファイター(戦場伝説)ですか?」

 

「さあな・・・最近めっきりこの辺りのネウロイ出現率が減少しているが・・・如何せん注意するに超した事は無い。何か報告があればすぐにブリッジまで上げてくれ」

 

「アイアイサー」

 

そう言うとハルゼーは通信室の壁に掛けていた制帽を取り、部屋から出ようとした。その時

 

「何だこれは・・・?」

 

「うん?」

 

先ほどまで話していた通信参謀が妙な声を上げる。

 

「どうした?」

 

「いえ、レーダー室からここから北東の方角に奇妙な陰を確認したと」

 

「陰?」

 

「ええ、陰です。一瞬スクリーンに写ってすぐに消えたと・・・」

 

ハルゼーは唸った。南洋島は真珠湾に置かれている連合国海軍司令部からはこの辺りの海域上空を飛行する機などのフライトプランは提示されていない。希に緊急の要請などでフライトプランを提出しない機体もあるが、それならばネウロイなどとの誤解を回避する為に自機に搭載した無線から国際周波数に合わせてこちらにコンタクトするなどの何らかのアクションがあるはずだ。それにすぐに消えたとなると・・・

 

「現在は写っているのか?」

 

「いえ...」

 

「ふむ...」

 

ハルゼーが腕を組みながら唸る。

 

「...偵察爆撃隊(VS)ドーントレス(SBD)を空域に上げろ。もしかしたらこいつは・・・」

 

「バグズの可能性も?」

 

「・・・そうじゃなきゃいいがな。大きめの鳥かもしれん。クソ、508は今は『プリンストン』だ」

 

そう言うとハルゼーは通信室に設けられている受話器に手を伸ばした。これがあることにより、艦内の何処からでも艦橋にコンタクトを取ることが出来る」

 

「私だ。TF8各艦に伝達。対空戦闘用意並びに空と海の見張りを厳にせよ。それから南洋島の連盟海軍司令部並びに連盟空軍司令部にスクランブル通信を開け」

 

ハルゼーが出した指示に伴いTF8主力の空母『レンジャー』並びに第4巡洋艦戦隊(CD4)に属する重巡『インディアナポリス』『ポートランド』『シカゴ』その他4隻の駆逐艦は即座に臨戦態勢に移行した。

 

 

 

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ルッキー二による飛行展示は終わり、彼女の姿は今は大空の彼方からヴェネツィア市街の中心部に設けられた特設のステージの上にあった。伊吹達がこの場所に着いた時、彼女の姿は既にそこにあった。ヴェネツィア市街上空を飛び回る彼女を追いながら、ここまで来るだけでかなりの時間が掛かってしまい、結局特設ステージを群衆の間から僅かばかりに見渡せる場所を見つけるまでに既に彼女は地上に着陸しており、ステージに上がる瞬間を見る事は出来なかった。ステージまではかなりの距離があり、伊吹達が『フランチェスカ大尉』の姿をキチンと見る事は叶わないが、ステージの上でじっと待機している純白の軍服に身を包んだ女性がその人であることは容易に予想出来た。その暫定『フランチェスカ大尉』の横にはもう1人、美しい衣装に身を包み、長い赤毛を1つに纏めた女性が立っていた。

 

「ロマーニャ公国第1公女、マリア・ピア・ディ・ロマーニャさんねぇ・・・ウィッチってのはそんな人とも付き合いがあるのか?」

 

感嘆半分、呆れ半分といった様に伊吹が言う。

 

「凄い人だ」

 

それを聞いたペトラチェンコが感心した様に呟いた。

 

「ルッキー二大尉はロマーニャの英雄ですから」

 

そういう静夏の口調は何処か誇らしげに聞こえた。彼女と一緒に戦えた事が誇らしいのだろうか。伊吹がそんな事を考えていると、ステージ上にもう1人、スーツに身を包んだ男性が上がってきた。銀縁の眼鏡の下に知的な眼差しを含み、落ち着いた雰囲気を漂わす男性。

 

「!?」

 

その男性を見た瞬間、伊吹の身体が一瞬膠着した。

 

「どうしました?」

 

異変を感じ取ったのか、伊吹に対して横から静夏が声をかける。

 

「いや、大丈夫。何でもない」

 

ステージ上に上がった男性。それは誰でもない、先ほど伊吹が読んでいた新聞の記事にもなっていたマイケル・フリューその人だったからだ。

 

『今回、我がヴェネツィアの復興行事に力をお貸し下さったマイケル・フリュー氏に惜しみない感謝の念を捧げます』

 

マリア公女がマイクに向かってそう言った。どうやらあの男性はこのイベントにも協賛という形で力を貸したらしい。リベリオンでは大統領とネウロイ対策について話し合い、ロマーニャでは傷ついた国を復興させる為に庶民達に力を貸す。

 

「とんだ聖人君子振りですね」

 

伊吹の横で静夏がそう呟いた。

 

「え?」

 

伊吹は思わず静夏の方を見た。普通に考えればあのフリューという人間は賞賛されてしかるべきだ。人類の為に自分の持つ財力を使い人々の助けとする。正に聖人君子だ。しかし、今目の前にいる静夏はそんなフリュー氏に対して冷たい目で見ていた。氷の様な鋭い目。嫌悪?いや、この眼差しはまるで彼の事を心底嫌悪している様なそんな眼差し・・・

 

「・・・どうした?」

 

「え?」

 

「いや、何かあのフリューって人を睨み付ける様な感じだったから・・・」

 

「そ、そんな・・・凄い人だと思います。自分のお金を色んな人の為に使ってて・・・」

 

「じゃあ何であんな眼で?」

 

「そ、それは・・・すみません」

 

静夏のいつになく厳しい表情。口では何ともないと言っておきながら、その癖何故か睨むような視線を送っていた事を認めるような口調で謝ってくる。何か言えない事でもあるのだろうか。そんな思考が伊吹の頭の中を巡り回る。しかし・・・

 

「・・・いや、まあいいんだ。別に人のプライバシ-まで介入する気は無いし。忘れてくれ。悪かった」

 

別に彼女がその人の事をどう見ていたって自分には関係の無い事。そんな事まで自分がいちいち聞いていく権利は無いし、彼女にも話す必要も義務も無い。そんなのは当たり前の事だ。何故だろう。扶桑にいた頃は他人が何をどう考えていようがどうでもいいと考えていた筈なのに欧州に来てから感覚がおかしくなった。疲れているのかそれとも・・・その瞬間、静夏の後ろから何かがもの凄いスピードで近づいてきた。伊吹がその事に気が付いた瞬間にはその『何か』は既に静夏のすぐ後ろまで来ていた。そして・・・

 

「しっずか~~~!!!」

 

「え・・・?きゃっ!!」

 

その『何か』は静夏の後ろに飛びついた。伊吹もペトラチェンコも突然の出来事に動揺し、すぐには動けなかった。

 

「な、何を・・・って・・・フランチェスカ大尉!?」

 

「な・・・」

 

「マジかよ・・・」

 

静夏の驚愕を隠せない一言に伊吹もペトラチェンコも絶句する。

 

「やっと気づいた!遅いよ~」

 

目の前にいる長い黒髪をストレートに下ろし、ロマーニャ空軍の白い軍服を身に纏っている女性。間違いない。さっきステージの上に立っていた女性だ。というか何故こんな所に?

 

「フ、フランチェスカ大尉。驚かさないでください!だいたい人もこんなに多い・・・の・・・に?」

 

「あ~静夏君。言いにくいのだが君と伊吹君が喋っている途中にここでのイベントは一旦終了したんだ」

 

「え・・・」

 

静夏と伊吹が慌てて回りを見渡す。確かに先ほどまであれだけ周りにいた群衆が今はまばらになっている。各々で屋台やカフェなどで時間を過ごしているのが目に付いた。

 

「静夏、全然気づいてくれないんだよね。あたしなんか空から気づいたのに」

 

「そ、空からですか・・・」

 

「うん。そんな目立つ格好してる人、見つけられないのがおかしいよね」

 

そう言ってルッキー二は笑う。その時

 

「こら、ルッキー二!また勝手な事して・・・!」

 

「あ、フェルだ」

 

ルッキー二の後ろからもう1人、別の女性が現れた。そのままこちらに近づいてくると、ルッキー二の襟首を後ろから掴み、そのまま猫の様に引きずっていく。

 

「ほんとにアンタは・・・あんな展示飛行のやり方誰がしろって言ったのよ・・・」

 

「く、首が絞まるから・・・ごめんごめん・・・」

 

謝りながらも抵抗しようとするルッキー二とフェルと呼ばれた女性の引っ張る力が相反し、ルッキー二の首がどんどん絞まっていく。それを呆然としながら見つめる伊吹達。結局一番初めに動いたのは静夏だった。

 

「す、すみません!フェルナンデス大尉!私達がここに来てフランチェスカ大尉もつい張り切ってしまったみたいで・・・」

 

「ん・・・?貴女は確か501の。・・・なるほどねぇ」

 

そう言うと彼女はルッキー二の襟首から手を放す。

 

「首締まっちゃうよフェル・・・」

 

フェルと呼ばれる女性から襟元を放されたルッキー二は抗議する様に話しかける。

 

「あんたが勝手な事するからいけないんでしょうが・・・まあ面白かったけど」

 

「でしょでしょ!」

 

「調子に乗らない」

 

「はーい・・・」

 

「あの・・・失礼ですが貴女方は?」

 

ルッキー二ともう一人の女性の会話を半ば呆然とした面持ちで聞いていたペトラチェンコが会話の中に入り込んだ。

 

「こちらの方は504JFWのフェルナンディア・マルヴェッツィ大尉です」

 

ペトラチェンコの横にいた静夏がペトラチェンコと伊吹に向かって説明した。

 

「今、静夏が言ったけど504JFWのフェルナンディア・マルヴェッツィです。今日はパレードの警備兼このルッキ-二の飛行展示のアシストで来てたんだけど・・・」

 

「っていう事はマルチナさんやルチアナさんも?」

 

フェルの話を聞いた静夏が疑問を口にした。

 

「ううん。彼女達は今日は基地で警戒待機。私なんかはもう上がりだから基地にいても仕方ないしね」

 

「あ・・・すみません・・・」

 

「いいよいいよ、気にしなくて。私1人じゃないしね。それより静夏は何でここに?というよりその殿方達は?」

 

「この方達は・・・」

 

「連合軍第105技術研究団『ワイルドファイア』のアレクセイ・ペトラチェンコです。こちらはイブキ・ヒイラギ君。そちらのハットリさんには今回ヴェネツィアで開かれる学会の為にわざわざ随行役を買って出てもらっていたのですよ」

 

「ワイルドファイア・・・もしかしてあの新しく出来たって部隊!?」

 

「ええ、そうです」

 

「へぇ・・・何だか面白そうね」

 

「ねえ!学会っていつから始まるの?」

 

ペトラチェンコの話に興味深そうに相づちを打つフェル。そんな中、ルッキ-二がいきなり声を上げた。

 

「ん?あ、あぁ。学会は夕方からだからあと2時間くらいは・・・」

 

「ならいい場所教えてあげる!静夏達も来て!」

 

「こら、あんたまたあそこに行く気じゃ・・・」

 

「いいからいいから!」

 

「え?あ、ちょっとフランチェスカ大尉!?」

 

「こ、こらルッキ-二!」

 

フェルの制止も空しく。静夏の服の袖を掴んだルッキ-二はそのまま今までいた場所とは反対側に向かって走り出した。フェルもその後を急いで追っていく。後に取り残されたのはペトラチェンコと伊吹の2人のみ。

 

「・・・どうします?」

 

先に声を上げたのは伊吹だった。

 

「うーむ・・・まあ行ってみない事には始まらんだろう。我々も行こう」

 

「・・・わかりました」

 

そう言うと2人も急いでルッキ-二達の後を追い始める。夏も半ばを過ぎているというのに、まだまだ照りつける日差しが眩しかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「到着!」

 

様々な裏道を通り、くぐり抜け、たどり着いた先は表通りからは程遠い、ヴェネツィアの運河などが入り交じる裏通りだった。表はあれだけパレードやイベントの活気で賑わっていたのに対してここはそんな雰囲気とは真逆の、生活感などが全く感じられない場所にそれはあった。

 

「これは・・・バラック街?」

 

ルッキ-二に連れられてここまでやってきた静夏が眼にした光景は、小さなバラックなどが転々とし、そこでみすぼらしい格好をした大人達が座り込んでいたり、泣きわめく赤ん坊をあやそうとしている場面だった。

 

「フランチェスカ大尉・・・これは?」

 

「うん・・・東部戦線とかから逃げてきた難民の人たちだよ」

 

「難民・・・」

 

今現在、ネウロイと人類間の戦争の最前線はかつての西部戦線から東部戦線へと移り変わっていた。かつて東部に疎開していた人間達が故郷への帰還を果たしている裏では、逆に今まで戦闘とは無縁だった東部の人間達が難民として西部地方に流入しているという現状が存在していたのだ。

 

「なるほどねえ。難民か・・・」

 

静夏のすぐ後ろで呟かれた一言。慌てて静夏が振り返ると、そこには伊吹の姿があった。その横にはペトラチェンコと、ここに来るまでに合流したのであろうフェルの姿も見受けられた。

 

「そういやロマーニャとガリアが難民の受け入れを大量に行ってるって前にラジオで聞いたな。最も、何処も実態はこんなもんなんだろうが」

 

「どういう事ですか・・・?」

 

伊吹が続けて口にした言葉に静夏が問いかける。

 

「簡単な話だろ。まず文化が違うのさ。いきなり難民ですって言って異なる異文化の国に放り込まれてその人達がまともに生きていけると思うか?言葉もろくに通じないんだぞ?どうやって金を稼ぐ?その国から難民募金でも貰うのか?国連が何とかしてくれる?今の連盟空軍のごたごたすら解決できない国連が?」

 

「それは・・・」

 

「よしんばこの国の言葉が喋れて職につけたとしよう。この国の雇用を奪う外国人に対してここの住人達は寛容になれるのか?言葉を話せない人間達の怒りや我慢もどんどん蓄積されていくし、この国の住民達との溝もどんどん深まっていく。ただでさえ不景気で雇用状況が悪化してるんだ。政府が難民対策の支援用資金なんか付けてみろ。暴動が起きるぞ。いっそ難民なんか取るのやめて国境辺りにでかい壁でも作る方がこの国の為なんじゃねえか?」

 

 

 

「確かに今、この国を取り巻く状況は芳しくありません。しかし、我々は目の前で困っている人達を見捨てる事は出来ないのです」

 

 

 

伊吹の声に重なり合うようにこのバラック街に、凜とした声が響いた。その声を認めた瞬間、今までバラックの中で寝転がっていた人々や、外でうずくまっていた子供達が一斉に顔を上げる。その声は伊吹達の正面から聞こえていた。

 

「マリア!」

 

ルッキー二が歓喜の声を上げる。そこにいたのは、赤髪をストレートに伸ばし、青いワンピースを身につけ背筋を伸ばし毅然とした表情でその場に立っている女性だった。

 

「まさか・・・」

 

驚愕の余り、伊吹の横にいたペトラチェンコが小さな声でそう呟いた。そこいたのは、先ほどまでヴェネツィアの中心部で人々を前に喝采や拍手を浴びていたロマーニャ公国公女、マリア・ピア・ディ・ロマーニャその人だった。

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 


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