魔法少女育成計画YREGROF   作:水甲

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5話 思惑

ねむりんと別れた私はすぐにスノーホワイトとラ・ピュセルが待っている鉄塔に着くと、もうすぐ発表の時間になりそうだった。

 

「今日だよね。発表って……」

 

「うん、だけど……」

 

ラ・ピュセルの様子を見る限り、ねむりんが脱落するっていうのはわかってるみたいだな。

 

それはきっと他の魔法少女もだ。

 

私はその事をスノーホワイトに伝えるべきか悩んでいるとチャットルームにファヴがやってきた。

 

『みんなお待たせポン。早速今日までマジカルキャンディーが少なかった子の発表を…‥…したかったけどポン』

 

ファヴは発表しようとしたが、何か言いにくそうにしていた。

 

それを聞いて、いつも楽器を弾いているクラムベリーは楽器をひくのをやめた。

 

『ねむりんは何者かに殺されたみたいだポン』

 

ファヴのその言葉を聞いて、クラムベリーとカラミティ・メアリ以外の全員が動揺していた。

 

『殺されたって、一体誰にですか!?』

 

シスターナナがファヴに聞くが、ファヴは『わからない』『想定外のこと』と答えるのみだった。

 

でも、殺されたって……もしかしてあの後に……

 

『とりあえず死亡者が出たことで、キャンディーでの脱落は今週はないポン。何か分かったらすぐに連絡をするポン』

 

ファヴはそう言い残して、チャットルームから姿を消した。

 

「ねむりんが……殺されたって……」

 

「一体どうして……」

 

戸惑う二人。

 

だけど私は鉄塔の柱を殴った。

 

「ヴェリテ?」

 

「私のせいだ……私がねむりんと話したいって言って、外に連れ出したりしなければ……」

 

「もしかして遅れてきたのは……」

 

「ねむりんの事が心配で、少し話でもって思ったんだ」

 

私がそう言うとラ・ピュセルは何の話をしていたのかすぐに理解した。

 

「そっか、ヴェリテ、君は……」

 

「ヴェリテのせいじゃないよ。ファヴも想定外の事だって言ってたよ」

 

「…………」

 

想定外の事って……一体どういうことなのか分からない。

 

だけど今はファヴが調べ終わるまで待つ必要がある。

 

「ん?シスターナナからメールだ」

 

ラ・ピュセルはシスターナナから届いたメールを読み上げた。

 

シスターナナは出来れば今後のことを話したいとのことだった。

 

私たちはすぐに指定してきた場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とあるバーではカラミティ・メアリとマジカロイド44の二人がいた。

 

「それにしても誰かに殺されたデスか」

 

「くっくっく、中々面白いことをする奴がいるんじゃないか」

 

「面白いデスか?」

 

「気が付かないかい?マジカロイド。本当だったらキャンディーの数で脱落者が決まるはずだった。なのに、ねむりんが死亡したからってキャンディー数の脱落者はなしになった」

 

「それは想定外だと言っていまシタが」

 

「その想定外とやらはどういう意味で想定外なのかだよ。もしかしたらこれから先、殺し合いになっていたのに、早速殺し合いが始まった。それが想定外なんじゃないのかい?」

 

カラミティ・メアリの推理を聞いて、マジカロイドは黙り込んだ。

 

もしも彼女の言うとおりだとしたら………

 

「この脱落者を決めるゲームの進行度を誰かが急激に勧めたと言うことデスか?」

 

「そうなるね。だけどそいつが私を狙ったら……逆に殺すけどね」

 

カラミティ・メアリの笑みを見て、マジカロイドはただ恐怖を覚えた。

 

「そういえばマジカロイド。あんたの魔法でそいつを見つけることは出来ないかい?」

 

「未来の道具デスか?何が出るかわかりまセンし、時間がかかりマス」

 

「時間がかかってもいい。見つけ次第殺してやる。そしたらファヴを脅してキャンディーでの脱落をなくして、ただの殺し合いにするようにいってあげるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして誰もいなくなったチャットルームではクラムベリーとファヴが話していた。

 

『それで、誰がねむりんを殺したんだい?』

 

『それは現在調べているポン。でも今回のことがきっかけで思っていた以上にゲームの進行が進むポン』

 

『もしかしたら誰かが気がつくかもね。これが殺し合いに発展するゲームだって』

 

『全く予定通りにいかなくなったポン』

 

『私としては進行が早まるのはいいことだって思う。もしかすれば犯人と楽しい戦いができそうだからね』

 

『そうなるといいポン』

 

『所で、その犯人だけど新しい魔法少女という可能性は?』

 

『それはないポン。ちゃんと予定していた日に魔法少女になる予定ポン』

 

『では、現状残っている16人の中に犯人がいるということになる。そして私はまだ動いていない。結果的には』

 

『15人の中に犯人がいるポン』

 

『そうなるね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指定していた場所に着くとそこにはシスターナナ、ヴェス・ウィンタープリズン、トップスピードとリップルが待っていた。

 

「これで全員ですね。皆さんに集まっていただいたのは今後のことです」

 

シスターナナからの提案は、これから先マジカルキャンディーの争奪戦とねむりんを殺した犯人から身を守ることだった。

 

互いに協力すれば何とかなるかもしれないとのことだった。

 

私達3人はその提案に賛成した。

 

そしてトップスピードとリップルも

 

だけどあることが気になった。

 

「そういえばルーラ達やカラミティ・メアリ、マジカロイド、クラムベリーは?」

 

「それが……」

 

「ルーラ達には断られた。自分たちの身は自分たちで守るらしい。クラムベリーとマジカロイドとは連絡が取れなく、カラミティ・メアリは……」

 

ウィンタープリズンが言いよどむと代わりにトップスピードが答えた。

 

「姐さんはきっと協力するわけないよ。もしかしたらその犯人を殺すつもりかもしれないし」

 

なんて恐ろしい人なんだよ。

 

「だけどこうして協力体制が取れたならきっと何とかなるかもしれない」

 

ラ・ピュセルは前向きだな……

 

ただ私が気になっているのは……どうして想定外のことが起きたのに、キャンディー数の脱落者は中止にならないんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王結寺でルーラたちが話し合いを終え、帰路につくスイムスイム。

 

だけど彼女の前に黒いドレスの少女が現れた。

 

「貴方は?」

 

「………そうね。貴方は私では倒せそうにないわね。少しお話しましょう。スイムスイム」

 

「……」

 

「信用出来ないみたいね。でもね、協力すれば貴方の望みを叶えられる」

 

「どういうこと?」

 

「お姫様になりたいのよね。それだったらなればいいじゃない。貴方が心酔しているルーラを………………」

 

黒いドレスの少女の言葉を聞き、スイムスイムは驚いた。

 

「出来るの?」

 

「えぇ、可能よ。手始めに……ルーラを脱落させましょう」

 

 

 


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