あの戦いから次の日の夜、私はシスターナナとヴェスウィンタープリズンから呼び出された。
「ヴェリテさん、お呼びしてすみません」
「いいえ、気にしないで、私も改めて貴方達に謝らないといけないし」
「謝る?」
「全部クラムベリーを倒すためとは言え、貴方達に酷いことをしたわ。これは許されることではないけど、しっかり謝らないといけないから……騙していてごめんなさい」
頭を下げ、二人に謝る私。するとシスターナナが慌てて、声をかけた。
「そんな謝らないで下さい。あの時、貴方は私に言ったじゃないですか。『ごめん』と……」
シスターナナの胸を貫いた時に、確かに私はそんなことを言った覚えがある。
「あの後、貴方達のアジトに運ばれた後、ウィンタープリズンと話したんです」
「きっと君は私達が君のことを許してくれないと思っている。だから他の魔法少女がヴェリテの事を許さなくても、私達だけでも許してあげようと……」
「そっか、ありがとう。許してくれて……」
私がやったことは本当に許されないことだ。
許してもらおうなんて思ってはいなかったけど、こうして許してくれるだけで、どうしてこんなに嬉しくなるんだろう……
「……本題に入っていいかい?」
「あぁ、そうだったわね。それでこうして呼び出したというのはもう答えが出たのかしら?」
ラ・ピュセルもスイムも答えを出すのが早かったけど、この二人も早いな……
一応考える時間を多めにあげたのに……
「はい、私とウィンタープリズンは魔法少女を続けます」
「本当にいいの?あの二人が言ったように今度こそ死ぬかもしれないわよ」
「ヴェリテさん、私達魔法少女の役割を思い出して下さい。私たちは人助けのために活動しているんですよ。魔法少女をやめて、記憶を失ったら、私たちはきっと困った人たちを見捨ててしまうのかもしれません」
「だからこそ、魔法少女を続ける。それにシスターナナを守ることが私の役目だから……」
寄り添う二人。本当にこの二人は熱いわね
「分かったわ。私も出来ることがあったらすぐに言ってね。この言葉は嘘じゃないから」
シスターナナとウィンタープリズンの二人から答えを聞き終わり、家に戻り、眠りについた。
いつもは昔の記憶ばっかりの夢を見るはずなのに……
今回だけは何故かカラフルな世界だった。
「何でこんな夢を見ているのかしら?」
「それはね~あんな血腥い夢だと嫌かなって~」
目の前にパジャマの上着を着た少女ねむりんが現れた。
「久しぶりね」
「本当だよ~ヴェリテに胸を貫かれて以来だよね~そこからミルさんのお手伝いしてたから、今日は久しぶりに活動してんだけど~」
「たまたま私の夢に来たわけね」
「悪夢だと寝覚め悪いかなって思ったから~」
流石は夢の世界を守る魔法少女ねむりん。
あの夢をこんな風に変えられるなんてね……
でも……
「ねむりん、私は悪夢を見続けている。それも昔の……私が魔法少女になったばっかりの夢をね」
「酷いことが起きたんだね~」
「でも今回は貴方のおかげでいい夢が見られそうね。ありがとうねむりん」
「みんなの夢を守るのが私の役目だから~」
笑顔でそう言うねむりん。
そういえば彼女はどうするのかしら?
「ねぇ、ねむりん。あなたは答えが出たの?」
「答え?魔法少女を止めるかって話?続けたいけど~ヴェリテに頼みたいことがあるの~」
頼みたいことって何かしら?
夢の世界で何か手伝えってことかな?
でも夢の中だとねむりんの方が一人で行動したほうがいいと思うけどな……
「ヴェリテのアジトにあるビルって、リーエさんかメルさんのどっちかが経営してる会社なんだよね?」
「えぇ、リーエが経営してるわよ。でも大企業ってわけじゃないけどね」
あのビルは言うなれば何でも屋みたいな会社をやってる。個人経営だからまだ20代のリーエが経営していても多少の問題はないみたいだけど……
「私も現実ではニー……家事手伝いしてるんだけど、そろそろ就職しなきゃって思って……」
「何?コネで就職できないかって?」
「そうじゃなくって、募集してないかなって?」
「募集?まぁあそこは割と人手が足りないみたいだし、私もたまに手伝ってるし、募集してると思うけど……」
「そっか~じゃあ魔法少女やりながらそっちの会社で働くね。現実でもあえたらよろしくね~」
そう言い残して、ねむりんは私の夢から去っていった。
とりあえずは後でリーエに言っておかないと……