私がスノーホワイトの攻撃を防いでいる中、クラムベリーは笑みを浮かべながら二人の争いを見ていた。
「どうですか?仲間と戦うのは……」
「うるさい!クラムベリー、スノーホワイトに何をした!」
「私は何もしてません。スノーホワイトが貴方を攻撃するのは全て貴方が騙していたからでしょう」
そう言いながら、クラムベリーは後ろを向くと後ろから攻撃しようとしたスイムに向かって音の塊を放ち、スイムは吹き飛ばされる。
「スイム!?」
「スイムスイム。貴方の魔法はどんな所でも潜れるでしたね。ですが、貴方が動く度に音が聞こえるんですよ」
スイムは立ち上がり、再び地面に潜り込んだ。
「また死角からの攻撃ですか。ですが貴方の動きは音でわかりますが、面白いものを見せてあげます」
クラムベリーが両手をかざした瞬間、スイムが土を巻き上げ、視界を封じながら薙刀を振りかざすが……
「全方位の攻撃です!!」
クラムベリーを中心に破壊の音が広がり、スイムは防ぐすべもなく直撃を食らってしまい、地面に倒れた。
「これで終わりですか?あっけないものですね。そしてハードゴアアリスの方も……」
アリスの方を見てみると、リップルはいくつもの手裏剣をアリスの関節に当てていく。
「再生能力がすごくても、腕や足の関節を集中的に攻撃するだけお前を止めることが出来る」
アリスは膝をつかされ、リップルの手裏剣を受け続けていた。
アリスの弱点をすぐに見抜けなんて……
「よそ見しないで!!」
スノーホワイトの拳がお腹に辺り、軽く宙を舞い、地面に落とされた。
「かはっ!?」
「ふふ、貴方の仲間は封じました。あとはスノーホワイトに嬲られるだけですよ。魔女」
ファヴ
ファヴは戦いの様子をコテージの入り口の近くに置かれたマスター端末の中から見ていた。
『これがクラムベリーが言っていた絶望ぽん。今まで助け合ってきた仲間の魔法少女に為す術無く殴られるヴェリテ。本当に見ていて楽しいぽん』
ファヴは喜びの声を上げるが、あることが気になっていた。
(だけどどうしてヴェリテは魔法少女を殺し続けたぽん?何が目的だったぽん?マスターであるクラムベリーは気にしてないみたいだぽん。でも、ヴェリテももう終わりぽん。ヴェリテがやろうとしていたことなんて後で考えればいいぽん)
ファヴは楽しげに戦いを見続けるのであった。
ヴェリテ
スノーホワイトの拳を防ぐこと無く、ただ受け続けるだけの私。
するとスノーホワイトは攻撃をやめた。
「………何?もう終わり?」
「どうして……どうして反撃してこないの?なんでただ攻撃を受け続けるだけなの!」
「攻撃を受け続けているのは、今までやったことに対しての罪滅ぼしみたいなものよ。反撃しないのは……」
私は体の痛みに耐えながら、スノーホワイトを見つめた。
「ラ・ピュセルと約束したから……貴方を自分の代わりに守って欲しいって……最初は約束するつもりはなかったけど……」
「守るために………攻撃してこないって……だったらどうしてラ・ピュセルを殺したの!!」
迫りくる拳を私は受け止めた。
「殺したんじゃない救ったのよ。そうしなければ他の魔法少女に殺されていた可能性があった。だから……」
「だからって、どうしてヴェリテが……それにヴェリテの心はなんでずっと後悔し続けてるの?」
スノーホワイトの魔法で聞こえていたのか……私のこころの声を……
「わからない……なんで……」
「スノーホワイト……」
涙を流すスノーホワイト。だけど私はクラムベリーがスノーホワイトに手をかざしているのに気がついた。
私は咄嗟にスノーホワイトを後ろに突き飛ばし、クラムベリーの音の塊を喰らった。
「がはっ、く、クラムベリー……」
「スノーホワイトごとやろうかと思いましたが、貴方だけ喰らいましたね。まぁこれはこれでいいですね」
「くっ」
私は膝をつきながら、クラムベリーを睨みつけた。
「身体の中がもうボロボロですね」
クラムベリーはそう言いながら、スイムが持っていた薙刀を奪い取り、ゆっくりと近づいてきた。
「貴方は嘘つきです」
「!?」
「魔法少女たちを騙し、殺し続けた。貴方の仲間である彼女たちも貴方が嘘で言いくるめたのでしょう。貴方は嘘つきです。だけど嘘をつき続けた貴方はもうお終いです」
「ゔぇ、ヴェリテ……」
クラムベリーの破壊の音をくらい、動けずにいるスイムが倒れながらも手を伸ばしていた。
「ヴェリテ……お願い、助けに行かせて!!」
「ちっ!」
リップルが手裏剣を投げるのをやめ、アリスはすぐに助けに行こうとしたが、関節に手裏剣を投げ続けられたせいか、両足が取れてしまった。
「ヴェリテ……」
「スノーホワイト、悪かったな騙していて……」
「魔女よ!!この刃にて地獄に落ちろ!!」
クラムベリーが振りかざした刃が、私目掛け振り落とされた。
私はこのまま終わってしまうんだ。
私は目を閉じるのであった。
最初に聞こえたのは金属がぶつかり合い、弾かれる音だった。
私はゆっくり目を開け、最初に飛び込んできた光景を見て笑みを浮かべた。
「な……馬鹿な!?」
『どういうことぽん!?どうして……』
私の目の前に現れ、薙刀を弾いた人物を見て驚くクラムベリーとファヴ。
「え?どうして……」
そしてスノーホワイトはその人物を見て、涙を流していた。
「遅くなってすまない。ヴェリテ、スノーホワイト」
「もしかして場所分かりづらかった?」
「少し迷ったけど、だけど間に合ってよかった」
その人物は大剣をクラムベリーに向けた。
「私はスノーホワイトを守る剣にして、ヴェリテの親友!!ラ・ピュセルだ!!」
そう、私達を助けてくれたのはラ・ピュセルだった。
ラ・ピュセル復活!!
そして次回、タグの原作キャラ生存・死亡についてもやります。