朝起きたらすでに他のプレイヤーに搾取された後でした。
今回はちょっと短いですね。
あと、あの子が出てきます。
では、どうぞ。
…協力という名のリソースの奪い合いとはこれいかに。
三話
どーも、犬を守って車に轢かれて死んだ比企谷八幡です。
今私がどこにいるかと言うと、なんと!死後の世界に来ていまーす。『なんと』じゃないな、最初に死んだって言ってるし。いやでも、死後の世界があることは知られていないわけだし、意外性があるだろうから、『なんと』って言葉も使い方はあってるのか?
時間帯は夕方なのかオレンジの日が差す木造の廊下を歩きながら、校長室から逃げ出した俺はそんなくだらない事を考えていた。
「しまったな…。ここの生活の仕方について聞けばよかったか…?」
そう、逃げ出したはいいがここでの生活の仕方がわからない。どこで寝るの?八幡わからない。右も左も分からない世界で1人になりました。さすが、エリートボッチだな。どこでも1人なれる逸材だ!
「ここでなにしているの?」
「ファッ⁉︎」
やべ!また突然話しかけられたから変な声出した!話しかけてきた人を見るとここの規定の制服を着た銀髪のような白髪のような白い小柄な少女だった。
「ここでなにをしているの?」
白い少女はこちらをじっと見ながら同じ事を聞く。え。どうしよ。なんかSSSとやらに連れて行かれてました。なんて言うわけには行かないだろう。だから、初対面だからこそ使える言い訳を使おう。
「み、道に迷ってました」
どーよ。この対応は。実際に迷ったというかここが学校のどこだかわからんからな。あながち嘘ではないだろう。ただ、学校で迷うとか白い目でみられそうだけどね!あと、どもったのは許してほしい。
「迷った…?貴方はここに今日来たのかしら?」
「あ、ああ」
「そう。ここは貴方を受け入れてくれる世界だわ。だから安心して過ごして」
「あ、ああ。あんたは…?」
「私?私は、立華 かなで。生徒会長よ」
生徒会長というとさっきの仲村が言っていた…?
「……天使?」
「私は天使じゃないわ」
はい、ラスボス(仮)と出会いました〜。これヤバくね?俺死んだかな。あ、もう死んでました〜てへぺろ☆
「ここに来たばかりなら、過ごし方を教えるわ。ついて来て。」
ラスボス?あらため立華は、特に俺をどうすることはないらしい。うーん?無条件に襲う訳ではないのだろう。
せっかくここでの生活とかを教えてくれるなら教えてもらうか。ほ、他の人に話しかけるのがいやだったわけじゃないからね!ハチマンウソツカナイ。
〜少年少女移動中〜
「ここで、奨学金を受け取れるわ」
まず、連れられてやって来たのは事務室。どうやら、ここで奨学金としてお金を貰えるらしい。学食や自販機などお金を使うものはちゃんとあるらしいので貨幣が必要なようだ。手続きをすると、それなりの額のお金がもらえた。
ただ、いつの間にか個人情報が登録されていたというのは恐ろしいものがある。
「ここが、食堂よ。購買もあるけれど、基本的にご飯はみんなここで食べるわ。たくさん種類があるけど私は麻婆豆腐がおすすめね」
「広いな…」
いや、ほんと広い。何回建だよここ?マンモス校っていうのはこういうもんなのか?学食だけで一つの建物とか…。それと、麻婆豆腐が好きなのか。意外と辛党なのな。
この後もいろいろなところを案内してもらった。学習棟やら図書館やら。あ、そうそうSSSの連中がいた校長室があるのは教員棟というらしい。
しかし、図書館はでかかったな。
あれ蔵書数とか一体どのくらいなのだろうか。あと、蔵書数とか増えるのかね。仮に、増えているのならどこから増えているんだろうか。図書カードも作ったし、明日にでも本を借りてこよう。
「最後に、ここがみんなが寝泊まりしている寮よ。向かって右側が男子の寮で左側が女子寮よ。異性の寮に入るのは規則違反だから、気をつけて。貴方の部屋も何処かにあると思うわ。寮の人に聞いてみて。」
俺が女子の部屋に行くとか俺の人生を三週ぐらいしても、ありえない。あ、でも1回死んだわけだし、あと二週すればあるいは…?
「基本的に使う所を案内したけど大丈夫かしら?」
「ああ、部屋って1人部屋か?」
「そこは運によるわ。2人の場合もあるし、1人の場合もあるもの」
1人部屋がいいなー。知らない奴との2人部屋とかストレスが凄いたまって胃潰瘍にでもなりそう。あ、この世界は病気もないんでしたね。
「そっか…。なんつーか、その、サンキューな。色々と教えてくれて助かった」
「気にしないでいいわ。生徒会長だもの」
「それでもだ、サンキューな。生徒会長」
「…そう。私はこれで帰るわね。明日の授業はしっかりでてね」
立華は帰って行ったが彼女がどうもSSSの連中が言っていたような奴には見えない。実際、SSSの制服を着た奴(Foooo!とかいってブレイクダンスしてた)を見かけても特に手を出すということはしていなかった。
物静かで口数が少なく、勘違いされやすいタイプというのが、ここまでで接して思った立華への印象だ。ちょっと親近感湧いちゃう。ま、こんな短い時間だけで相手を理解できるなんて思ってないし、そんな考えは欺瞞でしかない。
いい人?(人がどうかは分からないが)だったが、最後の頼みは聞き入れることができそうにないな。消えるかどうかわからないから行こうとは思わない。けれど、ここまで親切に教えてくれた立華への罪悪感があった。
明日は何をしようかも決まってないが、明日のことは明日の俺に任せるとして、とりあえず寮の人に部屋の場所を聞こう。頼んだぞ、明日の俺。
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〜八幡の部屋〜
やりました!希望の1人部屋だ!いや、ほんとラッキーだった。他の人が同じ部屋にいるとか恐ろしすぎね?やっぱ1人が最高だ!希望は前に進むんだ!
と、脳内のテンションを上げながらベッドへと身体を投げ出す。
立華と別れたあと部屋を聞き、そのまま夜になった。周りが静かな中で横になったままだと今日あったことが浮かんでくる。
犬を助けて車に轢かれたと思ったら学校の屋上で。遊佐と出会い、ここは死後の世界だと知り、勧誘までされた後には、天使と呼ばれたやつとも関わった。濃密すぎじゃね?
そして、やはり家族であり最愛の妹である小町への言葉が溢れて来てしまった。え?親父?お袋はまだしも、親父は知らん。
「やったよ、小町。今日だけでいろんな人と話せたんだぜ?これはもう進歩といっても過言ではないな。ごみぃちゃんとは呼ぶことは出来ないだろう?」
遊佐、日向、音無、仲村、立華と今日だけで5人も会話をした。酷い時は小町とも話さず、鏡の向こうの自分と会話しただけの1日がある俺からしたら、ワープ進化レベル。これは、究極体になれる日も近いんじゃない?
というか俺、人と話すことなさ過ぎじゃない?ははっ…
「ごめんな…小町…。俺、死んじまったよ。お前の未来も見れないまま、死んじまったよ…。お前だけは悲しませたくなかったのにな…。千葉の兄貴失格だな。お前のこれからを見守りたかった…。ちくしょう…。なんで、俺なんだよ。…ちくしょう…」
突然の最愛の妹との別れに涙が止まらない。
妹もいない、1人しかいない部屋に、悲しみが響く。こうして夜が更けていくーー。
読んでいてコレジャナイ感があるかも知れませんが、そこはいかんせん手探りなもので許して