やはり俺が死後の世界で過ごすのは間違っている   作:璃羅

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お久しぶりです!
落ち着いてきたので書きました!
何ヶ月ぶりかも忘れるほどに久しぶりに書いたので書き方とか変わってるかもしれませんが、よろしく!

少し長めなので許して
ー追記ー
円周率を修正しました。


15話 彼女は歌う

この世界にいる人間は生前にやりきれなかったことがあったりするなどの心残り、つまるところ未練があるからこの世界に来たという。

 

ならば、俺の未練とは?

 

妹である小町の成長が見れないことだろうか。花嫁姿とか。なにそれ相手を呪い殺すしかないじゃない!(錯乱)

 

この世界に来てしまった時点で小町と会うなんていう可能性は限りなくゼロに近いだろう。むしろこんなところには来て欲しくないしな。来たらお兄ちゃん怒っちゃう。よって小町が未練というのは8割そうだとしても違うのかもしれない。

 

小町でないならなんなのだろう?

 

俺はなにを求めているのだろう———?

 

——————————————————————

 

「今回の作戦は天使エリアへの侵入よ」

 

この日は、朝から作戦会議が始まった。幹部は全員おり、岩沢もいる。天使エリアってどこだよ?という疑問は俺と同じ新入りの人が聞いてくれるだろう。

 

「天使エリア?」

「そう。我々は幾度となく天使の秘密を掴むべく侵入をしたもののその度に撤退を余儀なくされたわ」

 

ゴクリ。こいつら以上に物騒なものがあるのか…。

 

「そして、音無くんと比企谷くんが加入して目を避けていたこの戦線の弱点にそろそろ目を向けなければ行けなくなったのよ」

 

いつもより、部屋全体の空気が重く感じる。どうやら今回は巫山戯たものではないらしい。

 

「おいおい、ゆりっぺ!俺らに弱点なんかあるか⁉︎」

「そうだよ!僕らはこれでもチームワークはあるよ!」

 

そうだそうだ!と一部の人(俺、遊佐、音無、椎名)以外は声を上げる。ちなみに岩沢はギターを弾いてた。

 

「我々の弱点、それは———」

『それは⁉︎』

「幹部の一部以外がアホなことよ!」

『………』

 

知ってた。

追加でいうとリーダーもアホだと思う。今更だが、大丈夫なのかこの集団…。

 

「そんな訳で新メンバーよ!」

 

仲村の座っている椅子の後ろからスッと人が出て来た。なんかいつの間に!とかめっちゃ驚いてますやん。

 

俺?そもそも俺が立っている位置が仲村の近くにいる遊佐の隣なので実は見えていた。初めて見たとき、後ろでしゃがんでるやつがいるとかなかなかシュールだわな。ちょっとビクッとしたのは内緒だ。

 

「パソコンに強いという竹山くんよ!」

「クライストとお呼びください」

 

背の高さは大山と同じくらいで髪はキノコヘアーというのか?あと、メガネしてる。クラ…なんだっけ?ああ、クラインね。あの人なんだかんだ言っていいキャラしてるよね。声もジャックスパロウだし。

 

「ゆりっぺ!こんなもやしがなんの役に立つというのだ!」

 

戦線を誇るアホ代表の野田がハルバードを竹山に突きつける。血の気が多いなぁ〜。

 

「3.14159265358〜〜」

「ぐああああぁぁぁぁ!!!」

「なにを言っていやがる⁉︎」

「円周率だよ!やめてあげて!その人はアホなんだ!」

 

円周率か〜。中学からはπになったし、覚えてなかったな。

 

「続き話していいかしら?」

「さて、今回の作戦は先ほども言ったように『天使エリア侵入作戦』よ。天使がいないうちにエリアへ侵入、この世界の秘密を調査することが目的ね。竹山くんにはそのために呼んだの」

「では、今回の作戦に参加するメンバーはどなたにしますか?」

 

高松が眼鏡をくいっとしている。メガネクイッてかっこいいと思ってるのだろうか?本質を知らなかったら知的に見えたんだけどなぁ。

 

「そうね。私、竹山くん、松下くん、日向くん、野田くん、音無くん、通信のために比企谷くんで行くわ。その他は、ガルデモのライブの護衛ね」

「ライブするのか?」

「ええ。今回はいかにして天使をエリアから引き離すかが大事になってくるわ。そのため、今回はゲリラじゃなく、事前に告知してライブを行うわ」

「それは、学校の許可を取るってことか?」

「そんなわけないじゃない。ビラをそこら中に貼って時間になったら始めるのよ。今回、名前が上がらなかった人達は、それの護衛ね」

 

その言葉に部屋がざわつく。

「ゲリラじゃないのか?」「それは大丈夫なのかな?」「wow…」「ゆりっぺ!俺は従うぜ!」

 

「どう?岩沢さん。やってもらえるかしら?」

「ああ、問題ない」

 

岩沢の許可も取れたのでこのまま作戦を行うようだ。ところで岩沢さん。人と話しているときくらいはギター置きましょう?

 

「それじゃ、作戦実行は一週間後よ!それまで各自、作戦への士気を高めなさい。以上、解散!」

 

さて、俺はどうしようか?別にぼっちだからっていつも暇なわけじゃないよ?ほんとほんと。この世界ゲームとかないのかよ…。

 

——————————————————

 

〜一週間後〜

 

作戦当日であり、現在時刻17時だ。校長室で最終確認をしているどころである。この一週間はいろいろあった。具体的には音無が通いつめていた岩沢の生前の話を聞いたとか、ユイが廊下でビラを貼りまくってたとか、立華がそれを剥がしているとか。え?なんで知ってるかって?比企谷八幡、通信班所属です。

 

ただ、岩沢の話は聞いていない。「誰かの生前の話聞いたか…?」とかいう話が出たから速攻で盗聴機の電源を切った。俺が聞いてはいけないものである。そのうえ、俺は聞きたいとは思わない。そいつの人生がどんなものだったかは知らないが、そんな話を聞いてしまっても迷惑なだけだ。他人が歩んだ人生なんて大層なものを俺は抱えることもできないし、かける言葉もない。半端な同情は、そいつを否定するだけだ。だから俺は、この世界にいるやつの生前なんてものは聞きたくないし、聞く気もない。

 

と、考え込んでいるうちに作戦の打ち合わせも終盤なようだ。

 

「〜〜というわけで、これで行くわ。良いわね?あなた達が見つかると大変なことになるから隠密行動を心がけて。特に比企谷くんはね」

「言われなくても分かっとるわ。ねえ、その確認本当に必要?」

「それじゃ、そろそろ向かうわよ」

 

あ、スルーですか。そうですか。

 

—^ー女子寮前ー

 

遠くでライブの音が聞こえ始めた。潜入班の俺らは女子寮前の草むらに隠れている。これ見つかったら通報ものだね。

 

『天使は体育館に移動中です』

 

俺と遊佐以外にもいる通信班の人たちから連絡が入る。俺はそのまま仲村へと情報を伝える。

 

「行くわよ。ミッションスタート」

 

こうして潜入ミッションが始まった。

 

—————————

 

side遊佐

 

どうも。比企谷さんの上司である美少女遊佐です。失礼。柄にもなくテンションが上がってしまいました。それもそのはず、私は現在ガルデモのライブを見ているのですから。ちゃんと仕事はしてますよ?すぐにサボろうとする比企谷さんとは一緒にして欲しくありませんし。

 

それはそうと、現在のガルデモのライブによる集客はあまりよろしくありませんね。やはり、事前に無許可で告知したことで、教師のNPCにどやされるのが怖い一般生徒は出てくるのが難しいのでしょう。基本的にライブが聞けるのが、作戦中しかないので残念です…。

 

別働隊の方々はうまくやっているのでしょうか?(主に比企谷さんですが…)

 

side out

—————————

side八幡

 

「いっくしゅ!」

「ちょっ!比企谷どうした?風邪でも引いたのか〜?」

「ああいや、なんか突然な…」

「噂でもされてるんじゃないか?」

「女の子のされてるんじゃねぇの〜?」

「されてるとしたらそれはもう悪口だな。キモいとかなんとか。あと日向、その絡み方ウザいぞ」

「え!なんで俺だけ⁉︎音無だって似たようなことしただろ!why?」

「お前らさっきからうるせーわ!見つかったらどうすんだ!責任取れんのか!あ゛あ゛?」

 

怒られてしまった。背後に鬼が見えるな。我らがリーダーはスタンドを使えるようだ。

 

「あれ?仲村さん?」

「やばっ!」

 

げしっ。

 

日向が蹴り込まれ、男全員が巻き込まれてしまった。ちょっと!男とくっつきたくないんだけど!

 

「やっぱり仲村さんだ。こんな所でどうしたの?」

「え?別に何もないわよ〜!ゴミが転がってるくらいだから、後で掃除しておくわ!」

「こんな時間まで掃除してたの?お疲れ様だね。手伝おうか?」

「そんなことないわよ⁉︎私ってほら綺麗好きだし!」

「そ、そう?時間も時間だからほどほどにね…」

 

最終的に一般生徒がドン引きして追い返すという結果に落ち着いたのだった。ドン引きされたますやん笑。

さてさて、試練を突破した仲村を先頭とした俺たちは女子寮の廊下を突き進んでいた。なんかさっきから音無が無言なんだが。どうしたのだろうか。なんかそわそわしてね?

 

「ゆり!忘れてたものがあるから取りに行っていいか?」

「はあ?何言ってんのよ。もうすぐでつくのよ?」

「いや、ここで取りに行かないと後で絶対後悔するものなんだ。だから頼むよ」

 

ここまで喰い下がらないとは珍しいこともあったもんだ。一体何を忘れたのかが気になるな。

 

「はあ…。そこまで言うなら何を忘れたのよ?」

「え…。あ、いや実はな…」

「ん?何を忘れたの?まさか嘘だなんて言わないわよね?」

 

嘘だろうな〜。

 

「そう!カップラーメンをお湯入れてそのままで来ちゃったんだよ!早く戻らないと麺が伸びきってしまうんだ!」

 

ええ〜…。嘘にしてももうちょいなんかあったろ!なんでカップ麺にしたんだ!明らかに嘘だろ!というか、むしろ開き直ってる感じがするな。そんなに、大事なことがあるのか?

というか、仲村の制止を聞かないで走っていったよ。

 

「なんなのよ!理由を言ってくれれば許可くらいするのに…」

「まあまあ、ゆりっぺ。なんか大事な用があったんだろ」

「アイツ、ゆりっぺの命令を無視したな!次あったら○してやる!」

 

潜入班が1人減るというアクシデントがあったものの、なんとか目的の部屋までたどり着いた俺たちであった。

 

「日向くん、鍵お願い。他のみんなは周囲を警戒して」

「はいよっと」

 

これ、ピッキングじゃない?日向がカチャカチャとドアノブをいじりながらしばらくするとガチャという音がした。ピッキングやん。

良い子は真似しちゃダメだぞ!お兄さんと約束だ!

いともたやすく行われた犯罪行為に戦慄していると他の連中は部屋の中へと入っていってしまった。俺も追いかける。

 

中は電気も付けてないから暗いな〜。天使エリアといって女子寮に侵入した時点でだいぶ察していたがやはりというかなんというか、生徒会長の部屋であった。これ見つかったらマジで言い逃れができないな。

 

「竹山くん、やっちゃって」

「了解です。ですが竹山ではなくクライストと呼んでください」

 

竹山がパソコンに向かって何か始めた。持て余してるので部屋でも見回そうとしたが、よくよく考えるとここは女子の部屋であるということを思い出し、断念する。

や、ちょっと見たいとは思いましたよ?はい。

 

『比企谷さん。遊佐です。天使が現れました』

「っ!ああ、了解した」

 

突然通信が入ったからびっくりしちゃったよ。見られてないよね?

 

「どうした?比企谷?」

「いや、遊佐からの連絡で会場に天使が現れたそうだ」

「そう。順調ね」

 

見られてました。いや、いきなり声をかけられたらびっくりするよね?やっぱり。変な声出さなかっただけよくない?

いつの間にか、パスワードは解除され、コピーを始めてたわ。なんか最近考え事しすぎか?

 

「これは…AngelPlayer?聞いたことないプログラムね。竹山くん開いて見て」

「だから、クライストと…」

 

なんだかんだで言うことを聞いてる竹山であった。君、社畜の資質あるよ。ティン!と来た。

 

後ろからパソコンを覗き込むと開いたプログラムには、「handsonic」「distotion」やらの立華が使っていたガードスキルが載っていた。

少しさわると文字の隣の人の形をした絵が動く。つまるところ、これは…

 

『緊急連絡です。教師が会場に乱入。取り押さえられました。天使が部屋に戻りま…《おい、そこで何してる!》っ!気付かれてしまいましたか』

 

プツッ

 

遊佐の一言を最後に通信が切れる。

背筋に寒気が走った。大丈夫なのか?いや待て、相手はなんだかんだいって教師だ。暴力に出ることはないだろう。俺がここで焦ったってどうしようもない。そう、仕方がないことなのだ。だが、本当に?教師が手をあげないなんてことはないのか?あいつは大丈夫なのか?

 

「おい、大丈夫か?やけに焦ってるように見えるが…」

 

思考の渦に囚われた俺の脳は声をかけられたことで再起動する。前を見ると野田がこちらの様子を伺っているようだった。声をかけたのはこいつか。日向と松下もこちらを不安そうに見ている。さきに、仕事を果たさなければ。

 

「仲村、まずいことになった。ガルデモが教師に取り押さえられて、天使が戻ってくるらしい」

『!!』

 

空気が一気に緊張状態になる。こちらからの連絡も遊佐には繋がらない。他の通信班は、会場には配置されてないない。俺の不安は、さっき考えてたことも忘れるほどに増長していく。

 

「竹山くん、あと何分でできる?」

「あと、10分は。あと、クライ「できるだけ急いで」」

「バリケードの奴らは何してるんだ!」

「いや、教師はNPCだ。NPCに手をあげることはできない」

「くそッ!」

 

『ーージッ。〜〜♩』

 

先程から応答がなかった通信機から音が聞こえた。遊佐が繋げたのだろうか?どうやら、岩沢がなにかを歌っているようだ。耳をすませようとすると、学校全体の放送機器から今耳から聞こえてるものと同じ音が聞こえ始める。

 

「これは…?」

「岩沢なのか…?」

「あとどれくらい?!」

「もうすぐ終わります!…終わりました!データは消しておきますか?」

「いいえ、そのままでいいわ。総員!撤退するわよ!」

『了解!』

 

俺たちは急いで女子寮から飛び出す。いつの間にか放送機器から流れる音はなくなっていた——。

 




さて、いかがでしたか?
岩沢さんはいったいどうなってしまったのか!
次回をお楽しみに!

新しい作品も書いて見たのでよければどうぞ〜。
では、またの機会に!
話がうろ覚えになってきたよ…。

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