君のいる町 if   作:中矢

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9回目の投稿です!
SSを書くにあたって、君のいる町を読み返しているのですが、七海ちゃん相変わらず可愛い...
それではどうぞ!


この気持ちの名前は

次の日、いつも通り登校すると、青大の様子がおかしいことに気付く。

ぼーっとしていて、ほんのり顔が赤い。

あれは、熱があるな。

そう思い、声をかけておく。

 

「おはよ、青大。」

 

「...あぁ、律人か。おはよう。」

 

「具合悪いなら無理するなよ。」

 

「...律人は気付くの早いな...でも、俺が学校来ないと、枝葉が学校いけんじゃろ。」

 

「そっか...意外と考えてあげてるんだね。安心した。でも、ほんとに無理そうな時は帰んなよ。柚希ちゃんは俺が乗せて帰ってもいいから。」

 

「...とりあえず、頑張ってみるわ。」

 

 

そういって席につく。

 

「おはよう。律くん。」

 

「七海ちゃん、おはよ。」

 

「枝葉さんと桐島くん、なんかあったん?2人とも機嫌悪いから...」

 

まあなんとなく予想はつくけど、青大が言うまでは黙っとこう。

 

「些細なことでケンカでもしたんじゃないかな?仲がいいほどケンカするって言うし。」

 

「うーん...そっとしとくのが一番なんかな。」

 

「それがいいよ。」

 

 

 

 

 

 

午前の授業が終わり、昼休みに入った。

青大は相変わらず具合が悪そうだった。弁当も食べずに机に伏せている。

 

そこに、七海ちゃんが声をかけている。

 

「桐島くん?昼休みなったから、ご飯たべよう?」

 

「...」

「桐島くん?」

 

「あ...うん、わかった。」

「大丈夫?具合悪い?」

 

「ん...大丈夫...ちょっと朝から熱っぽいだけじゃから...」

 

そういって立ち上がる青大だが、フラフラっと身体が傾く。

 

「おっと...」

「あ...悪いな、律人」

 

「無理するなっていったじゃん。もう今日は帰んなよ。」

 

「...悪い。」

 

「桐島くん!大丈夫!?」

 

「七海ちゃん、悪いけど保健の先生呼んできてもらえる?」

 

「わ、わかった!」

 

 

結局、青大は熱があり、おばさんに迎えに来てもらって学校を早退した。

 

 

「ねー、律くん。」

 

「なに?」

 

「桐島くんが具合悪いの気づいてたん?」

 

「うん。青大が言わないなら言わないでおこうと思って隠してた。ごめんね。」

 

「ううん!ええんよ!...律くんはすごいね。私は桐島くんが具合悪いの気づかんかったから、枝葉さんとケンカして不機嫌なんだと思ってた...」

 

「俺らは付き合い長いから、それに俺、けっこう人の変化とかにすぐ気付く方だと思うから、七海ちゃんが具合悪くてもきっとすぐわかるよ。」

 

「そうなんやね。じゃあ私が倒れそうになっても、律くんが支えてくれるんやね。」

 

「きっと支えるよ。」

 

「...恋愛に関しては鈍感なくせにね...」

 

「え?なに?」

 

「ううん!なんでもないよ!」

 

こうして、午後の授業も終わり放課後の時間となった。

部活が終ったら青大のとこに行ってみようかな、熱でると、心細くなるだろうし。

 

「律くん!桐島くんのお見舞い行くん?」

 

「うん。様子を見に行こうと思って。柚希ちゃんも送ってかなきゃいけないし」

 

「私も行こうと思ってたから、一緒に行こう?」

 

「わかった。...柚希ちゃん!部活終わったら送っていくから待っててよ!」

 

「あ!うん!ありがとう!」

 

俺は柚希に声をかけておき、七海ちゃんと部活に向かう。

 

「今日は初めての部活やね!」

 

「そうだね。戦力になれるようにちゃんと練習しなきゃだ。」

 

「ふふ、期待してるよ!」

 

そして、グラウンドにつき、部室で着替えてから、グラブをもって、成海さんに挨拶する。

 

「こんにちは!成海さん!」

 

「お!ついに来たな!期待のルーキーが!」

 

「硬式は初めてですし、あんまり期待しないで下さい...」

 

「大丈夫じゃろ!...みんな集合!新入部員の紹介を始めるぞ!」

 

俺の他に5人くらいいるな...尊は先に来てたみたいだ。

 

「それじゃあ1人ずつ自己紹介を頼む!」

 

まずは尊から

 

「由良尊いいます!中学でも野球はやってたんで、期待してください!」

 

「それじゃあ次!」

 

おっ俺だ。

 

「一ノ瀬律人です。ちゃんと部に入って野球をやるのは初めてですが、少しでもチームのためになれるように一生懸命練習していきたいと思います!よろしくお願いします!」

 

「よしっ!これで部員は全員終わったな。最後にマネージャーの紹介や!」

 

七海ちゃんが自己紹介をする。

 

「神咲七海です。頼まれて入る事になりましたが、一生懸命やっていくので、どうぞよろしくお願いします!」

 

部員達からおぉー!可愛い!という声が上がる。

 

「言っとくけど、七海は俺の妹やから、律以外には手出しさせんからのぉ!」

 

「ちょっと...お兄ちゃん///」

 

成海さん、そんな事言ったら先輩方の視線が怖いです。

 

そんなこんなで初日の部活を終えた。

 

「律人ー!一緒に帰ろうで!」

 

「あー尊、俺、青大んとこ寄ってくけど一緒にくる?」

 

「おっお見舞いか、残念やけど今日は母ちゃんから頼み事されとるけぇ、直帰じゃな...」

 

「そっか。じゃあ、また明日な!」

 

「おう!また明日じゃ!」

 

俺は部室で着替えをすませ、自転車をとって、校門に向かう。七海ちゃんと柚希は先に校門で待っていた。

 

「ごめん。遅くなったみたいだね。」

 

「ううん、私も枝葉さんも今来たところやから!」

 

「それじゃあ帰ろうよ!青人くん1人で待ってるよ」

 

俺達は青大の家に向かう。

柚希は俺の後ろに乗せたが、七海ちゃんは少し嫌そうな顔をしてた気がする。

 

 

そして、桐島家に到着した。

 

 

「青大、大丈夫か?」

 

「ん...律人...神咲も来てくれたんか...」

 

そういって身体を起こそうとする。

 

「だめだよ、まだ寝てなきゃ。」

 

「そうだよ。ゆっくり休んでな。お粥食べれるか?作ってくるから待ってて。」

 

「あ、私も手伝うよ!」

 

「悪いな...2人とも。」

 

俺と七海ちゃんは二人でキッチンに行き、青大のお母さんに許可を得てお粥をつくる。

 

「桐島くん、大丈夫かな...」

 

「ただの風邪だからきっと心配ないよ。」

 

「そっか...」

 

「そうだよ。」

 

俺達はお粥を作りながら、青大と柚希のことを話す。

 

「枝葉さん、多分、桐島くんのこと好きだよね。」

 

「神咲にもそう見えるか?」

 

「うん...でも、迷ってるようにも見えるんよね...」

 

「迷ってる?」

 

「うん。律くんと桐島くんの間で。」

 

「俺と?まさか、俺は好かれるようなこと何もしてないよ。」

 

「律くんは優しいから...」

 

「そうでもないよ...」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ。ほら、お粥できたし持っていこうよ。」

 

俺達はお粥をもって2階にあがる。

 

部屋を開けると2人はなにか話してたようだった。

 

「青大、お粥作ってきた。食べれる?」

 

「あ、うん、食べる。」

 

「枝葉さん、どうかした?」

 

「ううん!なんでもないよ!」

 

2人の様子が少しおかしかったが俺達は気にしないことにした。

 

青大はお粥を食べきり、眠りについた。

 

「じゃあ、俺はそろそろ帰るよ。」

 

「あ、じゃあ私も帰る!青大くんも眠ったみたいやし。」

 

「2人ともごめんね?ありがとう。」

 

「柚希ちゃんが謝ることじゃないよ。七海ちゃん、送ってくよ。」

 

「ありがと。じゃあ枝葉さん、またね!」

 

「うん!また明日!」

 

俺達は桐島家をあとにして、帰路を辿る。

 

「律くん」

 

「なに?」

 

「律くんは、枝葉さんのことどう思っとるん?」

 

「柚希ちゃん?いい子だと思うよ。明るくて、一緒にいると楽しい。」

 

「そう...じゃあ、私のことは?」

 

七海ちゃんは不意に聞いてきた。

突然の質問に驚いたが、正直に答える。

 

「七海ちゃんは...落ち着いてて、しっかりしてるし、気遣いもできる女の子だよ。一緒にいて落ち着く。」

 

「じゃあ...もし、私が律くんのこと好きって言ったら...困る?」

 

「え...?」

 

「...困る?」

 

七海ちゃんは顔を赤くして、上目遣いにそう聞いてくる。

 

「そんな風に考えたことなかった...けど...もしそうだったら嬉しい...と思います...」

 

そう言うと七海ちゃんはクスクスと笑いながら、

 

「律くん敬語になっとるよ!律くんの癖は照れると敬語になる所なんやね!」

 

「なっ!冗談!?からかったの!?」

 

「さぁー?どうかなー?」

 

この子はほんとに...

でも、なんだろ、冗談だったけど、凄く嬉しかった。

これって...これが、恋ってこと?

 

俺にはこの気持ちを表現するにはまだ恋愛を知らなすぎていた。

 

「じゃあ、ここでええよ!また明日ね!」

 

「あ、うん!また明日ね!」

 

 

 

 

 

そして、俺は家に入り、ご飯を食べていた。

 

「律人?どうしたの?考え事?」

 

母さんが不思議そうに俺を見てくる。

 

「ねぇ母さん。」

 

「ん?」

 

「人を好きになるのって...どんな感じなの?」

 

「うーん...好きにも色々あるからね...」

 

「例えば?」

 

「そうね...その人のことを考えると自然と笑顔になったり、その人が誰かにとられそうになると焦ったり、でも、母さんの考える一番納得する答えは、その人と同じものを見て行きたいって思ったら好きってことなんだと思うわよ?」

 

「そっか...」

 

「なになに?好きな子でも出来たの?」

 

「わかんない...」

 

「まぁゆっくりでいいのよ。自分で納得できる好きの理由を律人なりに見つけたらいいのよ。」

 

「そう...だね。うん。わかった!ありがとう、母さん!」

 

「いいえー!さ、洗い物しちゃうから早く食べちゃいなさい!」

 

「はーい!」

 

自分が納得できる好きの理由...か。

 

俺にも分かる時が来るのかな?

 

 

 

 

 

 

 

七海side

 

 

あーあ言っちゃった...でも、律くん照れてたから、結果としては成功?なのかな?

これで私のこと意識してくれたらいいんやけど...

この前お兄ちゃんに言われたことを思い出す。

 

『律は自分に対しての好意には鈍感なんやから、お前から積極的にならないつまでも変わらんぞ!』

 

今日は...積極的になれたと思う。自分でもあんなこと言うなんて正直驚いたけど...

 

会うたびに、話すたびに好きが増えていく。

授業中もお昼休みも、気がつくと律くんを目で追ってる。

月ちゃんには気付かれちゃったけど...

 

きっと私はもっと律くんのことを好きになる。

神様がこの人だって言ってるんだ。

 

じゃなきゃ自分で言うのもなんだけど消極的な私がこんなふうになるなんてありえんよ。

私にもこんなに誰かを好きになる気持ちがあったんやね。

 

律くんへの気持ちにだけは正直になれる。

彼の笑顔が好き。照れると、敬語になるとこも好き。

友達思いなとこも、優しいところも、そうだね。て言う優しい声も、私を見つめる空の色をした彼の瞳も、全部好き。

 

私の好きの理由は言葉じゃ表せないくらいたくさんあるんよ。

 

律くんのことを考えながら、律くんの事だけを想いながら私は眠った...。

 

 

 

 

 

 




ちょっと展開はやいかな?
七海ちゃんの気持ちを公開しておこうと思いました。
キャラ崩壊してるぅぅ
これからも応援よろしくお願いします。

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