ボクの旅路に幸あれ!……無理か。   作:隔離場

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最初の方にクトゥルフの成分を持ってきてみた。


初クエストと事故

 リヤンさんとの会話を終えて、とりあえず何かしらのクエストを受けることにした。

 女神さんにも特典の確認は自分でやれって言われたしね。出来れば討伐系のクエストを受けたいんだけど……あれ?なんか見覚えあるモンスターがいる。

 

 クエスト内容は『新種のモンスターの調査、もしくは情報提供』。依頼主は冒険者ギルドになってる。なんでも男性二人のコンビで働いていた冒険者のうち、一人がこの新種のモンスターにやられちゃったみたい。

 特徴は『爪を生やした両手、眼がなく口が広く鼻の先が桃色の青白い触手になっている顔を持つ、カエルのような外見』。うっわぁこいつあれだよ、所長が「悪趣味」っていう評価を与えてた奴だよ、特徴一致してるし……。後で情報提供しとこ。

 

 とりあえずボクが受けるのは『ジャイアントトードの討伐』かな。さっきの依頼書も一緒にもっていこ。

 

 

「やっほー、リヤンさん。さっきぶり」

 

「はい。今回はどういった御用でしょうか」

 

「ほいこれ、この新種のモンスターの情報提供と依頼を受けに来たんだ」

 

「……はい、承りました。こちらのモンスターによる被害が増加傾向にあるので、情報の提供はありがたいです。一応情報提供者の欄は匿名にすることが出来ますが、いかがなさいますか?」

 

「んー、いいや。そういうの気にしないし」

 

「分かりました。ですが内容によってはギルド内が混乱に陥るかもしれません。私についてきてください。防音魔法がかけられた部屋にご案内します」

 

 

 

◇◆◇(20分後)

 

 あの後部屋まで案内されたんだけど、内装が……なんて言うの?教会の懺悔室見たいでちょっと怖かった。

 

 リヤンさんに話した情報はモンスターの名前、外見、好んでする行動、特異性、危険性の5つ。この内の2つはボクが知ってる情報を、残りは所長から聞いたものをそのまま話した。

 

 リヤンさんの手が時々ピクッて動くのがなんか面白かった。

 

 で、カウンターまで戻ったところで5万エリス貰った。なんでも期待以上に情報が渡ったかららしいよ。討伐できるといいね。

 

―――え?ボクが討伐?いやしないよ、ボクあいつ嫌いだもん。

 

―――いや、だからボクあいつの行動パターンとか把握してないし。

 

―――ほ、ほら、初心者が下手に刺激して暴れ始めたら大変じゃない?

 

―――ボ、ボクカエル嫌いだから……

 

 そんな会話を5分くらい続けた結果、討伐をすることになりました。リヤンさん、だんだん言葉に圧力かけてくるぅ……(´・ω・`)

 危なくなったらすぐに撤退してもいいからって言ったけど、逃がしてれないのがこのモンスターなんだよね(´;ω;`)

 

 不本意ながら討伐に挑戦する約束をしたんだけど、できれば10日以内に挑戦して欲しいそうな。早いよ。

 

 ……今日から死ぬ気でスキルマスターしよ。

 

 

◇◆◇

 

 さて、気を取り直して、ジャイアントトード討伐だよ!ジャイアントトード……長いからカエルでいいか。カエルの特徴は打撃が通りにくいことらしいから、スキルは一部使えないね。

 

 あとリュックサックは少し離れたところに置いてきたよ。中の道具が壊れたら困るからね。今持っているのは特典で貰った鎖だけ。

 

 目の前にいるのは二匹のカエル。緑と紫だね。遠くの方にいるカエルがこっちに気づく前に倒したいね。

 

「カエルの主な行動って舌で引っ張って丸のみ、とかだよね。なんとなく〈ベヒモス〉に似てるかも。【跳躍撃】!」

 

 どうでもいいことを呟きながら、ゲームでよく見た感じでジャンプして、右手を振り上げて緑色のカエルに直接叩きつける。

 え?さっき打撃が通りにくいって自分で言ってたろって?ふっふっふ、敵がどの程耐性を持ってるかまで分かってないと攻撃が無駄って言うのは分からないでしょ?

 

 ―――現にカエルは跡形もなく吹き飛んでるし。地面と一緒に。

 

「威力高すぎぃ……」

 

 もしかして〈ゴライアス〉が実際にここで跳躍撃やったときと同じくらいの威力?いや、クレーターの端っこの方が燃えてるから〈メテオゴライアス〉か。

 

 しかもさっきの音の所為で地面で寝てたカエルもきたし~(;´・ω・)

 

「よし!まとめて相手してやる!」

 

―――この後の光景を他の冒険者さんが見たらびっくりしただろうなぁ。

 

 【幻影】を使用したから、ボクがもう一人現れるように見えただろうし。しかももう一人のボクがスキルを乱用しながら戦ってたから、ボクの方は見てるだけだったし。

 

 発動を確認したのは【岩投げ】、【跳躍撃】、【火炎放射】、【浮遊】してからの【死のらせん】で、【幻影】の使用限界時間が来たら爆発してたから、多分【幽体離脱】も使ってるんだろうなぁ。

 

 しかももう一人のボクが倒したモンスターの経験値はちゃっかりボクに……やばい。めんどくさい。『ボク』がゲシュタルト崩壊しそう。名前決めよう名前。『もう一人のボク』……『ドッペルゲンガー』……『ドッペル』でいいんじゃないかな。

 

 要するに、ドッペルちゃんの倒したモンスターの経験値がボクに入ってきてるんだよね。おかげで今レベル4だよ。ドッペルちゃん一人で8匹くらい倒してたんだよね。

 ボクより強いんじゃない?

 

 

◇◆◇

 

 冒険者ギルドに帰ってきたよ。今回の受付さん、ルナさんって言うらしいんだけど、ギルドカードに書かれてた『ジャイアントトード:9匹討伐』って文字を見てポカンとしてた。そうだよね、冒険者登録して一日目の新人がいきなりこんな結果出したんだもんね。ビックリするよね。

 ただ、モンスターのお肉なんかもギルドが買い取ってくれるみたい。跡形もなくコナゴナにしちゃったから回収できないんだよ、残念。

 そう伝えたら頭抱えてた、調子でも悪いのかな?後ろからリヤンさんに心配されてた。

 

 なんか、その後にルナさんがギルドカードの能力値の欄を見せてくれって言ってきたからOK出そうとしたんだけど、またリヤンさんが止めてた。なんでか聞いてみたら

「ギルドカードはその人の個人情報になるし、特に能力値の値は万が一漏れるとギルド内の差別につながってしまう」とのこと。

 

 結構そういうの気にする人なんだね?

 

 

 この後、ルナさんにおススメの宿がないか聞いたら、ギルドから歩いて数分の宿を教えてもらった。ベッドがふかふかで気持ちいい宿だった。

 明日お礼言わないと……。

 ( ˘ω˘)スヤァ




結構ハイペースで進んでると思ってます。実際は分からないけど。

千尋ちゃんのギルドカードを活動報告に載せときました。良ければそちらもどうぞ。

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