ラブライブ! 〜ヒトツノコトバ〜   作:こうのとり

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お久しぶりです。こうのとりです。今までリアル多忙につき投稿できませんでしたが、投稿を再び始めます。
今回は1話の終わりまでやります。次回からは2話に入ります。
それではどうぞ。


5話 廃校を阻止するために

 コンコンと理事長室のドアが音が鳴る。

「失礼します。」

 

 

 生徒会長、絢瀬絵里と副会長、東條希は理事長室に来ていた。

 

 そして図書室に向かっていた隼も2人が理事長に入っていくのを見た。

 

 

「発表には、入学希望者が定員を下回った場合、廃校と言う決定をせざるを得ないとありました。」

「つまり定員を上回ればーーー。」

 

 なにやら廃校について理事長と話をしているみたいだ。隼は立ち聞きはあまり良くないと思いながらもドア越しに3人の会話を聞く。

 

「確かに。ですが、そう簡単に生徒が集まらないからこそ、この結果なのです。何か良い方法があるのですか?」

 

 そう言われると絵里は顔を歪める。何も言い返せないと言わんばかりに。しかし、会話をドア越しに聞いてるだけの隼にはその表情は伝わらない。

 

「思いつきで行動しても、状況は簡単に変わりません。生徒会は、今いる生徒の学院生活をより良くすることをかんがえるべきです。」

「でもこのまま何もしない訳には!!」

「絵里ち!」

 

 絵里は少し熱くなってしまっていた。それを希が止める。

 

「ありがとう。絢瀬さん。その気持ちだけ有難く受け取っておきます。」

 

 どうやら生徒会も今の所打つ手は無いらしい。

 立ち聞きしているのを知られるのはマズイと思った隼は足早に理事長室の前を去り、図書室に向かった。

 

 

 でもなんだろう。生徒会長が廃校を阻止するために必死なのは会話を聞いてるだけでも伝わった。だけで違和感(・・・)を感じる。穂乃果たち3人とはまた違った必死さ。

 

 どういう違和感かは分からなかったが、それでも隼は違和感を感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スクールアイドルを始めると決めた穂乃果、海未、ことりの3人。

 

「でも、私達3人だけで大丈夫かな。」

 

 3人で創部の手続きをしに行こうとしていた所にことりが言い出した。

 

「どういうこと?」

「私達3人だけで本当にスクールアイドルをやっていけるのかなって思ったの。スクールアイドルのことを全然知らない私達が。」

「確かにそうかも知れませんね。」

 

 

 この3人はスクールアイドルを始めると決めたはいいが、スクールアイドルの事は右も左も分からない。分かっているのはライブをしたりして、人気が出ると入学希望者が増える。そう言った具体的なことだけ。

 

「だからね、私達みたいにスクールアイドルのことがわからない人でもいいから、お手伝いの人が居たらいいなぁ〜って思ったの。」

「ですが、それを誰に頼むのですか?」

「それは...」

 

 海未に言われて言葉を返せないことり。いい案ではあるかもしれないが。

 そこで穂乃果が、

 

「隼君は!?隼君なら男の子だし、私達が出来ないようなことも出来るかもしれないよ!」

「ですが、隼が手伝うと言うとは限りませんよ?」

「いいじゃん!頼んでみるだけ頼んで見ようよー!隼君まだ帰ってないかな!」

「隼くんなら図書室で勉強するって言ってたよ?」

「本当!?なら図書室に行こう!」

 

 

 

 3人は図書室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隼が図書室に来て勉強をして少し時間がたった頃、穂乃果たちが隼を探して図書室に来た。

 

 

「隼君居るー?あ、居たー!」

 

 図書室だと言うのに騒がしい穂乃果。

 

「何の用だ?それと図書室なんだからもう少し静かにしたらどうだ。」

「ごめんなさーい...」

 

 隼に言われて静かになる穂乃果。

 

「それで、何の用だ?」

「あ、うん。私達ね、3人でスクールアイドルを始めることにしたの!それでね、私達3人じゃ不安だから隼君にお手伝いお願いしたいなーと思って。」

「いきなり申し訳ありませんが隼、お願いします。」

「隼くん。おねがい!」

 

 

 スクールアイドルを始めるから、その手伝いをしてくれ、簡単に言うとそういうことになる。確かにいきなりだ。なんで自分にとも思った。だけど隼も家族のために廃校を阻止したいと思っている。自分が手伝うことで少しでも廃校の阻止に繋がればと思った。よって隼は、

 

 

「分かった。」

「「「え?」」」

「引き受ける。俺が君たちの廃校を阻止(・・・・・)するための活動を手伝う。」

 

 

 一瞬の間が空き、

 

「ありがとう!隼君!」

「ありがとう!」

「ありがとうございます!」

 

 

 隼が3人の廃校を阻止(・・・・・)するための活動を手伝うことになった。

 

 

「よぉし、そしたら、アイドル部を創りに行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 図書室から場所は変わって生徒会室。

 生徒会にアイドル部を設立するための申請書を出しに穂乃果、海未、ことり、隼は生徒会室に来ていた。

 

「これは?」

 

 生徒会長が設立の申請書を見つめて穂乃果たちに問う。

 

「アイドル部、設立の申請書です。」

「それは見ればわかります。」

「では認めて頂けるんですね?」

「いいえ。」

「え?」

「ですが、校内には部員が5人以下のところもたくさんあるって聞いてます。」

「設立した時は、みんな5人以上居たはずよ。」

 

 確かに生徒手帳には校則でそう書いてある。でも創部後はどうやらそこから人数が減ってもいいらしい。

 

「あと1人やね。」

「あと1人...わかりました。行こう。」

「待ちなさい。」

 

 生徒会室を去ろうとする穂乃果。それを絵里は止める。

 

「どうしてこの時期にアイドル部を始めるの?あなた達2年生でしょ?」

「廃校をなんとか阻止したくて。スクールアイドルって今凄く人気があるんですよ、だからーーー。」

「だったら、例え5人集めてきても、認める訳にはいかないわね。」

「「「え!?」」」

 

 生徒会長の言葉に驚愕する穂乃果、海未、ことり。

 

「部活は生徒を集めるためにする物じゃない。思いつきで行動したって状況は変えられ無いわ。変なこと考えてないで、残り2年自分のために何をするべきか、よく考えて見るべきよ。」

 

 

 隼は気付く。いま絵里の言ったことはさっき理事長で理事長が言っていたことと言葉は違っても全く同じ。そして隼は気付いた。さっき感じていた違和感は必死だという訳ではなく、生徒会長としての義務感(・・・)だった。必死じゃ無いという訳ではない、必死な気持ちより義務感が勝っている。隼はそう感じた。

 

 暗い顔をして生徒会室から去ろうとする穂乃果、海未、ことり。しかし隼は立ち去ろうとはしない。

「隼君?」

「先に行っててくれ。」

 

 そう言われ、穂乃果、海未、ことりの3人は生徒会室から出た。

 

「あなたは行かないのかしら。」

「先程の言葉。理事長が仰っていたお言葉ですよね?」

「なッ!?」

 

 何故それを知っている。まるでそう顔に書いてあるかのように驚いた顔をする。

 

「先程お2人が理事長室に入るところを見ました。立ち聞き悪いと思いましたが、私も廃校を阻止したいと思っている手前、勝手ながらお話を聞かせていただきました。」

「何が言いたいの...。」

「『生徒会は今いる生徒がより良い学院生活を送れるようにかんがえるべき』ではないのですか?生徒会長、あなたが私達の活動を認めないのはあなたの個人的感情なのではないのですか?」

 

 

 絵里に言いたいことをハッキリと言う隼を見て希は微笑んでいた。

 

 

「もしそうなのであれば、私は許しませんから。それでは失礼します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まるで嵐が去ったかのように隼君が去った後の生徒会室は静かになった。2人しか居ないから当然ではあるが。

 

「さっきの、まさかあそこまで言われるとは思わんかったなぁ。」

「一々一言多のよ、希は。」

「それが副会長の仕事やし。」

 

 うふふと微笑む希。絵里の声音も顔をさっきの話していた時の顔とは違う。友達に恥ずかしいことを言われ、照れている顔、優しい顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせた。」

 

 昇降口で待っていた穂乃果たち3人と合流する。

 穂乃果の顔はさっきのせいか、くらい顔をしていた。

 

 

 

 帰るために外に歩く4人。と言うよりも隼が穂乃果、海未、ことりの3人が横並びで歩いているのを後ろをからついて行ってるだけのようにも見える。

 

 

「がっかりしないで?穂乃果ちゃんが悪いわけじゃないんだから。」

「うん...。」

「生徒会長だって気持ちは分かってくれているはずです。」

 

 それでも穂乃果の表情は暗いまま。

 

 

「でも部活として認めるられなければ講堂も借りられないし、部室もありません。何もしようが無いです...。」

「そうだよね...。」

 

 穂乃果だけでなく海未もことりも少しずつ表情が暗くなる。

 

「なにもしょうがない訳では無いぞ。」

 

「「え?」」

「講堂は借りられないって言ったな。その事だが、生徒手帳になーーー。」

 

 

 隼のまさかの言葉でくらい表情をしていた穂乃果と海未とことりの表情が明るくなっていく。

 

 

 

 




短くなってしまいすみません。
隼は普段喋っている時は所々ぶっきらぼうな喋り方をしているかも知れませんが、バイトをしている関係で目上の人(先輩)に対してかなり礼儀正しくしました。
次回からはこのSSではかなりセリフが少なかった凛と花陽も登場する予定です。
誤字脱字などがありましたら報告おねがいします。
Twitterにて執筆状況などのツイートをしています。
https://mobile.twitter.com/sin_tori0120
次回もよろしくおねがいします。

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