ラブライブ! 〜ヒトツノコトバ〜   作:こうのとり

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こうのとりです...。


はい、いつものまた空いてしまったやつです。


まぁでも今度こそはね?感覚開けないように投稿するんで。


とまぁ今回で『ワンダーゾーン』回は終わりです。


20話 何も無い奴なんて居ない

「......」

 

 

放課後の教室。ことりは自分の席にすわり目を瞑りながらなにかを考えていた。

 

 

「...チョコレートパイ、美味しい...。生地がパリパリのクレープ、食べたい...。ハチワレの猫、可愛い...。5本指ソックス、気持ちいい...。」

 

 

などと口にしたことをノートに書き続けている。が、すぐに、

 

 

「思いつかないよぉ~!」

 

 

ノートに言葉を書くのをやめて机に突っ伏してしまった。

 

 

何故こんなことになってしまったかというと、

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

「秋葉でライブよ!」

 

 

部室でそう言ったのは絵里だった。

 

 

「え、それって!?」

「路上ライブ!?」

「えぇ!」

「秋葉といえばA-RISEのお膝元よ!?」

「それだけに面白い!」

「でも、ずいぶん大胆ね?」

「秋葉はアイドルファンの聖地。だからこそ、あそこで認められるパフォーマンスが出来れば大きなアピールになる!って一文字君がね」

「いいと思います!」

「楽しそう!」

 

 

穂乃果とことりは楽しみにしている。だが、

 

 

「しかし、すごい人では...」

 

 

やはり海未の恥ずかしがり屋は治ってないらしい。

 

 

「人が居なかったらやる意味ないでしょ」

「それは...」

 

 

とひと蹴り。

 

 

「凛もさんせー!」

「じゃあ私も!」

「決まりね!」

「ぅぅ...」

 

 

約1名反対気味だが、路上ライブをすることに決まった。

 

 

「じゃあ早速日程を!」

「と、その前に」

「「?」」

「今回の作詞はいつもと違って、秋葉のことをよく知っている人に書いてもらうべきだと思うの」

 

 

この中で秋葉をよく知っている人といえば、

 

 

「ことりさん!どう?」

「えっ!?私!?」

「えぇ」

 

 

絵里は手に持っているノートをことりに渡す。

 

 

「あの町でずっとアルバイトしてたんでしょ?きっとあそこで歌うのにふさわしい歌詞を考えられると思うの」

「それいい!すごくいいよ!」

「穂乃果ちゃん...」

「やった方がいいです!ことりな秋葉にふさわしい言い歌詞が書けますよ」

「凛もことり先輩の甘々な歌詞で歌いたいニャー!」

「そ、そう?」

「ちゃんと言い歌詞作りなさいよ」

「期待してるわ」

「頑張ってね!」

「う、うん!」

 

 

みんながことりに応援などをするなか、隼は何も言わなかった。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

といった流れだ。善は急げでことりは早速歌詞作りに取り掛かった。

 

 

秋葉で路上ライブは俺もいいと思ったが、ことりに作詞は少し驚いた。

ことりは確かに頭がいいが、国語の授業で分かったのだが、海未と違って詩を書くのは少し苦手なようだ。

いくらあの中で秋葉についていちばん詳しいのがことりとはいえ、もし作詞ができなかったらことりのモチベーションに関わる。

 

 

「ふーわふわしーたもーのかーわいいーな、はいっ!あとはマカロンたくさん並べたら~、カラフルでし~あ~わ~せ~!ルールーラララ...うぅ...やっぱり無理だよぉ~!」

 

 

もう一度書き出したものの、やはり書くのをやめてしまった。

 

 

「中々苦戦してるようですね...」

「うん...」

 

 

「穂乃果ちゃん...」

 

 

ついには泣いてしまった。手を貸すにも、俺じゃ作詞には役に立ちそうにない。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――  

 

 

ことりの憂鬱は翌日の授業になっても続く。

 

 

英語の授業では、

 

 

「ではこれを使った文章を作ってみてください」

 

 

授業の時でもことりは作詞をしている。授業の内容など右から左を流れてしまっているだろう。

 

 

「じゃあこれを...南さん」

 

 

先生に当てられても反応しない

 

 

「はぁ...」

「南ことりさん!」

「は、はいっ!...えぇっと...」

 

 

 

 

 

 

体育の授業では、

 

 

「うぅ~...何書いたらいいのか分かんないよぉ~...」

「考え過ぎだよー。海未ちゃんみたいにほわんほわんな感じで良いんじゃない?」

「それ、褒めてるんですか?」

「褒めてるよぉ!」

 

 

体育の会話は男女で距離が置かれ俺は聞いていないので穂乃果から聞いた話だが。

 

 

 

 

 

 

昼休みの中庭では、

 

 

「うぅ~......」

「休み時間終わっちゃうよ?」

 

 

もうすぐ休み時間が終わり、授業のために教室に戻らなければならない時間になっても弁当にほとんど手を付けず考えている。

 

 

 

 

 

放課後の図書室では、

 

 

「うぅ~......」

 

 

何十冊と本を読んでなお考えている。

 

 

 

 

 

その翌日になってもことりの様子は変わらなかった。

 

 

授業中でも作詞。たまにハッっと思いついたような素振りは見せるがすぐに首を横に振ってしまう。

 

 

 

 

 

そんな様子が続いてるせいか担任の山田先生に職員室に呼び出されてしまい、

 

 

「南。ここんとこ気抜けてるぞ。しっかりしろ」

「すいません...」

 

 

お叱りを受けていた。

 

 

 

 

 

放課後に教室で作詞をしている時も様子は変わらない。むしろどんどん落ち込んでいくようだった。

 

 

「...やっぱり私じゃ...」

 

 

「やっぱり私じゃ無理」と言って作詞を諦めようとしたのか、言葉を書き綴っていたノートを閉じようとしていたことりを見て、我慢できなくなったのか穂乃果は、

 

 

「ことりちゃん!」

「穂乃果ちゃん!?」

 

 

隠れて見守るのを辞め、ことりに呼びかける。

 

 

「こうなったら一緒に考えよう!とっておきの方法で!」

「えっ?」

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

やってきたのは秋葉某所。まぁ...言わなくてもきっとセリフで分かる...。

 

 

「おかえりなさいませ♪ご主人様♪」

「おかえりなさいませ!ご主人様!」

「おかえりなさいませ...ご主人様...」

「......」

 

 

1人は慣れたように、1人はとても元気に、1人は照れたように、もう1人は何も言わず。

 

 

「ほらほら!隼くん!言わないと練習にならないよ!」

「...おかえりなさいませごしゅじんさま」

「そんな心のこもってない言い方じゃダメだよ!ちゃんとできるまでやるよ!」

「...おかえりなさいませご主人様...」

「うん!合格かな!」

 

 

もうわかったと思うがやってきたのはことりが働いているメイド喫茶。

 

 

「わぁ~!3人ともにあってるよ!店長も快く3人を歓迎するって!」

「こんなことかと思いました...」

 

 

勿論だが俺までメイド服着てるわけじゃないからな。俺が来ているのは執事服。て言うかなんで執事服まであるんだよ...。ってそうじゃない。

 

 

「なんで俺までここで働くことになってるんだ...」

 

 

メイド喫茶なのに男が出てきたときガッカリされて客が減るかもしれないだろ。

 

 

「いいじゃんお給料貰えるんだし!」

「働いてるのに貰えなかったらそれはそれで問題だ。俺が言いたいのは俺が働く必要はなかっただろってことだ」

「それは...ことりちゃんを一緒に助けるって思えばいいじゃん!」

「はぁ...まぁもうこの服着ちゃったし今日はしょうがないんだけど...」

 

 

しかし執事服がこんなに鬱陶しいとは...。ジャケットはなんかヒラヒラしてるし、腕には白い布かけてないといけないから疲れそうだし、なによりもう夏も近いってのに厚着してるから暑い。早く終わってくれ...。

 

 

俺が心の中で文句を言っていると店の扉がカラーンと音を鳴らして開いた。早速客か。

 

 

「にゃー!遊びにきたよ!」

「えへへっ」

 

 

凛と花陽、ってことはあと真姫と矢澤先輩と東條先輩と絢瀬先輩も来ているんだろう。

 

 

「秋葉で歌う曲なら、秋葉で考えるって事ね」

 

 

そうしてゾロゾロと他の人たちも入ってくる。

 

 

「ではでは~、早速取材を~!」

「やめてください!何故みんな...」

「私が呼んだの!」

「余計な事しやがって...」

 

 

接客業なんてしたこと無いからあんま客は来てほしく無かったのに6人も呼びやがって...

 

 

「おっ!一文字君の執事服もいいねぇ~!」

「そのカメラ壊しますよ?」

「もう...釣れないなぁ」

 

 

恥ずかしいわけでは無いが、この姿を不用意に記録に残してはいけない気がする。

 

 

「それよりも早く接客して頂戴」

 

 

なんだか矢澤先輩がそう言うとものすごい腹が立つ。

 

 

「いらっしゃいませ。お客様。2名様でよろしいでしょうか?」

 

 

そう言われたらことりはすぐに接客に入る。

 

 

「それでは、ご案内します」

 

 

なんかすごい慣れてるんだな。μ's始めたころに入ったんだよな。流石は秋葉のカリスマメイド。

 

 

「こちらのお席へどうぞ」

 

 

「メニューでございます」

 

 

「ただいま、お冷をお持ちいたします...失礼致しました」

「流石伝説のメイド...」

「ミナリンスキー...」

 

 

凛と花陽の接客はことりが、その他の人達は適当に穂乃果と海未に接客してもらい、俺はキッチンに入った。

助かった...。

 

 

ことりは俺がレシピ通りに作ったオムライスに慣れた手つきでケチャップに絵を描き、なんと凛の似顔絵が完成した。ハートとかよりも数倍すごいぞ...。

 

 

穂乃果は店番で接客は慣れているのか、特に問題なく接客していた。

海未は恥ずかしがりが全面に出ていたがなんとか出来ていた。むしろ恥ずかしがってて可愛いなんて声も聞こえたから、多分大丈夫だろう。

 

 

「隼君...」

「何だよ...」

「さっきから隼君ずっとキッチンばっかり...お客さんとお話ししなよ!」

「仕事はしてるしいいだろ。それにそう言うのは女の子がやっと方がいいからな」

「屁理屈言ってる~...」

 

 

いいだろなんか食器洗いとか料理ってやってるうちになんか楽しくなってくるんだから。

 

 

「隼くん、これもお願~い」

「はいよ。そこ置いといてくれ」

「ダメだよ隼くん、ここにいるときはそんな固い顔しちゃ」

「いや、誰も見てないだろ」

「お客さんの前じゃなくてもそういう心構えが大事なの♪」

 

 

ここに居る時のことりって...。

 

 

 

 

 

夕方も過ぎ、日も落ちてきて人の流れが落ち着いた頃、

 

 

「ここに居る時のことり、いつもと違うな」

「え?そうかな...」

「あぁ、まるで別人だ。いつもよりも活き活きしてる感じだ」

「うん...なんかね、この服を着ているとできるって言うか...この街に来ると、不思議と勇気がもらえるの...もし、思い切って自分を変えようとしても、この街ならきっと受け入れてくれる気がする...そんな気持ちにさせてくれるんだ!だから好き!」

 

 

なんだスラスラ出て来てるじゃねーか。

 

 

「今のだよ」

「え?」

「今ことりが言ったことをそのまま歌にすればいいんだよ。この街を見て、友達を見て、色々な物を見て、ことりが感じた事や思ったこと、ただそれをそのまま歌に乗せればいい」

「あ...」

「さっきスラスラそれが出てきただろ?だからことりには何も無くなんかないんだ。どうだ、出来るか?」

「...うん!」

 

 

その後は掃除やら後片付けをして帰った。て言うか今日店長以外は俺らしか居なかったってことは他のバイトの人わざわざ断ったってことか...。

そうなるとぶつぶつ文句言ってたのが申し訳ないな。

 

 

「今日はありがとう。明日もよろしくね!」

 

 

...。

 

 

は?明日?

 

 

帰り際に店長から言われた一言。え、ちょっと待ってくれ、明日も働かないといけないのか?

 

 

「はいよろしくお願いします!」

 

 

穂乃果なんか元気に答えちゃってるし...。はぁ...。まぁ最近スーパーの方のバイト入れてなくて放課後は練習以外に何も予定なかったからいいんだけど。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

俺たちがメイドカフェで働いた翌日。

 

 

ことりの様子は明らかに変わっていた。昨日まで学校にいる間は落ち込んでいたのに、今日はメイドカフェにいる時のように活き活きとしている。

 

 

 

 

授業中に作詞をしていることはあっても言葉がどんどん思い浮かんでくるのか、ペンが進んでいて前のようにため息をつくことも無くなった。

 

 

 

 

 

さらには次の日曜日に秋葉で路上ライブをやることも決まった。

衣装はことりのお店から全員分貸してもらえるとのこと。とてもありがたい。店長、ありがとうございます...。

 

 

 

 

路上ライブが決まってから店は大忙しだった。

 

 

キッチンは店長と俺で回していたのだが、接客している3人が人手が足りなくなり、急遽別のお店の人に来てもらい、俺も接客業に入ることになった。

 

 

男性客が来た時に俺が接客に行ったらガッカリされるだろうなって思っていたら、どうやらこの店は女性客が多いらしい。肝心の俺の接客は...まぁ、大丈夫だったと思うぞ...?

 

 

外には行列ができ、この店はビルの中にあって、外の階段に列ができることはあっても階段から溢れて道にも列が出ることは滅多になかったらしい。これは間違いなくμ'sの路上ライブのポスターの影響かな。

 

 

客の中には穂乃果の妹の雪穂と絢瀬先輩の妹の亜里沙も居た。

 

 

亜里沙はμ'sのファンで特に海未のことが好きらしいので海未とも写真を撮っていた。

 

 

それからは全て順調に進んでいった。

 

 

ことりの作詞の作業は手が止まることはほとんど無く、真姫の作曲も何一つ問題なく終わり、曲は完成。出来た曲が『Wonder zone』。

俺と穂乃果と海未のメイド喫茶でのバイトは終わった。

 

 

こうして練習を重ね、本番の日曜日になった。

 

 

路上にはたくさんの人が集まりギャラリーもでき、ヒデコとフミコとミカも来てくれた。

 

 

秋葉の路上ライブは大成功に終わった。

 

 

 

 

またその他にも変化があった。

 

 

前に訪れたスクールアイドルの専門ショップでは、μ'sのグッズが大幅に増え知名度も上がっているようだ。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

日が落ち始めてきた神田明神。

 

 

その階段の上に俺と穂乃果とことりと海未は居た。

 

 

「上手くいってよかったね!ことりちゃんのお陰だよ」

「ううん...私じゃないよみんなが居てくれたから、みんなで作った曲だから!」

「そんなこと...でもそういうことにしとこうかな!」

「穂乃果...」

「うん!その方が嬉しい!」

「ことり...」

 

 

相変わらず仲がいいことで。

 

 

「ねぇ、こうやって3人並ぶと、あのファーストライブの頃を思い出さない?」

「うん...」

「あの時はまだ...私達だけでしたね...」

 

 

懐かしいな。まだそんなに時間はたっていないのに随分前のことのように感じる。

 

 

「あのさ...私達っていつまで一緒に居られるのかな...」

「どうしたの?急に」

「だって、あと2年で高校も終わっちゃうでしょ?」

「それはしょうがないことです...」

「大丈夫だよ!ずーっと一緒!だって私、この先ずっとずっとことりちゃんと海未ちゃんと隼君と一緒に居たいって思ってるよ!大好きだもん!」

 

 

今俺の名前出したよなこいつ。こいつやっぱり俺がこいつらの幼馴染ってまだ勘違いしてんのか。

 

 

「うん!私も大好き!!ずっと一緒に居ようね!」

「「うん!(えぇ!)」」

「隼君もだよ!」

「...ま、できる範囲でな」

 

 

ここはこいつらに適当に合わせておこう。

 

 

 

 

 

ずっと一緒なんて、約束したって叶わないことだってあるんだからな...。

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?


この回はとにかくみんなのメイド服姿が可愛かった。


ってことで『ワンダーゾーン』回お終いです。


そして次回から合宿回ですよ!


この回もみんなの水着姿が可愛かった。


それをまさか自分の小説で書くなんて思ってなかったので、すごく嬉しいです!


結構サクサク話が進んでるんで4月までに1期分が終わりそうですね。


誤字脱字などありましたら報告よろしくお願いします。

Twitterにて執筆状況などのツイートをしています。

https://t.co/eUVz9uvU6i

高評価、感想などお待ちしております!

次回もよろしくおねがいします!




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