ラブライブ! 〜ヒトツノコトバ〜   作:こうのとり

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お久しぶりです...。


16話 力を貸して下さい

「音ノ木坂学院は来年より生徒募集を辞め、廃校とします。」

 

 

その言葉を聞いて穂乃果は黙って居られなかった。

 

 

「今の話本当ですか!?」

「っ!あなた!」

「本当に廃校になっちゃうんですか?」

「本当よ。」

「お母さん!そんなこと全然聞いてないよ!」

「お願いです!もうちょっとだけ待って下さい!あと一週間!いや、あと2日でなんとかしますから!」

「落ち着け穂乃果。」

 

 

そこに着替え終わった隼が何も言わずに理事長室に入ってきた、本来あまりしてはいけない事なのだが、暴走してる穂乃果を見て止めに入った。

 

 

「落ち着いていられないよ!隼君こそどうして落ち着いて居られるの!?」

「だから落ち着けって言ってんだろ。なんのために理事長はラブライブのエントリーを認めてくれたんだ。」

 

 

なんのために俺たちは3バカに赤点を取らせないために勉強させたんだ。まぁ、赤点はこの後の進路とかにも関わってくるから取っちゃいけないんだけれど。

 

 

「そうね、一文字君の言う通りよ。廃校にすると言うのは、オープンキャンパスの結果が悪かったら、と言う話よ。」

「オープンキャンパス?」

「一般の人に見学に来てもらうってこと?」

「見学に来た中学生にアンケートを取って、結果が芳しく無かったら廃校にする。そう絢瀬さんに言っていたの。」

「なんだ...。」

「安心して場合じゃないわよ。オープンキャンパスは二週間後の日曜日。そこで結果が悪かったら本決まりってことよ。」

「どうしよう...。」

「理事長!オープンキャンパスの時のイベント内容は、生徒会で決めさせていただきます。」

「...止めても聞きそうに無いわね。」

「失礼します。」

 

 

正直に言おう。

 

 

最悪の状況だ。もはやこれは俺達の力じゃどうしようも出来ない。

 

 

やっぱり無理だったのか

 

 

でも、

 

 

やっぱり諦めるわけにはいかない

 

 

―――――

 

理事長室での出来事を聞いて無い他の4人に伝えると、

 

 

「そんなぁ...。」

「凛たちやっぱり下級生が居ない高校生活!?」

「そうなるわね...。」

「「あぁ...。」」

「ま、私はそっちの方が気楽でいいけど。」

 

 

花陽と凛は落ち込み、矢澤先輩は多少納得してる。真姫はどうせいつもの照れ隠しだろ。

 

 

「今はそう言うことを言ってる場合じゃない。とにかくオープンキャンパスでライブをやるぞ。それで少しでも入学希望者を増やすしか無い。」

 

 

―――――

 

「1、2、3、4、5、6、7、8...!」

 

 

さっきの事を踏まえてすぐに練習してもらうことにした。

 

 

正直オープンキャンパスの時にライブを出来るかどうかも分からん、それに出来ても廃校を阻止できる事に繋がる可能性は低い。

 

 

一か八かの勝負だ。そんな勝負をむりやりこいつらにやらせるのはやらせたくないんだが、事が事だけに仕方無い。それに俺一人ではどうしようもない。

 

 

「おぉ!みんな完璧!どう!?隼君今の!」

「いいんじゃないか。日頃の練習もあってかなり上達してるぞ。」

「良かったぁ...。これならオープンキャンパスに間に合いそうだね!」

「でも本当にライブなんて出来るの?生徒会長に止められるんじゃない?」

「それは大丈夫。部活紹介の時間は必ずあるはずだから。そこで、歌を披露すれば――、」

「まだです...。」

 

 

海未?

 

 

「まだタイミングがずれています...。」

「海未ちゃん...。分かったもう1回やろう!」

 

 

「1、2、3、4、5、6、7、8...!」

 

 

海未が練習でリズムをとっている時はいつもキリっとした表情をしているんだが今日はなんだか暗い顔をしている。

 

 

「完璧ぃ!」

「そうね。」

「やっとにこのレベルにみんな追いついたわね。」

「まだダメです...。」

「「「「「「えぇ...!」」」」」」

「もうこれ以上は上手くなり様がないにゃぁ...。」

「ダメです...。それでは全然...。」

「何が気に入らないのよ!はっきり言って!」

 

 

「感動できないんです...。」

「え...。」

「今のままでは...。」

 

 

感動できないか。今の海未の表情はテスト期間の時ことりと俺に穂乃果の勉強を任せて生徒会室に向かった時と同じ顔をしている。

 

 

となると原因は

 

 

「絢瀬先輩か?」

「えっ...!?」

 

 

俺が絢瀬先輩の名前を出すと海未の顔が一気暗い顔から驚いた顔に変わる。昔から(・・・)分かりやすい奴だ。

 

 

ん?

 

 

今俺昔からって...。変だぞ最近の俺...。

 

 

「今日はもう終わりにしよう。今この状況で練習しても意味があるとは思わない。」

 

 

―――――

 

『『『えぇ!?生徒会長に!?』』』

 

 

電話越しに真姫と凛と花陽が驚いた声を出す。正直電話越しでも耳に響いてうるさい。

 

 

早めに練習を切り上げた理由は遅く無い時間に通話をするため。練習中のその場で話すのは海未が暗い顔をしていたため他の奴は話しにくいだろうと思ったからだ。

 

 

『うん。海未ちゃんがダンスも教わろうって』

『はい、あの人のバレエを見て思ったんです...。私達はまだまだだって...。』

『話があるって、そんなこと?』

『でも生徒会長私達の事...、』

『嫌ってるよねぇ!絶対!』

『つうか嫉妬してるのよ嫉妬!』

 

 

殆どが絢瀬先輩に苦手意識、嫌悪感があるようだ。まぁあの無愛想な感じの顔で俺達の活動否定してくるんだ。そりゃそうなるだろう。

 

 

『私もそう思ってました。でもあんなに踊れる人が私達を見たら、素人みたいなものだって言う気持ちも分かるんです...。』

『そんなにすごいんだ。』

『私は反対。潰されかねないわ。』

『うん...。』

『そうね3年生はにこが居れば十分だし。』

『生徒会長、ちょっと怖い...。』

『凛も楽しいのがいいなぁ~。』

『そうですよね...。』

 

 

このままだと今まで通りひたすらに練習するだけでオープンキャンパスになるまで大した収穫は無く終わってしまう。

 

 

その為にはやはり、

 

 

絢瀬先輩の力が必要だ。

 

 

「俺は海未の意見に賛成だ。絢瀬先輩に教えてもらうべきだと思う。」

『『『『えぇーーー!!!』』』』

「んっ!」

 

 

耳が痛い。どうしてこう女子が驚いた時の声は耳に響くのか。

 

 

『何言ってんのよ!』

「元々穂乃果達3人がスクールアイドルを始めて俺が手伝い始めたのは廃校を阻止するためだ。でもその廃校が決まるのも目前だ。それを阻止するためには俺達の力じゃどうしようも出来ない状態だ。それを解決するためには絢瀬先輩の力は必要不可欠だ。」

『私達の力じゃどうしようも出来ないってどういう事よ!』

「簡単な話ですよ。海未が絢瀬先輩のバレエを見てμ'sのダンスは感動できない。近い歳で、プロでは無い人間にこれほどの人が居る。もうこれでどうしようも出来ないのは分かるでしょう。」

 

 

矢澤先輩から返事が無いってことは納得してくれたってことだな。

 

 

『頼むだけ頼んでみようよ!』

『いや、でも、ちょっと待ちなさいよ!』

『でもぉ...、絵里先輩のダンスはちょっとだけ見てみたいかも...。』

『それは私も...!』

『よぉし!じゃあ明日早速聞いてみよう!』

『どうなって知らないわよ...。』

 

 

これで決まった。俺も絢瀬先輩のバレエは実際に見てないからことりと同じで見てみたいって気持ちはある。

 

 

ただ声には出さないが、

 

 

明日からは相当辛い事になるな。

 

 

悪いけど頼むぞ。

 

 

ちなみにこの多人数で通話できるこのアプリだが1年生が入って来たぐらいに入れた。元々携帯なんてお母さんと茜さんとバイト先以外電話する相手居なかったんだけど穂乃果に入れといてって言われたから一応入れた。まぁでも多人数で同時に通話できるからかなり便利でいいと思う。あんま使わないとは思うが。

 

 

―――――

「このように、音ノ木坂学院の歴史は古く、この地域の発展にずっと関わってきました。」

 

 

絵里は自分の部屋で原稿に書かれている分をすらすらと読み上げる。

それをそれぞれの様子で聞いている2人の中学生。穂乃果の妹の高坂雪穂と絵里の妹の絢瀬亜里沙。いや、正確に言えばどちらもちゃんと聞いていない。

 

 

堅苦しい内容のせいか、亜里沙はとてつもなくつまんない顔をして真面目に聞いていない。雪穂に関しては頭を上に向けて寝ている。

 

 

「さらに、当時の学院は音楽学校という側面も持っており、学院内はアーティストを目指す生徒で溢れ、クリエイティブな雰囲気に包まれていたと言います。」

 

 

そして絵里が原稿を読み続けている最中、顔を真上にあげた雪穂は、

 

 

「そんな音ノ木坂ならでは――、

「わぁぁ!?体重増えた!!!」

 

 

意味不明な寝言を言って起きた。

 

 

「ぁ、すいません...。」

「...。」

「ごめんね退屈だった?」

「い、いいえ!お、面白かったです!後半凄く引き込まれました~!」

 

 

寝ていたのにも関わらずごまかした。

 

 

「オープンキャンパス当日までに直すから、遠慮なくなんでも言ってね。」

「亜里沙はあまり面白くなかったわ。」

「ちょっと~!」

 

 

ごまかした雪穂に対して亜里沙はばっさりと言った。

 

 

「なんでお姉ちゃん、こんな話しているの?」

「学校を廃校にしたくないからよ。」

「私も音ノ木坂は無くなってほしくないけど、でも...、

 

 

これがお姉ちゃんのやりたいこと?」

 

 

「......!」

 

―――――

 

「昨日そんなことがあったのよ。」

「そう。」

「いやでしょ?自分の学校が廃校になったら。」

「それはそうやけど、廃校をなんとか阻止しなきゃって無理し過ぎてるんやない?」

「そんな...無理なんて...。」

「絵里ちも頑固やね。」

「私はただ、学校を存続させたいだけ。」

 

 

コンコン

 

 

希と絵里が話している時生徒会室の扉を叩く音がする。

 

 

そしてそこに立っていたのは。

 

 

「お願いします!」

 

 

穂乃果、海未、ことり、そして隼の4人だった。

 

 

「私にダンスを?」

「はい!教えて頂けないでしょうか?私達、上手くなりたいんです!」

「俺からも、お願いします。」

 

 

しばしの沈黙の後。

 

 

「...分かったわ。」

「本当ですか!?」

「あなた達の活動は理解できないけど、人気があるのは間違いないようだし、引き受けましょう。でも、やるからには私が許す水準まで頑張ってもらうわよ。いい?」

「はい!ありがとうございます!」

 

 

それを見ていたにこ達は

 

 

「嫌な予感しかしない...。」

 

 

希は

 

 

「ふふっ、星が動き出した見たいや...。」

 

 

隼は

 

 

これでなんとか駒は揃った。後は動いてもらって何とかしてくれればいい。

 

 

 

 

 

 




1か月も間が開いてしまいました...。


国家資格の試験の講習やら、バイトの研修やらで割と忙しくて執筆する時間が取れなかった上に、私自身が執筆へのモチベーションが下がってしまい、中々投稿できませんでした。


そんな中頂いた感想はとても嬉しく、モチベーションも上がりました。


ですので皆さん感想を下さい(笑)


それと毎週金曜日に投稿すると言いましたが、金曜日は忙しくて9時に投稿が出来ないので結局不定期更新で(笑)


予約投稿とかも出来るんですけど、流石に投稿される時間忙しいって言うのも色々とアレなので9時に自分が予定が無い日に投稿します。


次回からようやく本格的に絵里加入に入ります。


そう言えばAqoursの2ndライブ埼玉公演2日目参加して来ました。今回はスタンド席だったのでステージ遠かったんですけど、それでも楽しかったです!


そして10月7日の今日はラブライブ!サンシャイン!!2期1話の放送日ですね。1stライブで最初に発表されてからずっと待っていたこの間とても長かったので楽しみです!

あとかなり遅いんですけどスクフェスALL STARも発表されましたね。ステージにえみつん出てきて感動しました。来年が楽しみですね!


誤字脱字などありましたら報告よろしくお願いします。
Twitterにて執筆状況などのツイートをしています。
https://twitter.com/sin_tori0120
高評価、感想などお待ちしております!

少し後書きを書きすぎた...。

次回もよろしくおねがいします




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