今回でにこ襲来完結です。
それではどうぞ。
「あなたがアイドル研究部の部長!?」
驚いた。確かに見た事あったような気はしたけど、まさか同じ学校の3年生だったとは。クソガキって思ってたから中学生くらいだと思ってた。
でも見たことあるって言ったけど、いつどこで見たんだ。
......
そうだ。ファーストライブの前日に学校で夕方チラシ配ってた時に海未が一番最初にチラシ渡したのがこいつだ。感じ悪かったから今ならなんとなく思い出せる。
なんて
俺がちょっとこいつの事について思い出してたら、
「んみゃああああああああああ!!!」
いきなり猫みたいな鳴き声出して威嚇しながら腕をぶんぶんと振り回してアイドル研究部の部室の扉の一番近くにいた穂乃果がそれに怯み、少し後ろに下がったタイミングで部室の中に逃げるように入った。
それにガチャっという音もした。鍵閉めやがったな。
「部長さん!開けて下さい!!部長さん!開けてぇ!開かない...!」
「扉ぶっ壊して無理やり開けるか。」
「ダメだよ!いくらなんでも!」
部室の中から部室の外に居る面々の会話聞きながらにこは動く。
入って鍵を閉めたまではいいが、隼が扉を壊すという言葉に反応して中にあるダンボールを扉の前に積み上げる。非力なにこには短時間で何個も積み上げるのは難しいが、火事場の馬鹿力と言ったところか、普段出ない力でどんどん積み上げていく。だが、
「外から行くにゃ!」
外から入ってこられるのは予想外だった。
「にゃーーー!!!」
パイプ椅子を蹴っ飛ばしながら急いで窓を開け、窓から外に出る。
「待つにゃーーー!!!」
捕まってたまるかと言わんばかりに走り出すにこ。
「待て待て待て待て待てーーー!!!」
にこの後を追いかける凛。
そして、
「今のうちに窓から入るぞ。」
空き巣の様に中に入る隼。
凛が囮になってくれたおかげで簡単に中に入れた。あとであいつになんか買ってやろう。とりあえず扉の前に積まれてるダンボールどかすか。
『うわぁーーー!!!』
ダンボールどかし終わった頃、アルパカ小屋の方からクソガキの悲鳴が聞こえた。気になるから一応行くか。
あ、というかクソガキって言ってるけど俺よりも年上なのか。そういやなんつう名前なんだ。
アルパカ小屋まで行くと、周りをきょろきょろしてる凛が居た。
「凛。」
「あ、隼先輩。さっきの人見失っちゃたぁ...。」
見失ったか。けどさっきあいつの悲鳴聞こえた時アルパカの鳴き声も聞こえたよな。ってことはもしかしたら...、
「居た...。」
「あぁー!」
アルパカ小屋の中に思いっきり倒れてた...。とりあえずさっきの部室まで運ぶか。
―――――
とりあえず部室の中に入れた。だけどこの部屋...。
「A-RISEのポスター!」
「あっちは福岡のスクールアイドルね。」
「校内にこんなところがあったなんて。」
学校にあるとは思えない部屋。アイドルのポスター、DVD、サイン色紙、その他諸々のグッズ。全部こいつの私物なのか。
あと真姫意外と他のスクールアイドルチェックとかして覚えてるんだな。
「勝手に見ないでくれる...。」
入れろとは言ったけど入れておいて見るなとかこいつガキか。
「こ、こここ...これは!」
なにやら花陽が珍しいものでも見つけたらしい。
「伝説のアイドル伝説DVD全巻BOX!持ってる人に初めて会いました!」
「そ、そう...。」
「すごいです!」
「ま、まぁね...。」
あの大人しい花陽がすごい興奮してる。花陽は興奮するとあんな風になるのか。人のポテト勝手に食うまで神経してるあの部長が若干引いてるぞ。
「て言うかそのDVDなんだ。そんなに珍しくてすごいものなのか。」
「知らないんですか!?」
「うぉ...!」
ポツリと言っただけなのにこの反応。μ's入る時にアイドルへの思いは誰にも負けないとか言ってたけど、口だけじゃなさそうだな。
それから花陽がそのDVDについて勝手にパソコンの電源入れて説明してくれた。
簡単にまとめると限定生産で全然出回っていないらしく、その希少性から伝説の伝説の伝説、略して「伝伝伝」と呼ばれてるらしい。
それでその伝伝伝てのは通販とネットでも瞬殺で売れたらしく、それをこの部長は2セット持ってるらしく、家にもう1セットあるらしい。
花陽みたいに尊敬はしないけどすげえな。
それで穂乃果が皆で見ようと提案したけど、保存用の物らしく見せるのはダメらしい。
花陽が泣くほど落ち込んでる。伝伝伝てのを目の前にして見られないのが相当悲しいらしい。ドンマイ。
「あぁ気付いた?」
「ぁぁ!」
部室のに入って右側にある棚の上にサインが書かれた色紙がある。それをことりがじっと見てる。何かあんのか。
「秋葉のカリスマメイド、ミナリンスキーさんのサインよ。」
「ことり、知ってるのですか?」
「あ、あ、いやぁ...。」
なんでことりがメイドの人のサインずっと見てたんだ。知り合いでも無いらしいし。
「ま、ネットで手に入れたものだから、本人の姿は見たことないけどねぇ。」
「はぁ...。」
今安心した見たいな仕草見せたよな。覚えてたらいつか調べてみるか。
「と、とにかくこの人すごい!」
なんつうかコレクターとはまた違うけどそれに近い感じですごいな。
「それで、なにしに来たの?」
あぁ、すっかり忘れてた。とりあえず椅子に座らせてもらおう。
そういや今までの事いつになったら問い詰めてやろうか...。まぁ今はお願いする立場だし、黙っとこう。
「アイドル研究部さん!」
「にこよ...。」
「にこ先輩、実は私達スクールアイドルをやっておりまして...。」
いや、穂乃果、実はとか言わなくても知ってるだろ。散々危害加えてきてポテトまで食ってんだから。まさかこいつ、きずいてない...。いや、それは無いか。
「知ってる...。どうせ希に、部にしたいなら話しつけて来いとか言われたんでしょ?」
「おぉ!話が早い!」
「ま、いずれそうなるんじゃないかと思ってたからね。」
「なら!――、「お断りよ。」え?」
「お断りって言ってるの。」
そりゃそうだよな。解散しろとまで言って来たんだから簡単に「うん」とか言うわけねぇよな。
「いや、あの...。」
「私達はμ'sとして活動できる場が必要なだけです。なので、ここを廃部にして欲しいとか言うわけでは無く...。」
「お断りって言ってるの!」
聞く耳持たねぇな。
「いったでしょ!あんた達はアイドルを汚しているの!」
「でも!ずっと練習してきたから、歌もダンスも!」
「そう言う事じゃない...。」
「「「「「「ん?」」」」」」
じゃあどういうことだよ。
「あんた達...、ちゃんとキャラ作りしてるの?」
......
「「「「「「???」」」」」」
は?
今なんつった...。キャラ作り?
「キャラ?」
「そう。」
穂乃果の問いに答えるといきなり立ち上がる部長。キャラ作りのなんたるかでも言ってくるのか。
「お客さんがアイドルに求める物は、楽しい夢のような時間でしょ?だったら、それにふさわしいキャラってものがあるの。ったくしょうがないわね。いい?例えば、」
例でも見せてくるのか後ろを向いてる。なんかもう帰りたいな。
「にっこにっこにー♪ あなたのハートににこにこー♪ 笑顔届ける矢澤にこにこー♪ にこにーって覚えてラブにこ♪」
......
「どう?」
「うっ...。」
「これは...。」
「キャラと言うか...。」
「私無理...。」
「ちょっと寒くないかにゃー?」
「ふむふむ...。」
穂乃果、海未、ことり、真姫は引いてる。キャラとか言って何してくるかと思えばこれか...。
凛は引いてるという寒かったらしい。
花陽はメモを取ってる。うけが良かったのはこいつだけらしいな。
そういや今矢澤にこって言ったな。さっきはにことしか言わなかったから苗字言わなかったけど自分で言ってくれたな。
「そこのあんた、今寒いって...。」
「あぁ、いやすっごい可愛かったです!最高です!」
流石に寒いって言った後にそれはないだろ...。
「あ、でもこれもいいと思う!」
「そうですね!お客様を楽しませるための努力は大事です!」
「素晴らしい!流石にこ先輩!」
花陽はともかくあの反応しといてそれは無いだろ。
「よーし!そのくらい私だって――、「出てって...。」え?」
「とにかく話は終わりよ!とっとと出てって!」
無理矢理穂乃果達6人を外に出す。
「あぁにこ先輩...。」
「やっぱり追い出された見たいやね。」
予想していたのかアイドル研究部の部室前まで希が来た。だけど入った時の人数よりも1人足りない。
「一文字君はどうしたん?」
「え、隼君ならここに...、あれ!居ないよ!」
「なんで俺だけ残されてるんですかねぇ...。」
隼1人だけは追い出されずに部室の中に残されていた。
「俺が男だから先輩の力では追い出す事は出来ないから俺は残されてるんですか?」
「それもあるけど、まだアンタの感想、聞いてない...。」
どうやら意図的に俺は残したらしい、まぁ追い出されるのも面倒だからずっと椅子に座ってたんだけど。
「俺の感想ですか?」
「そうよ、アンタの感想。言ってちょうだい。」
「俺はアイドルに関してはさっぱりわからないですけど、
俺からすれば
ふざけてますよ。」
「......」
「んじゃ、俺も出ていきますね。」
面倒くさそうに隼はゆっくりと椅子から立ち上がって部室から出ていく。
その間にこは何も言わないが、グッと拳を握りしめていた。
「あ、出てきた!」
「待たせたな。」
「ねぇねぇ、今中でなにしてたの?」
「別に何も。ただ俺が男だったから先輩の力じゃ俺は追い出せなかったからだってさ。」
タイミングが分からなかったからさっき今までやられてきた事とか言ったりしたんだけど、まぁ今は黙っておこう。結局ポテト勝手に食ったのは犯罪ってことは言えなかったしな。
「それで東條先輩はなにか話があるんですか?」
「うん。下で話そうか。」
―――――
「スクールアイドル?」
「にこ先輩が?」
アイドル研究部の部室から昇降口にやってきた。1年3人には先に帰ってもらった。
「1年生の頃やったかなぁ、同じ学年の子と結成してたんよ。今はもうやってないんやけどね。」
「辞めちゃったんですか?」
「にこっち以外の子がね。」
「アイドルとしての目標が高すぎたんやろうね。付いていけないって1人やめ、2人辞めて...。だからあなた達が羨ましかったんじゃないかな。歌にダメだししたり、ダンスにケチ付けたり出来るってことはそれだけ興味があって見てるってことやろ?」
なんかたまにあるよなこう言うの運動部とかだったりにさ。まぁ理想が高いのは悪い事では無いんだけどさ。結局周りの事を考えずに自分の事だけを考えた結果そうなったんだろ。
「あ...、ふふ...。」
なんて風に考えてたら穂乃果がいきなり笑いだした。いきなり笑いだすのは気持ち悪いぞ。
「これって、海未ちゃんと一緒じゃない?ほら!海未ちゃんと知り合った時!」
じゃあ俺は知らない話か。
穂乃果の言う話を思い出せない海未に穂乃果はその時の事を話した。
穂乃果達がまだ小学校低学年だったとき、夕方公園でことりも入れて何人かで鬼ごっこをして遊んでいたとき。木陰から穂乃果達が遊んでいるのを海未は見ていた。それを見つけた穂乃果だが目が合った時に海未は隠れてしまった。という思い出だ。
「そんなことありましたっけ?」
「海未ちゃんすごい恥ずかしがり屋さんだったからぁ。」
「それが今の状況と何か関係があるんですか?」
「うん!ね?」
「あぁ!あの時の!」
すごいこいつら盛り上げってるけどなんのことか分からない。まぁ記憶無いし、こいつらとは幼馴染でも無いんだから当たり前だけど。
「隼くんも居たんだよ?何か覚えて無い?」
「いや、そうは言っても俺は――、!?」
知らないと言おうとした時にビリッと電気が流れたような衝撃が、俺の頭に走る。それに思わず頭に左手を押さえる。そしてさっき穂乃果が言ってた状況と同じ光景が目に映る。
(これはさっき穂乃果が言ってたのと夕方の公園...。それに、顔は見えないし、身体も小さいけど、穂乃果とことり、海未と同じ髪型と髪色の少女...。写真で見たことある昔の俺と同じ髪型と髪色の少年...。だけどみんな顔が見えない...。この少女たちは子供の時のこいつらなのか?そしてこの少年も子供の時の俺なのか?...。)
そこで隼の目に映っていた光景は終わった。
「大丈夫隼君!?頭押さえてたけど」
「あ、あぁ大丈夫だ。軽い頭痛が来てな...。やっぱり思い出せなかったな。」
なんだったんだ今のは。俺が記憶ある限りで始めてこんなこと起きたぞ...。まぁどうせ何でもないだろ。
「ふん何仲良さそうに話してるのよ...。」
4人が話しているのをにこは学院の道路を挟んで前にある階段から見ていた。
小学校の時も中学校の時も、そして高校になってもにこは学校で話す相手と言えば、希を除けば先生や部活の生徒と言った必要最低限の会話だけ。その分μ'sの事もそうだが羨ましかったのだ。
「でもどうするの?にこ先輩、あのままだとずっと私達の事認めてくれないよ?」
帰る途中、学院から少し離れた所で急に穂乃果が言ってきた。でも本当にどうするかな。矢澤先輩自分のことしか考えてないし...。ん、自分のことしか考えて無い?そうか。
「穂乃果。矢澤先輩は自分の事だけを考えてるよな?」
「そうだね。」
「だったら俺達も俺達の事しか考えずにやってみようじゃないか。」
「ん?どういうこと?」
「明日になったら分かるさ。」
そう伝えて俺は方向が違うため3人とは別の方向に帰る。さぁこれで上手くいけば活動できる場所が確保できる。こう言う事は少し強引にでもやった方がいいって
―――――
穂乃果達がアイドル研究部の部室に来た翌日。にこは部室に来ていた。学校に居る間誰とも話さず。
部室の前に来た時友達と居る3年生の2人組が部活の子を誘って寄り道すると言っていたのが気になった。もっと周りの事を考えていれば自分も放課後に友達と寄り道したりして遊んでいたのかも知れないと。
暗い顔をしながら鍵を開けて部室に入る。自分が電気をつける前に電気がついた。そしてそこに居たのは、
「「「「「「「お疲れ様でーす。」」」」」」」
なんと昨日部室に来た7人が居た。
「お茶です!部長!」
「部長!?」
「今年の予算表になります部長!」
「なっ...!」
「部長、ここにあったグッズ邪魔だったんで棚に移動しておきましたぁ!」
「こら勝手に――、」
「さ、参考にちょっと貸して部長のおススメの曲。」
「な、なら迷わずこれを...。」
「あぁ!だからそれは!」
「そんなことで押し切れると思ってるの?」
「押し切る?私はただ相談しているだけです。音ノ木坂アイドル研究部所属のμ's7人が歌う、次の曲を!」
「7人......。」
「厳しいわよ...。」
「分かってます!アイドルへの道が厳しい事くらい!」
「分かって無い!あんたも甘々!あんたも!あんたも!あんた達も!!ついでにアイドルの事を全く分かって無いあんたも!!」
俺もかよ。
「いい?アイドルって言うのは笑顔を見せる仕事じゃ無い。笑顔にさせる仕事なの!それをよーく自覚しなさい!」
ってことはこれで矢澤先輩はμ'sに入ったって事でいいんだよな。これでまた昨日みたいに追い出されたら今日生徒会に出してきた新しいアイドル研究部の名簿意味無くなるからな。
「いい!?やると決めた以上、ちゃんと魂込めてアイドルになってもらうわよ!分かった!?」
「「「「「「はい!」」」」」」
「声が小さい!!」
「「「「「「はい!!!」」」」」」
なんとか上手く行ったな。
「にっこにっこにー♪はい!」
「「「「「「にっこにっこにー」」」」」」
「全然ダメもう一回!」
「「「「「「にっこにっこにー」
「釣り目のあんた!気合入れて!」
「真姫よ!」
「はい!ラスト一回!」
「「「「「「にっこにっこにー」」」」」」
ラストと言ったあとにこは後ろに振り向いた。そこで隼は見逃さなかった。にこが涙を拭ったのを。
なんだあんなこと言っといて本当は嬉しいんじゃねーか。いつかこの事でいじってやろ。
「全然ダメ!あと30回!」
「えぇ~!」
「なに言ってんのまだまだこれからだよ!にこ先輩お願いします!」
「よぉ~し!頭からいっくよ~!」
こうしてμ'sは7人になった。
いかがでしたか?
アニメ通りに進むところ以外をうまく言葉に出来なくてなかなか書けずにいて投稿出来ませんでした。
その上投稿しようとしたらパソコンがフリーズするなどのハプニングもありました。
次回はセンターは誰だ?回です。
誤字脱字などありましたら報告よろしくお願いします。
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次回もよろしくおねがいします。