ラブライブ! 〜ヒトツノコトバ〜   作:こうのとり

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お久しぶりです。こうのとりです。
モンハンダブルクロス買いました(投稿送れる原因)
今回でやっと、3話まで終わります。
それでは今回も宜しくお願いします。


10話 誰にも邪魔はさせない

 客は誰も来なかった。3人が泣きそうな顔で立ち尽くしている。このままだとあいつらは、練習してきた曲を披露することなく、何もしないで終わってしまう。

 

 いいのか、ここで終わって。

 

 あいつらは今までやった事無い事に挑戦してこの学校を守ろうとしている。俺だってそれに協力している。なのに、なのに...

 

 

 誰も来ないから何も出来ずに終わるなんて悔しすぎるだろ...!

 

 お母さんと茜さんの母校を守れず、なにより...

 

 

が通えなかったこの学校を守る事が出来ないなんて...! そんなのダメに決まってるだろ!

 

 

 

 そう思うといつの間にか俺は放送室を飛び出していた。そして第一声に叫んだ。

 

 

「ここで終わっていいのか!!!」

「「「え?」」」

 

 

 講堂全体に俺の声が響く。構わん、どうせ今6人しかいない。

 俺の声で3人が反応する。

 

 

「海未!お前は人前に出るのが恥ずかしくてもやるといって今日までやってきたんだろ!ことり!お前は3人分の衣装を作っただろ!穂乃果!お前は朝起きられない中でも毎日朝練をやっていただろ!それを諦めるのか!確かに人はいないかもしれない...居ないかもしれないけど、だからって諦めていいのか!」

 

 自分でもなに言ってんだと思うけど、今はそんなこと考えていられない。

 

 

「学校が好きで、学校を守るためにアイドルを始めたんだろ!それで今日まで頑張ってきたんだろ!だったら、だったら今はたとえ誰も居なくても歌わなきゃいけないだろ!」

 

 

 今まで出したこと無いほどの大声で叫んだ。運動したあとの3倍ぐらいは疲れるな。息も上がってる。

 

 

 俺がやれるのはここまではここまでだ。あとは3人がやるのを待とう。

 

 

 そこに

 

 

 

 タタタタタタ!!ドサッ!

 

 

 誰かが走ってきてそのままの勢いで扉にもたれた音がした。

 

 

「花陽ちゃん...。」

 

 急いで走ってきたのだろう、息が上がっている。俺も人の事言えないが。

 

 そして花陽は入ってくるなり言った。

 

 

「あ、あれ...。ライブは? あれ? あれ?」

 

 

 凛に連れ出され陸上部の説明会に行っていてこっそり抜け出して走って来てみたらライブがやっていなかったからか、周りをキョロキョロと見渡している。

 

 

 それを見た穂乃果は決めた。

 

「やろう!」

「へぇっ?」

「歌おう!全力で!」

「穂乃果...!」

「だって、そのために今日まで頑張ってきたんだから!歌おう!」

「穂乃果ちゃん...。海未ちゃん!」

「えぇ!」

 

 

 やると言った。歌うと言った。それを確認した俺は放送室に戻ろうとしたが、

 

 

「ヒデコ...。」

 

 ヒデコにステージを指さされた。

 

「隼君は見守ってな。穂乃果達のこと。」

「あぁ...。」

 

 

 そう言ってヒデコは放送室に戻った。

 

 俺は、あいつらのステージを見るため反対を向く。

 

 

「ふぁ~...!」

 

 

 そして、ステージが暗くなる。花陽は真ん中あたりにある席に座った。

 

 

 隼は花陽に歩み寄り声をかける。

 

「なぁ」

「ふぇ!? あ、一文字先輩...。」

「確か小泉だったよな。ありがとうな来てくれて。」

「えっ!? あの...、」

 

 隼の言葉に対して反応する前に隼は後ろのほうにと戻ってしまった。

 

 するとイントロが流れ始めた。隼の事を目で追っていた花陽だったが、イントロが流れ始めると目を輝かせてステージの方を向いた。

 

 

 その曲は

 

 

 START:DASH

 

 

 作詞は海未。作曲は真姫が行った曲。

 

 丁度曲が始まった頃、凛が花陽の事を探しに講堂に来た。それを見た隼は花陽の方を指差した。

 

 凛は花陽に近づいて「にゃ!」と言うが、花陽は反応しない。

 

 花陽は感動しているようにステージを見ている。凛もそれにつられてステージを見る。

 

 

 気付かぬうちに人は少しづつ集まっていた。

 

 

 そして1人、前の席に隠れながらライブを見ているツインテールの人がいる。確かチラシ配りの時に見たけど、3年だったよな。しかも海未が配ったチラシを突っぱねてたよな。なんで来てるんだ。

 

 

 講堂の中には3人しか居ないが、ドアの方を見ると真姫と希が、そして放送室には絵里が来ていた。

 

 それ以外にはヒデコ、フミコとミカと隼以外に人はいなかったが、最初にしては十分だろう。

 

 

 練習したおかげか、ダンスにも歌にも練習の成果が出ている。

 

 

 だが、練習期間は1カ月足らず。ダンスにはキレが無い。3人の踊りだってバラバラ。歌も所々音を外している。それでも、人を引き付ける物が彼女達の曲にはある。

 

 

 

 

 

 やがてライブは終わりを迎える。

 

 

 座っていた花陽と凛は曲が終わる前に立ちあがって拍手をしている。アイドル好きではない凛も。

 

 穂乃果とことりと海未は息が上がりながらもやりきったという顔をして笑っている。

 

 

 いつの間にか入ってきた真姫、ヒデコ、フミコ、ミカ、隼も拍手をしていた。

 

 

 

 そして、

 

 

「生徒会長...。」

 

 

 絵里はゆっくりと階段をおりてステージに近づく。

 

 

 

「どうするつもり?」

 

 

 

 しばらく沈黙が続く。そしてその沈黙を破ったのは穂乃果だ。

 

 

 

「続けます!」

「穂乃果...。」

「何故?これ以上続けても、意味があるとは思えないけど。」

「やりたいからです!今、私もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。きっと海未ちゃんも、ことりちゃんも。こんな気持ち初めてなんです!やって良かったって本気で思えたんです!今はこの気持ちを信じたい、このまま誰も見向きもしてくれないかもしれない、応援なんて全然貰えないかもしれない。でも、一生懸命頑張って、私達がとにかく頑張って届けたい!今私達がここにいる、この思いを! いつか、いつか私達必ずここを満員にして見せます!」

 

 

 穂乃果の声が響く。

 絵里は真剣な眼差しで穂乃果を見つめる。

 

 

(「頑張れよ、穂乃果、ことり、海未。俺もお前らと一緒にこの学校の守って見せる。誰にも邪魔はさせない。」)

 

 

 講堂の外の壁に寄りかかりながら曲と絵里達の会話を聞いていた希は、

 

 

「完敗からのスタートか。」

 

 

 そう独り言をつぶやいて帰って行った。

 

 

 さぁ、彼女達の物語はどうなるのか。

 

 

 

 




前回喋らなかった隼君。今回はいつも出さない大声出して大活躍(はい、そこー!ライブが出来たのは花陽が来てくれたからとか言わないー!)
次回から4話(まきりんぱな)回です。

ここのところ定時投稿出来てません...。すみません...。


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