ライブ始まる直前まできました。
「これで新入生歓迎会を終わります。各部活とも体験入部を行っているので、興味があったらどんどん覗いて見て下さい。」
神田明神で穂乃果とことり、海未、隼の4人でお参りをした次の日。新入生歓迎会が終わった。
1年生の何人かは「何部に入ろうか」や「あの部活行ってみようよ」などと小声での話し合いが行われていた。
2、3年生のほとんどは黙って生徒会長の話を聞いていた。あの穂乃果ですらも居眠りをしないで聞いていた。
ちなみに隼はほとんどの話を「自分には関係無い」と思ってあくびをしながらまともに聞いていなかった。
「お願いしまーす!」
新入生歓迎が終わった後すぐ、4人はライブの為に動き出した。1人でも多くの人に来てもらうために、チラシを配っていた。
「この後午後4時から初ライブやりまーす!」
「是非来てくださ~い!」
「お願いしまーす!」
「お願いします。」
穂乃果、ことり、隼の3人で外に居る生徒達にチラシを配る。けど状況はあまり芳しく無い。
「吹奏楽部への入部を希望の方。こちらに集まってくださーい!」
穂乃果達がチラシを配っている近くでは、吹奏楽部が募集を掛けていて、10人ほど1年生が集まっていた。
穂乃果も負けじとチラシを配り続ける。
「お願いs...「ねぇねぇどこの部活にするー?」μ's...「演劇部どう?」「あぁ!いいねー!演劇部ー!」「私結構自信あるんだ!」...。」
穂乃果の奮闘も空しく渡り廊下を歩いていた2人組に、穂乃果の声は届かなかった。
「他の部活に負けてられないよ!」
「うん!」
「おう。」
「よろしくお願いしまーす!」
「「「ん?」」」
3人が他の部活に負けていられないと意気込んでいるときに凛々しく透き通った声が昇降口から聞こえた。その声の正体とは、
「午後4時からです!お願いしまーす!」
海未だった、昨日あれだけチラシ配りに苦戦したのに、昨日の今日でよくここまで成長できたものだ。
穂乃果とことりは微笑む。
「手伝ってくれるの!?」
「リハーサルとかしたいでしょ?」
「私達も学校無くなるの嫌だし。」
「穂乃果達には上手く行って欲しいって思ってるから。」
「みんな...。」
チラシを配っていた4人が区切りのいいところで講堂に来ていた時、ヒデコ、フミコ、ミカの3人が来てくれた。リハーサルなどをするために協力するとのこと。3人の好意に穂乃果は感動していた。
『いい?つけるよー?』
「はーい!」
「講堂でライブ始まりまーす!」
「準備おっけい!」
『はーい』
講堂の放送室で照明などの調整をするヒデコ、それの確認をするフミコ、先程まで穂乃果達がしていたようにチラシを配るミカ。
「悪いな、使い方よく分からなくて。」
「いいのいいの。それでここはこうやって...。」
放送室で隼はヒデコから機械の使い方を教わっていた。ヒフミの3人は好意で手伝っているが隼に関しては、穂乃果、ことり、海未にお願いされて手伝っている。そんな立場でなにもしないわけにはいかないと、隼の廃校にしたくないと言う思いがそうさせている。
「うわー!」
講堂の控室。穂乃果、ことり、海未の3人はことりが作った衣装に着替えていた。
「可愛いよ!どう!?どう!?」
「うん!すごく似合ってるよ!」
「海未ちゃんは?」
「はい!」
「もう...。私達しか居ないんだから早く着替えちゃいなよ!」
「分かっています...。」
着替えるのに苦戦しているのか個室からなかなか海未が出てこない。
「「おお!」」
シャッっと個室のカーテンが開かれる。そこから海未が出てくる。
「「おぉーーー!」」
だが、
「「ん?(え?)」」
思わず頭に『?』マークを浮かべる。
それもそのはず海未の姿は、上側こそことりの作った衣装だが、脚は衣装の白いニーハイではなく、赤い音ノ木坂学院師弟のジャージだったからである。
「ど、どうでしょうか?」
ごまかすように問う海未。それに対して穂乃果は、
「『どうでしょう?』じゃないよ! 何この往生際の悪さは!さっきの海未ちゃんはどこに行ったの!?」
「あの...。その...。か...、」
「か?」
「鏡を見たら急に...。」
チラシを配っていた時の威勢はどこに行ったのか。急に臆病になりだした海未に穂乃果は怒る。
そしていつまでもジャージを脱ごうとしない海未に穂乃果が、
「えーい!」
「あぁ!!!」
無理やり海未のジャージを下す。
「嫌ぁ!」
「かくしてどうするの!スカート履いてるのに。」
「で、ですが!」
「海未ちゃん可愛いよ!」
ことりに「可愛い」と言われて一瞬「え?」という顔をする海未。
「ほらほら!海未ちゃん一番似合ってるんじゃない?」
「ぁぇ、えぇ...」
「どう?こうして並んで立っちゃえば、恥ずかしく無いでしょ?」
「はい...。確かにこうしていれば...。」
「じゃあ、最後にもう一度練習しよ!」
「そーね!」
張りきって再び練習に行く穂乃果とことり。しかし海未は2人が居ない状態だと、
「恥ずかしいです...。」
ダメらしい
―――――
花陽は、周りに誰も居ない事を確認しながら、ロッカーからライブのお知らせの紙を取りだして微笑む。
今日が待ちに待ったライブの日、ずっと楽しみにしていた。
ロッカーの扉を閉めるとそこに、
「シャー!」
「ひぃぃぃ!!」
猫のマネをしている凛が居た。いつもやられているとは言え、いきなりやられてしまっては慣れている花陽も驚く。
「やったー!いったずっら成功ー!」
「やーめーてーよー!」
「えへへ~♪」
悪戯が成功して子供のように喜ぶ凛と、悪戯されて凹む花陽。
「ねぇねぇ、一緒に陸上部見に行こ!」
「エェ!陸上部!?あ、いや、その...「かよちんも少し運動して見たいって言ってたじゃん!」え!?」
ライブに行こうとしていたとは言えずにそのまま凛に手を引っ張られる。
「早くいっくにゃー!」
「あぁ!りーんちゃーん!」
ライブの紙を握りながらも、幼馴染に手を引っ張られる。
思い出す。穂乃果達がチラシ配りをしていた時にライブに行くと言った時の事。
『本当!?』
『来てくれるの!?』
勇気をだして行くと言ったのに、それが打ち消されていく。花陽は叫ぶ。
「ダレカタスケテェ~!」
悪意の無い凛の行動で花陽は楽しみにしていたライブに行けなくなる。
同時に穂乃果達の客も居なくなる。
―――――
『スクールアイドルμ'sのファーストライブ間もなくでーす!ご覧になられる方はお急ぎくださーい!』
アナウンスが入る。間もなくライブが始まる。
「いよいよだね。」
「うん...。」
「うぅ...。」
一度緊張はほぐれたが、やはり直前となると緊張してしまう。誰もが同じだろう。
穂乃果が海未とことりの手を優しく握りる。
「大丈夫。私達がついてるから。」
「穂乃果...」
「でもこういうとき何て言えばいいのかな?」
「μ's!ファイオー!」
穂乃果が大きな声を出してなんとか緊張を忘れようとさせる。
「それでは運動部見たいですよ?」
「だよね。」
「あはは...」
「あ!思い出した。番号を言うんだよ!みんなで。」
「おもしろそう!」
「よーし!じゃあ行くよー!」
「1!」
「2!」
「3!」
「「「ふふふ...んふふふふ...あはははは♪」」」
3人で声を揃えて笑う。
「μ'sのファーストライブ、最高のライブにしよう!」
「うん!」
「もちろんです!」
意気込む穂乃果、それに同意することりと海未。その声にさっきのような緊張は無かった。
ブーーーー!!!!
ブザーがなり幕が開く。
いよいよ始まるライブにわくわくする3人。
あれだけ頑張って練習した。
毎日早起きもした。
辛い練習だってこなしてきた。
チラシだって沢山配った。
だからお客さんだってきっとたくさん来てくれる!
そう思っていた3人。
やがて幕が完全に開き、
そこにあるのは、
誰1人として居ない無音の席。
居るのはヒデコ、フミコとミカ、そして放送室にいる隼の4人だけ。いずれも客ではない。
今にも泣きそうな顔をしていることり、絶望した顔をしている海未、唖然としている穂乃果。
席の後ろにはヒデコがミカに向かって首を横に振っている。
この様子ならライブは出来ないだろう。
でも穂乃果は笑顔で呟く。
「そりゃそうだ!世の中そんなに甘く無い!」
言っている間は笑っていられた。しかしそれもすぐにガタが出る。数秒経つと穂乃果も今にでも泣きそうな顔になる。
彼女達の夢はここで終わり。始めたばかりのアイドル活動も1カ月足らずで終わる、ヒデコ、フミコとミカは思った。しかし、
「......」
それをよしとしない男が居た。その男がどう動くかで彼女達の運命は変わる。
まさかの主人公一言も喋ってません(笑)
だけど次回には大活躍するかも?
1ヶ月間更新できなくてすみません。来週もテストがあるので投稿が送れるかもしれません。
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