ToLOVEる - FIRE GENERATION -   作:改造ハムスター

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第5話「バーンアウト・ハイスクール Ⅱ」

「ザックぅ……助けて」

半泣きでそう漏らすのは女子生徒の猿山。こいつも西連寺と同じ中学出身です。

「西連寺は!?」

「わかんない……さっきどっか行ったぁ」

「うるせぇぞ女子!静かにしろ」

 

古手川がイラついた様子で俺に向きなおる。俺は教室を見渡した。死屍累々、俺とこいつ以外立ってる野郎は一人もいない。古手川の奴、1人でこれだけやったのか。西連寺がいないとはいえ、ただの喧嘩慣れした不良なんてレベルじゃねぇ。地球人離れしてやがる。

 

「だいたい授業もろくに出ねぇ奴が、生徒だと?非常識だぜ、おまえ」

 

古手川が風紀委員の帳簿を取り出し、俺を睨みつける。

 

「校長に頼まれてっから校則違反じゃねえんだよ、残念だったな」

「黙れ!俺が校則だ……」

 

古手川とかいう非常識風紀委員は肩を引き、拳を縦に構えた。

 

「こんな不条理な世界、俺が変えてやる。たかがコックのおまえが次期デビルーク王になるだと?ふん、俺は認めねぇ」

 

ああん?

誰からの情報でしょうかね。

 

古手川龍

 

親父の息子の一人。西連寺と同じ地球人だ。

 

確かにこいつにも、王位継承権は十分ある。

 

こいつが自分の素性を知っているかどうかはわかりませんが……。

やはりさっきの攻撃といい、何者かが裏で動いてるみたいですね。

 

「大人しく俺に殴らr」

ええぃ

「先手必勝ぉお!」

 

なんかカッコつけて語り出しましたが、今がチャンス!躰を丸め、いっきに踏み込み、右足でハイキックを放つ。

「ホアチャア!」

古手川は動揺しながらも弾丸のようなカウンターキックを俺のこめかみに合わせてきた。カンフーか!

 

ガァン!

 

俺と古手川、両者の脚が一瞬競り合う。そして、

 

「クッ」

 

古手川の重心がぐらつく!こっちはジェットブーツを履いています。学校指定の上履きには負けません。

 

「まて結城ザク郎!まだ話は」

「そりゃーっ」

 

その勢いで畳んだ左膝を古手川の股間へ潜り込ませた。アーサーの時と同じ、股間を蹴り上げてやる!体の柔軟さと外道さを兼ね備えてる奴にしか出来ない技です。

 

左膝を突き上げるため、思い切り右足を跳ね上げ……

 

ズキっ

「があああっ」

 

荊棘に足やられたこと忘れてたwww

 

不安定な俺の体がなすすべもなく崩れる。

 

その時、俺の左膝が、

 

古手川の股間に、

 

グニュン

 

と、ゆっくり擦れた。

 

(ありゃ?)

 

「ああんっ!」

 

ん?

古手川じゃねぇ。この声は……

 

背後の教卓へ振り返る。

 

舌を出し、腰を浮かせたアッシュが、大きく痙攣していた。

 

(こ、これはどういう……)

 

「……今、俺の感覚は全部あいつに行くようにしてるんだよ。

 

テメェが俺を傷つけられないようにな……」

 

古手川が何故か顔を真っ赤にして説明し出した。

 

「だから、お前はただ俺に殴られるだけだ、って言おうとしたのに……お前が話を聞かないから……」

 

ズオッ

 

四方から強烈な負のオーラが立ち上がる。

 

見渡すと、今のアッシュの声に欲情したのか、気絶していた男子どもがよだれ垂らしながら近づいて来た!もう女子たちは恐怖を通り越してドン引きしてます。

 

「おい古手川、これヤベェぞっ、て……」

 

古手川?

 

 

「ち、違うぜアシュラ、今のは結城が話を聞かずに攻撃してきたからこんなことに……

 

『ふふ、いいよ。慌てなくて』

 

アシュラ?」

 

なんか古手川が一人で喋りだしたwww

 

「『でも私、ほんとはザックじゃなくて……古手川くんに触られたかったな……』

 

そ、そ、そんな……オメェ……

 

『……たまには早退も、ね』

 

な、なに言ってやがるっっ!」

 

 

「な、なに1人で言ってんだ古手川……」

「ハッ!

 

こ、この変態がぁぁあっ!」

 

「いやお前だろ!!」

 

どんな性格してんだこいつは!

 

無駄口叩いてる間に、クラス中の男子に囲まれちまった。しかも全員暴走する変態。

どうする、もう屁はでねぇぞ。

 

「コォォォォ」

 

ふいに古手川が身をかがめ、俺に向かって両手から気を放つような動作を始めた。

 

いやいや、何してんだよお前。人間からは何も出ないから……

 

『キャノンフラワーッ!』

 

何ッ!?

 

ボシュッ!

「ハァーッ!!」

 

ドドゥッ!!

 

(!!?)

 

ビュン!!

 

ドガァッ

 

感覚だけでかわした。

 

俺の耳から、血が流れる。

 

振り向けば、黒板には煙を吐く痛々しい穴が空いていた。

埋まってるのは巨大な植物の種。

 

どういうこった。

 

あいつ今、キャノンフラワーっつったな……。

 

キャノンフラワーといえば、危険度S級の惑星で凶悪な進化を遂げたお化けホウセンカのことです。

 

でっかい種子を弾丸みたいに飛ばすのが特徴。馬鹿みたいに速くて、俺でも見切るのがやっと、てのは知ってるんですが……。

 

それにしても速すぎる。それこそ非常識だが、この人間の力で速度が増幅されてるとしか思えねぇ。

 

「とどめだ」

 

古手川の手元で、花びらがきらめく。あいつ、ただ気を溜めてたんじゃねぇ。あん中にキャノンフラワー隠してやがったんだ。

 

クソッ

足さえまともに動けばな……

 

俺はただアッシュの前で体を張るしかなかった。

 

その時!

 

「来たよ、結城君!」

 

この声は、

西連寺ッ!

 

『念力集中!』

 

ビキィッ!

 

硬直する男子たち。またもや非常識人間が登場しました。でもこっちは味方です!

 

「季虎!」

 

猿山が叫ぶ。普段明るい女子のこういう声聞くとなんかドキッとしちまう。ぶっちゃけると、彼女は西連寺にずっと片思い中です。

 

「結城君、今のうちにアシュラさんを!」

 

「西連寺……ちょうどいい。お前を倒して、俺がクラス委員になる!」

 

シュルシュルシュル……

 

古手川は標的を変えたらしく、全身にキャノンフラワーを装着させ、一斉に西連寺へ向けた。

 

「危ない!」

 

だが、

 

『クラウドン!』

ボワー

 

西連寺の周りに、雨雲のようなものが立ち込める。

 

ドドドドドォッ

発射される種子ッ

 

バリバリバリバリ

だが全ての種子は、西連寺の雨雲から放たれた稲妻に叩き落とされた!

 

強ぇ、クラウドン……ってなんだっけ、動物?

 

「結城君、早くアシュラさんを安全な所へ!」

 

正直この二人の闘いをもっと見ていたいですが、そんな暇はない。

 

俺はアッシュを抱きかかえて教室を飛び出した。

 

ガラスの散乱する廊下を走り抜け、階段を駆け上がる。

お姫様抱っこは走りにくい。ですが、マスクの外れた彼女の顔を隠すにはこれが一番です。実際お姫様ですし。

 

制服も似合っておられる。

俺がもっと強けりゃ、この星でずっと幸せに暮らさせてやれるのに。

 

でも俺には、

忘れられない人が……

 

「ザ、ザック……」

 

薄目を開けて、アッシュが俺の顔を見上げる。意識が戻ったみたいだ。

 

「わ、私……履歴書なんて出してないのに、ザックの高校から手紙が来て、手紙開けたら……気がついたら、教室にいて……」

「大丈夫ですよ。俺がいます」

 

しまった、言っちまった。つい昔の癖で……。

 

無責任な俺に、アッシュが優しく微笑む。

 

「足、怪我してんじゃん」

 

降ろして。

 

そういって、彼女は俺を止めた。

 

「まだ危ないですよ。追ってくるかも」

「大丈夫だって」

 

どこに持っていたのか、柔らかい包帯を取り出し、端を口に咥えて、両手で俺の足に巻き始める。くすぐったい。傷口に、温かい吐息がかかる。

 

「酷い傷だな。何にやられたんだ?」

 

傷は焼いて治すもんだと思っていたが、こういうのも悪くない。

 

というか、もうずっとこのままがいいな。

 

でも、もし、こうしてくれるのが……。

 

 

アッシュの澄んだ緑色の目に、

 

一瞬、

 

 

あの赤色を重ねてしまう。

 

 

最低だな、俺。

 

 

『そんな中途半端が許されるか!!』

 

西連寺の言葉が胸をえぐる。

 

 

「アッシュ」

 

俺は、ピンク色のつむじに話しかけた。アッシュは顔を上げようともせず、包帯を巻き続ける。

 

悲しすぎる想いから目をそらせて、俺たちはどこまで歩んでゆくのだろう。

 

俺は……

 

「俺には、好きなひtぶげぇあっ!!」

「ザック!?」

 

 

顔面に、なんかでかいタコの足みたいなもんが激突してきました。流石にアッシュもこっちを見てくれます。

 

「チュミミーン!」

 

現れたのは、やっぱりでかいタコでした。

 

「アッシュ、逃げてっ!」

 

俺が叫ぶより速く、奴は器用にアッシュの体を巻き上げた。

 

「ザック!やばいっ」

 

プリンセスが括れた身体をくねらせ、懸命に逃げようとする。だが抵抗虚しく、アッシュの制服はすぐに吸盤で吸い上げられた。

 

アッシュの下着が現れ、やがて崩れ始める。

 

こ、これは……!

 

ぷるん!

 

うおおお……

 

 

ちゅうううう

 

マ、マジかぁ!

 

アッシュのお、おっぱいを……もう一回見られるとはっ!!

 

「あ、くっ、た、助けてっ!」

「は、はいっ!」

 

プリンセスの呼びに俺は我に返った。アッシュの方から助けてとかめったに言いませんからね。これは命を賭して救出せねば。

 

って

あり?

 

 

俺の足にも吸盤が……

 

「チュミミーーン!」

 

ブラァーーン

 

俺もあっけなく捕まった。

 

「ごめんなさいプリンセス」

「こ、この役立たずっ」

 

さすがのアッシュも怒ってます。そうですね、タコの足は一本じゃないですよね。

 

ぐるん

「きゃうっ!」

 

アッシュを助けられないばかりか、今度は自ら、アッシュの御体に絡まりにいってしまった。

 

しかも、互いの頭と足が逆になっている。

 

こ、この格好は、噂の……

 

(しまった!プリンセスになんて失礼な格好を!!)

 

俺は必死で体勢を戻そうとした。

 

だが、

 

「い、いやっ。ザッ……ク…………」

 

アッシュの口から、聞いたこともないような声が漏れる。

 

俺はおそるおそる、自分の手が突っ込まれてる先を見た。

 

スカートの中に、

薄水色の、湿った三角形が……

 

小刻みに震える白い太ももに、輝く水滴が流れる。

 

あーこれは、

 

これはあかんわ。

 

急に沈黙しだしたアッシュの目の前には、どーせ俺のおっ勃った「アレ」があるんでしょう。

 

こりゃ後で顔面変形するまで殴られても仕方ねぇな。

 

どっちにしろ脱出せねば。

 

「ア、アッシュ」

「……ぇえ?」

 

俺は考えた末、思いついた打開策を言ってみることにした。

 

 

「今、尻尾ビームとか出ます?」

 

 

なんか説明する機会があんまなかったんですが、デビルーク星人には黒い悪魔みたいな尻尾が生えてます。あとはどっからどう見ても人間です。俺みたいに。そして大抵の個体はそっからビームを出せるんですが……。

 

「ハァ……ハァ……

 

ダメ。私、出ない。なんか生まれつき出にくくってっ」

 

たしかにアッシュには、お袋のデビルークの血はあんま受け継がれてないみたいっすね。性格はララ様に似てるけどもっと人間臭いし、能力は完全にお婆ちゃんのチャーム人譲りだし。

 

そうはいっても、2人の両手足がタコに封じられてる以上、尻尾しか頼みの綱はないです。

 

「もう絶対出ないんですか?」

 

「……」

 

切羽詰まった俺の問いかけに、アッシュが何故か顔を赤らめる。

 

そして遂に、消え入りそうな声で、こんなことを言った。

 

「 …… いっぱいこすったら、出るかもしんない」

 

 

そんなこと言われたらッ!

俺も(白い)ビーム出そうッッ!!

 

ドドドド

 

また新たな人影が現れた。しかも一人じゃねぇ。

 

「こんなところにピンチの美少女発見!!」

 

最悪だ。あいつらは確か野球部の三年……

 

「よし、お前、助けてやるから俺と付き合え!!

って…………」

 

 

「フォォオーウウ!こ、こんな可愛い女子いたか!?俺の写真集(盗撮)にもねぇぞ!

おい、お前今すぐ俺と結婚し……

って」

 

 

「ウーリィィイイイイイイイーッ!!」

 

 

「「「「「「さっすが先輩!一瞬暴走しないと見せかけてやっぱり暴走しだしたぜっ!

って……」」」」」」

 

 

「「「「「「ウーーーリィィィィィィイイイイイイイーーーッ!!!!」」」」」」

 

何なんだよこいつらwwwwwww

 

相手は取り巻きもあわせて5、6人はいます。あんまこないんで、ここが上級生のフロアってこと忘れてました。

 

やばい、タコをよじ登ってくる。

 

「アッシュ!すみません!!」

「へっ?」

 

ギュウ

 

俺はかろうじて動く右手でアッシュの尻尾を握った

 

「嫌ぁっ、私、しっぽはぁっ!」

 

アッシュが俺に飛びつき、両手で俺の肩を握ってくる。なんとこの尻尾、デビルーク人にとっては性感帯でもあるのです!つまり今の俺はくそ野郎です。

 

「アッシュ」

 

最低野郎の俺は、性感帯を握り締めながらアッシュの潤んだ目を見つめた。

 

「やらなきゃ、やられます」

やかましい俺だけやられとけ変態めwww

 

「……うぅ、わかった」

ベソをかきながら、アッシュが答える。

 

「後で許さないから」

可愛すぎるwwwww

 

タコの頭を蹴っ飛ばし、なんとか2人で上に上がった。

 

「大丈夫です。先輩たち、何も見えていません」

「……いいから早くやれっ」

 

俺はアッシュの尻尾を暴走した先輩どもに向け、

 

力いっぱいしごき始めた!!

 

シュッ、シュッ!

 

シュッ、シュッ!

 

シュッ、シュッ!

 

シュッ、シュッ!

「痛い、アッシュ、肩を噛まないで」

「あっ!う、うるさいっ。はぁん!お、おまえもがまんしろっ」

シュッ、シュッ!

 

シュッ、シュッ!

 

シュッ、シュッ!

 

シュッ、シュッ!

 

「やばいアッシュ、もうそこまで来てるっ!」

 

シュシュシュシュシュシュシュシュ

 

「ンン、ンクッ、ッハァッ、ハァッ!く、くるっ!なんか来ちゃうぅっ!」

 

「よっしゃあーっ!!」

シュコォォオオオオーーッ!

 

俺はアッシュの尻尾を火が出るほどしごきまくった。

 

「いやああああああっ!」

 

バチチッ!

 

バッシュゥゥウウウーーン!!!

 

溜まりに溜まってたビームが勢いよく飛び出し、

 

廊下が剥がれ飛び、

 

先輩たちは落ちていった。

 

死んではいないはずですが、記憶喪失くらいにはなってるでしょうね。

 

「…………だ、大丈夫ですか、アッシュ」

「……ッ!」

 

アッシュはぐったりとしながらも、俺を振り払って下へ降りた。怒ってますね。当たり前だ。

 

はあ……

 

とにかく、助かった。

 

なんか凄くいいにおいがする。

 

振り返るとそこに、巨大なタコ唐揚げが出来上がっている。

 

腹にくっついたタコ足をちぎり、食べてみた。

 

う、うまいッ!!

 

「アッシュ、2人で料亭を作りましょう!俺がメニューと接客、アッシュはビーム担当で!」

 

「……ぶっ殺すぞ」

 

アッシュの平手が飛んでくる。

 

「ぶべっ」

 

血が薄いとはいえデビルーク星人。危うくKOされるとこだった。

 

「プッ、

 

アッハハハハハハハ」

 

ふいにアッシュが腹を抱えて笑い出した。

 

「バッカみたい」

 

心地よい笑顔で涙を拭く。

 

「やっぱり、おまえといると楽しいな」

 

アッシュがこんなに笑ったの、久しぶりだ。

 

アハハハハ!

 

半壊した校舎に、俺たちの笑い声が響いた。

 

「はあ」

アッシュが、転がる揚げだこを見た。

 

「これ、キューオクトパスじゃん」

「なんですか、それ」

 

「ん、女の子がおっぱい大きくするやつ」

 

「どうやって……」

 

「……吸われて」

 

宇宙は神秘ですな。それより今一瞬胸を寄せ上げたアッシュがくっそ可愛かった。

 

「なんでこんなとこに」

 

「こいつだけじゃないです。俺がさっき襲われたのも荊棘とギガイノシシだったし、古手川はキャノンフラワー巻いてましたよ」

 

「……何?」

アッシュの表情が急に険しくなる。

 

「でも、助けに来た西連寺もクラウドン付けてきたし、必ずしも敵ってわけじゃ」

 

「ザック、

 

動物と植物だぞ」

 

まだ気づかねぇのか、そう言いたげにアッシュが視線を向けてくる。

 

「……弟たちに決まってる」

「あ!」

 

マジかよ、

 

すっかり忘れてた。

 

ハンニャは、動物と、

 

ビシャモは、植物と、会話ができる。

 

宇宙でも稀な能力だ。

 

「とんでもねぇことになっていると」

「うん、代理戦争だ」

 

王子2人が、比較的強い人間同士をぶつけて、後継者争いを始めている。

そして、邪魔な俺やアッシュを殺そうとした。

しかもアッシュに対しては…………

 

ふつふつと怒りがこみ上げてくる。王位のためなら、姉の体など汚しても平気だというのか。

 

「ぶっ殺してやる」

 

俺は床に開いた穴を飛び降りようとした。

 

「待て!誰をだよ」

「まず、あの古手川とかいう奴だ」

「人間なんだろ?そいつも騙されてるだけだ」

「だからですよ」

「でもクラスメートじゃんか!これから友達になるかもしれない」

「騙されるような雑魚はいらない」

 

俺がそう言い終わらないうちに、アッシュが俺の頰をつねってきた。

 

「いててててっ!離して」

「いい加減にしろっ、ザック」

 

本当に面倒くさい人です。

 

「もう、殺し屋の息子とか言われたくないだろ。おまえ」

 

切実な声でアッシュが訴えてくる。

 

なかなか言いますね。

 

「どっちかというと、アイドルの息子って言われる方がムカつきます」

「なんだよ、それ。どっちでもいいけど、ザックに変な噂が流れるのは私も嫌だから。

 

おまえが誰も殺さないように、私が見ててやる」

 

「え?」

 

「私も戦う」

 

アッシュはそう言い、小さな拳を握りしめた。

 

いいかもしれませんね。この機会にトレーニングも。自分で身を護れるんならもう俺もいりませんし。

 

「……じゃあ、一緒に行きますか」

「うん!」

 

2人で穴を飛び降りようとした

その時、

 

 

ガチャッ

 

銃を持った奴らに囲まれた。

 

女子高生の格好しているが、俺にはわかる。こいつら全員宇宙人です。

 

「離せ!」

抵抗虚しく、アッシュはマスクを被せられ、取り押さえられた。

 

「ったく、上級生の教室前で騒ぐんじゃねぇよ」

 

後ろの教室のドアが開き、長身の男が出てくる。こいつも彩南の制服を着ているが、人間か?

 

いずれにしてもアッシュ相手に、チャームの能力が効かない女だけで対処してくるなんてただもんじゃねぇ。

 

「だがここまでだ、結城ザク郎。

 

いや」

 

 

長身の男が、日本刀を空にかざす。

 

 

そしてそいつは、

 

 

俺の、本当の名前を呼んだ。

 

 

 

「……霧崎 玄凰」

 

 

 

こいつは、

 

いったい…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「放火、傷害、器物破損、動物虐待、公然猥褻で連行する」

 

 

おまわりだったwwwww

 

to be continued


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