DSフリードの非日常   作:ミスター超合金

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遂に、ですね。残すは二、三話でしょうか




life.44 決着

「うひゃひゃひゃ! 流石はエクスカリバーだ。それにしても、唯一破壊出来なかった聖剣を持ってるとはね! うん、面白い」

 

 

 城は崩壊したと言うのに、呑気な笑い声がフリード達の耳に入った。やがて現れたのは銀の髪と髭を蓄えた壮年の男。間違いない。彼こそが魔王、あらゆる悪魔の頂点に立つ者。リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。

 その名を叫ぶと嬉しそうに拍手を送った。

 

 

「いやー、おじさんの名前を知っているとは嬉しいね。何処で拾ったのかは知らないけど、エクスカリバーを持っているという事は俺の能力についても知ってるな?」

 

 

「『神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)』だろ? ストラーダのおっさんに聞いたよ」

 

 

 厄介だとリゼヴィムは吐き捨てた。実を言えば自分はそこまで魔力や体術に長けている訳では無い。無論、ルシファーの血筋だけあって何れも凄まじいのだが。サーゼクスを筆頭とする魔将軍のように魔力特性や技、或いは武器を持っていないのだから。

 あるのは血筋、そして唯一無二の固有能力。

 

 

「……行くぞ、ミッテルト!」

 

 

「うん!」

 

 

 構えるはエクスカリバー、光の槍。やる気になったのかマントを捨て去ったリゼヴィム。数瞬後、互いに動いた。リゼヴィムは魔法で剣を造り出すと真っ向からエクスカリバーを受け止める。遠距離戦に持ち込まれると思い込んでいたフリードは戸惑った。

 だがそれも束の間、正確な太刀筋で迫っていく。未来を決める戦い。しかし目の前の魔王だけは嬉々としていた。

 

 

 流石に悪魔の王を名乗るだけはあり、力任せの剣にも関わらずフリードと互角に斬り合った。そればかりでなくミッテルトの槍も交わし、お返しとばかりに魔力弾を放つ余裕まである。一撃がヒットして彼女は床に墜とされた。

 剣越しにリゼヴィムは叫んだ。

 

 

「いやいや、ユーは本ッ当に面白いな! イッセーちんは死んだらしいし、代わりに俺の部下にならない、ーーかッ!!」

 

 

 ギインッ、と金属音を撃ち鳴らしてまたも迫る。純粋な力ならリゼヴィムが圧倒的に上。にも関わらず戦えているのは聖なるオーラで弱体化しているからだ。事実、焼けるような苦痛が彼を襲っている。

 膠着したフリード、リゼヴィム。自身を回復したミッテルトが援護に回るべく駆けようとした。

 

 

 刹那、気付いた。フリードがうっすら浮かべる笑みに。

 

 

「……ぺトロ、バシレイオス。ディオニュシウス。そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 

 

「うひゃひゃひゃ! この期に及んでお祈りか。良いねぇ、そいつは楽にして欲しいって合図だな!?」

 

 

 そう告げるなり力を更に込める。彼の華奢な身体はあっさりとエクスカリバーもろとも吹っ飛ばされ、地に倒れ伏す形となった。無防備な腹を踏みつけると首元に剣を突き付けた。

 チェックメイト。そう言いたげな顔をリゼヴィムはしている。ミッテルトも言葉を失い、へたりこんでしまった。それを確認すると最後に訊ねた。

 

 

「一応、最後に訊いておこう……。どうかな、俺の下で働いてみる気はないか?」

 

 

 兵藤一誠という前例があるだけに、また彼よりも実力があるだけに。最後に通告する。単なる脅しではなく、本当に部下になってほしいとも思った。

 虚空を眺める白髪の少年は身動き一つしない。まさか、死んだのか。面白がって顔を覗き込んだ、直後。時間は動き始めた。

 

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する」

 

 

 早口で何かが唱えられる。思わず離れようとするも完全に手遅れで。魔王の身体には蒼い大剣が突き刺さっていた。してやったりとフリードは笑った。

 

 

 

「……聖剣、デュランダル」

 

 


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