「フリードさん!? 日本支部は壊滅したと……!」
「おい、支部長が帰還されたぞ!」
本部に転がり込むと、驚いたように仲間達が駆け寄ってきた。安否を確認するように肩を叩かれる。一斉攻撃を受けて支部は焼け野原と化しておりメンバーは殆どが戦死。フリードも生死不明となっていた。誰もが諦めていたところへの生還だ。喜ばない筈が無い。
暫くそうしていると騒ぎを聞き付けたのか、一人の老人が輪を裂いて現れた。威厳ある大柄な身体でひしとフリード達を抱き締める。
ヴァスコ・ストラーダ。元デュランダルの使い手で、反悪魔組織『
「よくぞ無事に帰って来てくれた……。フリード、それにミッテルトよ」
「ストラーダさん。心配をかけたな」
照れ臭そうに言うとストラーダは何度も頷いた。そして直ぐに会議室に案内された。室内には支部長が他にも集まっていたが、一様に驚いた顔をしている。二人が席に着いたタイミングを見計らって彼は口を開いた。
飛び入りとなるが、先ずは日本支部長の帰還が話に挙げられた。次いで先程まで議論されていた本題に移る。
「このままでは物量差で押し切られる。つまり、短期決戦を仕掛けるしか無い」
埋め込んだ者を悪魔に作り替える最悪の兵器、『
捕らえられた味方は洗脳され、駒を埋められ悪魔になってしまう。地球上が彼等で埋め尽くされるのも時間の問題だ。それまでに勝利しなければならない。
方法はある。冥界勢力は魔王を頂点としたピラミッド型の支配体制だという点。即ち、頭を失うと活動停止に追い込まれてしまうのだ。魔王さえ潰せば後は烏合の衆。指揮系統を失った雑魚など相手にならない。しかし勝機が見えるこの作戦にも穴はあった。
魔王直属の配下、『三魔将』の存在だった。
「サーゼクス。アジュカ」
「そして、……イッセー」
誰かが呟いた直後、ピシリと空気が凍る。最後の男だけは絶対に殺害しなければならないからだ。特にフリードの顔は憎悪に塗れていた。
険悪となったムードを悟ってか、一時休憩を宣言したストラーダ。一同が部屋を出ていくと残ったのはフリード達だけとなった。
「休憩しないんスか?」
「いや、するさ。ただ昔を思い出してな」
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「イッセー様、お目覚め下さい」
指令室に声が響いて、男は意識を覚醒させた。新型の『魔翔戦艦』があまりにも乗り心地が良いのでつい眠ってしまった。平謝りしてから前面のモニターを眺める。
破壊し尽くされた『
「手間を取らせやがって。まあ、性能テストが出来たから良いけどな。……朱乃、全艦に撤退命令だ! 一部を残して俺達は次に移動する!」
「了解です!」
懐かしい夢を払拭させようと彼は声を張り上げた。何も間違って無い。そう思い込むかのように。