life.37 開戦
魔王サーゼクスの死亡。その報せが届いた時、民衆や一部の貴族連中は『
上層部も面子を傷つけられたと主張。もうアジュカ達では止められず、半ば言い含められる形で承認した。遂に始まるのだ。
「『
「どんな敵だろうと、我々に勝てうる筈は無い!」
腐敗した演説に熱狂的な歓声をあげる民衆。戦争で手柄を立てれば昇格を認める、という上層部の話を信じてしまったのだ。事実、四大魔王は手柄を立てた者達で構成されている。具体例が存在する以上は本当にあるのかもしれない。無知な彼等の協力を取り付けるにこれ程の餌は無かった。
着々と手筈を進めていく冥界政府。空気中にフヨフヨと浮かんでいる細菌型魔獣によって、軍事機密が全て筒抜けである事を知らずに。
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会議室にはアザゼルを代表に上層部やフリード、ミッテルトにイリナ。英雄派の面々。更にはモニター越しにミカエルや天照大神、オーディンが集まっていた。
「駒の増産、ねぇ……」
苛立ちながらフリードは呟いた。どうやら悪魔は『
増産阻止の旨を話すと皆が一様に頷く。自分達の戦いに関係無い者達を巻き込みたくないのだ。
フリードには一計があった。例によって奇襲だ。今までもリアスやライザー、ロキにサーゼクス等を打ち倒した実績がある。しかし今回は文字どおりスケールが違った。悪魔を余裕で潰せるだけの奇襲を仕掛けるつもりである。それには各神話の協力が必要だった。
提案がある。そう言うと彼は脳裏で描いた作戦を口にした。
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「大変です、アジュカ様! 堕天使側が宣戦布告してきました!!」
「な、なんだと!?」
絶句した。準備を整え始めた矢先とは、あまりにもタイミングが良すぎた。此方は殆ど兵力を集められていない。それに対して敵は天界や日本、北欧とも同盟を結んでいる。軍事同盟である以上は続けて宣戦布告してくるだろう。四勢力を相手に出来る筈は無かった。
ある程度増産を終えてから、と予定していただけに余計に手痛い開戦となる。
こうなれば今動かせるだけの軍をぶつけて、時間を稼ぐか。そう結論付けた直後に異変は起きた。窓の外が異様に明るい。肌に染みる輝きだ。遮光魔法を唱えてからアジュカは空を見て、次には驚愕した。
さながら流星群の如く。光を結晶化させたような魔獣達が、冥界の地を目指して降り注いでいるのだから。