DSフリードの非日常   作:ミスター超合金

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ライオンハートは何処へ……




life.36 魔獣

「フリードさん。サーゼクスが駒王町に現れたようです。監視役の魔獣が教えてくれました」

 

 

 パタパタと足音を鳴らして部屋に来たのは金髪の少年だった。名前はレオナルド。曹操達と共に『禍の団(カオス・ブリゲード)』を脱退して、現在はフリードの預かりとなっていた。

 そんな彼は有する神滅具(ロンギヌス)魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)の操作訓練も兼ねて、様々な魔獣を創っては様々な場所に放っている。早速その真価を発揮したようだ。

 

 

「詳しい位置は解るか?」

 

「ええと……。大きな門の前に立っていますね。これは、学園でしょうか? 眷属等は見当たりません」

 

 

 魔獣と視界を共有しているレオナルドは暫く眼を瞑っていたが、少しすると光景が見えたようでフリードに伝える。密偵の視界から察するに学園前で調査を行っているようだ。一人で乗り込んできたという事は、今回はあくまで事前調査なのか。業を煮やして感情任せに来た可能性もある。

 しかし、これは絶好の機会だ。魔王が人間界にまで出てくる事は滅多に無いのだから。

 

 

 考えた末に彼はエクスカリバーを用いての奇襲を計画した。コカビエル曰く、サーゼクスは悪魔の中でもイレギュラーな存在で本気を出せば全身が『滅びの魔力』と化すらしい。触れた相手を形振り構わずに消し去ってしまう異形。そんな化物と正面から戦う訳にはいかない。

 

 

『相手はサーゼクスか。負けてくれるなよ?』

 

 

「……当然だ。塵すら残さない」

 

 

 予め倍加を限界まで行ってからフリードはエクスカリバーを構えた。譲渡の音声と同時にエネルギーを注ぎ込むと、剣は全盛期以上の輝きを放った。後はタイミングを見計らうのみ。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 サーゼクスはリアスが襲撃された日の足跡を辿っていた。躍起になり監視役には微塵も気付いていない。蝿を模した魔獣が飛び回っても、羽音すら無視して彼は町を進んだ。緑豊かだった都市は荒れ果てており、ゴーストタウンと化していた。

 領主不在の隙を突いた『はぐれ悪魔』の仕業だ。まさかここまで事態が悪化するとは、と思わず自分の失策を恨んだ。それでも過去ばかりを見ても仕方が無い。自身を励まして例の廃工場に向かった。

 

 

「この場所でリアス達は襲われたのか……」

 

 

 魔法で光を灯すと大量の腐敗した死体が転がっていた。蛆が生えている肉片を踏まないよう注意深く歩いていると、何かを一心不乱に貪っている音がした。野良犬の類か、腐臭に牽かれた魔獣か。魔力を集めそっと見てみた。予想通り中型の魔獣が二匹、肉を引きちぎっていた。

 そのまま離れようとするも運悪く片方が振り返る。眼が合った。

 

 

 啼きながら獣は突進してきた。続けて残る一匹も牙を剥き出しにして駆ける。新鮮な餌と認識されたのだ。サーゼクスは嘆息すると滅びの魔力を打ち出した。鍛えられた動作に避ける暇も無く、二匹は消滅した。野生の魔獣を屠る程度は造作もない。

 時間を消費してしまった、と踵を返す。また調査の再開だ。

 

 

「念の為に他も見回ってーー」

 

 

 刹那、だ。天井を巻き込んでエクスカリバーが振り下ろされたのは。聖なるオーラに倍加した破壊の能力が加算される。バチバチと轟雷に似た衝撃が辺り一帯を崩壊させた。廃工場を中心として、そこから何十キロも離れている駅前までは余裕で瓦礫となった。

 原型どころか影すらも残さずにサーゼクスは死んだ。彼が立っていた場所にフリードが降り立つ。もう聖剣は元のサイズに縮んでいた。

 

 

「ほら、残らなかっただろう?」

 

 


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