DSフリードの非日常   作:ミスター超合金

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停止教室のヴァンパイア
life.16 決意


 執務室からアザゼルの怒鳴り声が聞こえてきた。それも一度だけではなく、もう二時間近く彼は声を荒げている。理由は正座させられているコカビエル、そしてフリード達にあった。何せ教会からエクスカリバーを奪い挙げ句に魔王を殺害したのだ。堕天使総督としてアザゼルは頭を抱える。

 これで確実に悪魔との和平は不可能。更に話を聞けばコカビエルが連れてきたフリードとやらはリアスに襲撃を行い、眷属を殺害したと言うではないか。

 

 

「下手すれば戦争だな。しかも超越者が出てくるとなれば、不本意だが俺達も腹を括るしか無いぜ」

 

 

 暫く悩んだ末に彼は天界勢力との和平を結論付けた。堕天使単体で悪魔と戦えば尋常でない被害が出るだろう。また天界に隙を突かれる恐れもある。上記の懸念を払拭するには天界と同盟を結ぶしか無かった。

 それに今回の魔王殺害事件には教会側の聖剣(エクスカリバー)も関わっているのだ。奪われたと主張したところで、連中が矛を退くとは思えない。その辺りはミカエルも悟っている筈だ。

 

 

 もうコカビエル達に構っている暇は無くなった。本来なら軍法会議にかけて、重い処罰をしなければならない。しかし彼等は貴重な戦力。特にコカビエルは先の大戦を生き残った強者だ。彼の不在は士気を落とす事となる。

 結局、命令違反による本部謹慎を言い付けると追い出すように執務室から退かせた。そのまま閉じられてしまった扉を背景にフリード達は立ち上がる。

 

 

「……で、コカビエルさんの預かりになったウチらも謹慎っスか?」

 

 

「そう言う事だ。と言っても一週間だがな」

 

 

 得意気に笑うと彼は一同を伴い、訓練施設に足を進めた。勃発するであろう戦争に興奮を覚えながら。

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 コカビエル達が出ていった後にアザゼルは通信術式を開いた。暫くしてモニターに緊張した表情の青年が浮かび上がった。彼こそが四大熾天使(セラフ)の一角、ミカエルだ。姿が映ると直ぐにアザゼルが口を開く。

 

 

「……事情は呑み込んでいるよな?」

 

 

『ええ、全て。厄介な事をしてくれましたね。尤も私達の監督不届きもありますが』

 

 

 苦虫を何匹も噛み殺したような顔でミカエルは洩らした。彼やアザゼルとしては三大勢力で和平を結びたかった。だがそれも叶わない。今や戦争まで秒読みに入っているのだから。苛つきを隠そうともせずに話を続けた。

 

 

「単刀直入に言おう。俺は天界と同盟を結びたい」

 

 

 残る二勢力が手を結べば牽制になるし、仮に戦争が起きても勝ち目が生じる。裏を返せばそれだけ悪魔が台頭しているという事だ。考えたくは無いが、『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の存在もある。

 長い沈黙の後、ゆっくりとミカエルは頷いた。悪魔を相手に戦う決意がついた瞬間だった。

 

 

『……解りました。我々は堕天使勢力に協力します』

 

 




別に騙し合いは悪い事じゃないよ。相手を間違いさえしなければね


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