翌日。一同は新たにエクスカリバー研究の第一人者、バルパー・ガリレイを仲間に加えた。性格こそ歪んでいるが今回の作戦に欠かせない人物だとコカビエルは言う。詳しい事情は聞いていないが、悪魔以外に手を出さないと約束させた以上はフリードにとって誰でも良かった。寧ろ仲間が増えて心強い。
教会から事前に強奪した三振りの
「堕天使コカビエル、それに異端者フリード・セルゼン! 神の名において断罪してくれる!!」
目の前に現れた二人組の
そんな彼等の心中を悟ったのか、一人が声を荒げた。
「貴様ら、武器を取れ! それとも臆したのか!」
青い髪をした少女、ゼノヴィアが背負っていた大剣を構えた。同時にフリード達は気付く。あのオーラはエクスカリバーだと。これで殺さない理由は無くなってしまった。無表情を繕ってフリードは光の剣を取り出し、真横に軽くずらした。更に一撃、二撃。三、四、五。文字を描くかのように剣先をなぞらせていくと、光を消して柄だけとなった剣を懐に閉まった。
一連の動作に首を傾げていた彼女は、ふざけているのかと言おうとした。が、ゼノヴィアが口を開く事は無かった。
最初は視界が斜めにずらされた。次に痛みが同じ場所を迸った。彼が何をしたのか全く解らないまま、頭を押さえようとした腕までもが細切れになった。バラバラに崩壊していく。隣に立つツインテールの少女が何かを叫んでいるが、それすらも聞こえない。数秒後には剣だけが地面に突き刺されていた。
さて、とフリードはもう一人を睨んだ。
「……覚悟は良いんだろうな?」
「……ッ!?」
冷たすぎる眼差しに少女は動けない。ましてや、ついさっき相棒が殺された光景をまともにみているのだから。まだ死にたくない。生きたい。貪欲なまでの想いは何もかもを折られた彼女をある行為に走らせた。
「ど、どうか見逃して下さい!」
命乞いだ。
人間としてのプライドを放棄する少女、イリナ。土下座を繰り返す彼女の視界には映らない。フリード達が何れだけ冷たい視線を浴びせているのか。鼻を鳴らしてコカビエルは一歩近付いた。
「……エクスカリバーを寄越せ。そうすれば命だけは助けてやる」
「は、はい!」
即座に起き上がると、ゼノヴィアの分も含めて剣を二振り差し出してきた。受け取ったのを確認すると後ろも振り返らずに一目散に逃げていく。ミッテルトが不満げな顔で洩らした。
「良かったんスか? ウチらは兎も角、戦闘狂のコカビエルさんからすれば、ああいう輩は忌むべきものかと」
「敵に命乞いをして、おまけに大切な聖剣を進んで渡したんだ。もう奴に帰る場所は無い」
知った事ではないと、コカビエルは合計五本となったエクスカリバーを眺める。思わぬところで獲物が転がり込んだ。計画を最終段階に移行させるべく、彼等は歩き始めた。
狙うは駒王町を任された悪魔であり、魔王セラフォルーの実妹。ソーナ・シトリーだ。
誠意と品物。それさえ欠けなければ良い