英雄達の王   作:げこくじょー

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ヴァーリとの戦闘描写を修正しました。

戦闘描写って難しいですね……。


テロリスト死すべし、慈悲はない

ギルガメッシュが声をかけたと同時、ジャンヌは確かに『世界』に違和感が走るのを感じた。

 

立ち上がり、即座に聖剣を創り出したのは、殆ど反射の域だった。

 

警戒を怠っていたわけではない。

 

(警戒はしていた……誰もそんな素振りは見せてないのに……)

 

ギルガメッシュを除く全ての者に対して、最大限の警戒をしていた。この場に信じられる者は、ギルガメッシュただ一人。いつ、誰が、何をしたとしても即座に対処しきれるように。

 

窓の外。

 

校舎から離れた位置に、無数に展開される魔法陣。

 

そこから現れるのは黒いローブを着込んだ魔術師達だった。

 

その光景を見て、三勢力のトップ全てが警戒の色を示したことで、ジャンヌはこれらが悪魔、天使、堕天使のいずれの差し金でもなく、第三者の仕業であり、その目的がこの会合の邪魔であることを理解した。

 

「ちっ。来るんじゃねえかと思ってたが、本当に来やがったぜ」

 

「アザゼル、ミカエル。一先ず結界を。妹達の学び舎を傷つけるのは忍びない」

 

「そうですね。和平を結んだというのに、その場を破壊されるわけにはいきませんからね」

 

サーゼクス、アザゼル、ミカエルの三人は手を掲げると三人を中心として大きな防壁結界が展開され、校舎全体を包む。その直後に撃ち込まれる魔力の弾。雨あられのように襲い来る攻撃だが、音ばかりで届く気配はなかった。

 

「一先ずはこれで安全だろう。問題があるとすればーー」

 

「リアス・グレモリーの眷属とソーナ・シトリーとその眷属が停まってることを考えて、これは時間停止系の神器だな」

 

「これはまた……厄介ですね」

 

「王。如何致しましょう」

 

三人が話しているのを尻目に、ジャンヌはギルガメッシュに指示を仰ぐ。

 

先程の『頃合いか』という言葉。

 

おそらく、この状況を予期しての発言だとするのなら、ギルガメッシュは黒幕が誰かを見抜いているとジャンヌは察していた。

 

「構わぬ。雑兵は捨て置け」

 

「はっ」

 

聖剣は手にしたまま、ジャンヌはギルガメッシュの隣に立つ。

 

英雄王ギルガメッシュは多くを語らない。けれども、いつもその言葉は的確かつ無駄がない。

 

捨て置けと言ったということは、アレらは倒したところで何の意味もない。と言っているということ。

 

事実、アザゼルが一挙動で数百に及ぶ魔法使い達を屠ったにも関わらず、すぐに新しい魔法使い達が現れた。

 

神器の性質上、殲滅戦は得意と言い難い。それらを見越して出る必要はないと言ったであろうギルガメッシュに、相変わらず鋭いお方だ、とジャンヌは感嘆の息を漏らした。

 

突然の襲撃であるはずのテロ行為に対し、全く動揺を見せず、さもそれがあることを理解していたような振る舞いを見せる主。

 

至極当然の事であるのだが、まだまだだと自分を叱咤し、ジャンヌは一先ず傍観者に徹する。

 

兵藤一誠が復活し、世界を『停止』させているグレモリー眷属の仲間を救いに向かっていたり、白龍皇ーーヴァーリが、敵を引き付ける役を演じている間も、決して臨戦体勢を崩さない。

 

「おい、英雄王。まさかとは思うが、これはお前さんの差し金じゃないだろうな?」

 

ふと、アザゼルが冗談交じりにギルガメッシュに問いかける。

 

「無礼なっ!我が身ならいざ知らず、英雄王をテロリスト如きと同列に扱うつもりか!」

 

怒髪天を衝き、なお余りある怒りに怒声を発するジャンヌ。

 

それをギルガメッシュが手で制することで、言葉を止める。

 

「このような無駄な事をか?これしきの雑兵。いくら集めようと、お前には傷一つ付けられないだろうに。俺を甘く見過ぎだ、アザゼル」

 

「まぁ、そう言われればそうだな。お前さんなら一人で乗り込んでくるぐらいはやってのけるか」

 

「当たり前だ。王がその気になれば、お前達人外など塵芥に等しい」

 

殺気交じりの睨み付けも、アザゼルはどこ吹く風。

 

サーゼクスもあえて流し、アザゼルへと再度問いかける。

 

「先程の話の続きだ。『神器』を集めて、何をしようとしていた?彼のように、神器所有者の保護をしていたというわけではないのだろう?」

 

「備えていたのさ」

 

「備えていた?和平を結んだ直後に、不安のある物言いですね」

 

「お前らとは戦争しねえよ。ただな、自衛の手段ってのは必要だ。特にうちの総数はお前らよりも少ない。少ない被害も大きな損害に繋がるってわけだ」

 

「では、何に備えていた?」

 

「ーー『禍の団(カオス・ブリゲード)』だろう?」

 

アザゼルよりも先に、ギルガメッシュが答えた。

 

そこでジャンヌもはたと気づく。以前、何度かどこの所属とも知れぬ魔法使いが現れ、ギルガメッシュに話がしたいと言っていた時のことを。無論、直接謁見を許すほど、甘くはない。言伝をする形で魔法使いから話を聞いた時、その名前を耳にしたのだ。

 

よもや、テロリストであるなどとは露ほども思っていなかったジャンヌからしてみれば、腸の煮え繰り返る思いだ。日和っていた自分もさることながら、王の中の王であるギルガメッシュにそんな低俗かつ野蛮なものになれと誘いをかけていたのだから。

 

「なんだ、知ってたのかよ」

 

「以前、何度か勧誘をかけられてな。世界の変革とやらには賛同するが、外道と手を組みたいとは思わぬ。まして、人でないのなら尚更な」

 

「おいおい、俺達も人間じゃないぜ?潰すなら、この混乱に乗じた方が得策だったんじゃないか?」

 

「アザゼル……あなたはどちらの味方なんですか……」

 

「俺は無駄な血は流さぬ主義だ。話し合いで済むのなら、それに越したことはあるまい」

 

「そうかい。ま、今はその辺は置いておくとしてだ。話を戻すが、さっきギルガメッシュの言った組織は、以前からうちの副総督シェムハザが不審な行為をする集団に目をつけてた。そいつらは三大勢力の危険分子を集めてる。目的は……察しの通りだ」

 

至極単純。

 

和平を妨害し、トップを抹殺せんと動いている彼らの目的を察するのに数秒も時間を要さなかった。

 

あまりにも醜い。異種族と相争った後は、同種族と争う。なんと愚かしいことだろう。

 

「んで、ここからが問題だ。組織の頭は『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』と『白い龍(バニシング・ドラゴン)』よりも強大で凶悪なドラゴンだ」

 

「っ……そうか、彼が動いたのか。『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス。神も恐れたドラゴンが」

 

『そう、オーフィスが「禍の団」のトップです』

 

声と同時、会議室の床に魔法陣が浮かび上がる。

 

「そうか。そう来るわけか!今回の黒幕はーー」

 

舌打ちをするサーゼクス。

 

ジャンヌ自身は、魔法の類に精通しているわけではない。けれども、サーゼクスのその反応を見て、おおよそを察していた。

 

「ごきげんよう、現魔王ーー」

 

しかし、魔法陣が何であるか、現れたのが何者であるかはどうでも良いものだった。

 

現れるのは紛れもなく黒幕。そして、その者はあろう事か、ギルガメッシュの後方に『立って』現れるという。ただ、それだけ。

 

そして、それだけで十分だった。

 

「不敬な」

 

一閃。

 

聖なる力を纏った剣が、あまりにも無防備なその首をーー刎ねた。

 

予期せぬ一撃。予期せぬ行動。

 

例え、強者であったとしても、悪魔ならば聖なる攻撃を急所に打たれれば致命打となり、いくらジャンヌの聖剣が神器により、創り出されたものだとしても、それは最上級悪魔にさえも届くものだった。

 

「赦しなく、王を見下ろすなど万死に値する。身の程を弁えろ。愚か者」

 

冷徹な表情で塵となった黒幕を見下ろし、ジャンヌは聖剣を消失させ、新たな聖剣を生み出す。

 

この会合で、溜まったストレスの発散にもなったのは僥倖だった。敬愛する王への度重なる狼藉は、許し難いものばかり。仮にギルガメッシュが制していなければ、暴言の一つや二つで済まなかったかもしれない。

 

「おいおい、嬢ちゃん血気盛ん過ぎるんじゃねえか?」

 

「何を言う。王の御前に姿を現わすのなら正面から、そして誠意を持ち、頭を垂れて然るべきよ。招かれざる輩ならば尚更ーー」

 

「ジャンヌ。もう良い」

 

「っ……申し訳ございません」

 

「謝罪はいらぬ。お前は俺の事を思って尽くしている。それを叱咤すれば、底が知れるというものよ。それに、あの輩が賊の頭であったことも事実。褒めることはあれ、叱ることはないだろうよ」

 

「もったいなきお言葉……!」

 

そう言って微笑むギルガメッシュに膝をつき、頭を垂れるジャンヌ。

 

自らの独断を決して罰せず、それどころか結果的に黒幕を屠ったということで感謝の意を述べるギルガメッシュに、それだけでジャンヌの心は満たされていた。

 

忠臣。どこまでも愚直なまでの臣下の礼に、いっそ尊敬の念すら抱きかけていたその時ーー。

 

「しかし、忙しいものよな。()()()()、裏切り者ばかりではないか」

 

「王?」

 

突然立ち上がったギルガメッシュが、外にいる者達に向けて、財を撃ち放った。

 

そう、こちらに突進してきていたヴァーリも含めて。

 

ー◇◆◇ー

 

やっべ。ヴァーリごと吹き飛ばしてしまった。

 

あいつもなんだかんだ言って、物語の主要キャラ。攻撃するつもりはなかったのに。大雑把に攻撃しすぎたか。

 

「いきなりどうしたんだ?戦うつもりなんて、これっぽっちも見せなかったくせによ」

 

「何。黒幕は死んだ。ならば、次にすることは決まっているだろう」

 

さっさと終わらせて家に帰る。何せ、人外にとって夜は眠くなくとも、俺達人間にとっては夜は睡眠時間。昼夜逆転でもしていない限り、眠たくなるのが当然だ。

 

「早々に終わらせるとしよう。なぁ、ジャンヌ」

 

特に女性にとって、夜更かしは肌荒れの原因とも聞く。いくら神器持ちで、偉人の魂を引き継ぎし英雄だとしても、それは同じはずだ。ピリピリしてるし。

 

「はっ。では、このジャンヌ。王に仇なす不届きものに誅を下しましょう!」

 

ジャンヌは駈け出すと、窓を開け、そこから飛び降りる。

 

成る程、ストレス発散も兼ねつつ、迅速に事を終わらせようという考えか。

 

確かにバビロンで掃討するのは一瞬だが、それではストレス発散できるかと問われれば考えもの。ジャンヌにとっては人外と顔を合わせることが既にストレスとなっているわけだし、仕方がないな。それに、後で穴ぼこだらけにしたグラウンドを元に戻せと言われるのも嫌だし、ジャンヌに頑張ってもらおう。

 

外に飛び出したジャンヌは、まさに鬼神の如しといえるレベルだった。

 

黒幕が倒されたせいか、はたまた今しがた世界の違和感が消失したせいか、魔法使い達の増援は止まり、現段階でいる魔法使い達も、凄まじい勢いで斬り伏せられていた。

 

流石としか言いようがない。なんだかんだ言って、俺もジャンヌ達のような近接格闘に特化した相手は苦手であるし、出来ればあんなことしてみたい。いや、確かに安全ではあるよ?ただ、男なら誰しも己の力と技で一騎当千の活躍をしてみたいという願望をだなーーん?

 

その時、校舎がぐらぐらと揺れ、轟音と共に床が穿たれた。俺との距離。およそ数センチ!

 

またもや死にかけた。幸運は低いが、悪運は強いときた。そして、またしても俺はアレを展開するのを忘れていた……わけではない。必要ないと思ったんだもの。

 

床を穿って現れたのは、白い鎧ーー禁手状態のままのヴァーリ。

 

顔こそ見えないが、視線から感じられるのは確かな敵意だった。む、これはいよいよか?

 

「ふっ……恐れいったよ。古代バビロニアの英雄王。いつから気づいていた?」

 

何が……と言いかけたが、安心してください。覚えてますよ。

 

「無論、初めからよ。貴様が何者であるかなどにはとんと興味はないが、それを見逃す道理もない」

 

「興味はない、か。俺も、あまり自分の血に頓着していない。ただ、君と戦う権利は十分に有していると思うが?」

 

権利?ああ、コカビエルよりも強いからOKって事が言いたいのか?

 

「痴れ者が。権利などあるわけがないだろう」

 

強い弱いに興味はない。戦にも、争いにも、ヴァーリの出す答え全てに、俺と闘う権利を持つ者はない。

 

「そもそも『闘う』というのは、対等であってこそ。俺とお前ではたして対等だと思うか?」

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)されたら終わりだっつーの。第一、こっちは血縁詐欺やってるわけだし。偉い偉くないの話になるとなんとも……。

 

「そうか……なら、これならどうかなっ!」

 

ヴァーリの手に魔力が集まる。な、なんですとぉぉぉ!?

 

即座に甲冑と自動防御宝具(オートディフェンダー)を展開。他には……間に合わないかっ。

 

襲い来る魔力の弾を叩き落とす雷撃。それによって、爆発が起こる。

 

おおう……これ、グレモリー眷属とシトリー眷属大丈夫かな?

 

と、焦っていたら、三大勢力のトップ達はあの一瞬で防御結界を周囲の者達に限定して展開していたらしく、全くの無傷だった。良かった良かった。でも、そこには俺も入れて欲しかったでござるよ?

 

「おいおい、ヴァーリ。よりにもよって、お前が裏切り者ってか?」

 

「ああ。『アースガルズと闘ってみないか』と聞かれたら、俺には断れない」

 

「俺は強くなれとは言ったが、世界を滅ぼす要因だけは作るなとも言ったはずだ」

 

「関係ない。俺は永遠に戦えれば、それでいいんだ」

 

出ました、戦闘狂発言。俺の一番苦手なタイプだ。

 

闘ってみたことはないけど、この手の輩はダメージに怯まず、寧ろより闘志を燃やして来る。こちらが強ければ強いほど、一層強さを発揮する。勘弁してほしい。俺は対等に戦うのなんて危なっかしすぎて出来るだけ回避したいというのに。

 

「そして、ギルガメッシュ。人類を統べた王の末裔の力。俺に見せてもらおう」

 

ヴァーリがこっちに突進してくるのと同時、俺は窓から飛び出し、地面に着地する。

 

実はこう見えて、さして鍛えてもいないのにステータスが高かったりする。恐らく、バビロンを与えられた折、ギルガメッシュのステータス辺りも反映されたのかもしれない。おかげさまで高いところから飛び降りてもなんともございません。まぁ、ヴァーリの拳を食らっても問題ないわけではないけども。

 

すぐさまそこから離れると、校舎から飛び出してきた白い閃光が、俺を追いかけてくる。

 

当然、速さでは勝てない。しかし、こちらは『装備だけは』圧倒的に強い。

 

高速で接近してきたヴァーリを、自動防御宝具(オートディフェンダー)が雷撃となって襲う。

 

さしてダメージにはならないようだが、それでも一瞬動きを止めるのには十分だったので、即座にバビロンを展開。聖剣と竜殺しの魔剣は避けつつ、宝具群で追撃する。

 

爆発音と共にヴァーリの姿が土煙に隠れるが、もちろん攻撃の手は緩めません。殺すつもりはないけど、反撃する暇も与えません。何故なら相手は戦闘狂。多少のダメージは快感クラス。つまりドMの強化版といっても過言ではないのですよ。まして、禁手の鎧は本人がかなり疲弊していない限り、いつでも直せるわけですし?半殺しを狙うぐらいがちょうどいいと思います。

 

堪らず上に逃げてもなお追撃。飛んでくる魔力弾は勝手に迎撃して、こちらは攻撃に専念できるので、やはりバビロンは最強なんだ!慢心さえしなければ。

 

回避しながらもこちらに向かってくるヴァーリ。むぅ、いくら直線的だとしても、洒落にならない速さで射出されてるはずなんだけどなぁ。

 

「ははははは!面白い!面白いぞ、英雄王ギルガメッシュ!」

 

あーあ……スイッチ入ってるよ、アレ。これだから戦闘狂は。

 

「やむを得まい。殺すつもりは毛頭ないが、殺されるつもりもないのでな」

 

宝物庫から一振りの剣を取り出し、大きく振りかぶった後、縦に振るう。

 

「何をしてーーっ!?」

 

次の瞬間。ヴァーリとその周囲十メートルの空間が凍りつき、氷柱を作り出していた。

 

やはり加減が難しいな……凍らせておいてなんだが、アレ死んでないよな?

 

と思ったら、すぐに氷の柱を砕いて、中から無傷のヴァーリが現れる。流石は白龍皇。頑丈ですね。

 

「今のは少し驚かされた。その前もだ。全方位からの攻撃は流石に肝を冷やしたよ」

 

えぇ……全然そんな風には見えないんですが。鎧再生され続けたらもうわかんないな、これ。

 

「その割にはダメージはないように見えるな」

 

「そうでもないさ。鎧を修復できる機能がなければ、少なくともさっきの一撃でしばらくは動けなかっただろうからね」

 

……となると、割とダメージはあるのか。それならもう少しダメージを目に見せて欲しいものだ。うっかり殺しちゃったらどうすんだ、この後の(ストーリー)

 

「それで?今度は何を見せてくれる?」

 

「お前に見せるものなどない。第一、お前には俺よりも先に戦うべき相手がいるはずだが?」

 

「赤龍帝か……正直彼には期待していない。一応ライバルではあるが、それだけだ」

 

あー……そういえば、最初の頃、そんな感じの評価だったんだな。まぁ、魔王と人間のハーフでチート級の神器を持ってる天才とチート神器は持ってるけどパンピーから生まれた非才なら、妥当な評価か。

 

とはいえ、あちらと戦ってくれなければこちらとしては困るわけで。後、本音を言わせてもらうと、用はもう無いので帰りたいです、はい。

 

義務(宿命)は放棄か?であれば、早々に失せるがいい。お前と戦うものなどここにはいない」

 

主人公以外いませんよ?何故ならそれ以外は闘う理由と意味が無いから。主に俺とか。いや、他の方々にもあることにはあるんだが、主人公にふっかけたら手を出さなくなるだろう。

 

「……ならば、俺が赤龍帝を倒せばいいわけだな?」

 

「できるものならな。お前に奴は倒せん」

 

だって、相手は主人公だもの。

 

「面白い。彼を倒した後、今度こそ君と戦わせてもらう」

 

そう言ってからヴァーリは兵藤一誠の方に向かった。これでよし。後は主人公がなんとかしてくれるって信じてる。世界の運命そのものを味方につけている主人公様に。

 

後はジャンヌを呼ぶ……必要は無いみたいだ。

 

ベストタイミングでジャンヌがこちらに来た。空気が読める子で助かります。

 

「王。あの不敬者はーー」

 

「良い。帰るぞ」

 

「……よろしいのですか?」

 

「構わぬ。ここにいる意味はない故な」

 

雑魚もだいぶ掃討されたようだし、ヴァーリは兵藤一誠の方に。俺がすることは特にない。

 

バビロンからゲオルグ作の転移用魔法陣の書かれた紙を取り出す。

 

ここは結界によって外界と隔たれてはいるが、ゲオルグに比べればちゃちなものだ。

 

紙を上へと投げた瞬間、俺達の頭上に展開された魔法陣が俺達を英雄派の本拠地へと転移させた。

 


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