艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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ドイツと日本を結んだ潜水艦。の談。

少し真面目なシーン、独自設定、独自解釈含みます。


艦これSS改77話

 

 ○○鎮守府、二一〇〇ーー

 

 提督自室ーー

 

提督「遠慮することはない。はちのために用意したんだ、好きなだけ飲みなさい」ニコッ

はち「ありがとうございます。頂きますね♪」

 

 今宵、提督の部屋に訪れているのは、はちをはじめとした潜水艦の者達。

 提督は今日に合わせてドイツビールの『ドュンケル』とドイツの有名な蒸留酒『キルシュヴァッサー』をみんなに振る舞っていた。因みにキルシュヴァッサーは種子ごと潰したサクランボを醗酵させ、六週間前後寝かせた後に蒸留したお酒。

 

イヨ「ん〜、このお酒美味し〜♪」ゴクゴク

ろ「それをストレートで飲んだら、こっちのビールを飲むのがキルシュヴァッサーの飲み方なんだよ♪」

イヨ「へぇ〜……ごくっ……ん! 美味しい! ほのかな苦味がビールによく合うよ!」

ヒトミ「だからってあんまり飲み過ぎないでね? 今日ははっちゃんの大切な日なんだから」

イヨ「わ、分かってるよ〜」ニガワライ

 

しおい「おつまみ出来たよ♪」

ニム「フランクフルトとじゃがバター♪」

イク「提督用にお新香も持ってきたの♡」

ゴーヤ「美味しく出来たんだよ♡」

 

提督「ありがとう」ニコッ

イク「お礼なんかいいの〜♡」デレデレ

ゴーヤ「てーとくのためだもん♡」エヘヘ

 

まるゆ「イムヤさんは隊長のお側に行かなくていいんですか?」

イムヤ「い、いいわよ……今日ははっちゃんの日だもん////」←提督の部屋に来れただけで幸せ

 

 どうして今日がはちの大切な日なのかというと、はちはこの日にアメリカ駆逐艦『ストックトン』からの攻撃により沈んでしまったからだ。

 

 一九四五年・三月三十日。『伊八潜水艦』は同日、二三〇八に沖縄本島沖で、油槽船、輸送艦及び駆逐艦を含む機動部隊の一艦として慶良間諸島に向かう途中、敵にレーダーで捉えられ、二三三九から翌日三十一日の〇二三九の間、ストックトンから攻撃を受けた。

 ストックトンからの七回目の攻撃後、海面に重油が噴き出し、それは伊八潜水艦が損傷したことを物語る。

伊八潜水艦は艦首から浮上し、その後は砲戦、機銃戦。

 

 しかしストックトンの他にアメリカ駆逐艦『モリソン』もおり、瞬く間に上部構造物は吹き飛び、気泡を噴出。ストックトンは片舷用爆雷投射機三基で攻撃し、伊八潜水艦は三十分以上もローリング・ピッチングしながら集中砲火を浴びたのだ。

船体は命中弾を受けて人が通れる程の穴が開き、全甲板は剥ぎ取られ、艦橋は爆発によって粉砕。

 後、〇四一二に艦尾から沈んでいってしまった。

 しかし伊八潜水艦は最後の最後まで機銃戦を続行し、沈む直前まで銃口の火は止まなかったという。

 

 そういった日なので、提督ははちにこうしてお酒をご馳走しているのだ。それも彼女の好きなドイツのお酒を。

 

はち「提督、今年もありがとうございます。はっちゃんのためにここまでして頂いて」ニコッ

提督「このような日くらい甘えなさい。私ははちが笑顔でいてくれれば、それでいいんだ」ナデナデ

はち「ふふ、そういえば提督はそういう人でしたね……なら甘えちゃいます」エヘヘ

 

ニム「はっちゃん嬉しそう♪」

しおい「はっちゃんっていつもクールだけど、提督にはああやって甘えるの好きだからね」クスッ

ろ「ろーちゃんも提督に甘えるの好き〜♪」

まるゆ「ろーちゃんは隊長によく飛びついてるもんね♪」

 

 和気あいあいとみんなしてささやかな酒盛りをしている中、

 

イムヤ「…………」

イク「…………」

ゴーヤ「…………」

 

 とあるこの三名は羨ましそうに提督とはちを見ていた。

 

ヒトミ「皆さんどうしたのかしら?」

イヨ「そりゃあ、LOVE勢だからはっちゃんが提督と仲良くしてるのが羨ましんでしょ?」

ヒトミ「あぁ……皆さん、提督が大好きだもんね」ニガワライ

イヨ「まぁあんだけいい人だと惚れるよね〜♪」

ヒトミ「イヨちゃんも提督が?」

イヨ「イヨ? イヨはライクだよライク♪ お酒飲ませてくれればオーケー」ニシシ

 

 イヨの言葉にヒトミはガクッと頭を垂れるが、それはそれでイヨらしいので凄く落ち込んだ訳ではない。

 

提督「ほら、グラスが空いているぞ」トクトク

はち「ん、ダンケ♪」

ろ「提督はそろそろお水?」

提督「あぁ、そうだな。もらおうか」ナデナデ

ろ「は〜い♪」

イムヤ「あ、なら私が持ってくるわ」

提督「ありがとう、イムヤ」ニコッ

イムヤ「わ、私も飲みたかったからついでよ、ついで♡////」ドキドキ

 

 そう言い残すと、イムヤは水を汲みに台所へと向かった。

 

イク「提督〜、イクも提督からお酌されたいの〜」

ゴーヤ「ゴーヤも〜」

 

 声をかけるタイミングを見計らっていたイク達が捨てられた子犬のような眼差しでお願いすると、提督はニッコリと笑ってイクとゴーヤのグラスにお酒を注ぐ。

 するとイクもゴーヤも提督からお酌されたお酒を嬉しそうに、でも味わって飲むのだった。

 

ニム「まるゆちゃん、じゃがバターに何かけてるの?」

まるゆ「マヨネーズです」ニコッ

ニム「お〜、マヨネーズか……美味しいよね〜」

しおい「明太マヨが至高でしょ♪」

はち「はっちゃんは塩辛かな♪」

イヨ「贅沢にいくら!」

ヒトミ「私は……チーズかな」ニコッ

提督「どれも美味しそうだな」アハハ

イク「ちょい足しで味は無限なのね〜♪」

 

ゴーヤ「ろーちゃん、おもむろにゴーヤのじゃがバターにかけようとしてるそれは何でち?」

ろ「ゴーヤで作ったソース!」キラキラ

ゴーヤ「やめるでち!」

 

 そこにイムヤが戻ってくると「相変わらずね」とゴーヤと呂のやり取りにツッコミを入れつつ、提督の新しいグラスに水を注いだ。

 

提督「イムヤはじゃがバターに何をかけるのが好きなんだ?」

イムヤ「へ、私? そうね……ハーブソルトかな。シンプルで飽きないわよ♪」

提督「ほぅ……それもそれで美味そうだな」

イムヤ「じゃ、じゃあ司令官もそれで食べる?////」

 

 イムヤの誘いに提督が頷くと、イムヤは嬉しそうに微笑んで甲斐甲斐しく提督のじゃがバターにお気に入りのハーブソルトをかけてあげるのだった。

 

はち「……♪」ニコニコ

 

ろ「はっちゃん、今幸せ?」

はち「ろーちゃん……うん、幸せだよ。みんながいて、提督もいて」ニッコリ

ろ「良かった……これからもみんなで仲良く頑張ろうね♪」

はち「当たり前♪」ウィンク

 

 こうしてはちはまた新たにみんなとの楽しい思い出を胸に、明日からも頑張ろうと誓うのだったーー。




今日は本編に書きました通り、伊八潜水艦が沈んでしまった日ということでこのような回にしました。
この日に沈んだ伊八潜水艦と艦と運命を共にした多くの英霊の方々に心からお祈りします。

そう言う日でもありますが、山城さん、龍田さん、古鷹さん、響ちゃん、朝雲ちゃん、萩風ちゃんと多くの娘達の竣工日です!
みんなおめでとう!

本編内の情報はWikipediaより得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!

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