キャラ崩壊、独自設定含みます。
○○鎮守府、一二四〇過ぎーー
重巡洋艦寮・妙高型姉妹部屋ーー
妙高「それじゃあ、私達は訓練に行ってくるわね?」
那智「ゆっくり休んでいるんだぞ?」
足柄「何かあったらすぐに人を呼ぶのよ?」
羽黒「は〜い」ニガワライ
布団に横たわる羽黒が返事をすると妙高達は笑顔を返しつつも、後ろ髪を引かれる思いで訓練へ向かった。
本日、羽黒は微熱があり、大事を取って……というより過保護気味な姉達に言われるがまま寝かしつけられたのだ。
元々今日の羽黒はお休みだったが、提督はせっかくの休みが風邪で潰れてしまうのは可哀想ということで、明日の任務は午前中だけ出てもらい、午後はまるまる休日とする特例を出した。
羽黒はそんな提督や姉達の心遣いに感謝しつつ、これからの時間をどう潰そうかと思案する。
羽黒(これまで読んでた本は読み終わっちゃったし、午前中に雑誌も隅々まで読んじゃった……どうかようかな〜……)
すると部屋のドアが小さくノックされた。羽黒がそのノックに対して「開いてます」と答えると、
那珂「那珂ちゃん登場〜☆」
神風「失礼します」ペコリ
雪風「失礼しま〜す♪」ノシ
三人が入室してきた。
羽黒が頭の上にはてなマークを浮かべている中、三人は羽黒のすぐ隣に座る。
那珂「風邪で寝て込んでるって聞いたからお見舞いに来たの♪」
神風「お加減はどうですか?」
二人の言葉に羽黒は「微熱だから大丈夫だよ」と返すが、どうしても二人に訊きたいことがあった。
羽黒「雪風ちゃんも、わざわざ来てくれてありがとうね」ナデナデ
雪風「いえいえ♪」
雪風の存在だ。勿論、お見舞いに来てくれたのは感謝しているが……。
羽黒にとって那珂は同じ末っ子で共に個性的な姉を持つのでシンパシーを感じ合った仲。性格はかなり対照的な二人だが、色々と趣味も合う……要するに馬が合うのだ。
そして神風は言わずもがな。艦時代の深い関係が今も続いており、羽黒は妹同然、神風は姉同然にそれぞれ慕い合っている仲。
そんな二人とは違い、雪風と羽黒は普段からあまり接点がない。ここの艦隊全体が家族のように仲良しなので見舞いに来てくれたことはそう不思議ではないが、那珂や神風とはどうしても温度差があるのだ。
那珂「雪風ちゃんはね〜、幸運艦だから来てもらったんだよ♪ 雪風ちゃんの幸運パワーで風邪なんて吹っ飛ばしてもらっちゃお☆」
雪風が来た謎が解けた瞬間である。
雪風「呼ばれて来ました!」キリッ
羽黒「そっか……ありがとう」ナデナデ
羽黒は雪風が来た理由に思わずクスクスと笑いつつも、また改めてお礼を言って雪風の頭を撫でた。雪風はそんな羽黒に「えへへ〜♪」と笑みを返す。
すると、
神風「(・へ・)」ムゥ
神風が珍しく口をへの字に曲げていた。
羽黒は神風にとって大好きなお姉ちゃん。なので、そんなお姉ちゃんが他の娘を撫で撫でしていることに、ほんの少しだけヤキモチを焼いてしまったのだ。
那珂「神風ちゃんが羽黒ちゃんに撫でてほしそうな目で見てるよ〜」ニヤニヤ
神風「ぁ……うぅ〜////」ウツムキ
羽黒「ふふ、神風ちゃんもありがとうね」ナデナデ
神風「っ……えへへ////」
ちゃんと神風にもお礼を言って撫でてあげると、神風は羽黒からの撫で撫でに思わず表情をフニャッとさせた。羽黒はそれが可愛くて自分も頬を緩めるのだった。
那珂「でも微熱で良かった〜。足柄さんから羽黒ちゃんが寝込んでるって聞いた時はビックリしちゃったもん」
羽黒「ごめんね。足柄姉さん……だけじゃなくて、姉さん達は少し大袈裟なところがあるから」ニガワライ
神風「私、羽黒さんが大変だと思って司令官のCD(艦これSS改49話のヤツ)借りてきたんですけど……」
羽黒「き、聴きたいけど、熱上がっちゃいそうだから遠慮しとくね……気持ちだけ受け取るから////」カァー
雪風「既にお顔が真っ赤っかです!」
羽黒の赤面を雪風が指摘すると、羽黒はそれが恥ずかしくて布団に潜り込んでしまう。
雪風「あわわ、ごめんなさい〜」ユサユサ
羽黒『だ、大丈夫だよ!//// ちょっと潜りたくなっただけだから!////』
神風「」ニガワライ
那珂「あ、そうだ! 羽黒ちゃん、今日のお昼御飯は何食べた?」
那珂の質問に羽黒は、布団から少しだけ顔を覗かせてから「お粥食べたよ?////」と返した。
那珂「風邪に効くフルーツポンチ作ってあげようと思って材料買ってきたんだけど、どうかな? 食べれそう?」
羽黒「わぁ、ありがとう。小さな器分くらいなら食べたいなぁ」ニコッ
那珂の心遣いに羽黒はいつも通りに戻って返す。すると那珂は「じゃあ待ってて☆」と言って部屋から出て行った。
羽黒「楽しみだなぁ」ニコニコ
雪風「どんな物を買ったんでしょうね〜?」
神風「確か……パイナップル、みかん、黄桃のそれぞれの缶詰とサクランボだったかな? それとこんにゃくゼリーのイチゴ味」
雪風「美味しそうですね!」キラキラ
羽黒「那珂ちゃんはお料理も得意だからね」クスッ
それから暫くすると、那珂が元気に戻ってきた。
しかし那珂だけではなかった。
提督「お邪魔するよ」ニコッ
提督も一緒だったのだ。
那珂は確かにフルーツポンチを作りに行った。ただそれだけではなく、提督に連絡をして羽黒のお見舞いに来てくれないかと伝えており、その連絡を受けて提督はこうしてお見舞に来たのだ。
その証拠に提督の後ろで那珂が満面の笑みで羽黒に向かってピースサインをしている。
羽黒はそれに驚いたが、那珂の気遣いが嬉しくてはにかむのだった。
提督「調子はどうかな?」
羽黒「はい、大丈夫です♡////」
提督「無理をしてはいないか? 羽黒はいつも無理をしてしまうからな。ちゃんと素直な気持ちを吐露するんだぞ?」ニッコリ
羽黒「は〜い♡////」ニヨニヨ
那珂「お顔は赤いけど、元気だよね☆ 提督に会えて羽黒ちゃん喜んでるもん♪」
羽黒「な、那珂ちゃん!?////」
提督「はは、それは嬉しいな」ナデナデ
羽黒「はうぅ〜……♡////」
那珂「それじゃあ、那珂ちゃん特製のフルーツポンチも作ってきたから食べて食べて♪ 神風ちゃんや雪風ちゃんの分もあるからね♪」
神風「ありがとうございます」ニコッ
雪風「ありがとうございます!」キラキラ
羽黒「ありがとう、那珂ちゃん」ニッコリ
那珂「提督に食べさせてもらう?」ニシシ
提督「私は構わんぞ?」ニコニコ
羽黒「ひ、一人で食べれましゅ!////」プシューッ
こうして那珂達や提督にお見舞いに来てもらった羽黒は、みんなに心から感謝をしてフルーツポンチを食べた。
提督は羽黒がフルーツポンチを完食するのを確認すると、羽黒の頭をもう一度優しく撫でてから執務室へ戻っていった。
それから羽黒は那珂達と妙高達が戻るまで楽しくお喋りをしながら静養し、次の日には全快を果たしたーー。
今日は羽黒さん、那珂ちゃん、雪風ちゃんの進水日なので、三人を登場させたほのぼの回にしました!
読んで頂き本当にありがとうございました!