艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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春の陽気に誘われて。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、ガムシロップ三個ほど含みます。


艦これSS改59話

 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

 晴天に恵まれた、本日。潮風も穏やか、差し迫る仕事も無し。まったりと穏やかな時が流れている。

 

提督「…………」

 

 執務を早めに終え、ソファーへ移り、只今伝令室へ赴いている本日秘書艦の大井を待つ提督だが、

 

提督「すぅ……すぅ……」

 

 完璧に居眠りモードへと移行してしまっていた。

 そしてそこへ大井が伝令室から戻ってきた。

 

大井「只今戻りました」

 

 大井はいつも通りに静かにドアを開け、穏やかな声をかけるが、目の前にいる提督は俯いたままで返事がない。因みに大井はいつも提督LOVEを拗らせているが、仕事モードの時は至って真面目である。

 

 そんな無反応な提督に首を傾げる大井。しかし大井は提督が何かの病に犯されているのかと思い、即座に提督の元へ近づき、声は出さずに先ずは顔色を伺った。

 

大井(………………寝てるだけ?)

 

 提督が眠ってるだけだと分かった途端、大井はヘナヘナと提督の隣に座り込んでしまう。それだけ大井は提督を心配したのだ。

 

 しかし、安心したのもつかの間。次なる問題が浮上した。

 

大井(提督の寝顔が……寝顔が……ここここ、こんなにににににちかちか近くににににに!♡)

 

 そう、大井のLOVEの暴走である。

 大井は提督にほの字になってから『明日、今日よりも好きになれる〜♪』状態で、去年の今頃より明らかに提督を大好きに……いや大大好きになっている。

素直になれずというか、極端な言葉の暴走により、その恋路は上手く行っているとは言い難いが、とにかく大井が提督を心から愛しているということは理解してほしい。

 

 そしてそんな相手の無防備な寝顔が大井の前にあるのだから、大井のLOVEが溢れるのも当然である。

 

大井(こんな天気なら居眠りもしちゃいますよねねねね♡ あ〜、今この瞬間を独り占め出来てる私、幸せ過ぎるぅぅぅぅ!♡)

 

 心の中でそう叫び、両手をワチャワチャさせる大井。

 傍から見たらかなり変な絵面だが、とても喜んでいることは理解出来る。

 

 と、次の瞬間、

 

大井「おうふ……♡////」ワナワナ

提督「すぅ……すぅ……」

 

 大井の膝の上にバランスを崩して倒れてしまった提督の頭がのしかかった。

 こうなったのも大井が隣でワチャワチャしていた結果だが、幸福中の幸いと言ってもいいほどの事態に発展し、大井は鼻血やらよだれやら、LOVEの大波が押し寄せてきている。

 

大井(ティッシュが足りないいいいい!♡////)

 

 大井はこの日のために持ち歩いていたティッシュケースから、何枚ものティッシュを費やすも、勢いは衰える様子がない。このままでは愛しの提督の顔に自分のLOVEが掛かってしまう。仮にそうなった場合、大井は二度と提督の前に顔を出すことは出来ない。

 そう考えている大井は必死によだれを吸い、鼻血を拭き、落ち着こうと努力する。

 

大井(提督の寝顔って核兵器並の破壊力ね……というか私の鼻血やよだれって無限なのかしら////)フキフキ ジュル

 

大井(それもこれも全部提督のせいね……提督が素敵過ぎるのがいけないのよ!♡////)ウンウン

 

大井(あ〜、でも本当に可愛い!♡)

 

「本当に本当に本当に本当に提督だ〜♡」

「近過ぎちゃってどうしよう〜♡」

「可愛くって〜 どうしよう〜♡」

 

大井(確かにどうしよう〜!♡)

 

大井(ん?)

 

 思わず流してしまったが今のは幻聴ではなく、確実に側で声がした。

 大井は恐る恐る顔を上げると……

 

球磨「お邪魔してるクマ〜♪」ニヤニヤ

多摩「春真っ盛りにゃ〜♪」ニシシシ

北上「良かったね、大井っち♪」ニヨニヨ

木曾「わ、悪ぃ、姉貴……」ニガワライ

大井「( ゚д゚)」ホワァ!

 

 北上だけでなく、球磨や多摩、木曾まで執務室に来ていたのだ。そして先程の歌は、この愛嬌あるニヤニヤ顔をしている姉三名がしたことだとハッキリ分かる。

 大井は提督を起こさないように必死で、口パクだが「静かに!」と三名に伝えた。

 

球磨「提督が居眠りなんてかなりのレアだクマ」フッフッフー

多摩「これは黙って撮影にゃ

 

 二人はそう言うとポケットから通信機(スマホ)を取り出して、提督(メインは大井が提督を膝枕してる画)を撮影する。しかもシャッター音も消すほどの周到性。

 一方で北上は何も言わずに通信機を使って二人を動画撮影している。

 

木曾(止めてやりたいが、大井姉貴も何だかんだピースしてたりしてるから止めない方がいいんだろうな〜)

 

 ただ木曾一人だけは大井達の向かいの椅子に座って窓の外を眺めていた。

 

 すると、

 

提督「む……んん〜……私としたことが、居眠りをしてしまっていたか……」

 

 提督が起きてしまった。

 提督はまだ寝惚けていてるが、自分が置かれている状況に首を傾げる。

 

提督「何故私はこんなにも通信機を向けられているんだ?」

北上「提督が大井っちに膝枕されてるから〜♪」

大井「……////」プルプル

提督「お? おぉ、大井、これはすまなかった。今どkーー」

大井「まだこのままでいいにゃるうぃ!♡////」

 

 提督の言葉を遮って大井は提督の頭を押さえつける。若干語尾が新たな言葉になっているが、とりあえずまだこのままでいて欲しいと願っていることを理解して頂きたい。

 

提督「しかし……」

大井「提督はいつも働き過ぎなんでしゅ!♡//// だからこういう時くらい甘えてくだしゃい!♡////」デレデレ

 

 真面目なことを言う大井だが、表情は崩壊しきっていて、言葉も所々噛んでいる。

 

提督「新しい書rーー」

大井「そんなのありませぬ!♡////」

北上「提督〜、今日は大井っちに甘えときなよ〜♪」

多摩「そうにゃそうにゃ♪ たまにはガス抜きも必要にゃ♪」

球磨「心細いなら球磨達も一緒にお昼寝してあげるクマ♪」

木曾(それはいつもと変わらい気がーー)

球磨「何か言いたいことあるクマ?」ニコニコ

木曾「な、ナニモナイヨー」メソラシ

 

提督「ありがとう、ではお言葉に甘えて仮眠させてもらおう」

大井「はひ♡ ごゆっくり♡」ナデナデ

球・多・北・木『おやすみ、提督♪』

 

 こうして提督は大井の膝枕で仮眠を取り、そのお礼として起きたら大井のことを膝枕してあげるのだった。

 その夜、球磨達は大井が眩しくてサングラス、笑い声がうるさくて耳栓をしたのは言うまでもないーー。




今回はまったりほのぼのと言った感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!

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