艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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夕雲型駆逐艦メイン。

独自設定含みます。


艦これSS改58話

 

 ○○鎮守府、一二〇〇過ぎーー

 

 野外グラウンドーー

 

藤波「ふぇ〜、やっと午前訓練終わった〜! 疲れた〜! そして水が美味し〜!」ゴクゴク

 

 本日の基礎訓練が終わった者達は水道場で喉の渇きを潤している。

 今回の訓練で新米なのは藤波だけで、松風は摩耶による対空訓練、ヒトミとイヨに至ってはイク達から魚雷発射訓練を受けているため別行動。

 

吹雪「お疲れ様、藤波ちゃん♪」

 

 すると共に訓練していた吹雪が藤波に声をかけた。

 藤波は「あぁ、ブッキーも乙〜」といつも通りに返すと、吹雪は複雑そうな顔をする。

 

吹雪「ブッキーって……」ニガワライ

藤波「あれ、嫌だった?」

吹雪「ううん、そうじゃないんだけど……新しく来た藤波ちゃんにまでブッキーって浸透してるんだと思うと、ちょっとね〜」

白雪「ふふ、吹雪ちゃんはあだ名で呼ばれるの慣れてないもんね♪」

藤波「へ〜、なら慣れるようにこれからもブッキーね♪」

 

 藤波が白雪の言葉に反応して笑顔で宣言すると、吹雪はまた複雑な顔を浮かべつつも頷いた。

 すると初雪を背負う深雪があることに気付く。

 

深雪「なぁ、あれ清霜だよな?」

 

 その言葉に藤波が深雪の目配せした方を見ると、清霜がグラウンドの外から中を伺っている。

 

藤波「入ってきたらいいのに何してんだろ……戻るついでに声かけてみるわ」

 

 藤波はそう言って立ち上がると、吹雪達に「んじゃ、また♪」と声をかけて清霜の元へと向かった。

 

 

 ーー

 

藤波「清ちん、な〜にしてんの?♪」

清霜「あ、藤波姉さん♪ 訓練終わった?」

藤波「うん、この通り♪ グラウンドで何かする予定なの?」

清霜「ううん! 藤波姉さん待ってたの!」

藤波「うん?」

 

 小首を傾げる藤波に、清霜は「早く着替えてきて♪」と背中を押して急かす。藤波が「何なの?」と訊いても、清霜は「まだ内緒!」と笑顔で答えるだけ。

 そんなこんなで藤波は清霜に言われるがまま、シャワーを済まし、普段の制服に着替えると、清霜に手を引かれて寮へと向かうことになった。

 

 

 駆逐艦寮、大部屋ーー

 

 清霜に連れられて藤波がやってきたのは寮の大部屋。

 それによりますます謎が深まる藤波に対して、清霜は大声で「藤波様の御成ぁぁぁりぃぃぃ!」となんとも勿体ぶった言葉をかけた。

 

 するとすぐにドアが開かれ、藤波は思わずその光景に「うわぁ」と声をあげる。

 

 大部屋の中には大きなテーブル。その上に豪華な料理がドドンと並べられており、ドアから正面には『藤波 着任おめでとう!』と手書きされた横断幕が飾られていた。

 

藤波「え〜、何これ? 藤波聞いてないよ?」キョロキョロ

 

長波「言ってねぇもん、知らなくて当前だろ♪」ニシシ

風雲「サプライズ大成功〜♪」

高波「えへへ、驚かせちゃった、かも」ニコニコ

 

 他の姉妹も藤波の反応に満足気な声を出し、サプライズ成功を喜んだ。

 

清霜「藤波姉さん、こっちだよ♪ 清霜の隣の席〜♪」

藤波「もぉ、分かったから、そう引っ張らないで♪」

 

 口ではそう言いつつも藤波の口からは、すっかりお馴染みとなった「いっひひっ♪」という笑い声がもれている。

 清霜と沖波に挟まれるように藤波が座ると、長女である夕雲から小包を渡された。

 

夕雲「これは私達、姉妹からのプレゼントよ」ニッコリ

藤波「うわぁ、マジ? ありがと♪」

 

 藤波が小包を受け取ると、みんなに開けてごらんと促され、笑顔でガサゴソと包を開く。

 

藤波「あ……湯呑♪ しかも藤波って入ってる〜!」キラキラ

巻雲「今回は早めに用意したので、沖波さんみたいに待たせることはしませんでした!」キリッ

早霜「沖波姉さんは全く知らなかったけどね」クスッ

沖波「だ、だってまさか姉妹から改めてお祝いされるなんて思ってなかったから////」

 

 目を輝かせる藤波に、去年のことを言われて熱くなった頬を手で押さえる沖波。

 この湯呑は姉妹お揃いの湯呑であり、名前は明石にお願いして入れてもらった物。

 

 藤波は嬉しさのあまり、その湯呑をぎゅうっと抱きしめ、満面の笑みを浮かべている。

 

長波「沖波とは違う反応だな♪」

夕雲「ふふ、みんな個性が出ますからね」

風雲「今のところ泣いたのは高波と沖波と朝霜よね♪」

 

 風雲に言われた三人はそれぞれそっぽ向いて聞き流す。

 

巻雲「清霜は喜び過ぎて湯呑落としちゃいましたよね〜」ニガワライ

清霜「うん、座布団の上に落ちたから大丈夫だったけど……」テヘヘ

早霜「私は喜んで、特別な時にしか使えなくなってるわ」フフ

朝霜「よく言うぜ、毎晩湯呑使って晩酌してるくせに」

早霜「毎日が特別だからね」クスッ

 

沖波「一番最初に着任した巻雲姉さんが司令官から湯呑を頂いたのがきっかけで、こうしてるんですよね?」

巻雲「そうですよ♪ それから夕雲姉様が着任してお揃いの湯呑をプレゼントして、次が長波って感じでしたね♪」

藤波「へぇ、ならまだ着任してない姉妹もいるから、また用意しなきゃね」イッヒヒッ

清霜「そうだね〜♪」

朝霜「んな先のことより、今は藤波姉の着任を祝おうぜ〜。ほら、洗って来てやるから湯呑貸しな♪」

 

 藤波は朝霜に湯呑を渡すと、朝霜はそれを丁寧に大部屋の流し台で洗う。

 その間に夕雲や巻雲は飲み物を用意し、朝霜が戻ってくると先ず最初に、本日の主役である藤波の湯呑にジュースを注いでいくのだった。

 

 

 ーー

 

夕雲「皆さん、回りましたか?」

妹ズ『は〜い♪』

夕雲「では、藤波さんの着任を祝して〜……せ〜の♪」

全員『カンパ〜イ♪』

 

 夕雲姉妹では恒例となった湯呑での乾杯。それを終えると、みんな思い思いに料理を取り分ける。

 

沖波「藤波姉さん、何食べます?」

藤波「沢山あって迷うけど……この中央に鎮座してるピザから貰おっかな♪」

巻雲「それは巻雲と風雲、長波がイタリアさんに聞いて作ったんですよ♪」

藤波「え、マジで!? 風雲姉、怪我とか火傷しなかった!?」

風雲「あ〜、何だろ〜、この既視感〜……」ハイライトオフ

長波「なっはっはっは♪ 歴史は繰り返されるってな♪」

巻雲「大丈夫です! 風雲さんは生地をこねるのと、トッピングしか携わってませんから!」

藤波「そかそか〜、なら大丈夫だぁね〜」ホッ

風雲「何か納得出来な〜い!」

 

夕雲「パルメザンチーズも使ってるのね」フムフム

高波「トマトソースじゃなくてホワイトソースなのも新しいかも」キラキラ

早霜「何かと新しいわね……」ウンウン

風雲「そ、そうでしょう!?」←間違えたとは言えない

朝霜「早く切ろうぜ♪」

清霜「均等にね!」

藤波「姉妹平等にね♪」イッヒヒッ

 

 こうして藤波は姉妹から素敵なプレゼントと美味しい料理、そして笑顔あふれる思い出を貰い、幸せな時を過ごしたーー。




今回は姉妹ほのぼの回って感じです♪

読んで頂き本当にありがとうございました☆

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