艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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長良型軽巡洋艦、陽炎型駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、若干のR-15含みます。


艦これSS改40話

 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 当鎮守府は昨日の三重……いや、五重以上のキラ付け効果により、艦隊は『小笠原諸島航路』で大躍進し、早くも後段作戦へ駒を進めている。

 しかし期間にはまだまだ余裕もあるため、本日は後段作戦への出撃は無しで、提督はみんなへ英気を養ってもらうための休暇を与えた。

 それでも書類仕事はあり、それを見越していた不知火は提督のお手伝いにやってきていた。当初の予定ならば元々この日は秘書艦だったので、不知火が半ば強引にお手伝いしている状態である。

 そして、

 

 

 執務室ーー

 

不知火「…………」ジーッ

提督「…………」ニガワライ

 

 その不知火は、提督のことを穴が開く程に見つめている。いや、正確には提督の机の上。

 そこには、

 

提督「何もおかしな物はないから安心しなさい。どれもチョコレートだ」ニガワライ

 

 そう、バレンタインデーのチョコレートが提督の机に並んでいた。それも少なくとも十はある。

 それはどれも鎮守府外部の女性から送られてきた物で、不知火はそれを睨んでいるのだ。

 

不知火「中には司令の暗殺を企てている者もいるかもしれません。即捨てるべきです……あ、でも香取さんと鹿島さんのは安全だと思います。彼女達は同志ですので」

提督「それを言えば他の方々のもそうだろう? どれも私と同じ提督をしている方々なのだから」

  (中には面識の無い方もいるが……)

不知火「いいえ、司令の才能を妬んだ者による犯行があるはずです」

 

 香取や鹿島のチョコレート以外には難色を示す不知火。

それもそのはず、不知火にとっては香取達以外のどの差出人も敵であり、自分達艦娘には出来ない本当の意味での結婚が出来るからだ。

 全体を見れば、提督と艦娘が正式な結婚をしている例もある。しかしそれは本当に稀なケースであり、そんなミラクルはそうそう起こるものではない。

 そのため、不知火にとってはどのチョコレートも気に食わないのだ。

 

不知火「特にその□□鎮守府の提督は要注意人物です。よそのトップの方を悪く言いたくはありませんが、駄目なんです」プクゥ

 

 不知火は両頬をぷっくりと膨らませて抗議する。それはさながらもんちを起こす子どものようで、提督としては不知火に失礼だと思っても、その様子が可愛く思えた。

 

提督(しかしせっかくの厚意を無駄にするのも後味が悪い……)

 

 すると提督はあることを思いつく。

 

提督「不知火」

不知火「何でしょう?」クビカシゲ

提督「そんなに気にするなら、一緒に食べないか? それなら心配ないだろう?」

不知火「…………」フム

 

 不知火は腕を組み、顎に手をあてて思考を巡らせ、幾ばくかした後、

 

不知火「でしたら不知火は司令からの『あ〜ん』を所望します」キリッ

 

 と主張した。それを提督は二つ返事で許可すると、不知火は自然と天高らかにガッツポーズをしていた。それくらい自然と飛び出してしまう程の喜びを不知火は感じていたのだ。

 

不知火「では、毒味として不知火から頂いてもよろしいですか?」

提督「分かった」

 

 すると不知火は何故か提督のすぐ横に行き、その場で跪き、提督に向かって「(*´Д`)(こんな)」感じで口を開けて待機。

 

提督(大袈裟な……)ニガワライ

  「ほら」つ□提督のチョコレート

不知火「はむ……」モキュモキュ

提督「どうだ?」

不知火「まぁまぁ、まぁまぁです。えぇ、まぁまぁですとも」キラキラ

 

 不知火は口ではそう言うものの、その顔にはハッキリと美味しいと書いてある。提督はそんな不知火がまた可愛くて、まるで親鳥になったような気分で不知火に次のチョコレートを与えると、不知火はそれを素直にモキュモキュするのだった。

 

 するとドアをノックする音がし、提督はそれに「入りなさい」と返すとドアから由良と初風が姿を現した。

 

由良「提督さん♡ 昨日の報告書持ってーー」ピシッ

初風「私も報告書を提出ーー」ピシッ

 

 言葉の途中で二人は固まった。

 何故ならば、目の前の光景に思考が停止したからだ。

 

 今の二人から見える光景。それは提督の前で跪く不知火の姿+提督は不知火の方に身体ごと向けているという光景だ。

 机のせいで全てがハッキリとは見えないが、二人からすればこれは不知火が提督にうわ〜おなことをしている風にしか見えない。

 由良も初風もLOVE勢。しかもその愛はかなり重い方の者達である。

 

不知火「お二人共にどうされたのですか?」ゴシゴシ

 

由・初『(◞≤●≥◟ ;益;◞≤●≥◟)』クワッ!!

 

 一瞬、ほんの一瞬だけ、二人は女の子がしてはいけない顔になった。何故なら顔を出した不知火が、口元を拭いていたからだ。これはもううわ〜おなことをしていたとしか思えないと二人は感じた。それ故のあの一瞬の表情だった。

 提督はその一瞬の顔付きに少々驚きつつ、二人にどうしたのかと言ったような問いをすると、

 

由良「(ㆁ言ㆁ)」ゴゴゴゴゴ

初風「(Ӧ 言 Ӧ)」ゴゴゴゴゴ

 

 二人は無言のまま提督達の元へ近寄っていく。そのオーラはさながら艦隊決戦へ挑むような迫力があり、これには不知火も思わず姿勢を正す程。

 

提督「二人も食べるか、チョコレート?」

由良「チョコレート、ですか?」

初風「うわ〜おではなくて?」

提督「? ……そのうわ〜おとやらが何なのか分からんが、今私は不知火にチョコレートを食べさせてあげていたんだ。何だか可愛くてな」フフフ

不知火「司令……♡////」トゥンク

 

 すると二人のオーラはスーッと何処かへ消えた。

 

由良「やだ〜もぉ〜♡ 提督さん、由良早とちりしちゃいました〜♡」ギュッ

初風「私もよ♡ 驚いたんだから♡」スリスリ

 

 もういつも通りの二人。そして先程の反動からか、二人は提督のそれぞれの腕に擦り寄って、甘々な声を出している。

 

提督「よく分からんが、すまなかったな」ニガワライ

由良「いいですよ〜♡」フフフ

初風「こっちこそごめんなさいね♡」ニコニコ

提督「それで、どうかな? このチョコレートを一緒に食べないか?」

 

 提督が改めて二人に訊くと二人は元気良く「は〜い♡」と返し、不知火と同じように提督の手からそのチョコレートを食べせてもらうのだった。

 しかし不知火と同様、この二人も香取と鹿島のチョコレート以外は良い顔をしなかったそうなーー。




 おまけーー

 その頃、□□鎮守府ではーー

□提督「今頃、あのお方は私のチョコを食べてくれているかしら〜♡」デレッデレ
吹雪「司令官、デレデレするのは勝手ですけど、ちゃんとお仕事してくださいよ〜」ニガワライ
□提督「やってるじゃない、失礼ね」プンプン
白雪「デレデレ顔のまま猛スピードで書類書かれていると、何だか落ち着かなくて」ニガワライ
初雪「て言うか、キモい。そんなだから縁談もkーー」
深雪「おい、初雪!?」

 ドゴォ!←机を殴る音

初雪「((((;゚Д゚))))」ピィィィヤァァァ!!?
□提督「あらぁ、こんな季節に蚊がいたから思いっきり机を叩いちゃったわぁ♪」ニコニコ
吹・白・深『』ニガワライ

□提督「それで、初雪?」ジロリ
初雪「ぴょっ!?」ビクッ
□提督「縁談がどうかしたのかしら?」ジリジリ
初雪「えっと……その……」オロオロ
□提督「(≼⓪≽◟⋌⋚⋛⋋◞≼⓪≽)」ドウシタノカシラー?
初雪「仕事出来るからきっともうすぐ訪れると思うよよぉぉぉ!」
□提督「や〜ねぇも〜♪ そんなおべっか使って〜♪ 何も出ないわよ〜♪」ナデナデ
初雪「( 。゚Д゚。)」コクコク
□提督「また今度、あのお方に何か贈り物しましょ♡ アプローチはしっかりしなきゃ!♡」メラメラ

吹・初『ヨシヨシ( *´・ω)/(;д; )エグエグ』
深雪「触らぬ神なんとやら」人
白雪「それ意味がちょっと違うと思う」ニガワライ

 今日も□□鎮守府は平和だったーー。

 ーーーーーー

ということで、今回はバレンタインデー後のちょっとした一幕を書きました♪
各キャラの壊れっぷりにはご了承を。

そして今日は由良さんの進水日と初風ちゃんの竣工日です!
二人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました♪

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