艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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意外と知らない食文化。の談。

キャラ崩壊、ネタ含みます。


艦これSS改24話

 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

あきつ丸「今回の卸しに関して、何か漏れはありますでしょうか?」

間宮「いいえ、全部あります」ニコッ

伊良湖「今回もありがとうございます」ニコッ

速吸「これ、お礼の間宮羊羹と伊良湖最中です♪ そちらの司令官さんと食べてください♪」

あきつ丸「お、恩に着るであります////」

 

 速吸からそれぞれの甘味を受け取ったあきつ丸は、顔を微かに赤く染めつつお礼を言って鎮守府を後にした。

 

日向「今回は妙に海老が多いな」

伊勢「何で私を見るのよ、日向」ニガワライ

日向「何でもない」プイッ

  (伊勢海老は無くても、伊勢と海老が揃うと、何だか笑えるなww)

 

 何やら一人ツボに入った日向はさておき、ここに集まった者達はみんな、お手伝いにやってきているのだ。

 

陽炎「でも海老にしては変わってるわね〜。ハサミが大きいし……」

不知火「それでいて大きな海老ね。掌サイズくらいかしら」フムフム

黒潮「これで天丼……いや、海老天蕎麦もええなぁ♪」

親潮「海老フライもいいですね♪」

野分「これ死んでる……のよね?」ツンツン

嵐「カチンコチンだから死んでるだろ」ニガワライ

萩風「でもどれも立派な海老だね」ウワァ

舞風「シンプルに茹でただけってのも美味しそう♪」

秋雲「秋雲的には〜、この海老でグラタンがいいな♪」

 

 陽炎型姉妹の面々もこうしてお手伝いに来ている。

 因みに他の姉妹は遠征や訓練中である。

 

伊勢「この海老を仕入れてって頼んだのはテストよね?」

テスト「えぇ」ニコッ

日向「やはりフランス料理にするのか?」

テスト「そうよ♪ でもこれは海老じゃないの♪」

 

 その言葉に間宮、伊良湖、速吸を除く面々は小首をそれぞれ傾げた。

 

日向「これが海老じゃないならなんなのだ?」

テスト「これは、フランス語でécrevisseと言って、日本で言うザリガニなのよ♪」

 

 テストがそう言うと、みんなは驚きのあまり声が出なかった。

 

間宮「因みに日本では北海道の阿寒湖で獲れるザリガニが食用として出荷されているのよ♪」

伊良湖「しかもザリガニの味はタラバガニに似てて、市場では同じ大きさの海老よりも高値で取引されているんですよ♪」

 

 二人の説明にみんなは更に目を丸くさせ、卸したばかりのザリガニに注目した。

 

速吸「今でも普通の小川や池にいるザリガニなんかも、ちゃんと真水で飼ってからなら食べられますよ♪」

伊勢「そういえば、私達は海にいたからあんまり馴染みはないけど、乗組員の人で何人かが実家に帰った時に獲って食べてたって話してたわね」

日向「生食以外なら安全に食えると言っていたな。何でも味噌汁とかにして食べていたとか」

 

 伊勢や日向が思い出したかのように言うと、他のみんなも「そういえば」と当時の乗組員達の雑談の話を思い出していた。

 

テスト「それで今日は、このザリガニを使ってお料理しようと思って、マミーヤさん達にお願いしたの♪」

間宮「私達は和食ですけど、テストさんには本格的なフランス料理を作ってもおうかと」ニコッ

 

黒潮「フランス料理か〜……何やお洒落な感じやな〜」

親潮「て、テーブルマナーとかどうしましょう」

テスト「コース料理は作らないから気にしなくて大丈夫よ♪」

 

 テストが二人にそう言うと、二人や他のみんなもホッとしたような表情を浮かべた。

 そんな中、不知火が「ふむ……」と何やら考えごとをしていた。

 

陽炎「どうしたの、不知火?」

嵐「なんかまだ思うことがあんのか?」

不知火「いえ、正規空母の皆さんが満足してくれるかと思いまして……特に飛龍さんとか」

野分「赤城さんではなく、飛龍さんですか?」

舞風「飛龍さんなら普通に満足してくれそうだけど〜?」

秋雲「そもそも飛龍さんって大食いキャラじゃなくない?」

 

 不知火の懸念にみんなしてそれはないのでは、と言う意見を出したが、伊勢や日向といった面々は苦笑いを浮かべていた。

 

テスト「ヒリューさんってフランス料理苦手なのかしら?」

不知火「いえ、苦手ではないです」

 

 テストの問いに不知火はハッキリとそう答えたが、すぐに「ただ……」と言って、更に言葉を続けた。

 

不知火「ただ……『美味いけど、量が少ねぇ』と思われるのではないかと……」

 

 不知火が思っていた懸念を口にすると、陽炎達は一斉に「それは飛龍さんじゃなくて司令官の言葉!」と口を揃えてツッコミを入れた。

 

テスト「???」クビカシゲ

日向「昔、飛龍に乗っていた二航戦司令官が大食漢でな。大和のフレンチコース料理を食べた後にそう苦言を呈したそうだ」

テスト「な、なるほど……」

伊勢「あの人は色々とエピソードがあるからね〜……私の艦長やってた時なんて、乗組員達の鍛錬の一環として取り入れたお相撲のためにだけに、わざわざ甲板上に本格的な土俵を作らせる程だったんだから」ニガワライ

テスト「ワォ……豪快なお人だったのね」

日向「相撲好きだったこともある。他の艦だとせいぜいマットを敷いた土俵だったからな」フフフ

 

 伊勢達の説明にテストは深く頷きつつ、飛龍にそう言われないように頑張って作ろうと意気込むのだった。

 そしてみんなで料理をし、テストはザリガニを使ったフランス料理、ザリガニのビスクやザリガニのクリームパスタを作った。

 

嵐「パスタってフランスの料理でも使うんだな〜」

黒潮「そりゃあ使うやろ。ドイツ人がジャガイモばっか料理に使っとる的な発想やで、それ」ニガワライ

テスト「でもドイツ人ってジャガイモをフォークで細かくして食べる習慣があるから、フランスだとすぐに分かるのよ?」フフフ

親潮「そんな食文化の違いもあるんですね〜」

野分「フランス人だって分かる食べ方とかもあるのでしょうか?」

テスト「えぇ、勿論あるわよ」ニコッ

 

日向「ほぅ、それはどんなのなんだ?」

テスト「それはパスタの食べ方よ♪」

嵐「え、パスタって世界共通でフォークにクルクルして食べるんじゃないの?」

テスト「フランスではね、パスタはナイフで切って、フォークに乗せて食べるのよ♪」

親潮「何だか斬新ですね」ニガワライ

野分「でもどことなくフランス人っぽい気がします」フフフ

 

間宮「ふふふ、皆さん楽しく作っているわね♪」

伊良湖「そうですね♪」

速吸「ザリガニから各国の食文化のお話になるなんて凄いですね♪」

伊勢「国際交流って感じかしら?」フフ

舞風「和食だって世界で食べられてるよね♪」

陽炎「寿司や天ぷらなんかがいい例よね」アハハ

不知火「麺類を音を立ててすするという食文化も日本ならではよね」ウンウン

萩風「国際的にはマナーが悪いけどね」ニガワライ

秋雲「外に行ったら気をつければいいだけじゃん。寧ろそういう粋な食べ方が日本流でしょ♪」

 

 その後もみんなは食文化の話で盛り上がりつつ、料理を仕上げていくのであったーー。




 おまけーー

 食堂、一二〇〇ーー

 今日の食堂ではみんなザリガニ料理に驚きつつもその味に舌鼓を打ち、大賑わいだった。
 中でもテストのフランス料理は飛ぶように注文が入った。

大和「ザリガニのパスタなんて初めて食べたけど、美味しいわね♪」モグモグ
武蔵「このビスクもいい味だ」ゴクッ
ローマ「いい味ね……トマトソースが少し物足りないけど」モッモッ
イタリア「私はフランスのパスタって好きよ♪ イタリアのパスタより柔らかいけど、これはこれで♪」モキュモキュ

 そしてカウンターではーー

テスト「お待たせしました♪ ザリガニのクリームパスタとザリガニのビスク、空母用の六人前です♪」ドンッ
蒼龍「え、私達こんなに頼んでませんよ?」
テスト「あれ? でも、ちゃんと六人前とオーダーが……てっきりフランス料理は美味しいけど量が少ないから多く頼んだのかと」クビカシゲ
飛龍「なんで多聞丸みたいな話に……」ニガワライ

テスト「では、四人前でいいですか?」
赤城「待ってください!」
加賀「もしかして……」
赤城「私が三人前食べるつもりだったんです、勝手に減らさないでください!」キリッ
飛龍「それも多聞丸の話じゃないですか〜!」プンプン
加賀「三人前は多過ぎるので、私がもう一人前食べます。これなら私と赤城さんで二人前です」キリリッ
蒼龍(それでも多いような……)ニガワライ

 何だかんだみんな満足したので、テストとしては大満足の成果だったそうなーー。

 ーーーーーー

ということで、今日はちょっとした食文化の話にしました!
そして今日は日向さんの進水日と黒潮ちゃん、嵐ちゃんの竣工日なので本編に登場させました!
みんなおめでとう!

此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆

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