艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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重巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、ネタ含みます。

いつもより長いです。


艦これSS改20話

 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 空母寮、共同厨房ーー

 

鳳翔「揚がりましたよ〜♪」

 

 鳳翔は厨房の出入口で待機しているみんなに声をかけつつ、キッチンペーパーを敷いた揚げ物トレイに次々と揚げ餅を乗せていく。

 今年は気合を入れて作り過ぎたこともあり、鏡開きで餅が多く残ってしまった。

 なので鳳翔は、その餅を一口サイズに切ってから冷凍し、天気の良い日にそれを日干しして更に冷凍した上で揚げ餅にしたのだ。

 味付けはシンプルに醤油のみで、前もってお知らせしていたこともあり、空母寮のみんなだけでなく多くの者達がこぞって押し寄せていた。

 

龍鳳「一列に並んでくださ〜い♪」

瑞穂「沢山ありますからね〜♪」

 

 お手伝いの龍鳳と瑞穂の声にみんなは素直に従い、二人が揚げ餅を袋に小分けし、みんなはその袋を受け取ると、鳳翔達にお礼を言ってにこやかに帰っていく。

 そして最後の揚げ餅の袋が手渡される。

 

龍鳳「はい、どうぞ〜♪」

衣笠「ありがとうございま〜す♪」

 

 それは衣笠だった。衣笠は本日秘書艦任務に就いているが、提督のために時間を作って揚げ餅をゲットしに来ていたのだ。

 

瑞穂「ふふ、衣笠さんが最後でしたから多めに入れておきました♪」

衣笠「わぁ、嬉しい♪」

 

 そう言って喜んだ衣笠だったが、衣笠はすぐにあることを気に掛けた。

 

衣笠「三人の分はちゃんとあるの?」

 

 そう、衣笠は鳳翔達の分を気にしたのだ。

 多めに貰って嬉しい気持ちはあるが、それによって三人の分が無くなるのは嬉しいとは言えない。

 

鳳翔「お気遣いありがとうございます。でも、ちゃんと私達の分もありますよ♪」

 

 鳳翔はそう言うと衣笠にちゃんと自分達の分の揚げ餅を見せた。

 

龍鳳「私達だって食べたいですからね♪ 抜かりありません♪」

瑞穂「それに元からちゃんと計算してお配りしましたから」ニコッ

衣笠「なら良かった」フフ

 

 衣笠が胸を撫で下ろすと、鳳翔達は「ありがとうございます♪」とまたお礼を言った。

 衣笠はそれに笑顔を返すと、三人に手を振って執務室へと戻っていった。

 

 

 執務室までの道中ーー

 

衣笠(えっと……揚げ餅もゲットしたし、あとは執務室でお茶を淹れて……♪)ルンルン

 

 提督とまったりお茶にしよ……と思ったその時、衣笠はまだ温かい揚げ餅に目がいった。

 

衣笠(沢山あるし……一つ食べてもいいよね♪)テヘ

 

 そう考えた衣笠は揚げ餅を一つ、袋から取り出してパクンと食べた。

 冷めてはいたが程よい温かさで食べやすく、口に含むと醤油の香りがふわ〜っと広がった。

 

衣笠「ん〜♪」サクサク

 

 その味に衣笠が美味しい……と言おうとしたその時、

 

青葉「美味しそうですね〜、キヌガッサー♪ その表情頂きます♪」パシャ

 

 青葉がひょっこりと現れて、衣笠の表情を撮影した。

 

衣笠「青葉? 部屋で編集してるんじゃなかったの?」

青葉「…………もっとリアクションしてよ〜。お姉ちゃん泣いちゃうよ?」ウルウル

衣笠「もう慣れっこだからね〜。それにこれくらいで泣かない姉だって私は信じてるから♪」ウィンク

 

 衣笠の完璧な返しに青葉はぐうの音も出なかった。

 それから衣笠が「それで、何してるの?」と改めて訊ねると、

 

青葉「今日は鳳翔さんの揚げ餅が出回る日だからね〜♪ だから皆さんが揚げ餅を食べてほっこりしてるところを隠s……撮りしてるの」キリッ

衣笠「せめて言葉を止めたなら言い変えてよ」ニガワライ

青葉「青葉、素直だから!」キリリッ

 

 そんな青葉に衣笠は「はいはい」と言ってその場を去ろうとした。

 

青葉「ちょ、ちょっと待ってよ、キヌガッサー!」

衣笠「えぇ〜、今度は何? 私、提督とお茶するっていう大切なお役目があるんだけど?」

青葉「青葉もその揚げ餅食べたいです!」キラキラ

衣笠(あ〜、みんなの撮ってたら食べたくなっちゃったんだ)ニガワライ

 

衣笠「まぁ、最初から青葉の分も考えてたから問題無いよ♪」

青葉「流石はキヌガッサー! 出来る女ね、コンチクショー!」ナデナデ

衣笠「…………だから、」ニッコニコ

青葉「っ!?」ゾクッ

衣笠「ちゃんと提督の写真も撮ってね♪」

青葉「さ、サーイェッサー!」ケイレイ

 

 こうして青葉は揚げ餅を貰う代わりに、提督の写真撮影をすることを約束して衣笠と執務室へ向かった。

 

 

 食堂前ーー

 

衣笠「ちゃんと撮ってよね。約束破ったら明日までお話してあげないんだからね?」

青葉「だ、大丈夫だよ〜。司令官は言えばちゃんと撮影させてくれるし、バッチリ格好良く撮るから〜」ニガワライ

  (というか約束破っても明日には許してくれるのね……流石衣笠、可愛い娘)

 

 青葉がそう考える脇で衣笠は「提督は元から格好良いもん!」と先程の青葉の言葉に抗議していた。

 そんな妹に青葉が苦笑いを浮かべつつ相づちを返していると、

 

加古「あれぇ、青葉に衣笠じゃん。揃ってどった〜?」

 

 加古があくびを噛み潰しつつ現れた。

 

衣笠「これから執務室で提督とお茶する予定なの♪」

青葉「青葉はご相伴とその風景の撮影に」

加古「あ〜、それでか」アフッ

 

衣笠「加古ちゃんはお昼寝してたの?」

加古「そ〜、正午過ぎから食堂の屋根の上でな〜。日が差して寝袋もポカポカになるんだよ〜」

青葉「ほうほう、加古さんのお昼寝スポットな訳ですね」メモメモ

加古「メモなんて取ってどうすんだ?」

青葉「お昼寝特集を書くかもしれないので」ニコッ

加古「読む奴いんのか?」

青葉「えぇ、目の前に」キリッ

加古「照れるぜ」ニシシ

 

 謎の連携を発揮する青葉と加古。

 すると今度は苦笑いを浮かべて見ていた衣笠が口を開いた。

 

衣笠「加古ちゃんも一緒に来る? 執務室はストーブだけど、今日のお茶請けは鳳翔さんの揚げ餅だよ♪」

加古「マジ!? 行く行く!」キラキラ

青葉「どうして青葉には見返りを求めたのに、加古さんには求めないの?」

衣笠「日頃の行いの差、かな?」ニッコリ

青葉「(´・ω・`)」

衣笠「あはは、ウソだって♪」

加古「あ、なら揚げ餅のお礼に書類整理くらいやるぞ?」ニコッ

衣笠「わぉ、ありがと♪」

 

 こうして今度は加古も加わって執務室を目指した。

 

 

 鎮守府本館内、廊下ーー

 

衣笠「あ……」

古鷹「え?」

 

加古「古鷹じゃん」

青葉(修羅場クルー?)wktk

 

 執務室へ向かう途中、衣笠達は古鷹と遭遇した。

 そして古鷹の手には衣笠と同じ袋があった。

 

古鷹「ち、違うよ!? 抜けがしようとか考えてないよ!? 衣笠が並んでるの見たし、提督も鳳翔さんの揚げ餅好きだから、私も一緒にお茶したいなって思って執務室に向かってたの!」

 

 古鷹が慌てて説明すると、衣笠はゆっくりと古鷹の前に立って古鷹の肩を掴んだ。

 その行動に対し、古鷹はビクンと肩を震わせるたが、

 

衣笠「考えることは同じだね……流石古鷹ちゃん」∑d

 

 と言ってバチコーンとウィンクした。

 古鷹はそれを見ると、強張っていた顔がいつも通りの柔らかい表情に戻った。

 

加古「あの〜、あたしの分は元から無かった感じ〜?」

古鷹「そ、そんなことないよ!? 加古の分はちゃんと残しておくつもりだったから!」

加古「ホントか〜?」ジトー

古鷹「本当なの〜! 大体、加古も誘おうと思ったのに何処にも居ないんだもん!」

加古「お、お〜……それはすまぬ」

古鷹「どうせお昼寝してたんでしょ!? 私は加古のこともちゃんと考えて揚げ餅貰ってきたのに〜!」テシテシ

加古「わ、悪かったよ〜……今度は昼寝する前に連絡(ライン)すっからさ〜」ニガワライ

古鷹「そう言っても連絡してくれるのはその次の日くらいじゃな〜い!」ポコポコ

加古「あ、青葉〜、衣笠〜、助けて〜」

 

青葉「これは早急にお昼寝特集を書く必要がありますね〜」メモメモ

衣笠「加古ちゃんも謝ってるんだからさ」ネ?

古鷹「(๑ò∧ó๑)」ムゥ

加古「ほ、ほら、提督待ってんだからさ」アセアセ

古鷹「それもそうだね♪」コロッ

 

 結局、第六戦隊勢揃いで執務室へ行くこととなった。

 

 

 執務室ーー

 

提督「それでこうしてみんな揃って訪れたということか」アハハ

衣笠「えへへ、そうなんだ〜♡」デレデレ

古鷹「来ちゃいました〜♡」デレデレ

 

 鳳翔の揚げ餅もお茶請けにみんなしてソファーテーブルに座ってお茶をすることになると、衣笠は提督にこうなった経緯を話した。

 するとそれを聞いた提督は楽しそうに笑い、その提督の笑顔に古鷹と衣笠のLOVE勢はデレデレした顔で提督と笑いあった。

 

衣笠「でも、お茶した後に書類整理手伝ってもらっちゃっていいの?」

古鷹「うん♪ みんなでお茶することが出来るお礼だもん♪」

衣笠「ありがとう、古鷹ちゃん」ニッコリ

提督「私からもありがとうな、古鷹」ナデナデ

古鷹「あぅ……はいぃ〜♡////」キラキラ

 

青葉「(という建前で本当は司令官のお側に居たんでしょうね)」ヒソッ

加古「(あの顔ならそうだよな〜)」ヒソヒソッ

 

提督「加古もお手伝いに来てくれてありがとうな」ナデナデ

加古「揚げ餅のこともあったし、手伝いくらいはな♪」

 

提督「青葉は新聞の編集が大変なのにこうして来てくれたんだな。私の写真でいいなら好きに撮りなさい」ナデナデ

青葉「はいです♪ その前に揚げ餅頂きますけどね!」キリッ

 

 こうしてみんなで揚げ餅を食べ、和やかなお茶会を楽しむのだったーー。




 おまけーー

 その日の夜、重巡洋艦寮、青葉・衣笠部屋ーー

衣笠「ふふふ♪」
青葉「いきなり笑い出してどうしたの?」
衣笠「ん? 今日の昼下がりの出来事あったでしょ?」
青葉「揚げ餅云々のこと?」
衣笠「そうそう♪ それ思い出したら、ついね〜♪」クスクス
青葉「何がそんなに可笑しいの?」
衣笠「何か揚げ餅あげてみんなが私に付いてきたじゃん? 古鷹ちゃんはちょっと違うけど」
青葉「」コクコク

衣笠「なんかさ、お話の内容は別だけど、なんか桃太郎みたいだなぁって♪」
青葉「桃太郎?」クビカシゲ
衣笠「うん♪ だって揚げ餅あげる約束で付いてきたじゃん♪」
青葉「この場合、揚げ餅がきび団子になると……」フムフム
衣笠「そそ♪ それで青葉が犬で、加古ちゃんは猿、古鷹ちゃんが雉♪」

青葉「青葉は狼なんだけど〜……それに加古さんが猿で、古鷹さんが雉って……」
衣笠「似たようなものでしょ♪ 加古ちゃんは屋根で寝てたし、古鷹ちゃんは雉じゃないけど名前に鳥の名詞入ってるし♪」
青葉「そんなもんかな〜?」ニガワライ
衣笠「うん♪ 何かそう思うとなんか可笑しくって♪」

青葉「となると、司令官は鬼ということになrーー」
衣笠「提督は鬼じゃないからね!」ギロッ
青葉「そ、そうだね〜……」ニガワライ
  (まぁ、怒った司令官は鬼以上な気がするけど……)

 その後も青葉と衣笠は揚げ餅の話題で盛り上がるのだったーー。

 ーーーーーー

今回はほのぼのっぽい感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆

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