キャラ崩壊、他作ネタ含みます。
○○鎮守府、一四〇〇ーー
執務室ーー
鈴谷「て〜とく〜、鈴谷ヒマヒマなんだけど〜」
提督「先程から雑誌を読んでいるようだが?」
鈴谷「ヒマヒマだから読んでるの〜。雑誌に夢中なら何も言わないよ〜」
提督「ふむ……それもそうだな」
本日の仕事量はそこそこあったが一つ一つの内容は容易いものが多かったため、全ての書類を片付けた提督と鈴谷は暇を持て余していた。
鈴谷は秘書艦ではなく、本日秘書艦の最上の手伝いとして他の姉妹達と執務室へ来たのだが、他の姉妹達は任務に赴いているため提督と二人きりで最上達の帰りを待ってる状況だった。
鈴谷はソファーテーブルに寝そべり、雑誌を流し読みながら足をブラブラさせていて、一方で提督は鈴谷が寝そべるソファーの正面の椅子に座って茶をすすっている。
鈴谷「提督〜、構ってよ〜……鈴谷ヒマヒマで死にそ〜」
提督「死なれては困る。冗談でもそんなことを口にしないでほしい」
鈴谷としては軽い冗談だったが、そんな冗談にも提督は真面目に返した。
提督の真面目な返しに、鈴谷は思わずキュンとしてしまい、顔を伏せて「ごめんごめん」と謝った。
どうして顔を伏せたのかというと、鈴谷はニヤけてしまっていたからだ。
他のLOVE勢が色濃いため忘れがちだが、鈴谷もまたLOVE勢の一人である。
口では暇と言っていても、内心では提督と二人きりでいられるこの時間がとても嬉しくて仕方ないのだ。
先程の軽い冗談でも、提督は真剣に捉え、しっかりと自分達のことを考えていてくれる。そんなどこまでも心の広い提督が鈴谷は大好きなのだ。
提督「鈴谷は退屈だろうが、こういう落ち着いた時間を過ごすのは私は好きだな……」
提督が優しい口調で優しく視線を窓の方へ向けると、鈴谷は「まぁ、それは分かる〜」とだけ返した。
互いに何も喋らないが、それは居心地悪い静けさではなく、とても心地良い静けさだった。
鈴谷(あ〜、こういうの有りかも〜♡)
鈴谷は顔を伏せたまま、思わずこの静けさを楽しんでいた。
今執務室から聞こえるのは石油ストーブの火がチリチリと燃える音と閉じた窓の外から微かに聞こえてくる駆逐艦達のはしゃぎ声、そして提督の静かで落ち着いた息使いである。
鈴谷(提督、今どんな顔してるのかな?)チラッ
ふと伏せていた顔を提督の方へ向けると、提督は変わりなく優しい眼差しで窓の方を見ていた。
すると鈴谷の視線を感じたのか、提督の優しい眼差しが自分の方へ向いた。
鈴谷はその視線に思わず胸が高鳴るが、その視線から目が離せなかった。
それは鈴谷が大好きな優しい眼差しだから。
提督「鈴谷も何か飲むか?」ニコッ
鈴谷「冷蔵庫になんか炭酸系ある〜?♡」ニヨニヨ
提督「ん〜……ラムネ、コーラ、サイダーくらいなら入ってるぞ」
鈴谷「それじゃ私コーラ〜♡」エヘヘ
提督「今持ってきてあげよう」スクッ
鈴谷「お願いしま〜す♡」
(あ〜何だろ、この感じ♡ 好きな人とほのぼのまったりしてるってサイコー♡)
それから提督は執務室の冷蔵庫からコーラの缶を取り出すと、鈴谷に手渡した。
鈴谷「提督〜、開けて〜♡」
提督「今日は随分と甘えん坊なんだな」フフフ
鈴谷「別にいいでしょ〜♡ 鈴谷は甘やかされて伸びるタイプなの〜♡」
提督「褒められて伸びるタイプではなかったかな?」
鈴谷「今の鈴谷は〜、甘やかされたい気分〜♡」
鈴谷がそう言うと提督はクスクスと笑って「そうか」と返した。
それからコーラの缶をカシュッと開け、今度こそ鈴谷に手渡した。
鈴谷はちゃんと座り直すと、提督に向かって「ん♡」と言って自分の隣をポフポフと叩いた。
提督「これでいいかな?」ストン
鈴谷「分かってんじゃ〜ん♡」スリスリ
提督が鈴谷の右隣に座ると、鈴谷は提督の肩にもたれてご満悦の様子でコーラを飲んだ。
鈴谷「みんな遅いね〜♡」スリスリ
(鈴谷的には嬉しいけど♡)
提督「そうだな……でも各寮へお知らせの紙を張り出してもらっているのだから、少し遅くなるのは仕方ないだろう」ナデナデ
鈴谷「それもそっか〜……寮で他の人と話してるかもだしね〜♡」
(何も言わなくても撫でてくれてる〜♡)
提督「まぁ、待っていれば戻ってくるさ。それまではゆるりと過ごそうじゃないか」ニコッ
鈴谷「あ〜い♡」ニヒヒ
鈴谷は提督に甘えつつ、ご機嫌にコーラをクピクピと飲むのだった。
すると鈴谷はあることを思い出した。
鈴谷「そう言えばさ、提督ってアニメとか観る?」
提督「あぁ、たまに観ているよ。アニメ好きな娘達からおすすめされるのくらいだがな」
鈴谷「夕張ちゃんからガ○ダム00借りて観たんだけどさ〜。提督も観た?」
提督「あぁ、ガ○ダムシリーズなら全部観たよ。無印もリメーク版も映画版も」
鈴谷「うわ〜、夕張ちゃん並の通じゃん」ニガワライ
提督「男ってのはああいったアニメに燃えるものだからな」フフフ
鈴谷「へぇ〜♪」
(なんかこういう提督って可愛いかも♡)
鈴谷は提督の子どもっぽい無邪気な笑みにまた胸がキュンと高鳴った。
鈴谷「じゃあさじゃあさ、00も観てるよね?」
提督「勿論だとも」
鈴谷「提督はどのキャラがお気に?」
提督「グラ○ムだな。あの武士道精神は素晴らしい。最期の花道には思わず馬鹿野郎と叫んでしまったが」ニガワライ
鈴谷「うわぁ、熱いね〜♪」
提督「そして職業柄か、最善策を思わず色々と思案してしまってね。観終わったあとはずっと一人でその時の戦況などを分析してしまった」
鈴谷「わぉ」ニガワライ
それからも鈴谷は最上達が帰ってくるまで提督とそのアニメの話題で盛り上がるのだった。
一方ーー
最上「やっと張り出し終わったね〜」ノビー
熊野「どこかの長女が駆逐艦の娘達と楽しくお喋りしてましたからね〜」
最上「ご、ごめんってば〜」ニガワライ
三隈「あのままでしたら神風ちゃん達とお茶する勢いでしたわね」クスクス
最上「三隈まで……」ムゥ
提督と鈴谷が仲良くガ○ダムの話題で盛り上がっている頃、最上達は鎮守府本館前まで戻っていた。
熊野が言うように最上が神風型姉妹のみんなと雑談していたので、少しばかり遅くなってしまったのだ。
因みに最上達は鈴谷から
熊野「早く執務室に戻ってご報告致しますわよ」ツカツカ
最上「そんなに急がなくたって大丈夫じゃない?」
熊野「いいえ、いくら提督達が終わっていても、ご報告は早くするべきですわ」
三隈「くまのんは提督とすずやんが二人きりでいるのが悔しんですよね♪」
熊野「そそ、そんなことはなくってよ!?////」
最上「大ありな顔してるよ」ニガワライ
熊野「(///Д///)」
熊野は図星だったので、そのまま何も言い返さずに顔を真っ赤にさせて、ズンズンと執務室へ向かった。
そんな熊野を見た最上と三隈は声を出さずに笑い合い、熊野の後を追うのだった。
執務室外、ドア前ーー
熊野「……////」
熊野は執務室ドアの前に着くと、前髪や服の裾の埃を払っていた。少しでも提督の前では綺麗でありたい乙女心である。
そして身支度を済ませた熊野が深呼吸してからドアをノックしようとした、その時、
提督『この気持ち……まさしく愛だ!』
と提督の声でハッキリとした告白文句が聞こえた。
熊野「( ゚д゚)」
最上「く、熊野〜?」ヒラヒラ
三隈「聞こえていませんわね」ニガワライ
熊野「(。 ゚д゚。)」ポロポロ
最上「く、熊野!?」
三隈「お気を確かに!」
熊野「。・゚・(つд⊂)・゚・。」エーン
とうとう泣き出してしまった熊野。
その泣き声に気付いた提督と鈴谷が慌てて執務室から出てくると、最上達に何があったのか訊いた。
でも最上も三隈も目を逸らし、どこか言い難そうだった。
鈴谷「熊野〜、どうしたの?」
提督「熊野がこんなにも悲しんでいるのに、私はガ○ダムのセリフなんかを熱く語っていたのが恥ずかしい」グヌヌ
最・三『ん?』
熊野「(つω⊂)」ナン...ダト?
鈴谷「熊野〜、何があったの?」
提督「私達がガ○ダムの話題で盛り上がってしまっていた間に何があったというんだ?」ナデナデ
最・三『あ〜』ニガワライ
熊野「(//つ∆⊂//)」カンチガイ...ダト?
自分の勘違いだと気付いた熊野は真っ赤になった顔を手で覆ったまま、「お花つみに行ってきますわぁぁぁ!////」と叫んでその場から逃げ出した。
それを見てポカン顔だった提督と鈴谷に、最上と三隈は『追及しないであげてください』と言って報告を済ませるのだったーー。
おまけーー
その日の夜、最上型姉妹部屋ーー
鈴谷「あっはっはっは〜♪ マジでウケる〜♪」
熊野「(///へ///)」プルプル
最上「そんなに笑わないであげなよ〜、本当に勘違いだったんだから」ニガワライ
三隈「三隈達も最初は驚きましたしね」ニガワライ
鈴谷「それでもさ……くふふ……wwwwww」
熊野「あ、貴女も同じ目に遭えば分かりますわっ////」プイッ
鈴谷「そだね〜wwwwww」
最上「鈴谷、もうその辺で」ネ?
鈴谷「分かった分かった」プクク
三隈「くまのんも、ご機嫌を直してくださいまし」ナデナデ
熊野「分かってますわ……////」ムゥ
鈴谷「大体、鈍感な提督が告白とかするわけないっしょ〜。されてみたいけどさ〜」ニガワライ
熊野「仮にでもあの様なお言葉を言われたじゃない……////」フンッ
鈴谷「そりゃあ……まぁ……演技でもハンパなかったけど……♡////」テレッ
熊野「(#`皿´)」キィィィ!
三隈「よしよし」ナデナデ
最上「まぁでもちゃんと明日、提督には謝ろうね。提督ってば最後まで熊野のこと心配してたんだから」
熊野「は〜い……////」
次の日、熊野は朝イチで提督に謝ると、提督は何も追及せずに「何もないのなら良かった」と言って熊野の頭を優しく撫で、撫でられた熊野はルンルン気分で部屋に戻るのだったーー。
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今日は最初ほのぼの、後半ドタバタって感じにしました!
読んで頂き本当にありがとうございました!