艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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提督メイン。

ネタ、独自設定含みます。


艦これSS改129話

 

 大本営、一〇〇〇ーー

 

 応接室ーー

 

香取「あなた、お茶をお淹れしました♡」

鹿島「先輩、先輩のために私特製のロールケーキも作りました♡ 食べてください♡」

提督「あぁ、ありがとう、二人共」ニコッ

 

 提督は第一艦隊の者達と大本営へ出向いていた。

 愛しの人が来ているということで香取型姉妹は大張り切り。第一艦隊のLOVE勢も香取達とは同志であるため、今回ばかりは二人に譲っている感がある。

 

 ガチャーー

 

元帥「やぁやぁ、呼び出しておいて待たせてすまないねぇ」

 

 するとそこへ元帥がのほほんと参上してきた。

 提督は起立し、第一艦隊の者達と同時に敬礼をする。

 

元帥「ん……楽にしてくれ。香取君、私にもお茶をくれ」

香取「只今ご用意致します」ニコッ

鹿島「元帥さんもロールケーキ食べます?」

元帥「食べりゅうぅぅぅぅ!」

鹿島「そういうのいいんで」←絶対零度の視線

元帥「(´・ω・`)」ツメタイ...

 

一同『』ニガワライ

 

 香取達が元帥にも提督と同じ物を用意し終わると、元帥はお茶をすすりながら口を開いた。

 

元帥「今回、君をここまで呼んだのは君を大将に昇進させるからだ」

提督「…………それはまた急なお話ですね……」

元帥「なぁに、今に始まったことではなかろう? それと勿論頷いてくれるのだろう?」

 

 元帥の言葉に提督は「はい」と力強く返し、うやうやしく頭を下げる。

 そんな提督に元帥はうんうんと笑顔で頷き、鹿島のロールケーキを一口含んだ。

 

元帥「では昇進式の日程や予定は追って連絡する」モグモグ

提督「いえ、私はそのようなことは……」

元帥「大将からは昇進式をやる。これは決まりだ」モグモグ

提督「わ、分かりました」ニガワライ

 

 すると元帥はわざとらしく咳払いする。

 それを見て香取と鹿島は提督だけを残し、第一艦隊のみんなと共に応接室から退室。

提督は何やら重大なことでも言われるのかと思い、姿勢を正した。

 

元帥「これを見てくれ」

 

 元帥はそう言って一枚の写真を見せる。

 その写真には赤を基調とした晴れ着に身を包む黒く美しいセミロングの綺麗な女性が写っていた。

 

元帥「私の娘だ」

提督「とてもお綺麗な方ですね」

元帥「歳は今年で二十四。君と同じで△△鎮守府を預かる提督をしている。因みに階級は大佐だ」

提督「ご立派ですね」

元帥「では娘とお見合いしてくれるね?」

提督「は?」

 

 突然の言葉に提督は思わず訊き返してしまう。

 

元帥「む〜す〜め〜と〜」

提督「いえ、聞き取れなかった訳ではありません。何故いきなりお見合いをしろと?」

元帥「君は短い期間だが士官学校で特別教官を務め、講演をしたな?」

提督「はい」

元帥「その時、私の娘も君の講演に出席していた。そしてその時の君のものの捉え方や志に深く感銘を受けたようでね。どうしても君とのお見合い取り付けてほしいと……」

提督「……はい」

 

元帥「身内自慢になるが、娘は私の妻に似て美人だ。どこに出しても恥じない娘に育ってくれたしな。しかし私の娘ということで変なゴミムシ共にばかり言い寄られ、人間の醜い部分を多く見てしまっていて、今まで娘の口から男の話なんて全く出なかった」

 

元帥「そんな愛娘が君となら……と、そう願ってきた。一度見合いをすればそれでいい。そのあとで断ってくれても構わない」

提督「しかし……」

元帥「なぁに、娘をふったからと報復をすることはない。先ず一度会ってほしいという父親である私からの頼みだ」ニコッ

提督「……分かりました。一度お見合いさせて頂きます」ペコリ

元帥「うむ。では早急に手配しよう」

  (これで前みたいに娘からパパと呼んでもらえる!)

 

 こうして提督は元帥の娘とお見合いすることになった。

 

 

 応接室外・ドア前ーー

 

香取「あのオヤジ……」グヌヌ

鹿島「なんて余計なことを……」グヌヌ

 

赤城「そんな……」ガーン

山城「…………」シロメ

高雄「…………」ズーン

愛宕「…………」orz

夕立「」ゴゴゴゴゴ←狂犬オーラ

扶桑「み、皆さん、落ち着いて!」オロオロ

 

 香取型姉妹や第一艦隊の者達は元帥と提督の話を盗み聞き聞いてた艦娘達は提督のお見合い話に平然を保っていられなかった。

 しかしここで暴動を起こさないのが流石である。

 

赤城「六月って本当に嫌いです」

山城「貴女にとっては本当に不幸が重なったわね」

高雄「で、ですが、何もまだ提督がご結婚なさるかまでは分かりません」

愛宕「そうよ。提督が私達を置いて……行くなんて……」ポロポロ

夕立「提督さんが誰かにとられちゃうなんてやだぁ〜」エグエグ

扶桑「涙を拭いてください」

 

 扶桑は凛とした声で赤城達に言った。

 

扶桑「まだ何もかもが決まった訳ではありません。初めから泣いていては、そうだと決めつけているようなものです」

 

扶桑「全ては私達の提督がお決めになること。しかし提督は私達を存外に扱うような決断はしないはず」

 

扶桑「貴女方が好いたお人はそんな薄情なお人なのですか?」

 

 扶桑の言葉に赤城達は泣くのをグッと堪える。そして全員が「そんな人ではない」と言うように扶桑の目を見つめた。

 

 その後は提督が応接室から元帥と現れ、お見合いの話をし、みんなは複雑な表情を浮かべながらも精一杯の笑みを見せ、鎮守府へと帰還。

 去り際、赤城達が元帥を鋭く睨んでいたとか……。

 

 

 ○○鎮守府、一六〇〇ーー

 

 鎮守府では提督がお見合いするという大ニュースが知れ渡り、鎮守府内はその話題でもちきり状態。

 中でも『提督から幸せを貰い隊』は会議室に集合して何やらやっている様子で、会議室の中からは何かの呪文のような言葉がブツブツと聞こえているんだとか。

 

 

 埠頭ーー

 

電「…………」

 

 鎮守府が提督のお見合い騒動に揺れる中、電はひとり、埠頭から海を眺めていた。

 

電(丁度今くらいなのです……電が初めての出撃から帰還したのは……)

 

 そう思いを馳せる電。その時のことは瞼を閉じれば、いつでも鮮明に思い出せる。

 

 艦娘になって初めての温もり、初めての優しさ、初めての心からの笑顔……何もかもが新鮮で、本当に幸せな瞬間だった。

 

電(司令官さん……)

 

 想い人の顔を思い浮かべると、電の胸はズキッと痛みを感じる。

 

 初期艦で提督とずっと苦楽を共にしてきた電にとって、心優しい電にとって、今回ばかりはどうしたらいいのか分からなかった。

 

「こんなところにいたのか、電」

 

電「? 司令、官さん?」

 

 するとそこに提督が現れた。提督は電の隣にやってくると、自然に電の頭を撫でる。

 

提督「何度か連絡したんだがな……しかし、ここだと思ってやってきたらビンゴだ」ニコッ

 

 提督の言葉に電は慌てて自分の通信機(スマホ)を確認すると、提督からの着信が四件もあった。

 

電「ご、ごめんなさいなのです……」

提督「こうして会えたのだからいいさ。鎮守府は今、私のせいでざわざわしているから、埠頭で丁度いいくらいだ」

電「お見合いのお話……ですよね」ニガワライ

提督「あぁ……自分の娘と一度お見合いしてほしいと、元帥殿から頼まれてね」

電「…………司令官さんは」

提督「?」

電「司令官さんはどうするおつもりなのです?」

 

 勇気を出して電は訊いた。提督はその質問に幾許か思案し、

 

提督「……私はーー」

 

 答えようとしたその時だった。

 本館の方から爆発音がした。

 

提督「何事だ!?」

電「会議室からなのです!」

 

 二人は急いで現場へ向かった。爆発したのは山城達が使用していた会議室だったが、幸い怪我人はなく、会議室の机や椅子が壊れただけだった。

 山城達は提督に理由を話し、深く謝罪すると、提督は「怪我がなかったからいいものの、今度からは工廠でやるように」と注意した。一体何をしていたやら……。

 

 そんなこんなで後片付けをしているうちに夜になり、元帥から提督へお見合いの日時が決まったと連絡があった。

 日程は急なことではあるが、明日で場所は○○鎮守府ということになった。

 

 艦娘達は複雑な表情を揃って浮かべるが、全て提督に委ねようということで落ち着いたものの、その日の夜は多くが眠れぬ夜を過ごした。

 

 

 結局、提督が電に何を言おうとしたのか……それはもう提督本人しか知らないーー。




はい。ということで、今回はちょっとバタバタしたお話になりました!

それとここでお知らせなのですが、あと一話でこの作品の幕を閉じようと思います。
目標であった百話も超え、そろそろ幕を閉じてもいいかなと思い、決断した次第です。
ご了承お願い致します。

今日は現地時間でミッドウェー海戦が始まった日であり、五日は日本時間でミッドウェー海戦が始まった日なので、この日を最終回にしようと決めました。

あと一話で終わりですが、バッドエンドにはしませんのでどうか最終回までお付き合い願えれば幸いです。

読んで頂き本当にありがとうございました!

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