艦これ Short Story改《完結》   作:室賀小史郎

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頑張るみんなのために。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


艦これSS改104話

 

 ○○鎮守府、一六〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

 鎮守府ではとうとう『出撃! 北東方面・第五艦隊』の前段作戦にあたる『出撃! 大湊警備府』の攻略に乗り出した。

 初戦海域は恒例となってきた対潜海域であるが、力みも緩みもせずに艦隊は順調に歩を進めている。

 

 そして食堂では間宮達を中心に出撃の無かった者達が今出撃している者達や出撃した者達のために、夕飯の準備を行っていた。

 

間宮「お野菜は洗ったら皮をむいて、切って、どんどんお鍋へ投下してくださいね〜♪」

伊良湖「根のものから入れるのを忘れないでくださいね♪」

速吸「ケガをしないように注意してくださいね♪」

全員『は〜い♪』

 

 今日の夕飯のメニューは間宮特製クリームシチューと伊良湖特製ビーフシチュー。

 特に作り方には拘らないが、間宮の方は鶏胸肉を使用した濃厚だがあっさり仕上げで、伊良湖の方は牛すじを使ったコクのある深い仕上がりだ。

 

夕立「白露や村雨ばっかり出撃しててズルいっぽい〜」

江風「それを言うなら海風姉貴達や涼風もだぜ? 江風達は出撃させてくれないってのにさ〜」

時雨「僕達は改二だからね。提督は温存させてるんだよ」

 

 ニンジン、ジャガイモを洗いつつボヤく夕立と江風。

 そんな擦れた二人の妹を時雨はなだめているが、その表情というかオーラはどこかどす黒く見える。

 

足柄「まぁまぁ、これからよ♪ 作戦はまだまだ続くんだもの、絶対出撃する時は来るわ♪」ニコッ

羽黒「今は今日を頑張ったみんなのために美味しいシチューを作ろ?」ネ?

 

 その隣に立って皮むき作業中の足柄と羽黒が時雨達に言い聞かせるように言うと、時雨達は揃って「は〜い」とちゃんと返事し、今度はタマネギや様々なキノコを洗う作業に取り掛かるのだった。

 

 ーー

 

妙高「間宮さん、火加減の確認をお願い致します」

那智「伊良湖よ、こちらの鍋も確認を頼む」

 

 二人の言葉に間宮と伊良湖はしっかりと確認し、オーケーサインが出たところで野菜を入れていく。

 

神風「これと〜、これを先に入れて……」チャポチャポ

春風「火傷しないようにしてくださいね?」

朝風「神風姉なら大丈夫でしょ♪ それより私は松風の方が心配だわ……」チラッ

松風「? 姉貴、僕の手際に何か問題でも?」チャポチャポ

 

 朝風にそう訪ねる松風。一見すると何ら問題はないが、

 

那智「提督も食べる物だからな。しっかりと作ってくれよ? 鎮守府のトップに変な物は食べさせられないからな……前の比叡や磯風のように」

松風「司令官も食べる…………っ////」ボンッ

 

 那智の言葉に松風は顔を真っ赤にさせ、途端に先程までの手際が鈍る。

 

朝風「あ〜あ〜、見てらんないわね〜。ほらザル貸しなさい。少しクールダウンするといいわ」ニガワライ

松風「フッフッヒ〜ッ……フッフッヒ〜ッ……////」

春風「ヒッヒッフ〜ではないのかしら?」ニコッ

神風「呼吸法はそれで正しいけど、この場面ではする必要のない呼吸法よ」ニガワライ

妙高「松風ちゃん、深呼吸よ深呼吸」

 

 妙高が透かさずフォローに入ると、松風に「吸って〜……吐いて〜……」と深呼吸を促した。

これにより松風はちゃんと落ち着きを取り戻せたが、

 

松風「しし、司令官に美味しいシチューををを……////」

 

 手際は戻っても提督のことは頭から離れることは無かった。

 

 一方、間宮達がみんなのためにシチューを作っている隣では、

 

赤城「〜♪ 〜♪」㌧㌧㌧

加賀「まさかいきなりこうなるとは思わなかったわ……」マゼマゼ

 

 空母勢がそれぞれ料理をしていた。

 

 どうしてかというと、艦載機妖精達へ作っているからだ。

 艦載機妖精達の士気は昨日の時点でマックスとなっていた。ここまでは良かった……が、妖精達に待っていたのは提督からの待機命令。

唯一、航空隊で出撃していったのは瑞雲隊や晴嵐隊、水上偵察機隊といった者達だった。

 これには士気が高まっていた妖精達は一斉にズッコケた。

 

 そして提督に抗議したーー

 

『大人しく待機するのでお菓子をよこしやがれです!』

 

 ーーと。

 

 提督は妖精達に謝り、ちゃんとみんなにそれぞれが望むお菓子を与えたものの、お菓子をヤケ食いしただけではあの昂ぶりを抑え込むことは叶わなった……。

 だから空母勢がそれぞれの航空隊が好きな料理やお菓子を作っているという状態なのだ。

 

翔鶴「赤城さんは鼻歌交じりで楽しそうですね」フフ

赤城「お料理するの好きですから♪」エヘヘ

瑞鶴「あはは、赤城さんらしいなぁ」クスクス

 

 和気あいあいなムードではあるが、そこに風穴を開ける者がいた。

 

加賀「赤城さんはああ見えて、食べる専門ではありませんからね」フフリ

 

 すっかり赤城のいじり役が板についた加賀である。

 

赤城「むぅ、加賀さんはまたそうやって意地悪なこと言う〜」プンプン

 

 赤城はそう言って両頬を膨らませるが、

 

加賀「食べ物を作る、味見という名目で食べる、作った時より料理が減るor無くなる、結果また作るの永遠ループでお昼御飯をお預けされた私の気持ちが分かりますか?」

 

 加賀からの追撃が赤城のボディにクリーンヒットした。

 

赤城「ま、まだそのこと覚えてるんですか〜? 最後はちゃんと作ったじゃないですか〜」アセアセ

加賀「お昼御飯なのにそれが食べられたのは一五〇〇過ぎでした。あの時の気持ちは絶対に忘れません」プイッ

 

 そう言って赤城から顔を背ける加賀だったが、

 

蒼龍「でも、加賀さんは『その時の酢豚は美味しかった』って私達にニコニコしながら話してましたよね〜?」ニヤニヤ

飛龍「そうですよ〜♪ ちゃんと本人の前で褒めてあげればいいのに〜♪」ニヤニヤ

 

 蒼龍達から当時の自分の反応を暴露された。

 

加賀「…………記憶に御座いません////」ウツムキ

飛龍「私達はちゃんと覚えてますよ〜?」

蒼龍「加賀さんはツンデレですね〜?」

加賀「…………ツンはあってもデレはありません////」

赤城「加賀さん、喜んでくれていたんですね! あの時怒りながらもおかわりしてくれたのは、ヤケ食いではなかったんですね!」キラキラ

加賀「どうして貴女はいつもいつもどこか一言余計なのかしら〜?////」

 

 加賀は顔を赤くしつつ、赤城の両頬をムニムニする。いつもの加賀ならつねっているが、ムニムニに留めているのはやはり思うところがあるからだろう。

 

間宮「はいはい、お料理中のケンカはご法度です」

伊良湖「お料理している時は笑顔で、心を込めて! ですよ?」

速吸「お料理は心です。お二人共、仲直りしてください」ニコッ

 

加賀「…………ごめんなさい、赤城さん」

赤城「私こそ、ごめんなさ〜い」

 

 ちゃんと仲直りし、お互いに謝ると笑みを交わした一航戦。

 その後はちゃんと仲良くそれぞれ料理を作っていった。

 

 そして間宮達も美味しいシチューを作り、今日の出撃を頑張った艦娘達、そして共に出撃した提督へ美味しい『お疲れ様(お料理)』を届けるのだったーー。




イベが始まりましたので、それに関する鎮守府で待つ艦娘をメインで書きました♪

読んで頂き本当にありがとうございました!

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